第2話「ようこそ………SOS団へ………」

「ようこそ………SOS団へ………」
目の前の小柄な女が胸を張って言う。
「……………」
どう反応すればいいのだろう。あたしはこんなことになった発端を思い出していた………

あたしの名前は空条徐倫。アメリカ人と日本人のハーフで高校1年生だ。
特に変わった点はない。………スタンドという超能力を持ってる以外は。
知らない人の為に言っておくとスタンドは精神エネルギーのつくり出す形ある像だ。
守護霊のように本体の傍らにたち、何らかの特別な能力を一つだけ持つ。
幾つか細かいルールがあるがそれは後で説明する。
話を戻そう。
あたしが昼休みに不良と大喧嘩をして岡部とかいう教師にこっぴどくしぼられた後の放課後。
そいつはいきなりあたしの目の前に現れた。
「あなたが空条徐倫ね!」
確かこいつは………涼宮ハルヒ。自己紹介と時にSOS団とか言ってたな………

「なんの用?」
「昼間の喧嘩、見てたわよ。凄い根性ね!」
ありがとう。でも別に正義漢ぶったわけじゃないのよ。
「ふーん。じゃあなんで突っかかっていったのよ?」
「ああいう他人を踏みにじる悪が嫌いだからよ」
親父なら『俺が裁くッ!』とか言うんだろうな………なんだかんだで親子ね………
「気に入ったわッ!ついてきなさい!」
と、いきなりあたしの腕を掴んでひきずり出した。あたしより頭一つ分ぐらい小さいのにすさまじいパワーだ。
そしてズリズリひきずられて連れていった先は………文芸部室?
「ようこそ………SOS団へ………」

そして冒頭のシーンに戻るわけだ。
「で、なに?」

あたしは中に入れられて椅子に座っていた。
部屋の中にはハルヒ以外に4人いた。一人は………昼間不良に絡まれてた奴だ。
「こいつはキョンよ」
何故か名前ではなくあだなで呼ばれる。まぁ、あたしもこいつの本名覚えてないけど。
なんていうか本当に特徴がない。地味だ。それしか言いようがない。
「で、こっちのもう一人の男子が古泉一樹よ」
「はじめまして。空条さん」
そしてにこやかな笑みと共に手を出してくる。なんだかニヤニヤしていていけすかない奴だ。
「徐倫でいいわ」
「そうですか。これからよろしくおねがいします」
馬鹿丁寧で逆に慇懃無礼に見える。あなた、イギリス人なの?
「僕はれっきとした日本人ですよ」
「んじゃ次、あっちの隅にいるのが有希。長門有希よ」
長門という女は本を読んでいる。………紹介されてんだからこっち見なさいよ。
かなり小柄に見える。本を読んでいるせいかも知れないが、異様に表情がない。
これならまだプランクトンの方がましよ………

「最後がこの人、朝日奈みくるちゃんよ」
紹介された方を見ると………メイド?なんでこんな所にメイドが?
「は、はじめまして。あ、朝日奈みくるです………」
今にも消え入りそうな声でみくるがつぶやいた。
それにしてもずいぶんとグラマーだ。アメリカでもそんなにお目にかかれないだろう。そしてえらく可愛い。
ハルヒやさっき紹介された有希もなかなか可愛いがこの人は段違いだ。まぁ、それはさておき………
「………で?」
「なにが?」
「あたしをここに連れてきた理由よ」
「もちろん徐倫にはSOS団の一員になってもらうのよ!」
………ハ?

「なんであたしがSOS団にはいらなきゃならないのよ!」
「あたしが決めたからよ」
「…………………」
飛びてぇ………。そもそもSOS団て何?
「SOS団の目的は宇宙人、未来人、超能力者、異世界人を見つけ出して一緒に遊ぶ団体よ!」
………言葉がでない。まぁ、あたしはその超能力者だけどね………。もちろん教えないけど。
「言いたいのはそれだけ?帰らせてもらうわよ」
こんな奴つき合ってられるか。
「まぁ、そう言わないでください」
古泉とか言う奴が話かけてくる。
なに?結構イケメンみたいだけどあたしはそんなのにはつられねーぞ。
「しばらく様子を見てから決めてもらえませんか?僕としても誤解してもらったまま帰らせるのは嫌なので」
………しょうがない。一週間だけよ。
「ありがとうございます」
「それじゃ、明日から来なさいよ!こなかったら死刑だから」
はぁ………

「やれやれだわ」
「やれやれだぜ」

………かぶった?
「興味深いですね。徐倫さんとキョンの口癖は同じみたいですよ」
「うるせーな。古泉」

まぁ、その日はそれでチャイムがなったのもあり、そのままお開きになった。

そして帰宅したあたしの目の前にいたのは………
「親父?」
「ひさしぶりだな。徐倫」
今アマゾンじゃなかったのか?
「実はお前に言っておきたいことがあってな」
「何よ?」
「お前のクラスに涼宮ハルヒという生徒はいるか?」
「いるけど?」
「そうか、そいつには気を付けて欲しい」
は?
「いや、私も詳しい事は知らない。ただSPW財団からそういう連絡があってな」
「なるほどね。分かったわ」
「あぁ。ところで学校は楽しいか?」
「………まぁ……ね」
「そうか。時間をとって悪かった。さて、行くか………」
少しはゆっくりしていけよ。
「そういうわけにもいかない。じゃあな徐倫」
そう言うと親父はドアを開けて出ていった。
それにしても………涼宮ハルヒは何者なんだ?

次の日、授業が終りSOS団の部室に向かう。
そしてドアを開けると………下着一枚の少女がいた。
「みくる?」
「あ。こ、こんにちは………」
メイド服に着替えている最中だった。ん?
「そのほくろ………」
「あ、これですか?これがなにか?」
「いや、あたしと同じだなって」
「え?」
「あたしもここ、この首のうしろに星型のあざが……ほら」
そういって見せる。
「ほ、本当ですね………不思議なことってあるんですね」
「そうね」
と、そこに、キョンが来て、凍り付いた。
「わ、わりぃ………」
と、瞬間。
「なにやってんのよ!このバカキョン!」
ハルヒの怒号が聞こえて来た。やれやれだわ………。
「あ、そうだ。昨日聞き忘れたんだけどみくる1年何組?」
「あ、わたし、2年生です」
あ、そうだったんだ………

それから30分後。
有希も古泉もやってきて全員がそろった。が、特に何をするでもない。
古泉とキョンがゲームをし、有希が本を読みハルヒがみくるで遊んでいる。
そして終業のチャイムが鳴り有希が本を閉じるとみな帰りはじめる。
なんのことはない。どこにでもある仲良しサークルだ。これなら入ってもいいかもな………。
「みんな!明日の土曜は久しぶりに徐倫の入団祝いも兼ねて不思議探索に行くわよ!」
不思議探索?
「単に市内を歩き回るだけだ」
キョンがそうこっそりささやく。
なんだ、その程度なら行ってやるか………。

結論から言おう。これに行ったのは大きな間違いだった。
だけどこのときのあたしはこのあとあんな事になるなんて全く思っていなかった………

to be contued・・・

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最終更新:2007年11月08日 14:46