第14話 「エルメェス・コステロ登場 」

※『』の部分は英語だと思って読んで下さい。

遊園地で敵に襲われた日から数日、俺はいつものようにSOS団の部室を出て家へ帰る途中だった。
俺は地図を見ながら何処かに向かおうとしている様子の外国人を見かけた。
黒い髪の毛をドレッドにした男だ。肌は白人というより黄色人種、メキシコとかそこらへんに居そうだ。
よく見ると額と顎に刺青をしている。目はまるで10年も修羅場をくぐり抜けてきたような眼光を放ち、身のこなしはいかにも強そうだ。
かなりいかつい印象を受ける。外国のギャングとかかもしれん。舎弟から兄貴と呼ばれている風景が目に浮かぶ。
あまり関わり合いにはなりたくないな。と、その外国人が俺に近付いて来る。
『なあ……お前……その服、北校の生徒か?』
流石ネイティブ。サッパリ聞き取れん。
『聞き取れなかったか?じゃあ DO YOU KNOW 北校?これなら聞き取れるだろ?』
北校か………イエス。イエス。生徒だよ。
『そうか………1年か?』
さっきよりはかなり分かりやすくなっている。意識して言っているようだ。そこまで悪い奴じゃ無いのかもしれん。
「イエス」
『そうか………じゃ、空条徐倫って知ってるか?』
間違いない。こんなギャングが徐倫の知り合いの訳がない。つまりこいつは絶対に徐倫達と何かのトラブルを抱えている。
そこで問題だ。このトラブルに巻き込まれない為にはどうすればいいか?
3沢―一つだけ選びなさい
答え1 ハンサムのキョンは突如逃げる為の素晴らしいアイデアがひらめく
答え2 徐倫が来て助けてくれる
答え3 巻き込まれる。現実は非情である。
今俺が○をつけたいのは答えだがさっき分かれたばっかりで家の方向が違う徐倫がアメコミのように「待ってました!」と現れるとはとても思えない。
やはり答えは………1しかねえようだ!そして俺は全速力で走り出した。

そのまま自由への逃走………のつもりが世の中はそんなに甘くは無かった。
『そうかよ………逃げるって事は徐倫の事何か知ってるってことだよなぁぁぁぁぁ』
何か喋っているが気にしない。全速力で逃げる。逃げるったら逃げる。………あれ?追って来ない?
気になったので後ろを振り向くと男がいつの間にか北校のブレザーを持っている。
『逃げようとすんならよ~~捕まえるだけだぜッ!ザ・キッス!』
男が何かをブレザーからはがす動作をした瞬間。俺の体はいきなり何かに引っ張られた。
『あたしのキッスはシールを貼った物を二つにする………そしてシールをはがすと元に戻るッ!』
そして俺は男の元まで引っ張られた。何が………って俺のブレザーが破けてるぞ!
『でも一つに戻す時に破壊が生じるけどな。さて………それじゃ色々と聞かせてもらうぜぇぇぇぇぇ!』
答えは3だ………現実は甘くねーぜ………あばよ……ハルヒ。その時、
『もしかして………エルメェス!?』
『お!徐倫じゃあねーかよッ!久し振りだなッ!』
『いつ日本に来たの!?』
『昨日だぜ!今家にいないっていうから学校に会いに行こうとしたんだよ!』
………あまりの展開においてけぼりにされている。まあ助かったからよしとしよう。
「あぁ、キョン。いたの?」
いたよ。最初っからな。
『こいつあたしが話し掛けたら逃げ出したんだぜ~~あたしってそんなに恐いか?』
『まぁ刺青のせいじゃない?日本じゃ入れてる人少いし』
「徐倫、この男、お前の知り合いか?」
その瞬間、場の空気が凍り付いた。
「………あんた………まさか………エルメェスの事………」
エルメェスという男の周囲の空気がゴゴゴゴゴと震え始めた。
「何言いたいんだ?」
エルメェスの周りの空気がドドドドドと音をたて始めた。
「エルメェスは………その……えと……女……よ………」
「………………アイムソーリー」
『ウオシャアアアアァァァァ!』
そして俺は人生初のスタンドラッシュを浴びた。あぁ………空が綺麗だなぁ……………。

翌日の放課後、SOS団の部室に徐倫がエルメェスを連れ、ハルヒ達に紹介しにやってきた。
「あたしとアナスイのアメリカでの友達のエルメェスよ。暫くあたしの家に泊まっていくからよろしくね」
「今はアメリカでも授業がある時期だと思いますが………」
「エルメェスの家はスラム街でね、中学の義務教育までは受けれたけど高校にはお金が無くて行ってないのよ」
『別に可哀相なんて思わなくていいぜ。姉さんや親父と一緒にレストランやるのも楽しいからな』
徐倫が通訳してくれる。
「気に入ったわ!エルメェス!あんたをSOS団アメリカ支部支部長にしてあげるわ!」
そう言うハルヒの手には既に腕章が握られている。
『なぁ……徐倫、アナスイ、ここは何をする所なんだ?』
『後で説明するわ』
「それじゃ、エルメェスの歓迎も終わった所で次の議題行くわよ!みくるちゃん、書記お願い」
「あ………はい」
「今度文化祭があるわよね」
そういえばそうだった。
「あたしたちSOS団は映画の上演会を行ないます!」
また始まったか………最近こういう事を言い出さないから油断してたぜ………。
「監督と脚本と演出はあたしがやるわ。やるからにはアカデミー賞を取るような作品にするわよ!」
無理に決ってるだろ。
「何よ!バカキョン!じゃあどういう映画ならアカデミー賞が取れるのよ!」
人ってのは時々言わなきゃいいものを言っちまう事がある。この時もそうだ。
今振り返ってみてもあの時なんであんな事を言ったのか自分でもサッパリ分からない。
まぁ、もったいぶってもしょうがない。とっとと言っちまおう。
「英語で喋ってる映画とかじゃないのか?」
「フーン………じゃあ簡単ね!徐倫!アナスイ!エルメェス!あんた達も映画取りなさい!」

数時間後………
「どうしてくれるんだ?キョン?」
ドドドドド
「てめーが余計な事言うから話が変になったじゃねーか」
ドドドドドドドドドド
『こいつはメチャ許せんよなあああァァァァァ』
ドドドドドドドドドドドドドドド
「……………スマン」
『謝ってすむなら警察はいらねーんだよッ!』
いやあ、しかし凄みがある。空気の震え方が普通ではない。スタンド使いというのは普通の超能力者なんかより数段恐い。
「いいじゃないですか。あの後何とか涼宮さんが作る映画と徐倫さんが作る映画二本を上演という事になって」
俺たちはハルヒが帰った後にエルメェスにハルヒと仲間の正体を話し、エルメェスもスタンド使いである事を聞いた。
「だけど三人で作るのは結構辛いぜ………」
「徐倫、私も手伝おう」
じょ……承太郎先生!?一体いつの間に?ドアが空いた音などは一切無かった。
「いきなり現れんな!このクソ親父ィ!」
「その点はすまない。映画についてだが機材はSPW財団に頼めば幾らでも手に入る。脚本は岸辺露伴……彼に頼んでおこう」
『やり過ぎだろ!承太郎さん!』
「なぁ、古泉、徐倫達………話がスゴい方向に向かってないか?」
「涼宮さんはここまで見越していたのかもしれませんね」
「機材は明日届く。脚本は三日程かかるらしいから撮影はかなり急ピッチになるが……いいか?徐倫?」
「………まあどうせやるならハルヒじゃないがスゴいの作りたいからな……アナスイとエルメェスはどうだ?」
「俺は徐倫と同じ映画にでられるのなら大歓迎だ………最高の恋愛スト………」
「露伴には恋愛物以外でと頼んでおいた」
『頑張ろうぜ!徐倫!』
なんだかんだで昔からの友達同士なのだろう。結構盛り上がっている。

「わたしたちもいい映画作りたいですね………」
そうだな。ハルヒじゃなくてもせっかくの文化祭。楽しみたいな。
………もちろん、ハルヒがいたら楽しむなんて不可能な話だ。絶対に変な事が起きるに決っている。
どっかのギャンブル好きのスタンド使いの兄弟達に魂を賭けてもいい。あいつはいつも常人の100光年先にいるような奴だからな。
俺達普通の奴はあいつの言い出す事には黙って振り回されるしかない。
だが、俺たちがハルヒの迷惑に本格的に巻き込まれるのはもう少し先で、
その前に最近よくチョッカイを出す正体不明の組織の方がトラブルを持ってきたがな。

To Be Continued・・・

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最終更新:2007年12月18日 15:01