第8話「ウィズ ア ガン 1」
アナスイと親父がやって来てから2週間がたった。
あたしはSOS団の部室にいた。ハルヒは椅子に座りパソコンをいじくっている。
古泉はアナスイとチェス、それを横からみくるが見ている。有希は本を読んでいる。
ハルヒは相変わらずだし、古泉はやっぱりいつもニコニコしている。
みくるは何故か最近勝手に入り浸るようになったアナスイの事をよく見ている。
………まさか………いや、みくるに限ってそんな事はない………と、信じたい。
「にしてもアナスイも物好きだな」
キョン、あいつは変態よ。
「ひでぇ言い方だな」
「ま、アナスイの事はどうでもいい、それよりも………」
そしてあたしが見た方を見てキョンが呟く。
「長門がどうかしたか?」
「なんか………気になるのよね………なんだ?その目?あたしが圧迫祭でもすると思ってんのか?」
「圧迫祭ってなんだよ………」
あんたは知らなくていい。
「だけどお前は長門の何が気になるんだ?」
「なんていうか………そうね………アメリカの学校で似たようなクラスメートがいてね………」
「ふーん」
「だからかな………なんか放っておけないのよ………」
「徐倫………確かにさ、昔のクラスメートに似てりゃ気になるかもな、けど長門だぜ?あいつは万能だよ、大丈夫さ」
「………そういう事じゃあねぇんだけどな………」
だが、まあ、ここは有希本人に聞いた方がいいだろう………って
「あたしって有希とまともに喋った事あったっけ?」
そういえば無い。というか有希とまともに会話ができる奴を見た事が無い。
ハルヒはよく話し掛けているが一方的にハルヒが喋っているだけだし、
みくるや古泉は有希に話し掛けようとしない。
唯一キョンが少しだけ会話をするぐらいだ。
「ますます心配ね………」
「だからなにがだ?徐倫?」
お前みたいな鈍感野郎には話さねーよ。
放課後、あたしは家の方向が同じという有希と、今日欠席した国木田とかいう奴に連絡を届けに行くキョンと一緒に帰っていた。
二人は徒歩だが、あたしだけ自転車を押している。
「……………」
「……………」
「……………」
会話が無い。もう無い。会話の持続力Eだ。会話の成長性もEだ。
おい、キョン、有希となんか話せ。
「なんで俺なんだよ………」
あんたは貧乏くじをひく役なのよ。親父に言わせりゃポルナレフの役目だ。
「誰だよ、それ」
「親父の知り合いでトイレで災難に会う人。今は亀の中にいるってさ」
「なんだそりゃ」
「そういえば………徐倫の親父が来た理由は何なんだ?」
あぁ、それ?あたしはそのことをキョンに話し出した。
日日を2週間程バィツァダストした日の事。あたしは親父に学校にやってきた理由を聞いていた。
「SPW財団から涼宮ハルヒを調査して欲しいと頼まれたんだ」
「あたし一人で充分だろ。それになんで親父があたし達の担任なんだ?」
「まず俺が加わった理由だが………この前の榊雄治や今日の羽黒瞭がいたからだ。涼宮ハルヒを狙うスタンド使いがいるのは明白だ。お前一人では危険すぎる」
「………それは納得した。だけどなんであたしたちの担任なんだ!」
「最初は非常勤の講師としてSPW財団の工作で潜り込むつもりだったんだがな………お前の前の担任が怪我したのは偶然だ」
どうだか。
「まぁ………そういう訳だ。お前も敵には気を付けろ」
と、いう訳よ。
「へぇ………なあ、徐倫の親父もスタンド使いなのか?」
えぇ、そうよ。
「どんな能力なんだ?」
「残念だけど教える訳にはいかないわね」
「ま、そういうもんだろうな」
そういうと会話は終り………
「……………」
「……………」
「……………」
再び修羅場が始まった。
そんな沈黙を続けて10分程だろうか。
当たりが閑静な住宅街になったあたりで異変は突然やってきた。
「グアッ!」
キョンがいきなり後ろから撃たれた。
「な、なんだ!?新手のスタンド使いかッ!」
自転車を側に倒して周りを見渡す。だが、撃ってきた相手の姿は見当たらない。
有希がキョンの側にかがみ、何事かを呟く。その瞬間、キョンの傷が治る。
「サンキューな、長門。………徐倫、今のは………」
ピストルだな。
「………お前はなんでそんなに平然としてるんだ?」
アメリカではピストル位幾らでも見れる。あたしの家にもあったぞ。
問題は何処から撃ってるかだ。ここは一本道だからな………。
「なあ、徐倫。相手は銃持ってんだろ?どっか家の中から撃ってきたんじゃないのか?」
「ピストルは基本的に近距離で使う武器だ。隠れて撃つのなら普通ライフルを使う」
と、すると何処か物陰にいるのか?
「本体はここよ」
そういう女の声が電柱の陰から聞こえてきた。
結構高いが耳触りな声ではなく透き通った感じの声だ。
背は165cmぐらい、髪は青みがかった黒い髪を胸あたりまでのストレートにしている。前髪は右側に付いた二つのピンで4対6の割合に分けてある。
顔は大人っぽく、落ち着いた雰囲気を漂わせている。美人と言って構わないレベルね。
服は下は青いジーンズ、上は迷彩がらのブラウスだ。
右足のふとももにはホルスターをつけ、左右両足のすねにはカートリッジを入れたポーチが両足合わせて3つ見える。
「自分から出て来るとはいい度胸だな」
「私の名前は山神零。あなた達には恨みは無いわ………けど私達の組織の大いなる目的の為に死んでもらうわ………」
知るかよ。
「クラエッ!ストーンフリー!」
ガァンガァン
銃声が2発響く、が、ピストル程度ストーンフリーの敵ではない。
余裕で叩き落とせる。2発ともあらぬ方向へ飛んで行った。
「そいつは………オートマティックタイプの銃………ベレッタか」
「なあ、どういう銃なんだ?それ」
「正確にはベレッタM92、口径は9mm、作動方式はダブルアクション プロップアップ式ショートリコイル、ライフリングは6条右回り
最大装弾数は15発、全長217mm、重量950g、銃口初速365m/s、有効射程は50m」
「あー、もういい、長門」
「ピストルごときで勝とうなんて余裕だな」
「あら、モチロンこのピストルはスタンド能力を持ってるわよ。ウィズ ア ガン!」
山神がそう叫んだ瞬間、弾いたはずの弾丸が再びあたしに向かってきた。
「な!?」
くっ!マズい!
再びストーンフリーで跳ね返すが弾いたと思うとまた向かってくる。
「くそっ!切りがねぇ!」
そう叫んだ瞬間、有希が飛び出して銃弾を受けた。
「有希………!」
「この程度の傷なら問題はない。私の状態よりも敵にあなたの能力で攻撃をする事を優先するべき」
………それも………そうね。
「させるか!」
ガァンガァンガァン
今度は3発か。ストーンフリーの糸を体に纏い、弾丸を止める。
「あんたの能力は………多分あたしの体を磁石にでもしたんだろう?親父からそういうスタンドがいると聞いた事がある」
が………
「ア、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!傑作だわ!
ハハハハ………あぁおかしい………私と戦った奴は皆最初にそう言うのよね。
全然違うからおかしくってつい笑っちゃうのよ………」
………いったいなんなんだ?こいつの能力は………
to be continued・・・
最終更新:2007年11月28日 10:12