「経絡の交差と2足歩行」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

経絡の交差と2足歩行 - (2017/12/23 (土) 11:08:09) のソース

累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) 
------
&size(24){&color(green){経絡の交差と2足歩行}}
----
体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [2] 動作負荷の分担原則
(5) 経絡の交差と2足歩行
#contents
*1.はじめに
 直立2足歩行のバランスを取るという視点から、足の膝から
下の内踝側で前と横の経絡が交差している理由について考えて
いきます。

*2.ヒトは、直立2足歩行するサル
 さて、動物学的には、ヒトは直立2足歩行するサルなんだそ
うです。

 よく、数百万年前のヒトの化石が見つかったとかいう報道が
ありますが、その場合に、類人猿の先祖の化石かヒトの先祖の
化石か、どこで区別しているか知っています? 直立2足歩行
していたかどうかで、その二つを区別しているのだそうです。

 直立2足歩行という場合の直立というのは、体、つまり背骨
が地面に対して垂直に立っていて、頭がその上にある状態で、
2足歩行しているということです。

 そのため、歩くときに頭が余り揺れなくなって、頭が大きく
成れたのだと考えられているようです。

 つまり、鳥や恐竜も2足歩行をしていますが、体は横向き、
つまり、地面に対して背骨が水平方向に近い状態で伸びていま
す。ほぼ真ん中にある2本の足を支点に、前にある頭や首、後
ろにある尻尾や尾羽、その二つで前後のバランスをとって、2
足歩行をしています。

 それで、頭が大きくなるとバランスが取りにくくなるので、
頭が大きくなれなかったようです。

 大きな違いは、バランスの取り方にあるようです。

 そこで、この鳥の歩行とヒトの歩行に直立していることの他
に何か違いがないか詳しく見ていくことにします。つまり、何
故、ヒトだけが直立2足歩行できるのかということです。

*3.ヒトの足跡の横幅は、胴体よりも狭い
 私が、この辺りに興味をもったのは、会社員時代にロボット
の歩行を調べたときからです。ロボットに2足歩行をさせるの
は、とても難しいのです。

 私が調べていた1990年頃に実用化されていた歩行ロボット
で足の本数が最も少なかったのは8本足のモノで、大きなガス
タンクの点検用でした。大きなガスタンクのヒビや穴などの点
検、特に下側の点検は、人間では大変だったので開発されたよ
うです。

 8本足というと、生き物の世界ではクモですね。その頃に研
究中で足の本数が少ないものには6本足のモノがありました。
つまり、昆虫の足の本数です。

 人間の作る器械は硬いので、同じように外側が硬い外骨格系
のクモや昆虫の足の本数よりも少ない足本数のロボットの開発
は難しいのかな、などと、当時は考えていました。

 カニ・エビ、クモ・ムカデ、昆虫などの外側が硬い外骨格の
生物で足が6本より少ないものは、地球上にはいませんから。

 それで、内骨格系の動物の歩行を調べてみることにしました。
鳥や恐竜の歩行とヒトの歩行を調べているうちに大きな違いが
幾つかあることに気が付きました。

 そのうち、体が直立していないこと以外で、最も大きな違い
は、足跡の横幅の違いでした。

 ヒトの足跡の横幅は、体の胴体部分の横幅よりも狭いです。
が、鳥や恐竜の足跡の横幅は、胴体の横幅よりも広くなってい
ます。鳥や恐竜の足の形を見ても、横幅を広げ安定させるため
に、指が大きく横に開いた形をしてます。

 鳥は羽があるので、ちょっと見ただけでは胴体の幅よりも狭
いように見えますが、羽根は重さが軽いので足で胴体の重さを
支えるときには余り負担になりません。

 それで、羽根を毟(むし)った状態での胴体の横幅を見てい
くと、足跡の横幅は胴体の横幅よりも広くなります。現在、恐
竜は鳥に進化して生き残ったという説が有力ですが、歩き方と
いう点でも鳥と恐竜は同じです。

*4.ゾウの足跡の横幅も、胴体よりも狭い
 この足跡の横幅という視点で、動物の歩き方を見ていくと、
四足で歩く動物たちにも、歩くときに足跡の横幅が広いものと
狭いものの2種類いることが分かりました。

 ワニなどのハ虫類は足跡の横幅が体よりも広く、ホ乳類はゾ
ウのように大型の動物でも、足跡の横幅は体の横幅よりも狭い
です。

 また、歩くときの背骨の動きも違います。ハ虫類では、尾鰭
を横に振って泳いでいた魚の名残なのか、背骨を横に振って歩
いています。

 しかし、ホ乳類では背骨を縦に振って歩き、走っています。

 ですから、ホ乳類になってから海に戻ったイルカやクジラは、
海で泳ぐときにも背骨を上下に振って泳いでいます。

 背骨を上下に揺らして歩き、走れるようになったので、横揺
れが少なくなり、足跡の横幅を狭くできるようになったし、同
時に頭を大きくできるようになったと考えられます。

*5.足を中心に寄せるために
 でもそれだけではなく、足跡の横幅が胴体の横幅よりも狭く
なるためには、歩くときに足を中心に寄せる力が常に働いてい
る必要があります。

 実際に靴底の減り方や靴下の破れ方などで見ても、足指の方
では、親指側に力が掛かっていることが分かります。

 つまり、踵を支点にして足の親指側に力が入るような構造と
筋肉のシステムがあるということです。

 足の筋肉が伸筋優位で、脳性麻痺や片麻痺で内反尖足になる
のも、足を中心に寄せる力を常に働かせる必要があるからかも
しれません。

*6.下腿での経絡交差の理由
 私は、足の内側の経絡が膝より下で交差しているのは、足に、
この中心に寄せる力を発生させている構造とシステムがあるた
めだと考えています。

 「足の内側の横にあるべき経絡(足厥陰)」が骨の方(体全
体で言うと、外側の方)に回りながら「前にあるべき経絡(足
太陰)」よりも前に出ようとすると、中心に寄せる力が発生す
るからです。

 手の示指、中指、薬指の3本を机などの上に立て、中指を手
甲側から示指の前に出そうとすると、中心に寄せる力が生まれ
ることが確かめられると思います。

 この点から見ても、経絡が筋肉の庇い合い、つまり、負荷分
担の仕組みだということが分かると思いませんか?

 経絡を「体の内外を走る作用力線の通路」だと見抜いた橋本
敬三先生は、やはり、すごいなと思います。

 私は、初め、足の経絡が下腿で交差しているのが本当かどう
か分かりませんでした。あるとき、足の内側の横の経絡(足厥
陰)に沿って、直径1,2mmのシミが2,3cmの幅で点々と出て
いる人に出会いました。

 大腿部は中央の辺り、下腿は脛骨粗面(弁慶の泣き所)上、
足甲は親指と2指の間に向かって、点々とシミが出ていたの
です。目の慢性難病(網膜色素変性症)の人でした。

 こういうのは、経絡現象と言うそうで、日本でも報告があり
ますし、中国では本(写真沢山)も出ています。

 それ以来、足厥陰が下腿で太陰の前を走行しているのは本当
だなと思うようになりました。

 自分でも、足首から先に鍼灸したりして、交差していそうだ
なと思い始めていたときだったので、驚くと同時に理由を考え
始めたのです。何か体にとって不可欠の理由があるに違いない
と…。

*7.ロボットに、ナンバ歩きやモンローウォークを
 1990年頃と違って、今は、ホンダのアシモがありますが、
まだ、鉄腕アトムのような自由な動きはできません。アシモの
足跡の横幅を見ても、胴体の横幅よりも狭いとは言えません。

 ソニーのAIBOもホ乳類である犬などの格好をしていまし
たが、足跡の横幅は胴体の横幅よりも広いです。

 現在、2050年にサッカーのワールドカップ優勝チームにロ
ボットチームで勝つことを目指す、ロボカップというプロジェ
クトが進められています。

 私は、2足歩行ロボットで勝つためには、この足跡の横幅が
胴体の横幅よりも狭い歩き方、走り方ができるロボットが開発
できるかどうかがポイントのように思います。

 まぁ、ナンバ歩きができる格闘技ロボットや、モンローウォー
クができる女優ロボットの方が先に開発できないと、2足歩行
でサッカーができるロボットの開発は難しいように思いますが。

 特に、モンローウォークは、足跡の横幅が胴体の横幅よりも
狭くないと成り立たないというか、美しく見えない歩き方です
から。

 ところで、ナンバ歩きというのは、同じ側の足と手が前に出
る歩き方と言われていますが、日本人なら引き戸を開けながら、
あるいは、暖簾をくぐりながら歩くときにしている歩き方です。

 格闘技のときには、相手から見えるというか、相手に晒(さ
ら)す体の部分を細くできるので、基本の歩き方になります。

 そういうロボットたちが開発されていく過程で、人間の歩き
方についての科学も進歩し、それが医療の分野、リハビリ技術
などに応用されるようになることを祈っています。

 その歩き方の科学を創っていくために、経絡の考え方はとて
も役に立つだろうなと思います。

追記:2017.01.25ーーーーー schaftのロボット ーーーー
 2足歩行のロボットでは、胴体の横幅が足跡の横幅よりも狭
いものも出てきたようですね。

 骨盤と大腿骨との関節に似た構造で面白いなと思いました。
また、バランスをヒトで言うと大腿部の間のオモリで取ってい
るタイプだけでなく、ヒトの胴体のように骨盤よりも上に重い
部分が有るタイプもあり、かなりヒトの2足歩行に近付いたな
と思いました。

 ナンバ歩きできる格闘技ロボット、モンローウォークできる
女優ロボット、サッカーロボに発展することを楽しみにしてい
ます。

[[Schaftのロボット>http://robotstart.info/2016/04/08/news-schaft_robot_nest2016.html]]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

追記:2017.02.10ーーーーー オレゴン大のロボット ーーーー


[[オレゴン大のロボット>http://www.theverge.com/circuitbreaker/2017/2/9/14563036/bipedal-two-legged-robot-cassie-agility-robotics]]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

追記:2017.02.14 ASIMOの現在などーーーーーーーーー
歩行や手も、どんどん進化している感じで、嬉しくなりました。

[[最先端10台の人型ロボッ>http://www.gizmodo.jp/2017/02/10-robots-artificial-human.html?utm_content=bufferce5cd&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer]]
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

追記:2017.07.25 受動歩行原理ーーーーーーーーーーーー
以下の「受動歩行原理」も面白いですね。
「動力源なしで二足歩行するロボット」
http://www.audi.jp/innovator/ism/i_59/index.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

追記:2017.12.23 腰の捻れ戻しも有るロボ歩行 ーーーー
 お尻の動きが小さくてモンローウォークとは言えないし、
足跡の横幅も腰幅と同じ位で、まだまだという感じですが、
腰の捻じれ幅と尻の大きさ、足の小ささ、ハイヒールとかへの
可能性を感じさせる動きには成ってきているように思います。

「HRP-4C「未夢」による人間らしい歩行」
https://www.youtube.com/watch?v=cLWEPRe3gik
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

*8.おわりに
 これで体に掛かる負荷を分担するシステムの中の縦の関係を
終わります。

 次からは、横輪切りと縦切り以外の負荷分担システムについ
て書いていきます。


   >>>つぎへ>>>[[左右・前後・上下・対角の相関関係]]


-----
   >>>目次へ・・・・・・・・・[[体は自然、臨床は対話]]

   >>>このページのトップヘ・・[[経絡の交差と2足歩行]]

   >>>術伝HPトップへ  ・・・・[[トップページ]]
-----
術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」
-----
-----
*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
 術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。

 くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。

 よろしくお願いします。

**感想など
 感想などありましたら、術伝事務局までメールをください。

よろしくおねがいします。

術伝事務局メルアド :jutsuden-jmkkあまググどこ 
(この行は無視してください。akwba、laemfro、thgosewibe) 
(「あま」を「@」に、「ググ」を「googlegroups」に、) 
(「どこ」を「.com」に変えて送信してください。    ) 
(面倒をおかけし申し訳ありません。迷惑メール対策です)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
----
   >>>術伝HPトップへ  ・・・・[[トップページ]]
----