第60話 「‘イカサマ師’がいる! 2」

第1ゲーム
徐倫がトランプを配り始める。
「あ、いい忘れてたけどジョーカー有りよ」
キ「先に言えよ………」
俺の札はブタだった。横を伺うが、皆表情からは何も読み取れない。
キ「徐倫、3枚変えてくれ」
み「あ、徐倫さん……わたしも3枚で」
ア「俺は2枚だな」
ハ「ふうん……本当?だったらあたしは2枚頼むわ」
『俺は変えない……』
鶴「あたしもさッ!」
ナ「2枚」
「みんな一斉に言い過ぎだ……まあいいわよ」
徐倫が配り始める。全員怪しげな動きをしていないか目を凝らすが……特に変な様子は無い。
ア「コールだ……1000円かける」
アナスイが配られたカードを見てコールをかける。なかなか大きく出てきた。……参ったな、ワンペアしかできてねえ。
キ「悪い、ドロップだ」
鶴「ここは降りるのが吉かねぃ……ドロップさッ!」
『俺も降りる』
ナ「コール」
み「コ、コールです」
ハ「みんな情けないわね……レイズよ!さらに1000円!」
な!?随分大きく出やがったなハルヒの奴……らしいといえばらしいが。
ア「グッドッ!それぐらいじゃねーとな……OK受けるぜ………」
み「う……うう、レイズです」
……アナスイとハルヒの一騎打ちか……。二人を見ていると俺はある事にきづいた。アナスイが指でテーブルを叩いている。……癖か?いや、それとも………。
ハ「勝負ッ!」
ア「ハートのフォーカードだ」
かなり強い役だ。なるほど、これなら大きく出たのも納得がいく。
ハ「残念ね……ダイヤのファイブカードッ!」
いきなりとんでもない役出しやがったなハルヒの奴……まあ、ハルヒならありえそうな話だけどな。

第2ゲーム
さて、さっきのゲームはいきなりハルヒが馬鹿当たりをして勝ったわけだが………。
ハ「フッフーン……調子いいわねあたし、だったらこのままガンガン行くわよ!徐倫カード配って」
「はいはい分かったわよ………」
徐倫がカードを配っていく。もしかしたらイカサマをしながらの配り方なのかもしれないが全く分からない。配られたカードを見るとクラブのKでスリーカードができていた。なかなか強い。
キ「2枚交換だ」
長「……3枚」
『俺も3枚でいこう』
み「あ……あたしは2枚です」
ハ「そんな消極的でいいの?みくるちゃん……あたしは2枚よ」
鶴「そういうハルニャンも消極的じゃね?あたしは5枚さッ!」
……随分大胆に出たな、鶴屋さん。それともイカサマ師だから大胆に出れたのか?
ア「……………」
アナスイは指でテーブルを何回も叩いていた。
ア「4枚だ」
アナスイも随分強気だな……やれやれ、誰がイカサマ師か疑いだしたらキリが無い。配られたカードをおもてにすると、ハートの5で見事にフルハウスができていた。
キ「コール、2000円だ……チェンジはいらねぇ」
フルハウスはかなり強い。十分強気に出て構わない役だ。
み「……ドロップです」
長「ドロップ」
『俺も降りておく』
鶴「みんな弱気だねぃ……そんなんじゃ勝てやしないよ……コールさッ!2枚カードくれよ、徐倫ッ!」
ハ「コールに決まってるじゃない!SOS団団長は前進制圧あるのみよ!」
どこの聖帝だてめーは。
ア「………レイズだ、さらに1000円のせる」
アナスイの奴……トランプ弱いのに強気に出たな……いや、イカサマ師だからこそ強気に出れたのか?とにかくこいつも要注意だ。
キ「受けてやるよ……アナスイ、コールだ!」
ハ「その程度であたしがビビって降りるとでも思ったの?コールよ!」
鶴「受けてたつさッ!アナスイ君ッ!コールッ!」
全員レイズしない当たり大勝負は避けてるな。
「んじゃ……オープンしてくれる?」
結果は俺がフルハウス、鶴屋さんがストレート、そしてアナスイとハルヒが……
ア「クラブの8のフォーカードと……」
ハ「ダイヤのJのフォーカード………」
僅差でハルヒの勝利に終わる。
『侮れない勝負だな………』

第3ゲーム
ハ「さっ、速くしましょ徐倫……時間もったいないじゃん」
「分かったわよ、チャッチャとするわよ」
徐倫がカードをスムーズに配る。俺の札は本日2度目のブタ。しかも少し何か見込みのあるブタならいいが、そんな気配は微塵もしない。
『4枚だ………』
み「2枚です」
長「……1枚」
キ「3枚だ」
ア「4枚」
ハ「徐倫、速く2枚……分かった?」
鶴「3枚さッ!……さっきから気になってたんだけどさッ!ハルニャンな~んか怪しくない?」
ハ「……何がよ」
鶴「いや、妙に前置きして話すなぁ……って、まるでディーラーに何か訴えてるみたいニョロ!」
ハ「そういう鶴屋さんだって無駄に多く喋ってるじゃない、ウェザーさんみたいに口数少なくした方がいいんじゃない?」
こうなると疑惑が疑惑を呼び始める。
ハ「……そういえばアナスイ、あんたも怪しいわねぇ………」
ア「何がだよ」
『トランプが弱いはずのお前があれだけ強気に出る……誰だって怪しむ』
ア「ツいてるだけだ……ならウェザー、お前はどうなんだ」
『どういう意味だ?』
ア「お前さっきから他の奴の事怪しみすぎだ……まさかイカサマ師じゃあ無いだろうな?」
『……まさか』
み「み……みんなそろそろゲームに戻りましょうよ………」
朝比奈さんの一言で皆一旦口論を止め、再びカードの交換を始める。
ア「2枚だ……コールッ!3000円だ」
『……受けてたとう………コールだ』
……二人共嫌に強気にでた。仕方ねえ、ブタだし降りるか。
キ「ドロップ」
み「うう……ドロップです………」
長「コール。3枚交換」
鶴「受けてたつさッ!コールッ!2枚交換」
ハ「………んじゃ、あたしもコールよ、ほら3枚よこして」
そして全員がカードの交換を終え、オープンする。鶴屋さんがフルハウス、長門がフォーカードとかなり強めの役が揃った。が、
「ストレートフラッシュが三人もか………」
ハルヒ、アナスイ、ウェザーの三人はめったに出ないであろうその強力な役を揃えていた。勝負はKからのストレートフラッシュだったウェザーの勝利だった。
キ「……お前ら三人のうち誰かがイカサマ師って事か………」
ハ「多分……そうなるわね」
徐倫が開いたこのゲーム、どうやら一筋縄ではいかなさそうだ。

To Be Continued・・・

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最終更新:2008年12月08日 15:28