第57話 「フラッシュポイント 1」
side of ウェザー
ウェザーと白髪の男は睨み合ったまま動こうとしなかった。多分出方を伺っているんだろう。
「……かかってこないのか?ウェザー・リポート」
『そういえば、まだお前の名前を聞いていなかったな……』
「なるほど、礼儀を欠くのもなんだ……名乗ってやろう」
白髪の男は俺や朝比奈、森さん、ウェザーにうやうやしく一礼してから名乗り始めた。
「私の名前は神原仁。お前達を襲っている一団のボスだ……自分で言うのもなんだがな」
『そうか……』
「いつまでも睨み合っているのもなんだ、こちらから行かせてもらおう……フラッシュポイントッ!」
男がスタンドを出し、鋭い右フックを繰り出す。なかなか速いが、ウェザーは難なくガードした。
「スピードは互角みてーだな……ウェザーッ!パワー勝負だッ!」
俺の声を聞いたウェザーは右フックからジャブ、左ストレートとコンビネーションパンチを繰り出す。が、神原のスタンドはスピードだけでなくパワーもウェザーとほぼ互角で、難なくガードしていた。
『単純な殴り合いなら互角か………』
「そのようだな、だが私の能力をお前達はまだ知らない」
その瞬間、ウェザーの手が突然火傷を負う。
『グッ………』
「私達の時と同じですね……なんの前触れも無く受ける攻撃……」
あの攻撃の正体を見破らない限りこっちに勝ち目は無いな。
「アナスイさん、しんどいでしょうが少し横へ」
森さん?何をする気………。
「奴を鉄球で攻撃します……この火傷だと威力は期待出来ませんが隙を作るくらいなら出来るでしょう……ハァッ!」
俺が横へ退くと同時に森さんが鉄球を投げる。神原は飛んで来る鉄球に気付いたようだが、その隙にウェザーにスタンドごと体を押さえ付けられた。
「やったぜッ!そのまま行けェーーーッ!」
が、鉄球は空中で軌道を曲げ、神原に当たる事なく地面に落ちた。
「な!?いくら怪我をしているとはいえ落ちるなんて………」
「……奴が落としたんじゃねえのか?」
「まさか……そんなはずは………」
男がウェザーを突き飛ばし、口を開く。
「そのまさかだ……お前達は電磁波を知っているか?」
当たり前だ。馬鹿にしてんのか。
「ならば……太陽光と電磁波の違いとはなんだ?」
「……知るか」
「波長です、光の波長の差です」
「その通りだ。私のスタンドは光の波長を操る事ができる……今迄お前達に与えていた火傷は強力な紫外線によって引き起こしていた……
雪をとかしたのは赤外線だ……今は赤外線の熱で鉄球を微妙に変形させて鉄球の回転をわずかだが変えた」
『なるほど……なかなか厄介なスタンドだな……』
「……あまり時間はかけたく無い……そろそろ始末させてもらおう、フラッシュポイントッ!」
が、何も起こらない……ように見えるだけか、実際は何か起こっているにちがいない。そして何が起こっているかはすぐに分かった。
「……日焼けが?」
そう、凄まじい速さで日焼けが増えていた。
「紫外線です!このスピード……このままだと間違いなく死ぬ量です!」
「野郎ッ!……多分紫外線対策はしてるんだろうな」
『ウェザーリポートッ!』
すると俺や朝比奈達の周りに青い気体の層が現われた。
「こいつは………」
「オゾンですね、紫外線をカットする効果があります。後、人体には有毒です」
「……じゃああんまり長い間この状態だとマズいんじゃねえか?」
「でしょうね……恐らく互いに短期決着を狙いにいくでしょう」
森さんの言葉通り二人は途端に睨み合いを止め、近距離での猛ラッシュを仕掛け合い始めた。
ウェザーの右フックを敵は左手でガード、動きが止まったところに右手刀、掴んで止めたウェザーが投げようとすると右の膝蹴り、突き飛ばしてかわしたウェザーは再び突進し、左右のジャブから右フック、左のアッパーカットからストレートと猛ラッシュを仕掛けた。
しかし大したダメージは与えられずに、距離を取った睨み合いにまた戻る。
「互いに能力は解除したみてーだな」
「二人共あまり使い過ぎると自分の首を締めかねませんからね……」
『そろそろ決まりそうだな………』
「………ああ」
To Be Continued・・・
最終更新:2008年11月09日 17:30