第9話「ウィズ ア ガン 2」
違うだと………?
「えぇ、そのとおり………そこだっ!」
突然、山神が自分の右側に銃を向けて2発撃つ。次の瞬間、忍びよっていた有希を銃弾が襲った。
「……………」
くそっ………あたしに引きつけさせて有希に奇襲を仕掛けさせるつもりだったが………。
幸い有希は撃たれたがかすり傷だ。が、奴は有希の頭に銃を突き付けている。
たぶん腕や足なら撃たれても平気だろうが、頭は流石に分からない。マズい………
「ストーンフリーッ!」
山神の腕に糸を巻き付け向きをあたしの方に向けるのと奴が引き金を引くのが同時だった。
ガァン
ぐ………左肩にもろにくらった。くそ………関節が砕かれた………左腕が全く動かない。
「フフ………左腕はもう使えないわね………私の能力はあなたの能力とは相性が悪いから助かるわ。トドメだッ!空条徐倫!」
4発の弾丸があたしを襲う。当たると覚悟した瞬間、有希が前に飛び出し銃弾をくらった。
右腕に2発、脇腹に1発、左胸に1発。
「有希………」
「1対1では恐らく勝機は存在しない。
相手の能力は弾丸の情報を操作し、弾丸が外部から与えられる衝撃を弾丸内部で吸収、蓄積し弾丸自身のエネルギーに変える事ができると思われる」
「どういう事か説明してくれ、徐倫」
「奴のスタンド能力は弾丸が受けた衝撃をエネルギーに変えて何回も動けるみたいだな。
例えるなら発電機付きの弾丸って事だ」
「さすがね、あの一瞬で私のスタンド能力を分析するなんて。
でも流石のあなた達もスタンドの能力そのものに干渉は不可能なようね。できたらもうしているでしょ?」
「………そう」
山神が脚に付けた小さなポーチからカートリッジを取り出しベレッタに装填する。
有希、奴のペースになんか合わせなくていい、一気に叩くぞ。
あたしがダッシュをすると同時に山神が銃を3発撃った。が、銃弾は見えない壁のような物に当たり弾かれた。
「長門有希………あなたが情報操作で透明な壁を作ったのね。でも私の能力の前では意味は無い………」
やはり弾かれた弾丸が再び向かってくる。が、また弾かれる。
「これで分かったでしょ?私の弾丸を止める術は避けるか受け止めるしかないのよ………その透明な壁もいつまで持つか分からないし」
やはりそうか………ならしかたがない。有希、解除していいぞ。
「お、おい!徐倫!そんな事したらお前!」
「………分かっている………だがこいつを倒す手段は突っ切るしかない!覚悟はもうできている!」
「……………解除」
次の瞬間、3発の弾丸が襲ってくる。
「ストーンフリーッ!」
次々と襲ってくる弾丸を弾き飛ばす。
「この程度じゃ足りないか、ウィズ ア ガン!全弾発射!」
叫ぶと同時に先程まで地面に転がっていた10発程の弾丸が再び向かってくる。
「うおおおぉぉぉぉぉ!」
次々と弾丸をストーンフリーの右腕で弾きながら前進する。
「後5m………」
「まだ食らいたいの?」
そう言った山神が再び3発の弾丸を放つ。
次々と弾丸を弾いてはいたがやはり限界はある。後4mの地点で右胸に1発、左頬に1発、右足に2発くらった。
「そろそろ限界じゃない?諦めたら?」
知るかよ。突っ切ってみせる。
「後3m………」
「あなた………自分に気を取られすぎよ」
そう山神が言い放ち、キョンに向けて2発の銃弾を放つ。
が、銃弾はキョンではなく、有希が手でくらった。
「ちッ………既に傷を治していたか」
「後………2m………射程距離内に………入っ………た………」
「く、クソッ!」
「クラエッ!ストー………」
その瞬間、弾き損ねた弾丸が右腕に当たる。
「グアッ………」
「ハァハァハァ………あ、危なかった………だけど、私の勝ちね」
弾いた弾丸が崩れ落ちたあたしの上を越え、あさっての方向に消えた。
その瞬間、有希がナイフのような物を手に山神に襲いかかる。
「ま、くる頃と思っていたわ。あなたは確かに強い………だが、この数の弾丸は避けられる!?」
山神が凄まじい速さで引き金を引き、15発の弾丸全てを放つ。
「さっき用心して装填しておいた、クラエッ!ウィズ ア ガン!」
「………回避………不可能」
その瞬間、弾丸が全て有希からそれる。
「な!?一体!?」
「………あたしは……間に……合った……さっき……あんたの……銃口に……
糸を……付けて……おい……た………」
「く、やばッ………」
その瞬間、有希の左ストレートが山神のボディーに叩き込まれる。
「カ……ハッ……」
が、有希は容赦しない。
「……………」
崩れ落ちた相手の顔に右膝蹴りをくわえた。
が、有希は蹴りを緩めない。
ドコバギィボガッバゴバッキィィィン。
「グッ…………」
そんな呻き声をあげながら山神は沈んだ。
「………あなたに聞きたい事がある」
キョンと有希が駆け寄ってきた。
「あなたは最初に私が撃たれた時に私をかばった。
あの状況なら私を見捨てて敵の攻撃をしても良かった。………私をかばった理由を聞きたい」
「いくら……あんたでも…頭を……撃たれて……生きて…られるか……は……
分かん…なかった……からね………それに……友達…を……助ける…のに……理由は…いる?」
「……………」
「ごめん……そろそろ……この傷……治して…もらえ……る?
ちょっと……限……か……い………」
そう言うとあたしの意識は黒く沈んでいった。
その間、有希の闇ガラスのような瞳に少しだけ暖かな光が見えたのは………あたしの気のせいだろう。
山神 零 ウィズ ア ガン 銃刀法違反により逮捕 再起不能
to be continued・・・
最終更新:2007年11月28日 10:14