第16話 「ミスタービッグ 2」
※『』内は英語だと思って読んで下さい
『クソッ!かわせぇぇぇぇ!徐倫ッ!』
必死で落ちてくる針をかわす。串刺しになる危険はもちろんだがそれ以上に押し潰される可能性が高い。
『駄目だッ!この数……かわしきれねェッ!』
『エルメェス!シールだ!シールを出すんだッ!』
『んな事言ったってシールを使って逃げる暇なんてねぇぞ!』
『違うわ……エルメェス……シールを貼るのはッ!』
そしてエルメェスからシールを奪い、拾った大きめの石に貼り付ける。
『エルメェス。こっちのシールが貼ってない石を投げて。あたしはこっちを投げる』
『分かったぜッ!』
「石で針の軌道を逸すつもりか?めんどくせぇ事するな……その程度じゃ防ぐなんて無理だぜぇ~~」
「オラァッ!」
『ウオシャア!』
二つの石が同時に針を弾きながら昇っていく。が、段々勢いが無くなっていく。
「ほら……落ちてくるじゃねぇか………!?」
その瞬間、石が割れた。破片が辺りの針の軌道を逸す。
「な……何ィ!」
「シールにはあたしの糸を結び付けておいた……そしてさっきその糸を外して破壊した……二つの石なら防げないが無数の小石なら全ての針の軌道を変えれる………
それに針は上に行く程小さくなるからな」
「なるほどなぁ……めんどくせぇが接近戦をするしかねぇか………ミスタービッグッ!」
その瞬間、男の手の中から鉛筆が伸びてくる。
「グフッ………」
「刺さりはしなかったがみぞおちに入ったか……お前は暫く動けねぇ、
なら俺の相手はエルメェス……てめぇか……めんどくせぇな………」
『てめ~~よ~~さっきあたしのキッスにボッコボコにされてたの忘れてんじゃねーのか?』
「………英語分かんねーって言ってるだろ……」
『クラエッ!キーーーースッ!』
左のフックから右の手刀、二つともかわされるがさらに右脚の回し蹴りを放ち、体勢を立て直すと同時に右アッパーを放つ。
牧村はかわしてはいるものの、段々追い詰められている。
「まずいな……めんどくせぇけどあぁするか………」
男がハンカチを投げ、エルメェスの頭にのせた。
『ま……まさかてめぇッ!』
「ミスタービッグッ!」
その瞬間、エルメェスにのったハンカチが巨大化し、エルメェスを覆う。
『ま……前が!』
「クラエッ!ミスタービッグッ!」
視界を防がれたエルメェスがラッシュの連打を浴びる。ガードしてはいるが視界を防がれていては限界がある。
何発かくらって吹っ飛ぶ。と、ハンカチが破れた。
『シールで二つにして剥がした時の破壊で破いた……今度はこっちの番だぜッ!』
「エルメェスッ!上だ!岩が降ってくるッ!」
「さっき既に10個程投げておいた………めんどくせぇ事させやがって………」
『うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
「かわせーーッ!エルメェス!」
エルメェスが落ちてくる岩を次々とかわす。と、同時にあちこちを手に持った石で叩いて回っている。
「ちょこまかめんどくせぇ事するなぁ……しょうがねぇな、俺が直接動きを止めるか………」
「オラァッ!」
「………なんだ?俺の動きを封じるのか?」
「その通りだ………」
「めんどくせぇ事すんな……どうせあの岩でエルメェスはやられるのによ………」
「オラオラァッ!」
右のジャブから左のフリッカーのコンビネーションパンチ。必死でガードした敵は隙をついて突きを繰り出してきた。
それをかわし右の掌底を放つ。かわされた所を右脚で数発蹴りを入れるがかわされる。
あたし達が戦っているうちにもエルメェスは必死で岩をかわす。
「そろそろよ~~~あいつも限界だろ?めんどくせぇ事してないで諦めたらどうだ?」
『あぁ、そうするよ。ただしお前がな。徐倫、もういいぞ』
牧村からバックステップで離れる。と、同時に牧村が巨大化した石に襲われた。
「な………なん!?」
「あんたがさっき投げた石は実はシールで二つにした石だった、もう一方の石はエルメェスが持っていた………
あたしとエルメェスはその石が落ちてくるのを待ってたのよ」
「……な………じゃあお前らはいつ作戦を伝えあった?」
「さっきエルメェスが石で色んな所を叩いていた時よ」
「!………まさか……モールス…信号………めんどくせぇ事しやがって………」
「その通りよ………それじゃあね………オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」
「げひゃっぶ!」
牧村が派手に吹き飛びグッタリとなる。
『んじゃ、帰るか。徐倫』
「そうね」
ちなみに翌日の新聞の一面は“巨大隕石群、N市を襲う”だった………。
牧村幸孝 ミスタービッグ 再起不能
To Be Continued・・・
最終更新:2007年12月20日 14:33