第11話「遊園地へ遊びに行こう 1」
テストも終わり、日曜日になった。あたし達は隣の県のテーマパークにやってきていた。
「なぁ………ほんとに俺達が払うのか?」
決ってたんだからしょうがないだろ。
「そうよ!バカキョン!あんたのせいであたしも払わなきゃいけなくなったのよ!」
「いいじゃないですか。涼宮さんもそんなに嫌そうには見えませんが?」
「フン!」
「けど………遊園地……懐かしいなぁ……ガキの頃家族でディズニーランドに行った以来かな」
「アメリカにディズニーランドがあんのか?」
「フロリダディズニーランドだ。その広大な敷地はマンハッタンの2倍以上、ローマと同じ位の面積があるらしいぜ。
俺はN.Y.もローマも行った事無いがな」
「キョン!おしゃべりは後よ!さっさとチケット買ってきましょ!」
「分かったぜ………」
チケットを買って入場するとさっきまで文句を垂れていたとは思えないテンションでハルヒが騒ぎだした。
「ほら!見て!みくるちゃん!ジェットコースターよ!」
「あ、す、涼宮さん……引っ張らないでください……」
「涼宮ァ!なんで俺もなんだぁ!俺は徐倫の側にいたいんだァァァァァ…………」
「たっく……さっきあんなに文句言ってたのに楽しんでるじゃないか……」
キョン、お前が文句言ってどうする。
「しかし、涼宮さんがあのように普通な楽しみ方をしてくれるのは有り難い事です」
そんなにこういうのが珍しいのか?
「えぇ。正直言うと涼宮さんがこれからこのような普通の楽しみ方をずっとしてくれると有り難いんですが………」
「有り得ねーよ」
「でしょうね」
「ま、今を楽しみましょ。こんな時に襲ってくる敵もいないだろうしな」
が、この予想は外れる事になった………。
「………はい。涼宮ハルヒとその取り巻きはこのテーマパークに入ってきました。………はい。仰せの通り任務を遂行します。
………大丈夫です私のシステム・オブ・ア・ダウンと私の相棒のバッドフィンガーならば失敗はありません………」
「なぁ~~~キーンズ~~~俺のターゲットってよ~~どいつだったっかよ~~~」
「………すいません。たった今不安要素が見つかりました………」
あたし達は行列に並んでいた。何の行列か?遊園地で並ぶ物なんて一つしかないだろ。
「ハルヒのヤローあたし達に順番待ちを押し付けやがって………」
あたし達が待っているアトラクションはアメリカの港町を意識した景観になっている地区にある、とあるアメコミヒーローをテーマにしたアトラクションだった。
どうでもいいがこのヒーローの能力はあたしの能力に結構似ているので親近感が湧く。
「徐倫さん、なら僕が一人で残りましょうか?」
「そういう訳にもいかないだろ。あたしは携帯まだ持ってないんだ。アメリカの携帯は日本では使えないからな。
………しかし………キョンはどっか行っちまったし、アナスイは連絡とれないし、ハルヒは有希連れて他のアトラクションに向かってるし………」
「愚痴らない方がいいですよ」
「だけどなぁ………」
が、その先は言えなかった。いきなり放送が入ったからだ。
「御来場のお客様に申上げます!現在全てのアトラクションが原因不明の暴走をしております!
大変危険ですので、係員の指示に従い、避難して下さい!繰り返します!ただいま………」
「乗っとる場合かーーーッ!」
「う…うろたえるんじゃないッ!係員はうろたえないッ!」
「逃げるんだよォォォーーーーーーッ」
「うわーっ、やっぱりそうだったァァァァァァン」
「ゆっくりだ……ゆっくりこっちへ来るんだ………」
そのアナウンスが流れた瞬間、遊園地のあちこちから悲鳴が聞こえてきた。どうやら軽いパニックになっているようだ。
「徐倫さん、これは………」
「間違ない、敵のスタンド攻撃だ。………一般人まで巻き込むとはな……こいつは絶対許す訳にはいかないな………
探すぞ!他の奴らに電話しとけ!」
「徐倫さん……マズい事になっています………」
振り返ると古泉が携帯を手に青ざめた顔していた。どうしたんだ?ハルヒが調べに行くとでも騒いでいんのか?
「いえ、涼宮さんと長門さんの乗っているアトラクションは動きが止まっただけだそうです………」
なら問題ないだろ。
「いえ、朝比奈さんとアナスイ、そしてキョンがジェットコースターにたった今乗ったそうです」
時は数分程マンダムする………
「これに乗るのか?」
「アナスイ君………ジェットコースター………苦手なんですか?」
「いや、俺は大丈夫だ。むしろキョンの方が俺は心配だな」
「うるせーぞ、アナスイ」
俺たち3人は入場してすぐに見える最近できたというジェットコースターの前にいた。
にしても……視線感じるな。そんなに外国人が珍しいのか?
「そんな網シャツ着てりゃ視線集めるぜ………」
「だけどアナスイ君……なんで迷子に?」
俺が徐倫ではなくこの二人と行動していた理由は簡単だ。朝比奈が言ったように俺は迷子になってしまった。
その時に同じく迷子になっていた朝比奈と出会い、更に俺を尾行していたキョンと出合ったという訳だ。
「尾行してねーよ」
うるせぇ。どう考えても尾行してたとしか思えないタイミングで現れやがって。
「二人ともそれぐらいで………あ、ほら、順番が来ましたよ」
座り方は朝比奈とキョンが隣り、俺が一人後ろに座った。俺の横は空席で、後ろから2番目の車両だ。朝比奈は何故か少し残念そうな表情してたがな。
「あ、これ、音楽が聞けるそうですよ」
なるほどな。俺は世界一有名な白人ラッパーの曲にした。
さて………いよいよ俺の出番かよ~~。キーンズはそろそろスタンド使う頃だ。
………そうだ!キーンズから作戦の前にターゲット確認しとけって言われてるんだったぜ!
えーと………名前……なんだったっけ?………あぁ!そうだ!
キーンズはこんな時の為にマークを付けたリストをくれたんだった!
えーと………ん?こいつか?あさ……ひ……みくるかよ~~~~?
マークのインクが薄い気もするが……まぁいいか。かすれたんだろう。
さ~~て、そろそろ時間かよ~~~~~
「ヘアックシュ!」
なんだ?今のくしゃみは?………中崎は大丈夫か?ターゲットは涼宮ハルヒなんだがな………
マークのインク………やっぱり裏写りしてたかな………?
「そろそろお終いですね………」
「もうちょっと乗っていたいよな………」
「そうかよ~~じゃ、もっと乗せてやるぜ~~~~永遠にだけどよ~~~~~」
低めの声だ。後ろからする。振り向くと最後尾の車両には男が一人いた。
男の他には誰も最後尾の車両には乗っていない。
茶色く染めた髪をスポーツ刈りにし、タンクトップの上に服の裾が足元まではあろうかという青っぽいコートを着て、どういう訳か服の上からすねと腕と靴にプロテクターのような物が付いている。
こいつのスタンドか?
そして何よりも変わっているのがその男が高速のジェットコースターの上で平然と立っている事だ。
「おめーがターゲットかよ~~~それじゃーよ~~~~始末させてもらうぜ~~~~~」
To Be Continued・・・
最終更新:2007年12月17日 15:46