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術伝流操体no.19 - (2016/07/22 (金) 07:15:15) のソース

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術伝流操体・ラクな寝方をすこし強調 (8)横向き寝で、動きの操体

&color(green){術伝流操体no.19}&size(24){&color(green){ 横向き寝で、動きの操体}}
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#contents
*1.はじめに 
 今回からは、横向き寝の操体です。先ずは、動きの操体から。
体の調子が悪くなると横向きに寝るのがラクな人が増えていき
ます。横向き寝からの操体は、橋本敬三先生の本には余り出て
きませんが、現在では頻繁に使うので、しっかり覚えてくださ
い。

 横向き寝の場合に、先ず初めに観察するのは膝の曲げ伸ばし
です。膝を曲げた方がラクな人が多いです。

 初めは、横向きに寝ながら足を重ねて真っ直ぐ伸ばしている
人もいます(写真1)。が、声を掛けて、膝を曲げた状態と、
真っ直ぐな状態を比較してもらうと、曲げた方がラクなことに
気付く人が多いです。

#image(DSCF0384.jpg)写真1

 しかも、膝を重ねているよりも、膝をズラして、どちらの膝
が床に着いている状態がラクな人が一番多いです。

*2.横向き膝曲げで、動きの操体
 横向き膝曲げの姿勢がラクな場合に、次に観察するのは、上
になっている側の足の膝が、下になっている側の膝よりも前に
出ている(写真2)か、後ろ側(写真3)かです。

#image(DSCF0387.jpg)写真2
#image(DSCF0388.jpg)写真3

比較すると、前に出ている方がラクな人が多いです。

**1)上の足の膝が前なら
 上側の膝が前の場合には、上の腰を畳の方に動かしていくの
が気持ちよい場合が多くなります。膝と腰の位置関係によって
少しずつ違いが出てくるので、先ず膝の位置が一番ラクな位置
になっているか確認する必要があります。

 上になっている足の小指の4指側か、4指の小指側の指裏関
節部の端を少し痛くすると、膝を動かして逃げます(写真4)。

#image(DSCF0389.jpg)写真4

 痛みが一番減った所がラクな膝の位置になることが多いです。

***Ⅰ)上側の大腿に注目する 
 上になっている足の膝の位置が決まったら、次に大腿に注目
します。ラクな寝方が決まった場合、体がその時に変えたがっ
ている所は、大腿の延長線上、平行な線上、大転子を通り大腿
と直行する線上、以上3つにあることが多くなります。

 そして、大腿の延長線上や平行な線上に胴体があるか、大転
子を通り大腿と直交する線上に胴体があるか、そのどちらかか
に因って決まってくることが多いです。

 3つ全て試して、気持ち良さが感じられるか、腹の息が深く
なるか確かめてもよいのですが、横向き寝の場合には、圧倒的
に、大腿と平行な線上にある場合が多くなります。

 具体的に動きとして言えば、尻を膝の方に動かすときに、気
持ち良さが感じられたり、腹の息が深くなることが多いです。

&bold(){(i)尻の上側を膝の方に動かす}

 大転子や腰骨の背中側(蝶骨の後側上端)の辺りに手平を置
いて、手が滑らないように、膝の方にゆっくり動かしていきま
す(写真5)。軽い力で動く範囲で。

#image(DSCF0390.jpg)写真5

&bold(){・イイ感じを増やして止めたくなるまで続ける}

 気持ち良さが感じられるか、腹に息が深く入ったか確認し、
膝の方へ動かそうとする力を加え続けます。

 言葉の通じる人には声を掛けて、操者の手が触れていない所、
例えば、首を左右どちらに回すと気持ち良さが増えるか聞いて、
気持ち良さが深くなるように首を動かしてもらいます。触れて
いない手足も気持ち良さが深くなるような格好を探してもらい
ます。わずらわしくない範囲で。

 受け手が姿勢を少しずつ変えていくのに合わせて、丁度良く
釣り合ったタワメの間になるように、操者も加えている力の入
れ方、力を入れる方向や強さなどを少しずつ変えながら支え続
けます。

 受け手が大きく姿勢を変えたくなるか、息が浅くなったり、
気持ち良さが感じられなくなるまで続けます。

 言葉が通じない人の場合には、引き込まれるように感じられ
るときは続けて欲しいというサインで、押し返すように感じら
れるときには終わりにして欲しいサインです。

 しばらく、ラクな姿勢で休んでもらいます。

&bold(){(ii)腕や首の動きを加える}

 今度は操者の両手を使ってみます。片方の手は「(ⅰ)尻の
上側を膝の方に動かす」で説明したように、尻を膝の方に動か
します。もう一方の手を、どこに置くかです。目を付けるのは、
肩を始め上半身です。

 「横向き寝で、膝を曲げた姿勢がラクで、尻を大腿に動かす
と気持ちよい」場合には、上半身のラクな動きは主に二通りに
なります。

 肩の辺りも胸の側に動かした方が良い場合と、反対に背中の
側に動かした方が良い場合です。比較すると、背中側に動かし
た方が良い場合が、やや多くなります。

 肩を背中側に動かした方が良い場合には、体全体を腰椎を境
に捻る動きになります。腕を背中側にして大腿と平行に伸ばす
(写真6)か、肩から大腿と直行する線上に伸ばす(写真7)
か、そのどちらかが良い場合が多いです。

#image(DSCF0392.jpg)写真6

#image(DSCF0391.jpg)写真7

 しかし、たまに胴体側面延長線上に伸ばしたいという人も居
ます(写真8)。こういう人は体を捻りたいのではなく、体の
横側を伸ばしたいのだろうと思います。

#image(DSCF0393.jpg)写真8

 肩を前に動かすのがラクな場合には、体全体を少し前屈させ
ながら、上になっている側を畳や布団に近づけていく動きにな
ります(写真9)。

#image(DSCF0397.jpg)写真9

&bold(){・胴体が捻れる場合}

 胴体が捻れていくのが良い場合には、空いている手平で肩を
包み込むようにして滑らないようにし、ゆっくり動きやすい方
に動かします。軽い力で動く範囲で。

 腕を大腿と平行に伸ばしている場合には、その手をその方向
に伸ばすようにする動きが良いことが多くなります(写真6)。

#image(DSCF0392.jpg)写真6

 腕を大腿と直行する方に伸ばしている場合には、小指側が手
平側に回るような手首捻転が良いことが多くなります(写真7)。

#image(DSCF0391.jpg)写真7

 イイ感じを増やす方法は、片手で膝の方に動かした場合とほ
ぼ同じですが、受け手が動かせるのは主に首になります。

 姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わっ
た後は、しばらく休んでいただきます。この場合には、仰向け
になって休みたがる人が多いです。

&bold(){・胴体が前屈する場合}

 胴体がやや前屈しながら上側が畳や布団に近づいていく場合
には、空いている手平の下部を肩と肩甲骨の境目の辺りに置き、
手平で肩関節を包み込んで滑らないようにし、ゆっくり動きや
すい方に動かします(写真9)。軽い力で動く範囲で。

#image(DSCF0397.jpg)写真9

 この場合には、肩は胴体をやや前屈させるようにしながら畳
や布団に近付けていく動きが良いことが多いです。

 また、それに合わせて、尻に加えている力も体全体をやや前
屈させる方向に向きを変えた方が良いことが多いです。両手で
加えている力が合わさって、体全体に円を描くような感じにな
りながら、布団や畳に近付けていきます(写真10)。

#image(DSCF0399.jpg)写真10

 イイ感じを増やす方法は、今までとほぼ同じですが、首を胸
に近付ける感じで少し動かすのがイイ感じなことが多いようで
す。

 姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わっ
た後は、しばらく休んでいただきます。この場合には、うつ伏
せになって休みたがる人が多いです。

***Ⅱ)足首の動きをきっかけに
 横向き寝・膝曲げ・上膝前の姿勢からの動きの操体は、尻を
膝の方に動かす操体を気持ち良いという人が圧倒的ですが、中
には足首の動きを切っ掛けにするのが良いという人もいます。

 言葉の通じる人には声を掛けて、どちらの足首に意識が行き
やすいか、どちらの足首の状態が気になるか、どちらの足首の
状態を感じやすいかなど聞いて、どちらにするか選びます。上
になっている足首を選ぶ人が多いです。

 決めた足首を左右どちらかに捻転してみることを切っ掛けに
します。上側の足を選んだ場合は親指を支点に踵を持ち上げて
あげる(写真11)のが良いことが多いです。

#image(DSCF0400.jpg)写真11

 下側の足を選んだ場合は、親指側を甲側に回しながら足全体
を伸ばす(写真12)という動きが良いという人が比較的多い
です。後者の動きは基本的な連動とは違っていて興味深いです。

#image(DSCF0413.jpg)写真12

 イイ感じを増やす方法は、ほぼ同じですが、足首を切っ掛け
にしているので、首以外に両手や反対側の足も動かせます。

 姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わっ
た後は、しばらく休んでいただきます。

***Ⅲ)膝曲げや、足首背屈から 
 今まで説明した以外でも、例えば、「爪先上げ、つまり、足
首の背屈(写真13)を切っ掛け」にしたり、「上になっている
膝の曲げを深くしながら胸の方に近付ける(写真14)ことを切っ
掛け」にしたりするのが良い場合もあります。

 後者の場合には、足首の背屈を付け加えるとイイ感じが増え
ることが多いです。

#image(DSCF0401.jpg)写真13

#image(DSCF0404.jpg)写真14

 今まで書いてきた動きでイイ感じが少ないときに試してみて
ください。実際のやり方は、今までのを参考に工夫してみてく
ださい。

**2)下の足の膝が前なら 
 下の足の膝が前の場合(写真15)には、上になっている膝
や大腿を尻のほうに動かす(写真16)動きがよいことが多く
なります。

#image(DSCF0405.jpg)写真15

#image(DSCF0406.jpg)写真16

 そして、操体していくと、比較手早くに姿勢が変わります。
仰向けになるか、反対側を下にした横向き寝の場合が多いです。
本来はそういう姿勢の方がラクな人が、何らかの理由で最初の
姿勢がラクに思ってしまったという場合が多いようです。

 もちろんそうでなく、この姿勢が本当にラクな場合もあると
思います。そういうときには、今まで説明したやり方を参考に
操体してみてください。

**3)膝と膝が重なっていたら
 横向き・膝曲げの寝方でも、膝と膝が重なっている(写真17)
姿勢がラクな場合には、尻を動かすことを切っ掛けにするより
も、膝同士をくっつけ合う動きが気持ちよい場合が多いようで
す。

#image(DSCF0408.jpg)写真17

 受け手が言葉の通じる人なら、もちろん、声を掛けて、膝を
押し付け合ってもらい、その動きを体全体に伝えてもらうとい
う方法もできます。

***Ⅰ)膝の内側同士を押し合う
 ここでは、疲れて自分で余り動きたくない人や言葉の通じな
い人を相手にどうするかと説明していきます。

 操者の片方の手平を下になっている膝に当て、もう一方の手
平を上になっている膝の上に乗せます。そして、膝同士が痛く
ない範囲で押し合うように両手平を寄せていきます(写真18)。

#image(DSCF0409.jpg)写真18

 イイ感じを増やす方法には、この場合は、押し合っている膝
を脇の下の方に動かしたり、足首を背屈したり、首を臍を見る
ように前屈したりする連動が生まれる可能性が多いようです。

 ですから、操体になれてなくて連動がわからない人の場合に
は、「膝が胸の方に動きやすくないですか? 足首は反りやす
そうに見えますが。お臍を見ると気持ち良さが増えませんか?」
とか声を掛けてみるのもよいと思います。

 姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わっ
た後は、しばらく休んでもらいます。

*3.横向き寝で手の動きを切っ掛けに 
 横向き寝では足など下半身を切っ掛けにした方がイイ感じの
することが多いですが、手の動きを切っ掛けにすることもでき
ます。色々あると思いますが、代表例を説明します。

**1)手平を合わせて 
 横向き寝でラクな格好で寝た姿勢から、両手平を合わせます。
合わせた手平をどちらかに捻転します。

 イイ感じがするか確かめてもらいます。しない場合には、他
の動き(関節運動の4種8方向の中から)も試して、一番イイ
感じのする動きを選び、操者はその動きが元に戻らないように
ほんの少し強調して支えます(写真19)。

#image(DSCF0410.jpg)写真19

 イイ感じを増やすには、首だけでなく、足も動かすよう声を
掛けてみるとよいです。また、一つ一つ動かしてもらうよりも
「気持ち良さが深くなる姿勢を探してゆっくり動いてください」
という感じの声掛けの方が良い場合もありますので、色々工夫
してみてください。

 姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わっ
た後は、しばらく休んでいただきます。

**2)両手小指を手平側に 
 横向き寝の姿勢から両手を合わせ、両手の小指がどちらも手
平側に回るような手首捻転をします。

 つまり、両手の小指側を合わせた部分を中心にして両方の拇
指側が手甲の側に回るような手首捻転をして、だんだん手甲同
士が合わさっていくような動きをしてみます(写真20)。

#image(DSCF0411.jpg)写真20

 イイ感じがしたら、操者は、その状態が維持できるように両
方の手平を受け手の両方の手平に重ねて、ほんの少し押しつけ
合うようにします(写真21)。

#image(DSCF0412.jpg)写真21

 イイ感じを増やすには、やはり、首だけでなく、足も動かす
よう声を掛けてみます。足首を背屈しながら膝を胸に近付けて
くることが多いように思います。

 姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わっ
た後は、しばらく休んでもらいます。

*4.おわりに 
 横向き寝からの動きの操体の基本的なものを紹介しました。
次回は、横向き寝からの皮膚の操体と重さの操体です。


   つぎへ>>>[[術伝流操体no.20]]


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