第24話 「クラウドベリージャム 1」

『徐倫達昨日は大変だったみたいだな』
「……………」
『長門も襲われたらしいぜ』
「……………」
『アナスイ……人の話聞いてんのか?』
「……徐……愛……」
『……………』
「あの………?アナスイ君………?」
『あーほっとけほっとけ』
「アナスイ君……何があったんですか?」
「……徐倫……昨日襲われた事……俺に何も話してくれなかったんだ………」
「……………」
放課後、映画撮影が終わり、俺とエルメェスと朝比奈、キョンと古泉は部室にいた。キョンと古泉は部室の隅でトランプをしている。二人トランプなんてよく飽きねーな。
『アナスイ、徐倫はお前に心配かけたくなかったんだよ(絶対違うけどな)』
「ふ……慰めはいいぜ、俺なんかじゃ徐倫は守れないって事さ」
「そ、そんなこと無いですよ!わたしはアナスイ君によく守ってもらってますし!」
俺が守りたいのは徐倫なんだがそんな事を言ったら朝比奈は傷付くだろう。俺にだってそれぐらいの優しさはある。
「……はぁ……俺さ……最近徐倫に全然いい所見せれてないよな………」
「そんなことないです!わたし……アナスイ君は凄くカッコいいと思ってます!」
「お世辞はいいよ………あ、そこのアイスパック取ってくれ」
『こりゃ駄目だな……相当参ってやがる………』

その異変に俺達が気が付いたのは、数分後の事だった。
「なぁ……古泉ィ……お前さん……早く次の決めてくれんしゃいのぉ………」
「そんなこと言われても……わしゃ囲碁がやりてぇけんのぉ………」
「………キ、キョン君?古泉君?」
どうした?朝比奈?
「キョン君達の様子が……なんていうかお爺さんになってるような………」
『おいおい……大丈夫か?キョン?』
「………あ?」
『聞こえてんのか?』
「あー隣の河野さんに回覧板届けろ?誰だぁ?河野さんて?」
『………こ、古泉?』
「なんじゃいの?………なんか……腰が変になってるの………」
『こ、こいつら………』
「年をとっている……スタンド攻撃だッ!」
「こ、こんなスタンドがいるんですか……あ!ならあたし達も………」
「このスタンドはグレイトフルデッドっていうスタンドだ。情報によると体温に反応して効果が変わる。こういうアイスパックとかで体を冷やしとけば安全だ」
「……そうですか。良かった」
『冷蔵庫の中にアイスパックがあったぜ!ほらこいつだ!』
エルメェスが朝比奈と自分の分を取る。そして残りをキョンと古泉に渡そうとした時だった。壁を通り抜けて一人の女が現れた。
「フーン……体が老化し始めた時は焦ったけどぉ、ナーンダ冷やせばいいのね?」

現れた女は身長は160後半、金色に染めた肩までの髪にパーマをかけている。服は制服で、肩に赤いコートをマントのようにかけている。
『て、てめぇスタンド使いか!?』
「悪いけどぉ英語分かんないのー」
ギャルみてーな奴……というかギャルだな。金髪似合ってないぜ。
「ふーん……あんたみたいなウザイロン毛に言われたくないわね、あたしは館山優衣、あんた達を倒しにきた刺客って奴よ。かっこよくない?」
話しているとイライラしてくる。とっとと倒しちまおう。
「ダイバーダウンッ!」
が、女は壁の中に消えた。
『なッ!?こ、こいつ……物体を通過する能力か!?』
「エルメェスさん!後ろです!」
『ウオシャアアア!』
次々とパンチを繰り出すが、再び壁の中に逃げられる。
「アハハッ!無駄よ無駄ァ!あなた達は壁の中に攻撃できるの?」
「お前……俺達の事ちゃんと勉強したのか?ダイバーダウンッ!」
壁の中に潜行させ、中にいる館山を攻撃する。が、
『……お、おかしい……い、いない!?』
『なんかの間違いじゃねーのか?よく探せよ』
『俺のダイバーダウンをバカにしてんのか?いないんだ………』
「アナスイ君危ない!」
朝比奈が叫ぶと同時に俺を突き飛ばす。と、敵スタンドの腕が空を切った。

慌てて後ろを振り向くといつの間にか館山がスタンドと共に立っている。
スタンドは人型で、見た感じは紫がかったゼリー状で、関節部分はパットのような物に覆われており、顔に目や鼻はなく、のっぺらぼうだ。
「……スライムみてーで気持ち悪いスタンドだな」
「言わないでくれるぅー?結構気にしてんのよー」
『ザ・キッスッ!』
エルメェスが後ろから忍び寄り、攻撃を仕掛ける。
「あら?あなたさっきより遅くなってるわよ」
『……クッ!老化が少しだが進んでんのか?』
「氷だけじゃ老化は防ぎきれねぇ!二手に分かれて一旦逃げるぞ!」
そう叫ぶと俺は朝比奈を掴み、窓へ、エルメェスはドアへと向かう。
「ア、アナスイ君ッ!こ、こんな所から飛び下りたら………」
「心配すんな!掴まってろ!ダイバーダウンッ!」
壁に潜行させ、そのまま隣の校舎まで壁伝いに動く。
「……あっ、そ。あんたは逃がしてあげるわ……エルメェス!あんたは逃がさないけどねッ!クラウドベリージャムッ!」
そう叫んだ途端、館山の脇腹にペンが突き刺さる。
「え……なッ!?」
『さっきのパンチの時、シールで二つにしたペンを入れておいた……二つが元に戻れば突き刺さるようにな……この隙に逃げるぜ!』
エルメェスが逃げ出したのを見てから隣の校舎に入った俺の前にいきなりスタンドが現れた。
「アナスイ君ッ!」
「……ついてねーな……よりによってグレイトフルデッドの前とはな………」

To Be Continued・・・

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年02月05日 14:50