562 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 21:58:00.63 ID:Tpvf3mAn0
【SUMMER★ROCK】
夏のある日。軽音部の5人は練習の合間に唯が買ってきたポッキー(いちご味)を食べていた
「サンキュ!唯」
ぽりぽりと軽快な音を立てて、律が一本食した
「あら、澪ちゃんって面白い食べ方するのね」
「ほんとだ!おもしろ~い」
「べっ、別にどんな食べ方してもいいだろっ」
澪が端から少しずつポリポリ食べているのを見て、みんな笑い出した
(澪先輩・・・可愛い・・・!)
と、梓が心の中で呟いていると、目の前にポッキーが飛び込んできた
563 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 21:59:08.10 ID:Tpvf3mAn0
「ほら、あずにゃんもっ!」
「あ、ありがとうございますっ」
一口かじってみると、いちごの味が口の中一杯に広がった
「お、おいひですぅ」
と、感想を言うと
「あずにゃんはやっぱり可愛いなぁ」
と、梓は唯になでなでしてもらうのであった
564 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 22:00:10.66 ID:Tpvf3mAn0
軽音部はこの前夏合宿に行ったばかり。まだまだ夏休み真っ盛りである
外ではセミが鳴いているのが聞こえる。風情だが、やっぱり暑い
「あぢ~、、音楽室にはクーラーないのかよ~」
思わず律が文句をもらす
「しょうがないだろ、この学校には職員室にしかクーラー無いんだし」
「ホントに女子高かよっ?!呆れるぜ~」
565 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 22:00:56.55 ID:Tpvf3mAn0
「わ~!どうしよう!」
突然唯が大声を出したので、みんな驚いてしまった
「ど、どうしたんですか?唯先輩?」
「ポッキーが、溶けちゃったぁ」
どうやら唯はまだ開けていなかったもう一つの袋を開けたらしい
この暑さでは無理もない。無残にも袋の中はドロドロになっていた
567 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 22:01:52.25 ID:Tpvf3mAn0
「うぇ~ん、これじゃ食べれないよぉ」
「大丈夫よ、唯ちゃん」
「え、ムギちゃん、どうするの?」
不思議そうに唯が見ていると、ムギは袋を裂き始め、近くの上にあった皿の上に広げた
そして、どこから持ってきたのか食パンとバターナイフを取り出した
「ほら、こうやって塗って食べれば、大丈夫!」
「ちょ、ちょっと無理があるんじゃ~」
他の4人の心配をよそにムギはぺロリと食べてしまった
「ごちそうさま」
4人は唖然としたままだった
568 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 22:02:48.18 ID:Tpvf3mAn0
「そういやさ~この近くにライブハウスあるの知ってるか?」
ムギが食事の後片付けをしているのを横目に見ながら、律が切り出した
「ああ。駅の近くにあるやつか?」
「そそ」
「それなら私知ってます。たまに行ったりしますよ」
梓はよく色々なライブハウスに出入りしているので、その手の話はよく知っていた
571 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 22:03:50.28 ID:Tpvf3mAn0
「もしかして、夏フェスのことですか?」
「あったりぃ~!梓、よく知ってんじゃん」
「今年は結構参加団体多いみたいですよね」
「だからさ、たまにはうちらも演奏するだけじゃなくて、聴きに行くのもいいかなって思って」
「面白そうだな。それ」
珍しく澪が律の話に乗り気だ
573 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 22:05:22.61 ID:Tpvf3mAn0
「なつふぇす?なにそれっ!」
「私も初耳です」
どうやら唯とムギは夏フェスについて知らないようだ
「夏フェスってのは夏に全国各地で行われる音楽フェスティバスの愛称ですよ」
「ようするに、音楽のお祭りってわけだ」
澪が分かりやすく言い換えた
「音楽のおまつりかぁ~たのしそーだね!行ってみたい!」
唯もさっそく乗り気になったようだ
「私も生のロックを体感してみたいですわ!こう!ソウルというものを!!」
ムギも違うところで乗り気のようだ
「じゃ、明日の朝9時に駅前に集合に決まりっ!」
なんだかんだいって律が一番張り切っていた
574 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 22:07:29.46 ID:Tpvf3mAn0
翌日
「やっほ~!みんな~」
「唯、遅いぞぉ!」
他のみんなはもう集まっているようだ
唯はちょっと小走りでみんなのところへ駆けていった
577 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 22:10:17.96 ID:Tpvf3mAn0
「ごめんごめん。ちょいと寝すぎてしまってごわす」
「唯どん。もしや憂ちゃんに起こしてもうたんでごわすか?」
唯のボケに律が変な日本語で返す
「おいおい、どこの方言だよ」
やれやれ・・・と澪があきれている
「げげ!そのとおりでごわす!どうしてわかったんでごわすか!?」
「唯のすることは、するっとまるっとお見通しだっ!」
「あひゃ~」
律がトリックおなじみのキメ台詞でとどめをさした
580 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 22:13:02.05 ID:Tpvf3mAn0
「あはは。おもしろいですねっ。トリック、私も見てましたよ」
「もう、二人とも、漫才はそこまでにして、早くいくぞっ」
澪が二人の頭を軽くコツンとたたく
「そうですよ、もう始まっちゃってますよっ」
梓も足踏みをしてせかせかしていた
「じゃ、行くとしますか!SAKURA ROCK FESTIVALに!」
五人はこじんまりとしたライブハウスの中に入っていった
582 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 22:15:33.73 ID:Tpvf3mAn0
ライブハウスの中に入ると、早くも演奏している音が聞こえた
「うぉ!凄い熱気だ!」
「むんむんだね、りっちゃん!」
二人はすでにノリノリのようだ
奥のほうにステージがあるようで、そこではすでにどこかのバンドが演奏していた
「そういや、思い出すよなぁ、澪」
「んっ?なんだ律」
「中学生のころさ、二人で夏フェスの中継見たじゃん」
「あぁ、そうだったよな」
「やっとこれたぜ!我等が聖地!」
「おいおい、大げさだなぁ」
はははっと澪は苦笑いする。だが律の目はマジだった
586 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 22:17:48.84 ID:Tpvf3mAn0
「よぉし!明日はあたしたちもここでライブだぁっ!」
「おーっ!」
思わず勢いで澪も掛け声に参加していた
5人全員の掛け声に周りの観客が目を丸くする
「・・・って、恥ずかしいっ・・・」
澪は自分たちのやったことに気付き、顔を赤らめた
「って、手続きとか大丈夫なのか?」
「だいじょ~ぶ!ほら、ココみてみ!」
律が目の前に突き出したSAKURA ROCK FESTIVALのチラシには
『飛び込み大歓迎!』
と書いてあった
589 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 22:20:35.36 ID:Tpvf3mAn0
「飛込みって。。。ますます恥ずかしいじゃないかっ!」
あわあわと澪が慌てる
「まぁまぁ、モノは試しですから、やってみましょうよ」
梓が目を輝かせている
「ロック!そしてソウルで人を沸かせたいですわ!」
どうやらムギは完全にライブハウスの空気に酔ってしまったようだ
「こういうところでやるのも面白そうだよねっ!やろうよっ、澪ちゃん」
唯がかわいらしい目で澪を見つめてくる
590 :ギー助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/06(木) 22:22:05.91 ID:Tpvf3mAn0
(うっ、可愛い・・・)
「文化祭の練習にもなるし、一石二鳥だぞっ!なぁみおっ、やろうぜっ!」
「うぅ、しょうがないなぁ~」
さすがの澪もここまでくるとNOとは言えなかった
明日の参加も決まり、5人はその日の夜まで、心ゆくまで夏フェスを楽しんだのであった
第1部 完