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術伝流一本鍼no.50 - (2016/09/19 (月) 09:07:29) のソース

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&color(green){術伝流一本鍼no.50 (術伝流・養生の一本鍼・応用編(2))}

&bold(){&size(24){&color(green){古い病、古いツボ}}}
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#contents
*1.基本的に
 鍼灸で慢性期の養生をするときは、古い病に関係した古いツ
ボを改善していくと、効果が出やすいです。そこで、今回は、
古い病に関係した古いツボについて、書いていきます。

**1.1.古いツボは、虚のツボ
 古いツボは、虚のツボです(図1)。表面は、ベコベコして
いて、しばらくズブズブした状態が続きます。そして、ずーっ
と奥に、とても硬い板のような痼りが有ります。また、奥が弦
のような筋張りになっていることもあります。

 板状の痼りを鍼灸で弛めると筋張りが出てくることも多いで
す。実のツボに比べると、見付けにくいものが多いです。

 生命力が旺盛な所は、元気な赤ん坊の体のように弾力があり
ます。カチカチ硬いだけでなく、ベコベコ・ズブズブ・フニャ
フニャの所も、生命力が低い所です。

 奥の硬い痼りは、治療を続けると、少しずつ表面へ上昇して
きます。じっくり時間を掛けて、消していきます。

&ref(kyo-no-tubo.jpg)図1

**1.2.丁度良い治療を心掛ける
 古いツボを動かすと、腹の邪毒が動き排出されることが多い
です。「瞑眩」と呼ばれる現象です。余り急に変えると、多量
の邪毒の排出が一度に起こり、患者さんを必要以上に苦しませ
ることにもなりかねません。

 そこで、少しずつ変えていきます。その日の治療で、どの位
動かしたら良いか、見極めることが大切になります。私は、
「次の日の朝の目覚めがスッキリしている」ことを目安にして
います。

 また、古いツボで古い病を変え、しかも、患者さんに余り辛
さを感じさせない、そういう意味で丁度良い治療のためには、
後始末も大事です。頭(や表位)の熱へ散鍼し、手陽経に強め
に引き鍼をします。灸の場合には、手指の骨空、井穴、指端な
どに、熱めの糸状灸をします。

**1.3.実の痼りと虚のツボ
 古い虚したツボの左右反対側、同一経絡上や動作時連動筋肉
内には、実のツボが在ることが多いです。左右反対側の例は、
脊柱を挟んで同じ高さの左右などに良く見られます。同一経絡
内の場合は、背中の上下などに見られます。動作時連動筋肉内
の例は、手の運動器疾患での軸足に多く、例えばテニス肘の時
の反対側下腿外側などです。

 ですから、逆に、実のツボや実の痼りの左右反対側、同一経
絡上や動作時連動筋肉内を丁寧に探すと、虚のツボは見付けや
すいです。

 例えば「[[術伝流一本鍼no.22]] 運動器偏補足 ムチウチ」に
書いたように、背中に大きな実の痼りが有った人の腰椎部分に
虚のツボが在りました(写真1)。そこへの刺鍼で、実の痼りも
目立たなくなりました。

&ref(DSCF2378.jpg)写真1

**1.4.虚すぎて痛まないツボもある
 虚のツボで古くなったものには、押しても痛みを自覚できな
いものもあります。

 そういうときには、患者さんに了解を得た上で、刺鍼や灸頭
鍼などをしていきます。そうすると、初め自覚痛の無かった虚
のツボに痛みが出てくることが多いです。

 また、古い、虚のツボが消えると、もう一つ前の古いツボが
出てくることがあります。順に消していきます。

**1.5.甘い物の食べ過ぎは、ツボが消えにくい
 甘い物(白砂糖など)の過食者は、ツボが消えにくいです。
化学調味料、精製塩、添加物も同じです。また、消えても、復
活しやすいです。

 鍼をして痼りが弛んでも、ゼリー状の物が痼りと同じ形・大
きさで残り、直ぐにまたツボになることが多いです。また、鍼
をしたときに筋肉が粘っこい感じを受けます。そのため、そう
いう人は、銀鍼を痛がることも多いです。人間の体と銀鍼の親
和性がかえって仇(あだ)になってしまうようです。

 ですから、食養生の指導も必要です。10数年前に、30代の
女性で1か月甘い物を断ったら体質が変わり、ツボが消えやす
くなったこともあります。

**1.6.補の灸、灸頭鍼、自己養生も必要
 鍼のみで変わりにくいときは、補の灸・灸頭鍼を併用した方
が変わりやすいです。

 できれば自宅施灸もした方が良いです。施灸してくれる人が
いないときは、自分で可能な指端など指への灸を勧めます。

*2.ツボが出やすい所(図2)

&ref(furui-tubo.jpg)図2

**2.1.体の境目に近い所に出やすい
 ツボは、初めは筋肉の太い所に出ます。背中では1行線、腹
側では胃経。病が古くなると、そこだけでは支えきれなくなり、
横へ横へとズレていきます。

 腹側では、脾経から、やがて少陽経へ、そして、章門、そし
て、腰骨に張り付くような感じで、五枢〜維道など。背中側で
は、2行線へ、そして、脊柱起立筋の外端の痞根・腰徹腹など。

 また、それらが関係する手足の少陽と厥陰にも出やすいです。
小陽と厥陰は、前後の境界でもありますね。

 左右境界にも出やすいので、任脈、督脈、華陀経を探します。
基本的には、慢性症状の関連する臓器の高さに多いです。例え
ば、喘息に定喘など。

 それと、臍の周りは、様々な慢性症状の場合に出るので、丁
寧に探します。

 上下の境界は、横隔膜ラインです。背中側の督兪、膈兪、膏
肓の下側などに出やすいです。比較すると、左側が多いです。

 前後、左右、上下の境界の組み合わせにも出ます。百会、尾
骨〜会陰の周り、大包、鳩尾〜巨闕の辺りなど。

 体と手足、頭と首の境目にも出ます。手と体では、雲門、肩
貞。足と体では、衝門、居髎、環跳、足徹腹など。後頭骨下縁
の天柱、風池、完骨。

**2.2.立ち姿勢で負荷が掛かりやすい土台部分
 膝裏から脹脛(ふくらはぎ)、両踝(くるぶし)の周りにも
ツボが出やすいです。膝裏のH字状の窪みの両端のラインと中
央のライン上で、特に、脹脛側に多いです。下委陽、飛揚〜外
丘、承筋、承山、下陰谷、築賓など。

 古くなると、大腿側にも出ます。

**2.3.古い打撲、手術痕
 古い打撲や手術痕も古いツボになりやすく、瘀血を伴うこと
が多いです。

 季節の変わり目、寒い時期、疲れたときや、汗をかいて冷房
に当たった場合などに痛みます。また、50過ぎて初めて痛み
出すこともあります。若い頃スポーツマンだった人は、こうい
う外傷性瘀血症で、脳梗塞などを起こしやすくなるので、注意
が必要です。

 打撲したら、炎症が治まったら直ぐに、灸・灸頭鍼で瘀血を
散らしておくと良いです。上手く行くと、青黒い瘀血が黄色い
輪になって広がり、やがて消えていきます。ヘモグロビンがビ
ビルビンに変わっていくのかなと思いました。

 特に、打撲したとき痛まずに、次の日以降に痛み出した場合
は、必ず施術した方が良いです…古傷になりやすいので。数日
してから痛み出したものは、特に注意が必要です。

 漢方薬の駆瘀血剤(治打撲一方など)を飲んでおいた方が良
いことも多いです。漢方に詳しい医師・薬剤師・販売員に相談
してください。

 治療継続中に、それまで隠れていた古い打撲が痛み出すこと
もあります。そのときは、そこに灸・灸頭鍼をします。また、
この場合も、漢方の専門医などに相談し、駆瘀血剤(桂枝茯苓
丸など)を併用した方が良いと思います。

 打撲の治療は、「[[術伝流一本鍼no.18]] 頭部の打撲に灸など」
を参考にしてください。

 古い打撲の場合は、一番虚したポイントに補の灸・灸頭鍼を
するのが効果的です。

**2.4.指端など指のツボに灸
 指端など指に出ているツボに灸をするのは、良い自己養生に
なります。手足の指端20カ所に試しに小灸をして、熱くない
所に多壮灸します。経絡的な変動の調整に向きます。

 また、片麻痺など脳血管障害後遺症の麻痺の場合にも使いま
す。

 足指端は、体の重心調整、中心軸調整にもなります。特に、
足1指は、フォームが決まらない人などの正中線作りに効果的
なことが多いです。

 指端の灸で効果が出にくいときは、その指の裏側関節部の横
紋の端(節紋)にある小さな痼りを見付け、灸をします。また、
井穴、骨空なども使えます。

**3.手順
 初めは、ツボを考慮して慢性期の型をします。そして、古い
ツボが見付かったら、灸や灸頭鍼をします。

 古いツボが定まってきたら、灸や灸頭鍼を中心に施術します。
特に古く変わりにくいツボには、枇杷葉エキスも利用した灸頭
鍼もします。

 「補の灸」や灸頭鍼については、「[[術伝流一本鍼no.33]]腰の
慢性期の養生、灸頭鍼」などを参考にしてください。

*4.手術痕の治療
 手術痕は、手術痕と普通の皮膚の間に出ているツボに鍼灸す
ると、だんだん小さくなっていきます。腫れに対する「四畔の
灸」と同じような方法です。繰り返していくと、腫れと同じよ
うに、だんだん小さくなっていきます。

 手術痕の直ぐ近くは、痼りになっています。そういう痼りと、
痼りになっていない所との境目を探すと、1cmおき位にツボが
出ています(写真2)。

&ref(DSCF2556.jpg)写真2

 慢性期の養生として刺鍼するときは、手術痕の場所に経絡的
に関係する手のツボに陰陽の順で引いて準備します。

 そして、その手術痕の周囲に出ていたツボに順に刺鍼します
(写真3,4)。手術痕の周囲の痼りが改善され柔らかくなった
ことを患者さんにも確認してもらいます。

&ref(DSCF2559.jpg)写真3

&ref(DSCF2561.jpg)写真4

注: 写真を撮るために押し手を離しましたが、術伝流では、灸
頭鍼などの時を除いては、押し手は、普通、離しません。

 それから、手術痕に関連しそうな足のツボに、陰陽の順で引
きます。手術痕の背中側にツボが出ていれば、そこにも引きま
す(写真5)。座位で、頭に散鍼し、手甲に引いて仕上げます。

&ref(DSCF2566.jpg)写真5

 もちろん、他の病・症状やそれに関連するツボと組み合わせ
て鍼灸していくこともできます。

*5.自己養生
**5.1.自己施灸と温法など
 自宅での施灸もしてもらった方が変化が早いです。古いツボ
の中で、その時に動かしたい所と、手足の指のツボにします。

 一人暮らしなどで目標の痼りに灸がしにくい場合には、指の
ツボに灸し、目標の痼りに円皮鍼が貼れれば貼ります。

 指のツボの探し方や施灸法などは「[[術伝流一本鍼no.14]]指ま
わりの痛みに糸状灸」、「[[術伝流一本鍼no.21]]表位陽明経の急性期」
などを参考にしてください。

 臍の周りにツボが出ていれば、そこにも灸します。また、臍
の周りには、蒸しタオル温法でも良いです。

蒸しタオル温法:
 ①濡れタオルをレンジパックにいれ、レンジでチンする
 ②レンジパックの口を閉じ、乾いたタオルで包む
 ③ ②を患部に乗せる

 古い虚したツボには、足湯・半身浴や砂浴なども向きます。
枇杷エキスを入れた湯は、微温くても温まりやすいです。

**5.2.食養
 食養としては、白砂糖、精製塩、添加物を減らしていくこと、
和食を中心にすることを、先ず勧めます。次に、パン、パスタ、
ドリアなどのカタカナ主食は少なくします。そして、スイーツ
も和菓子を勧めます。

 『粗食で生き返る』(幕内秀夫著)、『日本食長寿健康法』
(川島四郎著)などを参考にしてください。

 また、手抜きして料理できる工夫も必要です。特に、一人暮
らしで自炊する場合には、その方が長続きします。『ズボラ人
間の料理術』(奥薗壽子著)、『クッキングパパの絶品ひとり
暮らしレシピ』(うえやまとち著)などを参考にしてください。


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*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
 術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。

 くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。

 よろしくお願いします。

**感想など
 感想などありましたら、術伝事務局までメールをください。

よろしくおねがいします。

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