そりゃあ、理想的すぎるかもしれないけどさ ◆4GaZfiGP/U
―――自分はどうすればいいのだろうか。
殺し合え、と一見意味不明な、現実では到底有り得ぬ事が今起きている。
しかもその殺し合う相手が、自分のクラスメイト達。
自分はフェンシングを使う事が出来るとはいうものの、知人達にソレを向けるのは、松平左京(男子十八番〈まつだいら・さきょう〉)からしたら、いかんせん無理な事であった。
鎧に身を包むという、異常な姿であるとともに、少し異常な精神を持ち、最強の防護服を持つ彼。
そこからの自信からなのか、彼はこのゲームの反抗を決めたのであった。
殺し合え、と一見意味不明な、現実では到底有り得ぬ事が今起きている。
しかもその殺し合う相手が、自分のクラスメイト達。
自分はフェンシングを使う事が出来るとはいうものの、知人達にソレを向けるのは、松平左京(男子十八番〈まつだいら・さきょう〉)からしたら、いかんせん無理な事であった。
鎧に身を包むという、異常な姿であるとともに、少し異常な精神を持ち、最強の防護服を持つ彼。
そこからの自信からなのか、彼はこのゲームの反抗を決めたのであった。
「そうと決まれば、早速仲間を集めないと…」
仲間を集めて、殺し合いの撃破。
理想的すぎるシナリオだとは思っている。
しかしなんだ。
理想的で何が悪いのか?
現実味を帯ていない目標を、必ず果たすのだ。
それが自分に与えられた役目なのだろう。
理想的すぎるシナリオだとは思っている。
しかしなんだ。
理想的で何が悪いのか?
現実味を帯ていない目標を、必ず果たすのだ。
それが自分に与えられた役目なのだろう。
「さて、そうとなれば皆が集まりそうな場所に行くかな」
と、北の方角へと体を向け、鎧の五月蝿い音とともに、左京はその歩みを進め始めたその矢先。
「?」
と、早速遠くに人影が見えた。
幸先がいいスタートと言えるだろう。
「そうと決まれば、話しかけてみるか」
と思い、その人影に近付くと、その人影が砂野碧衣(女子九番〈さの・あおい〉)だというのが鎧越しに分かった。
運動神経も良い彼女ならば、味方としていい戦力になるだろう。
と、すれば。左京の重い体が動かない訳ではなかった。
幸先がいいスタートと言えるだろう。
「そうと決まれば、話しかけてみるか」
と思い、その人影に近付くと、その人影が砂野碧衣(女子九番〈さの・あおい〉)だというのが鎧越しに分かった。
運動神経も良い彼女ならば、味方としていい戦力になるだろう。
と、すれば。左京の重い体が動かない訳ではなかった。
「砂野!」
左京の呼ぶ声に振り向く碧衣。
「あれー、左京君。相変わらずだね、その調子じゃ」
けらけらと笑いながら近付いてくる碧衣。
それを見た左京は一息つくと、碧衣に同じ様に近付く。
それを見た左京は一息つくと、碧衣に同じ様に近付く。
「砂野…お前は殺し合いには乗っているか?」
「乗っていたら、今頃左京君は蜂の巣だよ?」
「良かった。だったら俺と協力して―――」
「うん。それは無理」
「乗っていたら、今頃左京君は蜂の巣だよ?」
「良かった。だったら俺と協力して―――」
「うん。それは無理」
それは一瞬、コンマ単位の出来事だった。
いくら左京とはいえ、いきなり自らに向けられた殺意を避ける事は出来なかった。
銀色に光るナイフが鎧の継ぎ目であり、その防護が施されていない首元に刺さる。
銀色に光るナイフが鎧の継ぎ目であり、その防護が施されていない首元に刺さる。
「か…はっ」
刺さった場所から赤色の血が吹き出した。
左京の鎧が真っ赤に染まり、体が糸の切れた人形の様にを崩れる。
左京の鎧が真っ赤に染まり、体が糸の切れた人形の様にを崩れる。
「蜂の巣にはしないと言ったけども…首に穴を開かさないとは言ってないよね?左京君」
こびりつく様についた血をポケットから取り出したハンカチで拭き取る碧衣に、何も出来ず地に伏せる左京。
鎧に仕込んでいた剣も、感覚が薄れゆく中では、取り出す事も出来なかった。
鎧に仕込んでいた剣も、感覚が薄れゆく中では、取り出す事も出来なかった。
「あ…あ…」
死にかけの魚があがく様に、口を動かす左京。
意に介さず、左京のディパックを持ち、立ち去る碧衣。
その二人が、あまりにも対称的だった。
意に介さず、左京のディパックを持ち、立ち去る碧衣。
その二人が、あまりにも対称的だった。
(はは、は。結局、こんなもんか)
表情には出さず、心の中で少し笑うと、左京は鎧の兜の中で、寂しく目を閉じた。
【松平左京(男子十八番)】死亡確定
【残り37人】
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ま、結構良い出だしかな」
しばらく離れた住宅で一息つきながら砂野碧衣は、支給された十徳ナイフの刃をしまうと、天井へと目をやる。
(夕璃奈…)
思い浮かべるのは、自分の大切な人。
砂野夕璃奈。幼馴染みで、自分が守ると決めた少女。
砂野夕璃奈。幼馴染みで、自分が守ると決めた少女。
(殺し合いなんて、万々歳だよってね)
殺し合いが担任である蝶野の口から話された時は、恐怖心でもなく、脅えでも無く、ただ『嬉しさ』が心に残った。
これで夕璃奈に近付く奴らを殺す事が出来る。
そうして、自分と二人だけの世界が作れる。
そう考えただけでも、嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて、嬉しくてたまらない。
これで夕璃奈に近付く奴らを殺す事が出来る。
そうして、自分と二人だけの世界が作れる。
そう考えただけでも、嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて、嬉しくてたまらない。
「夕璃奈、待っててね…今、僕が君を助けてあげるから」
―――砂野碧衣は、決して、百合趣味を持っている訳じゃない。
ただ少し、独占愛が強すぎるだけの事で、異常な人間じゃない。
だからこそ、その愛を常識的に大切な人に振り撒く。
周りの人間がどうなっても、知った事か。
ただ、その人に会えれば、今は良いから。
ただ少し、独占愛が強すぎるだけの事で、異常な人間じゃない。
だからこそ、その愛を常識的に大切な人に振り撒く。
周りの人間がどうなっても、知った事か。
ただ、その人に会えれば、今は良いから。
【E-6・住宅/一日目・深夜】
【女子九番:砂野碧衣〈さの・あおい〉】
【1:僕(達) 2:○○(苗字)君、ちゃん(達)(砂野夕璃奈のみ呼び捨て)、3:皆(みんな)】
[状態]:嬉しさ
[装備]:十徳ナイフ
[道具]: 基本支給品×2、左京の支給品(未確認)
[思考・状況]
基本思考:夕璃奈を守る。
0:夕璃奈と合流する。
1:夕璃奈以外は皆殺し。
2:…夕璃奈…
[備考欄]
※左京は、碧衣の周りのエリアの何処かに倒れています。仕込み剣があるか否かは分かりません。
【女子九番:砂野碧衣〈さの・あおい〉】
【1:僕(達) 2:○○(苗字)君、ちゃん(達)(砂野夕璃奈のみ呼び捨て)、3:皆(みんな)】
[状態]:嬉しさ
[装備]:十徳ナイフ
[道具]: 基本支給品×2、左京の支給品(未確認)
[思考・状況]
基本思考:夕璃奈を守る。
0:夕璃奈と合流する。
1:夕璃奈以外は皆殺し。
2:…夕璃奈…
[備考欄]
※左京は、碧衣の周りのエリアの何処かに倒れています。仕込み剣があるか否かは分かりません。
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