第18話 「アフター・ザ・ファイアー 1 」



『それじゃいくわよ!テイク5!アクション!』
翌日、あたし達は近くの公園で撮影を開始していた。ハルヒがいらんゴタゴタを現在進行系で起こしていたが幸い岸辺露伴が書いた脚本はアクション物だった為細かい部分を変えるだけで何とかなりそうだった。
『アナスイ!てめーまた間違えただろ!何回同じシーン撮るつもりなんだ!』
『俺が敵のボスだなんて納得がいかないんだよ!エルメェス!お前役交換しろ!』
………撮影は前途多難だ………。



撮影を開始して1時間程がたった頃の事だった。
「あ!撮影やってるじゃない!徐倫!」
ハルヒ達がやってきた。ハルヒはまるで五百万の宝くじをたまたま見つけたようなホクホクした笑顔だが、
後ろのキョンとみくるは青汁を五杯も飲まされたうえ、世界一臭いと言われるシュールストレミングスの缶詰をかがされたような表情をしている。
古泉でさえ笑顔の中に銀行の利子ぐらいの割合で疲れたような表情が入っている。………有希は相変わらずだが。
「進行はどう?」
「まあまあといった所ね」
「ふーん。あたし達は最高の出来だったわよ!」
そう思っているのはハルヒだけのようだが黙っておく。
「そうだ!今後の参考の為に見学していってもいい?」
「別にあたしは……親父?どうだ?」
「できれば手伝って欲しい位だな………」
「分かったわ!キョン!古泉君!あんた達は雑用ね。みくるは演技の幅を広げる為にあたしと一緒に見学よ!有希は好きにしてていいわよ」
と、相変わらず言いたい事だけ言って他人の意見はワンマン社長のように全部無視だった。
「なぁ……徐倫……俺雑用しなくちゃいけないのか?」
しといたら?



ハルヒ達がやってきて10分程の事だった。それは今からアクションシーンを撮ろうとした瞬間、近くの広場でカチリという音がした。
………何かやばい。
「伏せろッ!」
咄嗟にスタンドを出しガードする。と、同時に凄まじい爆発が起こった。あたしとエルメェス、そして有希と古泉はガードの体勢に入っていたがハルヒにキョン、そしてみくるは無防備なままだ。
爆風に襲われる……と思った瞬間、有希が凄まじい速さで飛び出しキョンを抱えて爆風を脱し、ハルヒはいつの間にか親父に襟を掴まれて10m程離れた場所にいた。
「サンキューな長門」
「別にいい」
「あ……承太郎先生………」
「やれやれだ………教師としては教え子のピンチをほっとくわけにはいかないからな………」
二人共無事だった……ってみくるは!?
「朝比奈なら俺が助けたぜ」
アナスイの声が煙の向こうからする。
「俺が近くにいてよかっ……」
ムニュ
「……………ムニュ?」
「ねぇ……アナスイ?今あんた何を触ってるの?」
ハルヒが笑顔を浮かべながら般若のごときオーラを放っている。
「………アナスイ……てめぇまさか………」
キョンですら一端のギャングのような気迫をみなぎらせている。



―――煙が晴れた―――



そこにはみくるの胸を思いっ切り掴んでいるアナスイがいた。
「「「このド変態めがああぁぁぁぁぁぁーーーー!」」」
「ち、違うぞ涼宮!キョン!徐倫!これは助けようとした時の不可抗力だ!ホットパンツの胸をうっかり触っちまったジョニィジョースターみたいなもんだ!」
「何ラブコメの主人公みたいな言い訳してんだ!それにホットパンツって誰なんだよ!俺でもそんな幸せな状況には一回もなった事無いぞ!」
「だ、だからこれはだな!」
「アナスイ!あんた徐倫一筋じゃ無かったの?他の女、しかもみくるちゃんに手を出すなんて百億年速いのよ!」
「み、みんなアナスイ君の話も聞いてあげ………」
「アナスイ……ほんとあんたの事見損なったわ………」
「だから違ァァァァァウ!」
「みんな……それぐらいにしておけ………」
「じょ、承太郎さん!」
「変態はほっといて今の爆発についてしらべるぞ」
「………救いは……無いのか………」
そして親父が爆発を調べようと歩きだした瞬間だった。
「ねぇ?今の爆発撮影のセット?」
しまった………こいつの性格忘れていた。
「その通りよ」
変に突っ込まれても困るので勘違いさせておく。
「ふーん………その割には派手ねぇ………」
………若干怪しんでいる。
「少し火薬の量が多かったようだ」
爆発した場所を調べて親父が帰ってくる。
「それでは僕が集まってきた野次馬に説明してきますね」
相変わらずのニヤけた笑顔を浮かべながら古泉が野次馬の元へ向かう。
『明らかに普通の爆発じゃない。多分新手のスタンド攻撃だ』
と、万が一聞かれても大丈夫なように早口の英語で伝える。あたしとエルメェス、アナスイ、そして多分有希にしか分からないだろう。
「どうしたのよ?撮影続けるわよ!」
いつの間にかメガホンを持ったハルヒがあたし達をせかす。
「涼宮、てめーは監督じゃないだろ」
「あたしはプロデューサーよ。監督よりも偉いの!だからあんた達はあたしに従わなくちゃいけないのよ!」
随分と目茶苦茶な理論だ。労働権という言葉はハルヒの辞書には無いらしい。
「涼宮さん、少し向こうに行ってみませんか?朝比奈さんもどうです?」
「あ、はい……………」
「ふーん……まぁいいわ」
そしてハルヒ達が去ってからあたし達は相談し始めた。
『撮影……どうするのよ?』
『続けるしかない………』
『だけどスタンド使いが攻撃してきているんだぜ?撮影は切り上げた方がいいんじゃねぇのか?』
『いや……変に切り上げたら逆に涼宮ハルヒに怪しまれる……涼宮に気付かれない内に敵を見つけだして倒す』
『分かった………有希、怪しい奴はいる?』
『先程の攻撃を制御できる範囲内には現在五人、人がいる』
『本体は……分かんないか……』
辺りを見回すとベンチでヘッドフォンで音楽を聞いている男、下手くそなギターの練習をしている男、やたらとイチャついているカップル、そして髪の毛を金色に染め、逆立てている不良っぽい男がいた。



『どいつもこいつも怪しいわね……この場合やることは一つしかないな?親父……?』
『ああ……ひとつしかない……無関係の者はとばっちりだが………全員ブチのめすッ!』
そしてあたしと親父、有希にエルメェス、アナスイと五人がかりでそこらの人に襲いかかる。
「えっ?お…おいッ!無茶なっ!徐倫、止めろ!長門、お前までッ!やり過ぎだ!」
キョンが止めるが誰も聞いていない。
「てめーのよーな金髪が一番怪しいんだなあ~~」
「えっなに!?そ、そんなッ!」
アナスイが今にも金髪の不良っぽい男に殴りかかろうとした時だった。ドガンという音と共に少し離れた場所で爆発が起こった。
「ひょ……ひょっとして俺達おちょくられたのか………?」
『ちくしょーーーーッ!本体の野郎ッ!出てきやがれ!』
「私が調べに行ってくる。お前達は敵を警戒してくれ」
と、親父は爆発を調べに少し離れた場所に向かった。そして親父の姿が見えなくなった頃だった。
「やっと承太郎が行ったか……これで派手に暴れられるぜ………」
そういう声と共に茂みの中から男が現れた。
身長は170cm位、茶色く染められた髪は短く切り揃えられており、灰色の作業服を着て、手に白い軍手をはめ、首にタオルを巻いている。雰囲気は工事現場にいそうな若い兄ちゃんといった感じだ。
『てめぇが本体かよ………』
「その通りだぜ、名前は城崎将谷。スタンド能力は………ま、直に分かるぜ」



To Be Continued・・・

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最終更新:2007年12月29日 12:40