第70話 「ブロック・パーティ 1」

太陽が傾き始めた頃、俺は敵スタンドと睨み合いを続けていた。
「ハイジョスル………」
「ア、アナスイ君大丈夫ですか?」
「近寄るな朝比奈……こいつもしかしたら自動操縦型かもしれねぇ………」
「自動操縦型……?」
「スタンドってのは本体から離れれば離れるほどパワーもスピードも弱くなる……ところが中には本体から離れてもパワーやスピードが全く落ちないスタンドもあるんだ」
「……強すぎじゃないですか………」
「もう一つの特長としてスタンドがダメージを受けても本体にダメージがフィードバックされない事が多い」
「そんな……どうしようもないんじゃ………」
「安心しろ。無敵の存在なんていやしねえ……自動操縦型は大抵単純な動きしかできない……あとは本体はダメージを食らわないかわりにスタンドがどうなっているのか分からないからな……本体は常に無防備だ」
「……じゃ、じゃあ!」
「ウェザーと……そうだな、長門に電話しろ。あいつらなら本体を見つけてくれるだろ」
「はい!」
朝比奈は携帯を取り出し電話を始める。
「……んじゃ、お前の相手は俺だな」
「ハイジョスル………」

「ダイバーダウンッ!」
スタンドで左フックから殴りかかる。ガードされたが気にせず右のジャブ、フックから左肘を胴に、さばいた隙に右しょうていを顎に叩き込む。
「グブッ………」
「どうしたァ?随分と弱いじゃねえか」
「ハイジョスル………」
そういやこいつずっと排除って言ってるな?こいつの能力に何か関係してんのか?そう考えていると敵スタンドが殴りかかたてきた。が、軌道が見え見えだ。
「フン……ダイバーダウンッ!」
相手のパンチに合わせてクロスカウンターを決める。
「グブッ………」
……いくらなんでも弱すぎる。自動操縦型だから本体にダメージは返らないが、スタンドが倒されたら意味が無い。
「……こいつにはまだ何かあるって事か?」
「ハイジョスル」
スタンドが襲いかかってくる。
「……ま、どうでもいいか……ダイバーダウンッ!野郎の頭を切り落とすッ!」
手刀は見事に決まり、敵スタンドはその場に崩れ落ちた。
「ハイジョ……ス……ル………」
壊れたテープレコーダーのように呟くと敵スタンドは消えてしまった。
「よえーな……朝比奈、連絡出来たか?」
「はい……頑張って持ち堪えろって」
「まあ、その必要はねえけどな……倒したぞ」
「ふぇ!?」
「えらく弱かったぜ……組織も人材不足なのか?」

スタンドを倒したと聞いた朝比奈は喜んで近付いてきた。が、
「ハイッタナ……ハイジョスル」
「な!?」
「どうしたんですか?アナスイ君……キャッ!」
朝比奈が心配してきたが、とっさにその朝比奈を突き飛ばす。
「アナスイ君……?」
「なんでだ……倒したはずだぞ?」
「何があったんですか?」
「さっきのスタンドだ……倒したはずなのにまた現れやがった」
「……ふぇ?本体がやられた事に気付いて発動しなおしたんじゃ………」
「いや、ありえねえ……自動操縦はスタンドに何が起こってるか本体は把握できない」
「ドコヲミテイル……テキハワタシダ……ナルシソ・アナスイ」
「……ダイバーダウンッ!」
スタンドで殴りかかる。が、さっきまでなら当たっていたはずが、今度は見事にかわされた。
「オソイゾ」
スタンドが殴りかかってきた。ガードするが、ガードをはじかれてしまう。
「……こいつ、ほんとにさっきの奴か?パワーもスピードも段違いじゃねえか………」
「シリタイカ?」
「いや、教えてもらう必要はないぜ……自分で見つけてやるからな」
「マケオシミヲ………」

side of キョン
「ウェザーさん……いきなり呼び出してなんですか?長門を連れてこいって………」
その日の夕方、俺はウェザーさんに突如長門と二人で一緒に来てくれと呼び出された。嫌そうにするハルヒをなんとかなだめすかし、俺は校門の前でウェザーさんの車に乗り込んだ。
『単刀直入に言う。アナスイと朝比奈が襲われた……長門有希だったか?敵スタンドの本体を見つけだしてほしい』
……今ナント?
『朝比奈とアナスイが襲われた……ああ、英語が分からないのか?長門有希……通訳を頼む』
「いや、別にいいです。大体意味は分かります……じゃなくて朝比奈さんが襲われたって?さっき部室にいたじゃないですか」
『……そうなのか?』
その時、今までもの言わぬ人形となっていた長門が口を開いた。
「異時間体」
「……は?」
「部室にいたのは現行時間の朝比奈みくる、ナルシソアナスイと共にいるのは未来時間の朝比奈みくる」
「……つまり、未来から朝比奈さんがやって来ててそれがアナスイと一緒にいるのか?」
「そう」
……なるほどな……だが、なんで、アナスイなんだ?……俺だってそこまでは鈍くない。朝比奈さんがアナスイに好意を寄せている事ぐらい分かっている。その上、二人っきりだと?しかも周りに内緒にしていただと?
「……フフ……そうか……アナスイ……朝比奈さんに何かしてねえだろうな……してたら……フフフフフ………」
『こいつを連れてきたのは失敗かもしれんな………』

To Be Continued・・・

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最終更新:2009年03月06日 15:15