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プログラムマネジメント

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プログラムマネジメント ◆dXhnNxERuo


気絶から目を覚ました仁木天は夜道を歩きながら苦悩する。

(畜生、畜生、畜生!俺はここで死ぬのか?
 こんなことならもっとお母さんやお父さんと仲良くしてればよかった。
 兄貴に連絡取る方法をもっとまじめに考えればよかった。
 鹿狩瀬や静間は乗らないよな?こんなゲーム!)

仕事熱心が過ぎて生活すら省みない両親に振り回され、
学費と生活費を稼ぐためアルバイトに明け暮れる日常。
たしかに辛かったが愉快な友達に恵まれ今思えばそれなりに幸せだったんだと思う。
そんなかけがえのない友達と殺し合いするなど、できる筈がなかった。
(……大体なんで韋駄天がこの島にある?あれは中東でぶっ壊れたんじゃなかったのか?)
実は仁木は安佐蔵を一瞬で殺したあのロボットを知っている。

GR-03 凡庸人型戦車『韋駄天』

仁木の両親が開発に関わっていた海外派遣部隊専用の国産兵器の試作品。
都市戦におけるイニチアブを握ることを最優先に火力と機動力を高いレベルで両立させた決戦兵器。
ビルからビルへ飛び移り装甲車や戦闘ヘリを軽々撃ち落とす戦闘力は歩兵が正面から立ち向かえる代物ではない。
もっとも、会社の重役の首がごっそり入れ替わった返還期における開発費用の全面カットによって
桐原重工はもはや関わっていない筈だったが。それが今ここに居る。
(……殺し合いってアレとも戦えってか?ははは、流石に数に入れてないよな……?)
気がつくと、森を抜けて港に着いていた。プレハブでできた倉庫が彼方此方に並んでいる。
海のほうを見た。かなり遠くの方で船が何隻か浮かんでいる。
俺たちを気絶した間に運んだという用務員は既に脱出したということか?
…このまま泳げば逃げられるのだろうか?冷たい金属の感触がする首輪にさわる。
(さすがにそこまで甘くない、か。)
もっとも、仲間を見捨てて一人で逃げるつもりは最初からなかったが。
ふと、倉庫の一つのシャッターが開いていることに気付いた。
誰かいるのだろうか。近くまで行き中を覗く。
そこに居たのは―――

(――――桐原千里?)

両親が働いている大企業、桐原重工の社長さんが、
作業袋を枕にして無防備にも気持ち良さそうに眠っていた。
半ば呆れながら、仁木はゆっくりと彼女の元へ歩いて行く。
(やれやれ、こうしてれば普通の女の子なのにな。)
彼女が桐原重工の社長になったのはほんの一年前らしい。それ以前のの彼女とそれほど親しかったわけじゃないが、
少なくともクラスで女子同士でグループを作ってお喋りしたりしている普通の娘だった。自分と同じように。
しかし、最近は気がついたら授業中だろうが休み時間だろうがいつもぐっすり寝ており
クラスのどのグループにも所属していない。クラスメイトもそれほど積極的に話しかけなかった。
というより、話しかけずらいのだ。明らかに、以前とは纏っている雰囲気が違っていた。
社長にされてからの一年で、彼女は別人に変わってしまったのだ。
「なぁ桐原さん、そろそろ起きないと危ない―――。」
すぐ傍まで近づいた時、不意に足元が滑った。
そのままバランスを崩し、まさに転倒しようとしているその地面には、
(・・・・釘!?)
ピンポイントで頭に刺さりかけた数センチ手前で、腰を抱きかかえ止められた。

「検証終了。ハズレを引いたと思ったがなるほど、植物油でも人は殺せるようだな。」

支えてくれている彼女は、不敵な笑顔をこちらに向けた。
「ああ、よく来てくれたな仁木。捜す手間が省けたぞ。」
(・・・最初から起きてたのね・・・。)
やっぱり、この女はもはやタダものじゃない。

◆ ◆ ◆

「さて、植物油で人は殺せるが、例の殺人ロボは流石に無理だな。君は何かいいもの持ってないかい?」

仁木は、ディバックから拳銃グロック19を取り出した。
支給品の中では当たりの部位に入るのだろうが。

「こんな武器であんなの倒せるわけねぇだろ。」
「まぁ、それもそうか。それで、本当に何も知らないのかね?
 韋駄天は君の両親が開発に関わっていたのだろう?弱点とかは?」
「知りませんよ。親父には口頭で漠然とスペックとか教えてもらっただけだし実物を見たのは一度だけです。」
「では今の段階で挑むのは少々無謀だな。じゃあ、早速行こうか。」
「……ちょっと待った。本気で生身でアレを相手にする気ですか?」
「生き残るためには現実それ以外ない。そもそも教育委員会とかいうカルト組織が私たちを無事に帰すとも思えんしな。
 あのふざけたロボットと中に入っている裏切り者を撃破して最終的に蝶野も始末する。」

・・・どうやら本気らしい。

「何か作戦が?」
「そうだな、とりあえず神楽と韋駄天を最大限利用しみる。
 君はあのロボットの事を事実以上に『かなり詳しく知っている人間』を装っておいてくれ。
 その方が説得力があるからな。心配するな、状況は我々にかなり有利だ。」
「有利って…何が?」
「やれやれ、冷静になってよく思い出してみなよ。
 ゲームの始まりが寸分狂いなく連中の思惑どおりに進行したように君は見えたかい?」

ゲームの始まり。蝶野の宣言。首輪の爆発。壁を破って神楽が出現。
最強堂はかわいそうだが最初から見せしめとして殺される予定だったんだろう。
でも安佐蔵は。彼の勇気ある行動は権威を払うが結局死んでしまった。

「あれが、安佐蔵の取った行動が。連中にとっての致命的なミスだ。悪趣味な隠し玉を早期に晒してしまうというな。」

「連中は韋駄天はあの時点で公表するつもりは無かった筈だよ。
 ゲームが始まるまで隠しておいたほうが警戒されずに済むからね。
 だが安佐蔵が襲いかかって蝶野のスイッチを奪ってしまったため予定が少し狂ってしまった。
 韋駄天は当て馬というより私達を完全に駆除するための保険だろう。
 しかし私たちを殺し合わせるという目的から考えればアレの存在は完全に逆効果。
 参加者の戦意を喪失させるほどの力などな。手を組むメリットがあっても、優勝を狙うメリットがない。」

考えてみればその通りだった。いくら優勝を狙って殺しまくっても一人であの殺人ロボを倒せるはずがない。
でもうちのクラスメイトも普通じゃない奴らが沢山いるんだ。みんなで協力すれば勝機がゼロなわけじゃない。
『協力して神楽を倒す』この目標を掲げるだけで皆を結束させることができるのだ。その理屈は説得力がある。
千里はにやりと笑った。

「まずこの事を広めて全員の目を覚まさせてやるのだよ。すぐに殺し合いは成立しなくなるさ。」

あぁ、桐原社長はこういう人なんだ。絶望的な状況でも常に前向きで、
今でも生身で巨大ロボを退治する方法とか馬鹿げたことをまじめに考えている。そして恐らくその次のステップまで。
悪意ある上層部による傀儡政権が目的で社長にさせられただろう彼女は、
一年かけて上層部の首を全て入れ替えさせ、桐原重工を完全に掌握したと親父は言っていた。
その時期にどれほど過酷な過程があったのだろうか、想像もできない。
だからこのゲームも、彼女にとっては多くある障害の一つでしかないのだろう。

「今日中に、家に帰りましょう。君を使ってあげるわ。桐原重工の為に働きなさい。」

千里が差し出した手を、仁木は無言で握り返した。



【E-8 港・倉庫内/一日目・深夜】
【女子六番:桐原千里】
 [状態]:健康
 [装備]:植物油
 [道具]:支給品一式
 [思考・状況]
  基本思考:ゲームを潰す
  0: クラスメイトを説得して仲間を増やす
  1: 脱出方法、首輪の解除方法を模索する
  2: 戦闘は極力避ける  


【男子十五番:仁木天】
 [状態]:健康
 [装備]:グロック19(15/15)
 [道具]:支給品一式 、グロック19のマガジン(2)
 [思考・状況]
  基本思考:桐原千里に付き合う
  0:友達(特に鹿狩瀬・静間・有栖川)を捜す
  1:とりあえず千里を護衛する



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000:試合再開 桐原千里
GAME START 仁木天

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