第55話 「コールド・ジン 2」

「朝比奈、俺達から離れてろ」
朝比奈はその言葉を聞くとスキー板に飛び乗り10m程離れる。
「ハァッ!」
森さんが鉄球を男に向かって投げ付ける。と、鉄球は何かにぶつかり森さんへと戻ってくる。
「スタンドですか?」
「いや、違う……なんだ?今のは?」
「あの……今何か光る物がありました………」
……光る物?よく目をこらしてみると、
「氷の壁か………」
「私の鉄球はどうやらあれに阻まれたようですね」
すると女が口を開く。
「あたしのスタンド、コールド・ジンは液体を固体に変えるスタンド……このペットボトルの水を氷にした……冷却して凍らせるわけではないのよ……血管でも固体にできるしね……コールド・ジンッ!」
次の瞬間、森さんの腕にひびが入った。
「き、キャッ!」
「血管を凝固させられた腕はやがて壊死する……まずは腕一つ取ったかしら?」
「……私を甘く見ない事ですね……ハァッ!」
次の瞬間、森さんは鉄球を自分の腕にぶつけ、回転させる。
「グッ……鉄球で血管に働きかけて血管を広げました……まだ全身全ての血液が固まったわけでは無い……これで凝固は溶けるはずです」
「……なんなのよ……それ、そんな技術聞いた事も無いわ」
「余所見は危ないぜ……ダイバーダウンッ!」
敵が森さんに気を取られているうちに後ろに回り込み、手刀を放つ。が、
「ウアヂッ!」
突然手に凄まじい熱を感じる。
「……いきなりなんだ?」
白髪の男のスタンド能力か?だが能力の片鱗すら見えない。

「……油断するな、草壁」
「その程度分かってるわよ!根暗!」
「……アナスイさん?大丈夫ですか?」
「あの男のスタンド能力らしい……まずは女の方から片付けるぞ!」
再び女に向かって突進する。が、一歩踏み出した瞬間足元が再び凍った。
「な、何ッ!?」
いつの間に水溜まりが出来ていたんだ?忘れていたがそれも不可解だ。
「ハァッ!」
森さんが鉄球を一個ずつ二人の敵に向けて投げる。が、女は鉄球をかわし、男もスタンドの腕で弾き飛ばした。
「……やはり私の鉄球ではパワーもスピードもスタンドにはかないませんね………」
「やっと分かったのかしら?それじゃ二人仲良く死になさい……コールド・ジンッ!」
見ると二人共靴に氷が張り付き動けなくなっている。マズいな……そう思っていると女がポケットから黒っぽい石を取り出した。
「これが何か分かる?」
………知るか。俺は地質学者じゃねえんだよ。
「……溶岩が冷えて固まった物です……しかし、何故………」
………待てよ?溶岩が冷えて固まった?
「森さん!今すぐここを離れろッ!あの溶岩、恐らく奴の能力で固められた奴だッ!」
「その通りッ!死ねッ!コールド・ジンッ!」
女が溶岩を投げる。ダイバーダウンで氷をはがそうとするがかなりの強さではがれない。
「……大丈夫です、私達は逃げれますよ」
「は?………!」
その瞬間、氷が突如砕けた。
「さっきの鉄球……弾かれはしましたが回転は生きている……回転のエネルギーを伝わせて氷を砕きました」
見ると離れた場所で鉄球は二つ共回転している。

予想通り溶岩は俺達の頭上で溶け、降り注いでくる。森さんの機転でかわせたが、そうでなかったら………。
「考えたくもねえな………」
「アナスイ君!」
なんだ?朝比奈?
「森さんが……!」
見ると鉄球がまだ手元に返って来ていない森さんはかなり追い詰められていた。女はスタンド自体は戦闘力が無いらしく、本体がパンチやキックを繰り出している。
かわしているが横から白髪の男が牽制しているらしく森さんのガードがかなり甘い。
「助けに行かないとッ!」
「そうしてーのは山々だが朝比奈……今俺達は動けそうにもねーぞ」
俺達の周りはさっきの溶岩の熱で溶けた雪が全て水になっていた。
「そんな………」
「………待てよ………」
俺は水溜まりに足を踏み入れた。
「血迷ったの?今すぐ足ごと凍らせてやるわッ!コールド・ジンッ!」
「ああ……大助かりだ……ありがとよ、ボードを作ってくれて」
「………ボード?」
女は慌てた様子でこっちを見る。
「……!?服を凍らせて……氷の板をッ!」
「余所見しててありがとよ……今いくぜッ!」
が、女は冷静さを取り戻し、
「……能力解除」
次の瞬間、ボードが濡れた服に戻る。が、水溜まりを越えるには十分だった。
「……鉄球も戻りました……行きましょうか」
「覚悟しな……お前らにできるのはそれだけだ」

「ハァッ!」
「ダイバーダウンッ!」
二人同時に攻撃を仕掛ける。が、俺は白髪の男にブロックされた。
「……これで1対1だな」
「残念だがあの鉄球は彼女には届かないな」
その男の言葉通り鉄球は女の目の前で止まった。見ると女はペットボトルの水を地面に流しながら氷にしていた。
「最初にやったでしょ?覚えてなかったのかしら?」
「……もちろん覚えていましたよ……だから今度は対策を立てさせてもらいました」
が、女は嘲るような笑みを浮かべた。
「フン、一体何をしたのかしら?」
「今です」
「ダイバーダウンッ!」
次の瞬間、鉄球からダイバーダウンの腕が女を襲った。
「ダイバーダウンを一部分だけ鉄球に潜行させておいた……壁を作るのは予想の範囲内だ」
壁を通してダイバーダウンの一撃が女の喉に突き刺さる。
「グ……ウッ………」
「お前の気管を首の中で結んでおいた……そのまま眠りな」
女が顔面蒼白になり倒れる。……ま、死にはしないだろうが入院だな。
「後はてめぇ一人だけだぜェ!」

が、男は落ち着き払った様子で携帯を見ている。
「……終わったか」
「何がだ?」
「柳!空条徐倫達が天蓋領域の攻撃から脱出したッ!今から向かえ!」
「分かりましたァ」
ウェザーと戦っていた男が別の方へ向かう。
『させるか……!』
ウェザーが向かおうとする。
「それこそさせんッ!」
すると次の瞬間俺と森さんの腕がいきなり酷い火傷を負った。
「ウグアッ!」
「うぐっ………」
「ア、アナスイ君ッ!森さんッ!」
『二人共どうしたッ!』
「難しい選択では無いだろう?……ウェザーリポート……今俺を倒さないとそこの二人は死んでしまうぞ」
ウェザーは少し迷ったが、
『気をつけろ…敵だッ!』
そう徐倫に叫ぶと白髪の男と睨み合う。
「それでは始めようか………」

草壁 遥 コールド・ジン 再起不能

To Be Continued・・・

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最終更新:2008年11月02日 23:12