第1話「北校のジョジョ」 

「はじめまして。アメリカから来た空条徐倫です」
一気にクラス中が騒ぎ始めた。
当り前だろうな。アメリカから転校生なんだから。
「ほら、見なさい。来たじゃない。バカキョン」
うるせーな
「おまえら、静かにしないと自己紹介させねーぞ」
岡部が言うと一気に静かになる。普段もこれぐらいなら教師も教えやすいんだろうな。
「あたしの父さんは日本人で母さんがアメリカ人です。ハーフってことかな。
でも、日本は初めてなので色々教えてもらえると嬉しいです。これからよろしくお願いします」
拍手が起こる。
「よし、じゃあ今度はお前らが自己紹介していけ」
反対側の席からか。俺は後の方だな。別にやましい心は無いがじっくり徐倫を見てみる。
やっぱり背は高い。そして肌はかなり白い。白人だからかな。
手足はすらっとしていて、体は結構、筋肉質だが陸上の選手みたいに整った感じだ。
スタイルは朝日奈さん程では無いが良い方だろう。顔は割と整っている。
可愛いというよりもカッコ良いとか美しいという感じだ。美人といっていいだろう。
「つぎ、あんたよ」
もう自己紹介俺なのか。
とりあえず名前と趣味を言うという無難なものに済ませた。

さて、次はハルヒだ。爆弾発言をしなけりゃ良いが。
「涼宮ハルヒ。SOS団の団長よ」
そして座った。SOS団とは名乗ったが、そこまでぶっとんだ自己紹介では無い。珍しいな。
「徐倫は日本初めてなんでしょ?そこまでびっくりはさせないわよ」
お前にも良識があったんだな。
「どういう意味よ。それ」
「よし、次は質問タイムだ。なんかあるか?」
クラスの大半が手を挙げる。もちろんハルヒもだ。
「趣味は?」「アメリカのどこから?」「誕生日は?」「好きなタイプは!?」「俺とつき合ってください!」
最後の馬鹿なのは谷口だ。
そんな感じで色々な質問がされていた。そしてとある質問がでた。(ハルヒは岡部に無視されていた)
「ジョジョってよんでもいい?」
「ダメだ。絶対にジョジョって呼ぶんじゃねぇぞ」
かなり恐い。すごむと迫力あるな。まぁこの質問でびびったのかこれで質問タイムは終りになった。(ハルヒはやはり無視された)

「なぁ、キョン」
今は昼休み。俺はいつもの三人で昼飯を食っていた。
「なんだ?谷口?そんなピンクな声をして。」
「いやさぁ、俺にも遂にこの世の春が来たんだなって」
「ハァ?」
「徐倫だよ。徐倫」
まぁ、結構美人だけどな。
「分かるじゃねーかキョン。俺は絶対に徐倫さんのハートをゲットしてみせるぜ」
「その徐倫さんだけどさ」
国木田が口を開いた。
「すごいよね。」
なにがだ。
「日本初めてだっていうのにあんなにすぐみんなとうちとけてさ」
そのとおり。徐倫はものの見事にみんなの中にとけこんだのだ。
「僕は徐倫さんは人の心を掴む才能があると思うんだ」
「確かにそんな感じがするな」
が、国木田はまだ何か言いたそうだ。
「でもそれだけじゃない気がするんだ。まだ彼女には何かある。そんな感じがね」
お前にしては珍しいことを言うな。
「なんか自分でも不思議な感じだよ」
だがまぁ、国木田の言った事は俺も少し感じていた。
もしかしたらSOS団でとんでもないことを経験しまくったせいかもな。

まぁそんなこんなでその日は割と平和だった。昼休みまではな。

昼休み。俺はなんのきなしに廊下を歩いていた。
「おい、どけ!」
いきなりどつかれた。いてーな。そう言おうとしたが、止めた。
俺をどついた奴はこの学校でも有名な不良だった。どんな所にも腐った奴がいる。そういう見本のような奴だ
だがまぁ、触らぬ神には祟り無しって言うように復讐を恐れて誰も注意しようとしない。
今回もそうだと思った。が、
「おい、謝れ」
不良の腕を掴んだのは………徐倫!?
「なんだ?てめぇ?」
「今日きた転校生よ。てめぇ、人をどついて何も無しか?」
「うるせえな。たまたま当たっただけだ」
不穏な空気に場がなる。不良と徐倫がにらみあう。
でもなんか新鮮な光景だな………。俺はそう考えて原因に思い当たった。
そうか、身長だ。徐倫はでかい。普通なら女の方が見上げる形になるが、今、徐倫は不良と同じ目線で向きあっている。
だが、それだけでは喧嘩は勝てない。やはり先生を呼びにいくべきか?

そう思っていると。
バキィ!
いきなり徐倫が殴った。左のフック。しかも顔面だ。
「てめぇ!」
不良が殴りかかる。右のストレート。が、徐倫は難なくかわす。
そして右のアッパー。派手に不良がふきとんだ。
………本当に殴ったのか?今徐倫の拳が触れる前に不良がふきとんだ気がしたが………。
廊下での騒ぎにみんなが集まって来る。
「立てよ。大口叩いといてその程度か?」
明らかに挑発をする徐倫。
「てめぇ………ブッ殺してやる!」
そういって不良が出したのは………ナイフ!?あいつ、なんつーもん持ってやがる!
皆一斉に散らばる。が、徐倫は。
「そんなもんがないと喧嘩もできないのか?」
さらに挑発しやがった。何考えてんだ?
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
不良が襲いかかる。が、いきなり何かにつまづいた。備え付けの消火器と傘たての間のあれは………糸?
いつの間にあんなとこに張ったんだ?

「最低なやろうね。これでもくらいなッ!」
徐倫が転んだ不良の顔面に蹴りを入れようとした瞬間
「おまえら!なにやってんだ!」
岡部だ。誰かが呼びに行ってたらしい。
「おい、空条、後で職員室に来い。おまえら、もうすぐ授業始まるぞ!」
言われて徐倫はなにかつぶやいて岡部について行く。
それにつられるように皆慌てて教室に戻って行っている。おっと俺も行かなきゃな。
それにしても徐倫があんなに激しい性格だったのは驚きだぜ。
「きにいったわ!」
ハルヒ、いたのか。
「最初からいたわよ!バカキョン。でもすごいわ!徐倫ナイフを持った相手に立ち向かうなんて!
SOS団にはあれぐらい根性のある人が絶対必要ね!」
あぁ、そうかい
「なによ。キョンも少しは見習いなさい!」
「はいはい」
そんな風にかるく流していた俺だったが、今の喧嘩には少し気になるところがあった。
徐倫が殴る前に不良がふっ飛んでいた事だ。
最初は気のせいと思ったが、あれは間違いなく殴る前にふっ飛んでいた。
もう一つはいきなり現れた糸だ。どこかに隠していたにしては唐突すぎる。徐倫が突然出したとしか思えない。
徐倫もまさか普通のやつじゃないのか?………まさかな。
だが、俺の予感は的中した。もちろん嫌な方にな。

to ba contuenud・・・

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最終更新:2007年11月08日 12:57