第7話 「レイザーズエッジ 2」
「………そのとおりだよ………やれやれ………やっと計画通りに進み始めた………
ところでアナスイ、君は既に僕の計画にはまっているんだ………
計画にはないけど手向かいしないのなら一瞬で始末してあげるよ………」
寝ぼけた事言ってんじゃねーぜ。
「そうか………なら僕の計画通りだね………死んでもらえるかな?」
「ダイバーダウンッ!」
返事の代りだ!
が、次の瞬間、天井の電球が落ちてきた。切断していやがったか………。
羽黒はいつの間にか手にナイフを持っている。あれがスタンドか?
羽黒は無言のままナイフを振り回してくる。
計画どうこう言ってた割には計画性の無い攻撃だ。
「いや、凄く計画的だよ」
羽黒がそういうと壁の温度計がぶっ倒れてくる。だが問題なくダイバーダウンで防いだ………が、次の瞬間椅子が降ってきた。
さっきの攻撃は囮か………。
いつの間にか椅子をバラバラにして蹴り上げていたようだ。だが、俺だって黙って見てるだけじゃねえ。
「くらえッ!ダイバーダウンッ!」
そう叫ぶと同時に机に潜行させていたダイバーダウンで攻撃する………が、防がれた。
「言ったじゃないか………君は僕の計画にはまっているってね………
君のスタンドは近距離パワー型、能力は物体に潜行し、その状態からでもスタンドはある程度の行動は可能………当たってるだろ?」
「それがどうした?俺はまだ全力じゃないぜ」
「僕も………全力じゃない。今から計画通り全力でいってあげるよ」
床が濡れていた。
「………全力だと?」
「もう気付いているとは思うけど………このナイフが僕のスタンドだ。名前はレイザーズエッジ」
「スタンド………普通の人に見えるのもあるんですね………」
朝比奈、知ってるのか?
「あ、徐倫さんから聞きました………」
なら話が早い。俺たちから離れとけ。
「じゃ、いくよ」
次々とナイフを振るってくる。が、遅い、これなら余裕だ。
かわしてダイバーダウンを叩き込もうとした瞬間。いきなり突風が吹いた。
「な!?」
あまりの強さに押し倒される。そこを切られた。くそっ!左腕か………。
「何が起こったのか理解できないかい?………まぁ僕の計画では教えるつもりもないけどね………」
そう言ってさらに切り付けてくる。まずい、壁のアルミの板をダイバーダウンで取り外し、防御する。
「嘘だろ………」
アルミの板がバターか何かのようにサックリ切られる。こいつの能力………物体をなんでも切断できるのか?
いや、それだとさっきの説明がつかねぇ………。クソッ!
手近にあった薬品のビンを投げ付ける。が、やはり切られる。
だが、奴に中の薬品が降りかかる………
「な!?液体を切った!?」
その結果空中を舞うはずだった薬品は地面にビンと一緒に落ちた。
靴にかかったようだがたいしたダメージではない。
「びっくりしたかい?今の攻撃は良かったよ………僕の計画の参考にしたいぐらいだ………
だけどもうそろそろ決着がつく………」
「てめぇの能力………読めてきた………物体じゃねぇ、本当になんでも切れるんだな………」
「そのとおり………ちなみにさっき切ったのは空気さ………
空気を切るとそこに僅かな真空ができる………
その隙間を埋めようと空気が流れ込み突風が吹くのさ………さぁ、計画通りに始末するか」
させるか!突進していくと奴がナイフを振るった。
また突風か?芸がねぇな、そう思った瞬間、目の前にパックリ穴が空いた………穴?
「飛び込まない方がいいよ………まぁ、僕の計画では君はその穴には飛び込まないけどね………」
な、何なんだ?この真っ黒い穴は………まさか………
「空間も切れるのか?そのスタンド………」
「当たりだよ………その穴が何処に通じてるのかは僕も知らない………
調べたいのなら飛び込んでみなよ………僕も今後の計画の為に知っておきたい………」
「ダイバーダウンッ!」
ここは攻撃あるのみだ。だが、こいつが空間を切りまくるせいで動きづらい、何処かに突破口は………。
そう思った瞬間、足が沈んだ。
「さっきの攻撃はカモフラージュさ………僕の計画では君はその落とし穴に足をとられる計画だったのさ………
それと君の足はさっきので怪我をした………残念だけど僕の計画通り君は動けないよ………」
羽黒の言うとおり足が抜けない。だが、奴が近付く瞬間なら………。
「それと………当然僕は計画通りに近付かずに君を始末するよ………
そうそう………親切で言っとくと僕のスタンドは時間差で物を切断できる………
君達の通る場所の物を切断しておいて君達が通った時に………
このナイフの柄にあるスイッチを入れる………そうすると物がいきなり切断されて君達に落ちて来る………」
羽黒が言った瞬間、天井が落ちてきた。
「事前に仕掛けておいたんだ………計画通り、君は死んだ」
「ア、アナスイ君ッ!」
くそ………まさかあれをしなくちゃなんないとはな………だがやるしかねーか。
「ダイバーダウンッ!俺に潜行しろ!」
そして………
「俺の腕の関節を外せ!」
「な!?」
そして関節を外して射程距離が伸びたダイバーダウンの腕が奴を掴む。
「そのまま俺を引っ張れ!ダイバーダウン!」
「し、しまった!」
「もう遅いぜ………クラエッ!」
羽黒が吹っ飛ぶ。くそ………関節は外すのも痛てーが直すのも痛いんだ………。
「ふふ………こんなに計画通りにいかないなんて本当に腹がたつよ………だけど………最後は僕が勝つ!」
そう言うと羽黒は朝比奈を人質にとった。
「ふん………てめぇ、計画とか言ってたな………なら俺もそうだ、
てめぇはもう俺の計画にハマっているんだよ………」
「何を言ってるんだい?この距離………どう見ても君のスタンドの射程距離外だろ?
関節を外したら届くかもしれないがその前に計画にそって僕が朝比奈の喉をかっきるよ………」
「やってみな………」
「死ねッ!」
そう叫ぶと朝比奈の喉を切ろうとし………羽黒が吹き飛んだ。
「ダイバーダウン。既に潜行させていたぜ」
「くそっ………だが………まだ負けてはいない………計画は………まだ、あ………あれ?
手を動かしたはずなのに………足が動くぞ?」
「ダイバーダウンでお前の足と手の神経を逆に接続した………じゃあな」
「こ、こんなけいか………ゴバッ」
うるさいのでダイバーダウンで気絶させた。
「ア、アナスイ君………」
朝比奈がフラフラと寄ってくる。そして………
「こ、怖かったです………」
そう言うと俺に抱きついて泣き始めた。
まぁ、無理もねーな、あんな目にあった後だ………待てよ?
これって知らない奴が見たら俺が朝比奈を泣かせたように見えるんじゃないか?
まずい。早く朝比奈を泣きやませようと俺は外に出た。そして………
あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!
『俺は部屋の外に出た瞬間、徐倫と出合った』
な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も何が起こったのか分からなかった………
タイミング良すぎとか運命のいたずらとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。
もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ………。
「……………ま、元気でね、アナスイ、みくる」
「Heyyyyyyy アァァァァァンマリダアァァァァァアァアァ」
俺に抱き付いている朝比奈の表情が嬉しそうだったのは俺の気のせいだと信じたい。
羽黒瞭 再起不能の上承太郎によって学校の修理費まで請求させられた
ナルシソ アナスイ 精神的に再起不能の上承太郎によって学校の修理費を請求され、さらに学校の修理までさせられた
朝比奈みくる なんだか最近少し悩みながらも嬉しそうにしているようだ(鶴屋 談)
to be continued・・・
最終更新:2007年11月15日 12:56