第19話 「アフター・ザ・ファイアー 2 」
あたし達と男は噴水がある公園の広場で睨み合っていた。
「徐倫……こいつの能力……何だと思う?」
「昔あらゆる物質を爆弾に変えるキラークイーンというスタンドの話を親父から聞いた……が、こいつのスタンドはそれとは少し違うようね………」
『くらいなッ!ザ・キッスッ!』
エルメェスが襲いかかる。と、男のスタンドが現れた。箱型の機械を六角形のシルバーメタリックな台のような物に乗せ、台からは六本の脚が伸びている。パッと見た感じは蜘蛛のようだ。
「こいつが俺のスタンド、アフター・ザ・ファイアーだ」
『うおしゃああああああ!』
エルメェスが突きを数発繰り出す、と箱の側面からマニピュレーターのような腕が三本出てきて突きを防ぐ。エルメェスはさらに右脚の蹴り、左のフック、右のアッパーと続くが防がれる。
「ダイバーダウンッ!」
と、アナスイが物陰から襲いかかる。敵はエルメェスにかかりきりで防げない……と思った瞬間、四本目の腕がアナスイの攻撃を阻んだ。
「腕が……四本………」
「俺のスタンドは結構格闘戦が得意なんだ……関節は有り得ねー方向に曲げれるし、何より腕が多い………と、長門……有希だったよな?それ以上動かねー方がいいぜ」
後ろに忍び寄っていた有希が脚を止める。
「……………」
何かに気付いたようだ。地面を見つめている……地面……爆発……まさか!?
「長門……どうし………」
「キョン!それ以上動くなァァァァ!」
と、キョンが一歩歩くのと叫ぶのとが同時だった。カチリという音と共に地面が爆発した。
『キョ……キョンッ!』
「徐…徐倫!今のはッ!」
「地雷だ……キョンは………」
「無事」
有希の声が聞こえた方向を見ると全身傷だらけの有希と腰を抜かしているキョンがいた。
「あ……な……け……だ……」
驚きのあまり上手く喋れないみたいだ。
「有希……怪我は?」
「………問題無い」
口ではそう言ってはいるが流石の有希も辛そうだ。暫くは動けそうにない。
『徐倫ッ!奴の能力……分かったか?』
『細かい点は分からないが……見えてきた………』
「いつまでもくっちゃべって余所見してんじゃねーよ。次行くぜぇ!」
城崎はそう言うとどこから出してきたのかライターでダイナマイトに火を付け、投げてきた。
『か、かわせッ!』
咄嗟にかわす。と、男のスタンドの箱の上部が開き、爆弾が飛び出てきた。
「こ……こいつ……爆弾を作るスタンドか……」
「当たりだぜ。作り出した爆弾は火を付けたり埋めたりしなきゃあいけないけどな。……もちろん、既にてめーらは地雷原の中だぜぇ、何処に埋めたか教えて欲しいか?」
「徐…徐倫ッ!どうすんだよこれッ!」
「アナスイ!慌てるな!移動しても大丈夫な場所ならもう分かっている………」
「どういう事だ?」
「誰かが既に踏んだ場所だ!マインスイーパみたいに安全な場所を一つ一つゆっくり考えて見極めるんだッ!」
「分かったぜッ!徐倫ッ!」
そしてアナスイが既に誰かが踏んだ場所を歩きながら城崎に接近する。城崎も逃げ回っているがアナスイの足の方が速い。城崎が踏んだばかりの場所にたどり着き、城崎を捕らえた。
「クラエッ!ダイバーダウンッ!」
「そうくると思ってたぜぇ……残念だがアナスイ、そこは地雷が埋まっている、時間差で爆発するやつがな………。そろそろかな………」
アナスイが爆発に巻き込まれる。その瞬間、アナスイの体が何かに引っ張られた。
『アナスイの服をシールで二つにしておいた。悪いな、黙ってて』
『いや……助かったぜ……ThankYou』
「かわしたか……だけどこれで分かっただろ?お前らは既に追い詰められてんだよ、とっとと負けを認めな」
男はヘラヘラとした態度で挑発的な態度をとる。
「あぁ……負けを認めるよ……てめーがだけどな………」
「何言ってんだ?アナスイ?遂にイカれたか?ハハッ………ハ?」
と、城崎のニヤけた面が消えたのと同時にあちこちから水が湧き始めた。
「てめーの爆弾は本物の爆弾だったよな……だったら水で火薬を湿らせりゃあ爆発しないって訳だ……ダイバーダウンで水道管を破裂させた……これでてめーの地雷は無力だぜッ!」
キョンが恐る恐る地雷の場所を触る。と、
「爆発……しねぇ………」
「ちっ……流石は今まで俺の仲間を倒してきただけはあるなぁ……だが俺はまだ終わってないぜ?アフター・ザ・ファイアーッ!」
と、城崎のスタンドの上部が開き、大量の爆弾をばらまく。
『うおッ!や、野郎ッ!』
「みんな、かわせッ!有希!キョンを頼む!」
「了解」
怪我を治した有希がキョンを抱えて走り出す。それを合図に全員が必死で次々と降ってくる爆弾をかわす。が、大量の爆弾はかわしきれる物ではない。
「ゴバッ……」
アナスイが爆発に巻き込まれる。
「ア、アナスイッ!」
「大丈夫だぜ……徐倫……脚をやられただけだ、歩くのは無理そうだがな」
そんな中で城崎の周りにも爆弾が降ってくるが城崎は見事にかわしている。と、再び爆弾を取り出し投げようとする。
「させるかッ!ストーンフリーッ!」
糸を放ち男の腕に巻き付け、動きを止める。
「……この程度でよ……俺の動きを止めたつもりか?甘いぜ……俺を止めてもスタンドは動かせるからなああああぁぁぁぁ」
城崎のスタンドが腕を伸ばし爆弾を掴む。まずい………糸をほどこうとするが城崎のスタンドに掴まれる。
「逃がしはしねぇぜ………くらいなッ!」
城崎が今度はあたし目掛けて爆弾を放つ。まいった事にコントロールはいい。このままでは間違い無く命中すると思った瞬間、幾つかの石が爆弾を弾き、それと同時に城崎の背後から有希が襲いかかる。
が、城崎のスタンドに阻まれその鋭い右フックは男の持っている爆弾をかすっただけだった。
「長門有希か……残念だったな。大方あのキョンって奴をどっかに隠してたんだろ?チラチラ見えてたからそろそろ襲ってくると読んでたぜ………」
『いや……長門……それでいいぜ……それがベストだ!』
次の瞬間、有希が何かをエルメェスに向かって投げる。
「………ば、爆弾ッ!?」
『長門にはあたしのシールを持たせておいた……そしてそのシールで爆弾を二つにした』
「てめぇ………だがよ、爆弾を二つにした所で無駄……まっ、まさかッ!」
『勘がいいじゃねーか。爆弾は何も火を点けて爆発するだけじゃねえ。強烈な衝撃を与えても爆弾は爆発する………くらいなッ!ザ・キッス!』
エルメェスがシールを剥がすと、爆弾が男の手元に飛んでいき、一つに戻った。その瞬間、爆弾が爆発した。
「ち……ちくしょおめが………プグッ………」
そして城崎が倒れる。と、キョンが出てきた。
「な、なぁ……そいつ、死んでないよな………」
「いや、死んでねぇぜ。何ならトドメを刺しとくか?」
有希に怪我を治してもらったアナスイが起きてきていた。
「そこまではしなくてもいいで………ン?」
『どうした?徐倫?………ア』
「一体何なんだ?………なるほど………」
「……………」
「な、なぁ……一体………」
キョンだけは状況が飲み込めていない。
「やれやれだわ……空条家……いや、ジョースター家にはこういう時の伝統的な
戦い方が一つだけ残されていてね………」
「それは?」
「それは………逃げる」
と、キョン以外の全員が逃げ出した。
「お、おい、一体………け、警察ッ!?」
じゃあな……キョン、補導されるのはあんただけで十分よ。
城崎将谷 アフター・ザ・ファイアー 再起不能
キョン 補導
空条徐倫 ナルシソ アナスイ エルメェス コステロ この後逃げ切った
空条承太郎 その後事件の揉み消し工作に奔走した
長門有希 この後キョンを停学の危機から救った
涼宮ハルヒ 何も知らずに古泉と朝比奈と共に呑気に遊んでいた
To Be Continued・・・
最終更新:2008年01月10日 12:45