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縦切りの原則:十四経 - (2016/11/21 (月) 13:34:17) のソース

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体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [2] 動作負荷の分担原則
(2) 縦切りの原則:十四経
#contents
*1.はじめに
 動作の負荷を分担する仕組みの第2の原則は、いわゆる十四
経、正経12経と督脈、任脈。

 立った姿勢で天から見て重なる所同士で負荷を分担しあうと
言う話です。

 つまり、第一原則が立ち姿勢での横輪切りに関係していたの
と比べると、立ち姿勢での縦切りの関係です。

*2.十四経と重力
 立ち姿勢・縦切りの関係で動作の負荷が分担されるのは、地
球という星の地上で直立2足歩行するヒトにとって、重力が最
も基本的な負荷だからだと思います。

 つまり、十四経、特に、正経12経というのは、地上で直立
2足歩行するときに体に掛かる重力という負荷を分担する仕組
みです。

 細かくなりますが、経とは、経絡の中でも縦のもの、つまり、
立ち姿勢で重力線の方向には走っているものを言うそうですね。

 右足首に軽い捻挫(外踝前下方の過伸展)したときのことを
考えてみましょう。その状態で歩けば、当然ですが、右膝の外
寄りや、右股関節の外寄りに余分に負荷が掛かります。ですか
ら、そういう所にもツボが出てきます。

 ヒトの足は、骨盤を通して仙骨に繋(つな)がっているし、
歩くときには腰の動きも使っているので、右腰の外寄りにも負
担が余分に掛かり、結果としてツボが出てきます。

 橋本敬三先生は、昭和13年に発表された「力学的医学の構想」
の中で、この縦相関を作用力線の考えから説明し、「運動力線
に対して重力線は重大な役割をするのであるから、その組み合
わせ上、縦の線である経が主となるものと思われる。」と書か
れています。

 経絡と重力の関係は私自身で思い付いたと思っていましたが、
これを書きながら関連する先生の文献を読み直していたら、上
記の文章を見付け、あ〜さすがだなぁと思いました。

 また、よくよく考えてみれば、先回書いた横輪切りの原則は、
寝ている姿勢での重力負荷の分担と見ることもできると思いま
す。経絡やツボを考えるときに、重力負荷の分担という視点は
大切だなと思います。

*3.三陽は、前・横・後ろ
 藤木俊郎先生の『素問医学の世界』(績文堂)によれば、昔
の人は初め経絡を三陽一陰に分けたそうです。

 「陽」は体の外側のことで、「陰」は体の内側のことです。

 つまり、体の外側を三つに分けたということです。どういう
風に三つに分けたかというと、「前、横、後ろ」です。つまり、
前から見て見える部分と、横から見て見える部分と、後ろから
見て見える部分に分けました。

 そして、3つに分けた、前同士、横同士、後ろ同士で関係し
ていると考えました。

 例えば、手の指と頭や胴体の関係で言えば、「拇指は、鼻や
目頭や前歯」、「示指は、瞳(ひとみ)や犬歯の辺り」、「中
指は、目尻や奥歯」、「薬指は、耳や首の横」、「小指は、首
の後側や肩や背中上部」に、それぞれ関係しています。

 つまり、指と頭・胴との関係が手を垂らした状態での「前、
横、後ろ」に対応しているわけです。

 そして、1970年代前半に中国で発掘された『馬王堆医経』に
は、現在の「手陽明、つまり、手の外で前側の経絡を「歯脈」」、
「手少陽、つまり、手の外で横側の経絡を「耳脈」」、「手太
陽、つまり、手の外で後ろ側の経絡を「肩脈」」と書いてあり
ます。

 ただ、例にした指と頭との関係を見ても分かるように、きち
んと3分類しているわけではなく、前と横の間も、横と後ろの
間も、それぞれ縦同士で関係しています。

 つまり、より正確に言えば、天から見た体の中心と前正面か
らの角度が同じ同士、または、近い所同士で負荷を分担しあっ
ているということだと思います。

 また、100%相関対応しているわけではなく、他の歪みとの
関係などから、隣の指に出る場合もあります。

 そして、指先と上腕で同じように負荷を分担するわけではな
く、どちらかというと、「急性症状には手首から指先」が、
「慢性症状には上腕(肘から胴より)」が関係するようです。

&ref(ksf-tate-soukan.jpg)図1

*4.前・横・後ろの関係を治療に利用する
 この負荷分担を治療に役立てるのが、経絡を利用した治療で
す。

 例えば、ヒトの立ち姿勢でのバランス(平衡)に関係する三
半規管は内耳にありますから、目眩がしたときには、薬指に灸
をしたり、薬指を反らしたりすると軽くなることが多いです。

 目のゴミは、目頭から鼻に通じている鼻涙管という穴を通っ
て鼻に行くので、ゴミの入った側の親指の爪の生え際のツボ
(井穴)に灸をしたり、そこを反対側の拇指と示指で温めるよ
うに挟んでいると、速やかに鼻に行ってしまうことが多いです。

 手では、手平側は陰、つまり、体の内側に関係しています。
これは、普通に立った姿勢で手を垂らすと、手平が内側を向く
からだと思います。

 特に、胸の内側との関係が深いです。これは、手や腕を動か
すときには、主に、胸から上の筋肉を使うからだと思います。

 「拇指や示指は、咳やのぼせ」、「薬指は、吐き気」、「左
小指は、不整脈など」に関係します。ただし、心臓が右にある
人は、右小指が心臓に関係すると思います。

 陰、つまり、体の内側にも、体の外側ほど明確ではないです
が、前・横・後ろの関係があるようで、気管が前、食道が中ほ
ど、心臓が後ろ側にあることと関係しているように思います。
この辺りは、次の「足の経絡」のときに、もう少し詳しく説明
します。

 薬指は、心の問題にも関係しています。これは、胸の中央の
辺り、細かくいうと胸骨中央付近(膻中、気管支分岐部の辺り)
が、心の問題に関係しているからだと思います。「胸苦しい」
という表現があるように。

 また、その胸の中央付近は、心が緊張したときの姿勢で、す
ごく縮めている、つまり、その辺りの筋肉を大変緊張させてい
る部分でもあることも関係していると思います。

*5.おわりに
 この「前、横、後ろ」に体を分類してみるという考え方は、
頭や首や胴体の部分の症状に効果的な手足のツボの出ている場
所を大雑把に見当を付けるのに、とても役に立ちます。

 基本的に前・横・後ろで関連する指を選んで探すとツボが出
ていますし、指と頭首胴の間の手首や肘関節の近くにも、前・
横・後ろの関連で探すとツボが見付かります。

 そういうツボを組み合わせて、手順よく鍼灸すると、効果が
出ます。

 次は、足の経絡の話です。


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