第26話 「クラウドベリージャム 3」
館山はそう言うと再び壁の中に消えた。
『クソッ!野郎ッ!一体どんな能力なんだ?』
『エルメェス、全然分からないわけじゃない。奴はどうやら隠れたまま攻撃するのは不可能なようだ。出てきた瞬間なら倒せるかもしれねぇ』
その次の瞬間、エルメェスの首筋に手刀が襲いかかる。エルメェスは咄嗟にまわし蹴りを放ち、腕を掴もうとするが、逃げられる。
「ふふふ……私は捕まらないわ……あんた達みたいなトンマには一生ね~~~」
壁の中から声が聞こえるが、何処にいるかはまるで分からない。
『チクショオッ!奴はこの壁の向こうじゃねぇのか?』
いや、有り得ねえ。いたらとっくに俺のダイバーダウンが見つけてるハズだ。
「あ……じゃあ、壁の中なんじゃあ………」
「ソフトマシーンみたいな体を薄くしたりするスタンドなら……やっぱり俺のダイバーダウンで潜行したときに見つけてるハズだ………
こいつはそれ以上の能力だ………」
『じゃあどうしろって言うんだよ!』
………まさか………
「ダイバーダウンッ!」
再び館山が消えた場所にダイバーダウンを潜行させる。
「………少し違和感があったんだ……この壁、普通の壁じゃない………」
「あの……一体……」
「こいつは隠れているんじゃない……壁そのものになっているんだ!」
『………ハ?』
「多分こいつのスタンドは自分を物体とかに溶け込ませる……ようは壁そのものになる。だからダイバーダウンで調べても分からなかったんだ」
「あーらら……バレちゃった……つまんなーいの。……ま、でもあんた達の攻撃なんて当たらないけどぉ」
『へっ……壁になってんならよ……壁壊せばダメージなんじゃねぇのか?ザ・キッス!』
エルメェスが壁をぶち壊す。が、その瞬間、館山がエルメェスの背後に現れた。
「ザ~ンネン、壁はあくまでも壁、あたしじゃあないのよぉ?わかるぅ~~~?」
エルメェスは離れようとするが、館山の方が一瞬早く、エルメェスを掴む。
「お~しお~きタ~イム!」
右のフックから左のアッパーカット、エルメェスは必死で防ぐが、次の瞬間、顔を抱えてうずくまった。
「目潰しってやつよ。あんまなめないでくれるぅ~~~?」
「ダイバーダウンッ!」
物陰に潜行させていたダイバーダウンで奇襲を仕掛けるが、かわされ、机に溶け込まれる。
「ばっかじゃない?奇襲なんて通じないってーの」
館山の声が響く。
「いい加減飽きてきたのよねー。そろそろトドメ刺させてもらうわよ?」
館山はそう言って机から現れ、本棚に溶け込む。
「ア、アナスイ君………」
「下がってろ……朝比奈………」
すると館山が再び移動した。
「クラエッ!ダイバーダウンッ!」
移動したと思われる方向を攻撃する。が、館山が背後に現れた。
「あーザ~ンネン。それはあたしじゃなくてさっき拾っといた本よ。見間違えるなんて馬鹿じゃない?それじゃね」
「いいや……これでいいんだ……この至近距離がな……」
振り返ると落ちていた実験用の鉄棒を使って作った槍を投げる。
「ふーん……この距離ならかわせない……そう考えたの?無駄よ。こうやって槍に体を溶け込ませれば………」
「あぁ、だからいいんだぜ………」
「ハ?何言ってんの?………え?ま、窓?」
「さっき開けておいた……そのまま外へ飛んできな」
「し、しまっ……か、解除ッ!……あ……落ちてくうううぅぅぅ~~~…………」
ベチッ、という鈍い音と共にマヌケな悲鳴が消えた。
「……生きてるんでしょうか………」
『つ……ぅ……さあな、運がよけりゃあな』
そんな話をしていると、俺はある大切な事を思い出した。
「涼宮……この騒ぎに巻き込まれてないよな………」
グレイトフルデッドが広域老化を学校の中でした。涼宮が巻き込まれる可能性は大だ。
「安心しろ……涼宮ハルヒは幸い校外にいた」
『じょ、承太郎さん!いつの間に!』
「揉み消し工作は長門とSPW財団が今おこなっている………」
「……良かった……」
ちなみに、この時の工作費が後々俺に押しつけられるのだが………俺はこの時、その事を知らなかった………。
館山 優衣 全身打撲により再起不能
ナルシソ・アナスイ 借金がいつの間にか膨らんだ
To Be Continued・・・
最終更新:2008年02月05日 14:54