第83話 「ザ・ミュージックとハート 2」
「一体何がどうなってやがる………」
まるで未来が見えているかのような回避、しかも回避できないような攻撃をしても、見えない何かに阻止されてしまう。
「奴の能力を見破らない限り勝ち目は無さそうですね………」
「あんた達に見破れるとは思えないけどね」
「黙っていろ……不用意に情報を与えるな」
「………チッ」
とにかくまずは攻撃だ。行動を起こさないと、敵の能力は見破れねぇ。
「ダイバーダ……グブッ」
スタンドを出そうと身構えた瞬間、再び何かに攻撃される。
「大丈夫ですかッ!?」
「ああ……にしても今迄とは違って随分直接的だな」
「貴様らに合わせる道理は無いだろう……とっとと始末させてもらう」
「ハァッ!」
森さんが2つの鉄球を時間差で投げる。1投目はやはりかわされる。
「それだけか?」
「いえ……違いますよ」
すると次の瞬間、2投目が大きく弧を描き、揺れ動き始めた。
「ありゃなんだ?」
「1投目の鉄球の音波で2投目の鉄球をコントロールしました。私達の鉄球はあら
ゆる技術の中で最も軌跡が読みにくいんですよ」
だが、その鉄球も何かに弾かれ、敵には届かない。
「グッ………」
「奴が手をおさえた?」
今迄ダメージ一つなかった男は、まるで手を怪我したように、その場にしゃがみ込んだ。
「……一体どうしたんでしょうか?」
「さあな……だが一つ分かった事がある。奴はこっちの攻撃を予知している」
「なるほど……ならばあれだけかわされたのも説明がつきますね」
「予知できる時間はそこまで長くないみてえだ……もっと先まで予知できるならとっくに攻撃を仕掛けてきてるはずだからな」
「分かったからどうなる?お前達の攻撃は全て読まれているのだぞ?」
「ダイバーダウンッ!」
足元の石をスタンドで殴り、スタンドパワーを潜行させる。
「これならどうだ?行くぞ森さんッ!」
「ハァッ!」
森さんが鉄球を、俺が石を投げる。
「フン……軌跡は全て予知できている……無意味………しまった!」
「で、どうする?」
そう、俺が狙ったのは男では無い。後ろのいけ好かない未来人だった。森さんも同じく、正体不明の不良少女を狙っている。
「お前ら味方同士なんだろ?どうする?見捨てんのか?助けんのか?……俺は別にどっちでもいいぜ」
「ちいッ!」
次の瞬間、鉄球と石が男の横に差し掛かった。と同時に二つ共何かに叩き落とされる。
「守ったか………」
「へー……あなた意外と責任感あるのね。少しだけ見直したわ」
「フン……あの程度助けてもらうまでもなかったんだがな」
「うるさい……黙っていろ……グウ………」
男は再び手をかばっていた。……なんか妙だな。
「まさか………」
「どうかしましたか?」
「奴の能力の正体が分かった………」
「なんですか?」
「未来予知の能力……そしてその予知を変える能力だッ!」
「予知を変える?一体どうやって………」
「厳密に言うと違うがな。奴は予知した未来にスタンドを出せるんだ」
「もう少し詳しい説明をお願いします」
「奴は予知した未来にスタンドを出すんだ、今じゃあない。さけきれない攻撃はそのスタンドが弾く。すると予知の中で起きた事が現実でも起きるってわけだ」
「では、手を怪我したのは………」
「そこまでパワーの強いスタンドじゃあ無いって事だろうな……後、自分に関する予知は無理なんだろうな。じゃなきゃあ怪我をするような事をする筈がない」
「………よく見破ったな」
話を聞いていたらしい男がこちらへ話し掛けてくる。
「だが、見破ったからといってどうなる?私の予知を破れるというのか?」
「スタンド使いにとって能力を見破られるのは致命的な事だ……てめぇはもう俺達には勝てねえ」
「………ほざけ」
俺はダッシュで男に突っ込む。
「予知を忘れたのか?後ろの女の鉄球をカーブさせてそれと同時に挟み撃ちをするつもりのようだが………」
「ハァッ!」
「ダイバーダウンッ!」
森さんが鉄球を投げる。同時にスタンドで攻撃を仕掛ける。が、鉄球は森さんの手から離れた瞬間、地面に落ちた。
「お前は次に左でフックを繰り出す……無駄なあがきを………」
「いえ、全然無駄ではありませんよ……アナスイさんッ!」
森さんが合図をすると、俺は指で耳をふさいだ。
「何をし……グウッ……何ッ!体のバランスが………」
「キャッ!一体何よこれェ!」
「そこの女かッ!」
「私の鉄球の能力を忘れましたか?その鉄球はある音波を発していました……三半器官を揺らすような音をね………」
「三半器官は人間のバランス感覚を司る……そいつが揺らされるとバランスが崩れていわゆる車酔いとかになるんだ」
「予知で攻撃が防がれるというなら……防げない攻撃を繰り出せばいいんです……幸いあなたは自分に関する予知はできないようですしね」
「クソッ!……あの女と男は何処に行った?」
「逃げたみたいだな。ご大層な味方だぜ」
「……今だッ!くらえッ!ハー」
「ダイバーダウンッ!」
左フックが男の顔面を貫く。さらに、吹っ飛ばされた男に向けて、森さんが鉄球を投げ付けた。
「ガブウッ………」
鉄球が顔面にぶつかり、そのまま男は崖の下へと落ちていった。
「死んだかな………?」
「再起不能は間違いないでしょうね。朝比奈さんは私達で送っておきます」
「そうしてくれ」
随分と予想外の時間をくった。早く集合場所に行かねーとハルヒの野郎におごらされるぜ………。
金藤大和 ハート 再起不能
To Be Continued・・・
最終更新:2009年11月12日 14:53