「長いトンネルを抜けるとそこは雪国、なんてことはなく ハートのキング」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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737 :ハートのキング ◆wYFB8z4udM :2009/08/23(日) 23:42:37.69 ID:oWXH+Jki0
長いトンネルを抜けるとそこは雪国、なんてことはなく、
トンネルに突入する前と比べても何の変わり映えのしない
田舎臭い風景が車窓の向こうに広がっている。
もう小1時間は同じ体勢で俺は頬杖をつきながら電車に揺られていることになる。
俺と長門を除いたSOS団メンバーは、無防備な寝顔を俺達に見せ付けるが如く爆睡中。
いい加減顎が痛くなってきやがった。
「長門、俺達はいつ目的の駅に着くんだ?」
「2つ先の駅」
「ってことは、あと15分程度ってところか」
「そう……海」
「お、ようやくのお出ましか」
とは言っても俺達の乗ったこの電車が海に近づいたのであって、
決して海の方が自分から俺達に近づいてきたわけじゃない。
よって俺の言葉に語弊が生じてたということはこの際横に置いておこう。
何はともあれSOS団の最終目的地がようやく姿を現した。
740 :ハートのキング ◆wYFB8z4udM :2009/08/23(日) 23:53:17.25 ID:oWXH+Jki0
「おい、古泉起きろ、俺の左肩はお前専用の安眠枕じゃないぞー」
「……おっと、これは失礼しました」
これで涎でも垂らしていたとしたら、俺はお前を絶対に許さない。絶対にだ。
「海が見えますね~。あとどのくらいで着くか分かりますか?」
「長門曰くあと二駅だそうだ」
「そうですか。それより、前のお二方を起こさなくてよろしいんですか?」
「着く手前で俺が起こす。お前は降りる準備でもしていろ」
ハルヒは起こすと車内が煩くなる。朝比奈さんの寝顔は純粋に見ていたい!
「りっちゃん!見て見て~。海だよ~」
「うおー!海だーーー!!」
「お前ら少し静かにしていろ」
何やら騒がしいな。夏休みを利用して高校生が海に遊びに来ているのだろう。
俺達も同じ状況下のはずなんだが、どこか違う気がするのは気のせいか?
そしてどのグループにもツッコミ担当は必要なんだな、
なんて考えながらカバンにしまっていた切符を――
「な、無い!!」
「どうかしましたか」
「何故か俺の切符が無い」
「んっふ、困ったものです」
終わり