第5話「学校にやってきた3人の男」
あたしたちが駅前の喫茶店に戻る既にハルヒ達はいた。
「遅いわよ。あれ?徐倫上着変わってない?」
さっき川に落ちてね………
もちろん、嘘だ。
その後は簡単に報告をして解散。そしてハルヒが帰った後にあたしたちは集まった。
「スタンド?」
「そんなものがあるんですか………」
「で、あんたたちは何者なの?」
「単刀直入に言います。涼宮さんは世界を自分の思い通りに作り替える能力を持っています」
え?今なんと?
「ただし涼宮さんにはその自覚がないようですが」
「自覚なんてあったら今ごろ凄いことになってるぜ」
キョンが口をはさむ。
「そんなこといきなり言われて信じるわけねーだろ。それとも信じろと言うのか?」
「Exactly(そのとおりでございます)」
「じゃあ、あなたたちは?」
「徐倫さんは人と人との間に引力があると信じますか?僕達はハルヒさんにひきつけられて集まった者達です」
なるほどね。全員ハルヒに何か関わりがあるって訳か。
「僕はハルヒさんによって力を与えられた超能力者です。あなたのスタンドのようにいつでも使える訳ではないですけど」
「なんだそりゃ………じゃあみくるは?」
「あ、わたしは……その……未来人です」
「………証拠は?」
「うぅ……あ、なら………徐倫さんのお父さんの事なら………」
「あたしの親父?」
「徐倫さんのお父さんは時間停止理論の確立者としてわたしの時代では有名なんです………」
スタープラチナ ザ ワールド!
何故か親父の声が聞こえてきた。未来の世界にもスタンド使いはいるようね。
「まぁ信じてもよさそうね………」
「あ、はい。………よかった………禁則じゃなかった……」
「有希、あなたは?」
「……………」
「長門は確か情報統合思念体に造られた対有機生命体コン………」
キョンが横槍をいれてくる。
「おい。聞いているのはあたしだぞ。それにあたしは有希から聞きたいんだ」
「わ、悪い」
「有希、あたしはあなたから聞きたいの」
「………いま、彼が言いかけた通り。私は情報統合思念体に造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」
「ようするに宇宙人て事?」
「そう」
「ふうん………何か証拠は?」
身を乗り出す。するとコップにあたってしまった。
ガシィァン コップが落ちて割れてしまった。
「やっべ………」
すると、有希がコップを手にとり何かをつぶやいた。するとコップが元に戻っていく。
「うっそ……マジ?丈助おじさんと同じ事できんだ………こりゃ本物ね」
「誰だ?丈助おじさんて?」
「あたしの親戚」
「徐倫さん」
古泉が切り出す。
「今日のような事もありました。僕達は長門さん以外スタンド使いに対抗できる人はいません。
僕達のためにもSOS団に入ってもらえませんか?」
そうね………確かに今日の奴は本気だった。有希は色々できるだろうが一人では限界があるだろう。
それにあぁいう奴は許す訳にはいかない。あぁいう悪は裁かなくてはならないッ!
やれやれ。あたしも結構親父に似てるわね………それに結構仲良くできそうだ。
「別に構わないわ………それにしても世界を思い通りにする能力ね……とんでもない能力ね………」
「おれたちも滅茶苦茶迷惑かけられてるぜ」
あんたは?キョン?
「俺か?俺は普通の人間だが………」
じゃあなんでここにいるの?
「俺が聞きたいぜ」
ふぅん………
そんなやりとりがあった週末が終わり、日曜日になった。
この日あたし達の学校には3人の男がやってきた………。
「いよいよだ………」
俺は校門の前に立っていた。北校と書いている。
長かった…………。
彼女が日本に行くと聞いた時は本当にショックだった。
が、へこたれている暇など無かった。必死で日本語を覚え。(おかげで発音も完璧だ)
親を必死に説得し、遂に日本に来た。
「遂に会えるぜ…………愛しい徐倫に………」
そういって、俺、ナルシソ アナスイは歩き出す。
そして、
「俺の教室どこだったっけ?」
道に迷った。
月曜日、登校してみると教室がさわがしい。
「おい、知ってるか?キョン?」
なんだ谷口?それと前もこんなんなかったか?
「そんあんこたぁどーでもいい!岡部が交通事故で入院だってよ!」
まじかよ。
「代わりの先生が来るらしいけどどんな人なのかなぁ」
さぁな、国木田。
と、先生が入ってくる。知らない先生だ。
「静かにしろー!」
が、全く静かにならない。ところが、
「やかましぃッ!うっとおしぃぞォ!」
聞きなれない声が響くと教室が静まり返った。随分とドスのきいた声だ。
男が入って来る。でかい。2m近くはある。
学校の中だというのに星のマークが入った帽子とえりから鎖が垂れている黒っぽいコートを着ている。
「君達の担任になるく…………」
「親父ィィィィィィーーーーーーーーー!?」
徐倫が立ちあがって叫ぶ。て、
「「「「「「なんだってエエエエエエエエエエェェェェェェ!」」」」」」
クラス中が絶叫した。
「落ち着け………素数を数えて落ち着くのだ………」
「辻褄があわないッ!これは現実ではないッ!」
「み…見てください!谷口様の表情を!眼がうつろですッ!あの姿勢のまま動こうとしませんッ!なにやらブツブツつぶやいていますッ!」
「救いは………ないのか………」
教室は凄まじい様子になってきた。
「あれが徐倫のお父さん?でかいわね………」
ハルヒが言う。
「てめーどういう事だ?何でここにいる?」
徐倫が問詰めはじめた。
「ここの教師になったから………」
「うるせエェェェェェーーーーーー!親父は学者だろ!あたしはなんで親父が高校の教師やってんのかって聞いてんだ!」
「高校教師の免許は持っている………徐倫、理由は家で言うから今は座れ」
徐倫は少し睨んで座った。家で聞く方がいいと思ったようだ。
「私の娘のせいで紹介が遅れてすまない………私の名前は空条承太郎。担当教科は生物だ」
簡単な説明で椅子に座る。
「なかなかよさそうな先生ね」
なにがだ?
「SOS団の顧問よ!徐倫に頼んでおかなきゃね!」
やれやれだぜ。………しかし、まさかと思うが徐倫の親父もスタンド使いなのか?
十分ありえるけどな………。
その後は徐倫がかなり荒れて数人殴った(谷口は何回も)以外は平和だった。
昼休みまではな………
あいつがやってきたのは昼休みだった。
俺が廊下を歩いていると男が朝比奈さんをひきずりながら歩いてきたのだ。
いや、正確に言うと朝比奈さんが腰にしがみついて止めようとしている。
が、馬鹿力のハルヒや大柄な徐倫ならまだしも朝比奈さんは小柄で非力だ。と、いうわけで朝比奈さんはひきずられている。
男は肩まであろう長髪に、明らかに校則を無視した帽子を被っている。
背は170後半ってところか。徐倫と違い、明らかに外国人と分かる。
「だ、駄目ですよ、アナスイ君、1年生の教室に勝手にいっちゃったら………」
名前はアナスイというらしい。もちろん朝比奈さんの言うことなど聞いていない。
でも誰に用があんだ?………やっぱ……
「空条徐倫はいるか?」
やはり徐倫か………と、騒ぎを聞いた徐倫が廊下にでてきた。
「げ」
途端に表情が酒を飲まずにいられない気分の吸血鬼になりそうな英国貴族のような顔になった。
と、アナスイが挨拶をする。
「会いたかった………愛してるぜ、徐倫」
すまん。挨拶じゃなくて愛の告白だった。
普通なら、「変態ッ!」と叫ぶだろう。だが、徐倫は違った!なんと!徐倫は!アナスイを!殴った!
「アナスイーーーーーーーー!君がッ!」
バン
「死ぬまで」
ボガッ!
「殴るのを止めないッ!」
ドッガアァァァァァン
本当に死ぬまで殴りそうな雰囲気だ。止めようにも止められそうにない。
まぁいきなり告白したストーカー野郎にも非がある。が、やはり朝比奈さんは止めた。
「やめて!アナスイ君のライフポイントはもう0よ!」
やはり朝比奈さんはやさしい。止めかたがどこぞの王様の止めかただが。
「どうした?お前ら?」
承太郎先生だ。
「変態をブン殴ってただけよ」
承太郎先生はアナスイの方を養豚所のぶたを見るような目で見ている。
ていうか、仮にも教師がそれで良いのか?
「構わない………こんなイカれた奴にはこういうのがお似合いだ」
何気に酷いいいようだ。
「だがまぁ………徐倫。いきなり殴ったお前にも非はある。一応職員室に来い。
それから、気絶したこいつを誰か保健室につれてってやれ」
「あ、わたしが行きます………」
朝比奈さんは少し緊張している。当り前か、未来の世界ではこの人は有名人らしいからな。
「そうか。名前は?」
「2年生の朝比奈みくるです………」
「保健の先生によろしく頼むぞ」
その返事を聞くと朝比奈さんはアナスイをひきずろうとした………が、
「おい、そこのカチューシャのお前、手伝ってやれ」
朝比奈さんが非力なのをみかねてハルヒに手伝わせた………。
「お前ら!もう授業始まるぞ!戻れ!」
この時、俺は知らなかった。今日、2年生に転校生がもう一人いたことを。
そしてそいつが朝比奈さんとアナスイに迫っていたことを………
to be continued・・・
最終更新:2007年11月13日 15:16