第21話 「映画制作中異常発生中 2 」

「なあ…一体どんな奴が襲ってきてるんだ?」
「あ……そっか、あんたにはスタンドが見えなかったわね……これで見なさい」
そう言うと徐倫は一台のカメラを手渡した。
「それならスタンドが見えるわ……くるぞッ!」
慌ててカメラを構えるとそこには緑色に輝く人型をしたスタンドがいた。
「ハイエロファントグリーンっていうスタンドだ。……昔の親父の仲間のスタンドよ」
………そうなのか。この前見た写真の中に本体が居たのだろうか。と、スタンドが何かを出す構えをする。
『かわせッ!エメラルドスプラッシュがくるぞッ!』
次の瞬間、スタンドの手から緑色に輝く宝石のような弾丸が発射された。
「オラオラオラオラオラァッ!」
『ウオシャアアアアァァァッ!』
徐倫とキョンのスタンドが次々と弾丸を弾いていく。
「ふむ……まさか僕と同じような能力を身に付けている者がいたとは……だが僕には決して勝てまいッ!
何故なら僕の能力は遠くにまで動かせるッ!君達から見えなければ攻撃をくらう事は絶対に無いからな!」
「………残念だが……それは違う……」
「どういう意味だ?」
徐倫はその問いには答えず、
「オラァッ!」
ハイエロファントを殴った。
「う、グアッ!?」
「スタンドは本体と一心同体だ……スタンドが傷付けば本体も傷付く……隠れてても無駄なのよ」
「ち、ちくしょうッ!だが見ていろ……僕のこの能力にはまだ出来る事があるんだよッ!」

そう叫ぶとハイエロファントは次々とエメラルドスプラッシュを放つ。が、徐倫とエルメェスにより全て弾かれていく。
『やっぱり話に聞いてたとおりだぜッ!こいつ、パワーはあたし達より遥かに低いぜ!』
「油断するな、エルメェス。スタンドはパワーだけで勝ち負けが決まるわけじゃない」
『分かってるぜ……だから既にあいつの腕にシールを貼っておいた。どうする?剥すか?』
「そうしとこう」
と、エルメェスがシールを剥がす。すると腕が物陰に飛んでいき、ブチンという音をたてた。
「………おかしくないか?」
「あぁ……キョン、お前にしては冴えた見解だ。……ひょっとするとかなりやばいかもしれない………」
『何言ってんだ?徐倫?』
エルメェスが少し動くとその手が何かに触れた。次の瞬間、緑色の弾丸が飛んでくる。
『なッ!なにィ!』
「オラオラオラァッ!」
徐倫が弾丸を弾く。
『い、今のはッ!』
「ハイエロファントの結界だ!既に囲まれていたッ!」
咄嗟にカメラで周りを見渡すとあちこちに緑色の触手が張られている。
「そうだ……これが僕の能力の真骨頂……そしてクラエッ!半径20mエメラルドスプラッシュをーーーーーッ!」

その瞬間、無数の弾丸が四方八方から飛んでくる。
「逃げ場は無いぞ!」
……ピッ○ロかよ……。
『く、くそおおおおぉぉぉぉ!』
「離れろ!エルメェス!キョン!」
徐倫はそう言い放つと俺とエルメェスを突き飛ばし、弾丸の嵐から離す。が、徐倫がたった一人取り残された。
『ジョ、ジョリィィィィィィン!』
その直後、無数の弾丸が徐倫を襲い、その弾丸があげる砂埃で徐倫の姿は消えた。そして無数の弾丸が砂埃の中に消え、ハイエロファントが言った。
「ふふふ……ははは……ふははははは……勝った……僕の勝ちだッ!」
「そういうのをぬか喜びって言うのよ」
『徐、徐倫ッ!?』
そして砂埃の中から無傷の徐倫が現れた。
「な、何ィッ!?」
「一体どうやって……っていう顔ね……あたしは体から目一杯糸を伸ばして体をスカスカにしておいたのよ……
腕や体に当たってもすり抜けるようにね……頭までは糸に出来ないけど頭程度ならスタンドを使えば守りきれる……」
「く、くそおッ!クラエッ!エメラルドスプラ……」
「オラァッ!」
「グッゴ………」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」
「プオギャアッ!」
『大丈夫か!?徐倫!』
無茶するぜ………。

「平気よ、そんなに怪我は……」
「ちょっとー!こっち来なさい!キョン!」
徐倫、早いとこ体元に戻した方が………
「もうやったわ」
と、ハルヒがこちらに駆け寄ってきた。
「あんた達何してたのよ?キョン!あんたはカメラもやってるんだからいなくなったら困るのよ!」
悪いな、で、ハルヒ、そういうお前は何をしてたんだ?
「じゃーん!これを探してたのよ!」
そう言ったハルヒが誇らしげに出してきたのは三毛猫だった。珍しい事になんとオスだ。
「有希が猫の使い魔を飼ってるって設定でね、しかも人の言葉を話せるのよ!」
………誰が声入れるんだ?
「うーん……キョンでいいかと思ってるんだけど……アナスイも捨てがたいのよね……どっちにしようかな………」
監督だったら配役くらい考えとけよ。こいつは思い付いたら一直線、走ってる間は猪のように何も考えない奴だから仕方のない事だが。
「撮影続けるわよ!」
だが、まぁ、そうだな。認めちまうとこうやって他人に命令を出している時がハルヒの一番輝いている時だ。
多少の迷惑は伴うが、ハルヒの満面の笑顔はなんだかこっちも少し幸せになってしまう。………これでもうちょっとおとなしくなればな……なぁ、ハルヒ。

To Be Continued・・・

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最終更新:2008年01月24日 13:18