雑記etc.

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雑記や脊髄反射小説。 ---- ■2016.05.04 (Wed.) 遂に明日ちゅいんて4巻が出るぞー!先着100万人までスケブします!! コミティア116 V-43b「塩とごくもん」 &ref(s_chu4title.jpg) ---- ■2016.02.11 (Thu.) クラシックは分からないと言った私に君は軽く目を閉じて唇を微動させる。 秒針がリレーを終えた頃君は私に背を向けその細い足で体を壇上へと運んでいった。 森のくまさんでも奏でてくれるのだろうか。ポケットの中の拳をギュッと握り直して私は君を視線で尾行し続ける。 生徒の消えたしんとした体育館では私たちの吐息だけが静かに流れているようだった。 私も君も別に運動した後ではないし呼吸器の疾患を持っているということもないのでそれはオーバーな表現なのだが。 君は右の肩に弓を宛がうとにんまりと笑んで私を見つめてくる。ポケットの中の拳は濡れてしまった。 そして音楽が始まる。こうして目を閉じた私が最後に見た映像は君の左肩に乗ったヴァイオリンだった。 微睡の中を流れる新しい映画では砂漠を彷徨う旅人がラクダを引いて歩いていたがカットインする君の髪の毛が画面を浸食し始めるとやがてそれが視界の全てになった。 血液の流れる音が聞こえ咥内の唾は地底湖のように静止している。声の出し方を忘れた。脳内に「声の出し方を忘れた」と私の声がリフレインする。 電流のように高速で流れていく思考はメビウスの輪を駆け巡りコースアウトすることはない。 私は何になりたかったんだろう。私は何をしたかったんだろう。私はどこで間違ってしまったのだろう。 はっきりと言える、私はこの結果に満足していない。まぁこんなものかな…だなんてとてもじゃないが妥協できない。 君の体から引き抜いた左腕はようやく体温を帯びコントロールできるようになっていた。 そのまま天高く拳を突き上げるが中折れしてしまう。情けなや…自分の感情をコントロールするにはまだ血液が足りないようだ。 「美少女すぎにも程がありすぎる!」 これは去年のウチのクラスの流行語大賞で受賞者は僭越ながらこの私だ。 君が初めてこの世界にやってきた日…俗な言い方をすれば転校してきた日に私が発した名台詞だ。 その瞬間から私の辞書の美少女という言葉の定義は変わった。これは君を指す言葉。君と接する時の二人称の一つになった。 そうなるとこの文言には矛と盾が生じてしまう。これは言い換えれば「君が君すぎにも程がありすぎる」となってしまう。 君が君すぎにも程があるのは当然でどんなに形態模写が上手でも整形を繰り返したとしても君以上に君すぎる存在は未来永劫現れない。 とにかく君は全ての度がすぎている。足も細すぎるしパイオツも大きすぎるし声も可愛すぎるしちょっと近寄っただけでいい匂いがしすぎる。 邂逅から寸刻で以上のような支離滅裂な演説をしたにも拘わらず君は嫌な顔一つせず「ありがと」と言いながら私の右の瞼を人差し指で撫でたのだ。 それから色んなことがあった。色んなことをした。友達同士ですることは全部した。 別に全然そういうアレじゃないけれどキスとかもちょっとした。別に全然そういうアレじゃないけれど。 味のなくなったガムをずっと噛み続けるように何度も何度もひたすらに友情を確かめ合った。 二人がした一番悪いことはファミレスのドリンクバーのティーパックを大量に盗み店長っぽいおじさんに怒られたことで、 二人がした一番良いことはファミレスのレジの横に設置してある募金箱に千円札を入れて知らないおじさんに褒められたことで、 二人がした一番意味不明なことはお金がなかったのでファミレスで小ライスを一つ頼んで衣擦れしてもなお座り続けていたことだ。 その時は二人とも炭水化物抜きダイエットに挑戦していたので乾いていく米の表面を時間の過ぎゆくままにじっと見つめていたね。 私はそんな日々に全身が満たされていたけれど君は私と過ごす日常は不本意だったんじゃないかなと常々思っていた。 だって君はファミレスでドリアを食べるような生き物じゃない。君はメニューに日本語が載ってないようなレストランで鹿の肉などを食べる生き物だ。 劣等感を感じているわけではない。油に浸した軍手で高級な車に触れるようでなんだか毎日申し訳ない気持ちだった。 卑屈になるつもりもないが花の生えた土壌が全く違うということは出会った時にもう気付いていた。 同じ日本人、同じ女子中学生、同じ背格好なのに蕾も花びらも私と君とは色も匂いも全然違う。定義の異なる相違した存在だ。 だから少しでも君に近づけるように落ちた毛的なものを拾ってはそれを食しDNAを取り込んだり実の父親に今すぐ年収を5倍にするよう命じたりもしたが、 君の姿は同じサイズで私の視界に収まり続けていたのだ。 それでも体育の時間に私が堂々と君の体操服で汗を拭いていたのは同じ高校に行けるように努力だけは怠っていなかったからなのだろう。 元々異常なほど物事に固執する性格の私は興味の対象を勉強にシフトした途端にトップだった君の成績を二位に落とすという特大ファールをぶちかました。 引きつった笑顔で「すごいじゃん」と零す君に私は反射的に全力の変顔を披露したのだがその顔が変すぎたせいで君は笑いすぎて失禁してしまったのだ。 幸い周囲にシャッターチャンスに気付いた者はおらず私は慌てて自分の体操服を取り出しマジシャンのように一瞬でそれを全てぬぐい取った。 保健室で顔を真っ赤にして俯いた君は私の腕に爪を立ててうっ血させると一度も聞いたことがない楽器を弾いたのだ。 「あなたは何もかも度がすぎる!」 美少女すぎる君に言われたくないねと心の中で言った。実際口にしていたら君の爪は割れてしまっていたことだろう。 ある日オレンジ色の教室に私と君が存在した。そこにただ存在しているだけ。時間は流れているのに静止画になったような気分。 それはとても心地が良かった。実際君は机に突っ伏して気持ち良さそうに惰眠を貪っていた。 するとポロポロと涙が溢れて止まらなくなってしまった。林檎が落ちたのだ。 この世に永遠なんてない。そんなことに突然気付いてしまった。 教室に存在する私たち。ファミレスに存在する私たち。時計の電池を抜いても私たちは家に帰ってしまう。 あれ?なんで泣いているんだろう。説明できないんだけど人形が欲しいと親に駄々をこねた幼少期の自分がフラッシュバックして更に水流は加速していった。 私の涙で制服は変色し総重量は増加する。あんなに頑張ってダイエットしたのに実質太ってしまった。 嫌だ。どうすればいいんだろう。砂漠を彷徨う旅人のようにフラフラとカーテン全開の窓辺に凭れ掛かる。 遡上する鮭のように流れていく雲間には一瞬雷光がはためいたように見えたが気のせいだ。 涙で滲んだ瞳が最先端の映像効果を受信したのだ。私は泣きながら眠りこけた君の背中に覆いかぶさった。 君の口元から溢れる涎に夕闇が反射していたように見えたが気のせいだ。 きっと全部気のせいだ。 「好きすぎる」 君にそう言った。 「じゃあ一緒に棺に入ってみよう」 君は私にそう提案してきた。良く分からないが物は試しだ。 君の家に行ったのは初めてだった。セバスチャンも居なければ庭すらないごく普通の一戸建ての入口に君の苗字が印字された表札がある。 玄関を開けるとすぐに君の匂いがした。この家は間違いなく君の家だ。ワンワン。 家族は誰も居ないとは聞いていたが「おじゃまします!」と喉が潰れるほど大声で言った。 通された二階の一角にある部屋には中央に棺があるだけの不気味な空間で私はそこで初めて君に不信感を抱いてしまいそうになった。 何でもこの棺は君の父上お手製のお仕置き道具らしい。子供の頃に悪さをしたときに親に閉じ込められていたそうだ。 中からは決して開けることができず、幼少の頃に一日中閉じ込められて衰弱死しかけたこともあるらしい。 そこに一緒に入ろうと君が言う。こんな狭い棺に閉じ込められる想像は一瞬しただけでゾッとして足が震えてしまった。 親が夫婦旅行から帰ってくるのは明々後日の昼前。もしご両親が棺の存在に気付かなければそれ以上長い時間狭い空間に封印されることになる。 だけど私は全く躊躇をすることがなかった。欲するがあまり泣いてしまう程の自分でも良くわからない何かが手に入る気がしたのだ。 棺の中に光はなく視界は機能しないが至近距離から君の吐息が流れてくる。クラシックはわからないがこの曲は知っている。 運動した後ではないし呼吸器の疾患を持っているわけでもないのにしっとりと濡れた気体が私の全身を包みそれに伴い楽しい映画の上映が始まったのだ。 ファミレスでドリアを食べた私たちの物語。ファミレスで半ライスを見つめた私たちの物語。体操服で君のおしっこを拭く物語。 なんなんだこの素晴らしい世界は。これは今巷で噂の4DXってやつじゃないのか。三日間と言わず何年でもここに隔離されていたい。 私は得意の男前な声で言う。 「なぁ、ちょっと体などを触ってもいいかね?」 君は間髪入れず「変態すぎる」と言いながら私の右目を人差し指で突き刺した。 ---- ■2016.01.30 (Sat.) ちゅいんてVol3明日のコミティアで出します。塩とごくもん V-04aです。 3巻の表紙はユキちゃんだよ!足首骨折してることに入稿してから気付いたからここには載せぬ! ---- ■2016.01.07 (Thu.) 次のちゅいんてでこういうシーンがあるんだけど… &ref(gackt.jpg) 今のタイミングで出したらGackt様のパクリみたいになっちゃうな…悲しい。 ---- ■2015.11.10 (Tue.) 取り敢えずあとトーン貼ってあとがき書けば完成。〆切は明日の昼。 世界一面白いから読んだ方がいいよ! &ref(twin02-01.jpg) ---- ■2015.10.29 (Thu.) 1巻はまだ萌え4コマの体裁を保っていたけど2巻はもうだめそうです。 &ref(s_twin2.jpg) ---- ■2015.08.26 (Wed.) 取り敢えず完成した。今急に雷が落ちてPCが爆発しなければだけど。 面白いから読んだ方がいいよ! &ref(twin01title.jpg) ---- ■2015.08.21 (Fri.) [[コミティア113>https://www.comitia.co.jp/]]出ます。 1年くらい前から描く描くって騒いでたツインテールの女の子たちの4コマ漫画です。 20ページくらいです。間に合えば30部届きます。間に合わなかったらコピー本で作ります。 みー17b「塩とごくもん」 こんな感じのふざけた漫画です。 &ref(twinsample.jpg) ----
雑記や脊髄反射小説。 ---- ■2018.10.13 (Sat.) すぐ終わる音楽だと思った。元々そういう曲なのか短く編集されたものなのかはわからないが。 いつまでも続く音楽があればいいのにと思ったがそれを実現するには作曲家がいつまでも作り続けなくてはならない。 出来上がるまで私も生き続けなければならない。そんなにたくさん着替えを持っていないのが現実だ。 ぼんやりとそんなことを考えていた。他にはグミって別においしくないよなもう今後の人生食べなくていいなとか思ってた。 そのタイミングであいつが近寄ってくる。まるで投げ縄をぐるんぐるんと振り回し獲物を狙うカウボーイのような鋭い目つきで。 私はこいつの事をよく知っている。だからこいつがまず最初に何を言うかわかっていた。もうすぐ死んでしまうことも。 わかっているのだから先に答えてしまえばいいのだ。自分のペースを乱されたこの人はきっとストレスの余り胃を全摘出することになるだろう。 だから私は牽制の意味も込めてこいつの首筋に触れてみた。遠景ではろうそくの灯がゆらゆらと揺れていて理科室の匂いを思い出した。 急に曲調が変わる音楽だと思った。元々そういう曲ではないはずだけれどリミックスバージョンなのだろう。 決めつけは良くないので私は動かなくなったこの人をただじっとそばで感じていた。 鼓膜が破れそうなほどの静寂は壊れたおもちゃが予期せぬ動きをしたときの恐怖にも似ていた。 掌の中で転がす賽の目など自由に操ることができる自信があった。自分を過信しすぎていたのだろうか。 そうではない。認識自体が根本的に誤っていて握っていたのは家の鍵だけで賽なんて元々なかったのだろう。 赤い革の鞄を背負って空を見上げては鳥や昆虫などに思いを馳せている少女が居た。これが昔の私である。 毎日喉が渇いているし毎日睡眠がうまくできないし毎日頭や歯や胸が痛い。これが昔の私である。 貧しい国の子供たちの話をテレビに聞かされてもそもそもそれは私じゃない。私の辛さの作者も読者も私だけなのだ。 バスの窓から見える知らない景色は小さな期待を煽ってくるが達観したフリをしてまばたきばかりしていた。 歴史博物館とやらに到着した私たちを最初に出迎えたのは無味乾燥なサラリーマンと主婦、そして鼻垂れクソガキの石像だった。 視線を離すと遠くにモンペを着た女性の石がずらりと並んでいる。ルート通りに進むとこの世界の歴史を遡り最後は恐竜とツーショが撮れるらしい。 とても泣きそうだった。初めて誰かを殺してみたいとも思った。支離滅裂なその欲求を体内のなんかの臓器に必死に留めることに専念していた。 すると突然隣で耳打ちしてきたのが昔のこいつである。あまり自信はないが初めて会話したのがこの時だ。 一緒にここから抜け出そう、確かにそう言った。勿論昔の私ガン無視である。 だが犯人の続く一言は白昼堂々と行われた幼女誘拐事件をまんまと大成功させる運びとなった。 みんなは放っておいて、俺たちは未来を見に行こう。 それは水びだしにしたじゃがりこが電子レンジの中で燃え上がり爆発した時と同じ音だった。 認めよう。かっけぇと思ってしまった。今ならネット用語でもふんだんに使ってメッタ打ちに腐すことはできる。 だが流水の中で見つけた光を砂金だと信じ込んでしまった。周囲をキョロキョロと見渡すがもう色の判別はできなかった。 耳は既に聞こえないしノーモーションで逆走しだした私たちはそのまま派手に転んで地割れに飲み込まれたのだ。 やっちまった。私は笑いながら、遂にやっちまったと思った。 今日でこの生活は何年目になるだろう。私たちはあれからずっと落下していた。 すぐ終わる落下だと思った。飛び降り自殺のゴールは地面だが私たちのクソゲーにはそんな綺麗なエンディングは用意されていない。 今後もひたすら絶賛落下中である。落下しながら寝て、落下しながら目覚めて、落下しながら着替えて、落下しながらお腹が空く。 おいそこで私とイコールの速度で落下してるお前。お前だよお前。じゃがりこをマッシュポテトみたいにするやつ久々にやろう。 知らないのかよ流行ったじゃん。同い年だろうがお前。お前はほんとに何も知らないな。私の知らないことは知ってるのにさ。 じゃあなんでもいいから食べよう。なにそれ一口ちょうだい。 ---- ■2018.08.15 (Wed.) コミティア125 8/19 塩とごくもん「か-22b」 HDDが壊れてほぼ完成してた原稿が消え紆余曲折あり消滅したやる気が復活したので出るよ! ちゅいんての7巻が出るよ!前描いた7巻は8巻として次のコミティアで出すよ! &ref(twin07hyoushi.jpg) ここで活動しても一切読者が増えないので今後はニコニコ静画とかで連載したいと思います。 ---- ■2017.05.01 (Mon.) コミティア120 5/6 塩とごくもん「P-53a」 ちゅいんての6巻作ったので宜しくお願いします! &ref(aaaaaaaaaaaaaaaaaaa.jpg) ---- ■2016.10.01 (Sat.) 10/2名古屋国際会議場にて開催されるツインテールカーニバル8に参加します! スペースはJ-04です!取り敢えず既刊全部持っていきます! ---- ■2016.08.18 (Thu.) 8/21のコミティアでちゅいんて5巻出ます。塩とごくもん「つ-07a」です。 時間なくて本編短いし影のトーン貼れなかったけどその分面白くしたので宜しくお願いします。 &ref(s_hyoushi.jpg) ---- ■2016.05.04 (Wed.) 遂に明日ちゅいんて4巻が出るぞー!先着100万人までスケブします!! コミティア116 V-43b「塩とごくもん」 &ref(s_chu4title.jpg) ---- ■2016.02.11 (Thu.) クラシックは分からないと言った私に君は軽く目を閉じて唇を微動させる。 秒針がリレーを終えた頃君は私に背を向けその細い足で体を壇上へと運んでいった。 森のくまさんでも奏でてくれるのだろうか。ポケットの中の拳をギュッと握り直して私は君を視線で尾行し続ける。 生徒の消えたしんとした体育館では私たちの吐息だけが静かに流れているようだった。 私も君も別に運動した後ではないし呼吸器の疾患を持っているということもないのでそれはオーバーな表現なのだが。 君は右の肩に弓を宛がうとにんまりと笑んで私を見つめてくる。ポケットの中の拳は濡れてしまった。 そして音楽が始まる。こうして目を閉じた私が最後に見た映像は君の左肩に乗ったヴァイオリンだった。 微睡の中を流れる新しい映画では砂漠を彷徨う旅人がラクダを引いて歩いていたがカットインする君の髪の毛が画面を浸食し始めるとやがてそれが視界の全てになった。 血液の流れる音が聞こえ咥内の唾は地底湖のように静止している。声の出し方を忘れた。脳内に「声の出し方を忘れた」と私の声がリフレインする。 電流のように高速で流れていく思考はメビウスの輪を駆け巡りコースアウトすることはない。 私は何になりたかったんだろう。私は何をしたかったんだろう。私はどこで間違ってしまったのだろう。 はっきりと言える、私はこの結果に満足していない。まぁこんなものかな…だなんてとてもじゃないが妥協できない。 君の体から引き抜いた左腕はようやく体温を帯びコントロールできるようになっていた。 そのまま天高く拳を突き上げるが中折れしてしまう。情けなや…自分の感情をコントロールするにはまだ血液が足りないようだ。 「美少女すぎにも程がありすぎる!」 これは去年のウチのクラスの流行語大賞で受賞者は僭越ながらこの私だ。 君が初めてこの世界にやってきた日…俗な言い方をすれば転校してきた日に私が発した名台詞だ。 その瞬間から私の辞書の美少女という言葉の定義は変わった。これは君を指す言葉。君と接する時の二人称の一つになった。 そうなるとこの文言には矛と盾が生じてしまう。これは言い換えれば「君が君すぎにも程がありすぎる」となってしまう。 君が君すぎにも程があるのは当然でどんなに形態模写が上手でも整形を繰り返したとしても君以上に君すぎる存在は未来永劫現れない。 とにかく君は全ての度がすぎている。足も細すぎるしパイオツも大きすぎるし声も可愛すぎるしちょっと近寄っただけでいい匂いがしすぎる。 邂逅から寸刻で以上のような支離滅裂な演説をしたにも拘わらず君は嫌な顔一つせず「ありがと」と言いながら私の右の瞼を人差し指で撫でたのだ。 それから色んなことがあった。色んなことをした。友達同士ですることは全部した。 別に全然そういうアレじゃないけれどキスとかもちょっとした。別に全然そういうアレじゃないけれど。 味のなくなったガムをずっと噛み続けるように何度も何度もひたすらに友情を確かめ合った。 二人がした一番悪いことはファミレスのドリンクバーのティーパックを大量に盗み店長っぽいおじさんに怒られたことで、 二人がした一番良いことはファミレスのレジの横に設置してある募金箱に千円札を入れて知らないおじさんに褒められたことで、 二人がした一番意味不明なことはお金がなかったのでファミレスで小ライスを一つ頼んで衣擦れしてもなお座り続けていたことだ。 その時は二人とも炭水化物抜きダイエットに挑戦していたので乾いていく米の表面を時間の過ぎゆくままにじっと見つめていたね。 私はそんな日々に全身が満たされていたけれど君は私と過ごす日常は不本意だったんじゃないかなと常々思っていた。 だって君はファミレスでドリアを食べるような生き物じゃない。君はメニューに日本語が載ってないようなレストランで鹿の肉などを食べる生き物だ。 劣等感を感じているわけではない。油に浸した軍手で高級な車に触れるようでなんだか毎日申し訳ない気持ちだった。 卑屈になるつもりもないが花の生えた土壌が全く違うということは出会った時にもう気付いていた。 同じ日本人、同じ女子中学生、同じ背格好なのに蕾も花びらも私と君とは色も匂いも全然違う。定義の異なる相違した存在だ。 だから少しでも君に近づけるように落ちた毛的なものを拾ってはそれを食しDNAを取り込んだり実の父親に今すぐ年収を5倍にするよう命じたりもしたが、 君の姿は同じサイズで私の視界に収まり続けていたのだ。 それでも体育の時間に私が堂々と君の体操服で汗を拭いていたのは同じ高校に行けるように努力だけは怠っていなかったからなのだろう。 元々異常なほど物事に固執する性格の私は興味の対象を勉強にシフトした途端にトップだった君の成績を二位に落とすという特大ファールをぶちかました。 引きつった笑顔で「すごいじゃん」と零す君に私は反射的に全力の変顔を披露したのだがその顔が変すぎたせいで君は笑いすぎて失禁してしまったのだ。 幸い周囲にシャッターチャンスに気付いた者はおらず私は慌てて自分の体操服を取り出しマジシャンのように一瞬でそれを全てぬぐい取った。 保健室で顔を真っ赤にして俯いた君は私の腕に爪を立ててうっ血させると一度も聞いたことがない楽器を弾いたのだ。 「あなたは何もかも度がすぎる!」 美少女すぎる君に言われたくないねと心の中で言った。実際口にしていたら君の爪は割れてしまっていたことだろう。 ある日オレンジ色の教室に私と君が存在した。そこにただ存在しているだけ。時間は流れているのに静止画になったような気分。 それはとても心地が良かった。実際君は机に突っ伏して気持ち良さそうに惰眠を貪っていた。 するとポロポロと涙が溢れて止まらなくなってしまった。林檎が落ちたのだ。 この世に永遠なんてない。そんなことに突然気付いてしまった。 教室に存在する私たち。ファミレスに存在する私たち。時計の電池を抜いても私たちは家に帰ってしまう。 あれ?なんで泣いているんだろう。説明できないんだけど人形が欲しいと親に駄々をこねた幼少期の自分がフラッシュバックして更に水流は加速していった。 私の涙で制服は変色し総重量は増加する。あんなに頑張ってダイエットしたのに実質太ってしまった。 嫌だ。どうすればいいんだろう。砂漠を彷徨う旅人のようにフラフラとカーテン全開の窓辺に凭れ掛かる。 遡上する鮭のように流れていく雲間には一瞬雷光がはためいたように見えたが気のせいだ。 涙で滲んだ瞳が最先端の映像効果を受信したのだ。私は泣きながら眠りこけた君の背中に覆いかぶさった。 君の口元から溢れる涎に夕闇が反射していたように見えたが気のせいだ。 きっと全部気のせいだ。 「好きすぎる」 君にそう言った。 「じゃあ一緒に棺に入ってみよう」 君は私にそう提案してきた。良く分からないが物は試しだ。 君の家に行ったのは初めてだった。セバスチャンも居なければ庭すらないごく普通の一戸建ての入口に君の苗字が印字された表札がある。 玄関を開けるとすぐに君の匂いがした。この家は間違いなく君の家だ。ワンワン。 家族は誰も居ないとは聞いていたが「おじゃまします!」と喉が潰れるほど大声で言った。 通された二階の一角にある部屋には中央に棺があるだけの不気味な空間で私はそこで初めて君に不信感を抱いてしまいそうになった。 何でもこの棺は君の父上お手製のお仕置き道具らしい。子供の頃に悪さをしたときに親に閉じ込められていたそうだ。 中からは決して開けることができず、幼少の頃に一日中閉じ込められて衰弱死しかけたこともあるらしい。 そこに一緒に入ろうと君が言う。こんな狭い棺に閉じ込められる想像は一瞬しただけでゾッとして足が震えてしまった。 親が夫婦旅行から帰ってくるのは明々後日の昼前。もしご両親が棺の存在に気付かなければそれ以上長い時間狭い空間に封印されることになる。 だけど私は全く躊躇をすることがなかった。欲するがあまり泣いてしまう程の自分でも良くわからない何かが手に入る気がしたのだ。 棺の中に光はなく視界は機能しないが至近距離から君の吐息が流れてくる。クラシックはわからないがこの曲は知っている。 運動した後ではないし呼吸器の疾患を持っているわけでもないのにしっとりと濡れた気体が私の全身を包みそれに伴い楽しい映画の上映が始まったのだ。 ファミレスでドリアを食べた私たちの物語。ファミレスで半ライスを見つめた私たちの物語。体操服で君のおしっこを拭く物語。 なんなんだこの素晴らしい世界は。これは今巷で噂の4DXってやつじゃないのか。三日間と言わず何年でもここに隔離されていたい。 私は得意の男前な声で言う。 「なぁ、ちょっと体などを触ってもいいかね?」 君は間髪入れず「変態すぎる」と言いながら私の右目を人差し指で突き刺した。 ---- ■2016.01.30 (Sat.) ちゅいんてVol3明日のコミティアで出します。塩とごくもん V-04aです。 3巻の表紙はユキちゃんだよ!足首骨折してることに入稿してから気付いたからここには載せぬ! ---- ■2016.01.07 (Thu.) 次のちゅいんてでこういうシーンがあるんだけど… &ref(gackt.jpg) 今のタイミングで出したらGackt様のパクリみたいになっちゃうな…悲しい。 ---- ■2015.11.10 (Tue.) 取り敢えずあとトーン貼ってあとがき書けば完成。〆切は明日の昼。 世界一面白いから読んだ方がいいよ! &ref(twin02-01.jpg) ---- ■2015.10.29 (Thu.) 1巻はまだ萌え4コマの体裁を保っていたけど2巻はもうだめそうです。 &ref(s_twin2.jpg) ---- ■2015.08.26 (Wed.) 取り敢えず完成した。今急に雷が落ちてPCが爆発しなければだけど。 面白いから読んだ方がいいよ! &ref(twin01title.jpg) ---- ■2015.08.21 (Fri.) [[コミティア113>https://www.comitia.co.jp/]]出ます。 1年くらい前から描く描くって騒いでたツインテールの女の子たちの4コマ漫画です。 20ページくらいです。間に合えば30部届きます。間に合わなかったらコピー本で作ります。 みー17b「塩とごくもん」 こんな感じのふざけた漫画です。 &ref(twinsample.jpg) ----

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