257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 13:44:24.45 ID:WLo0G95R0
エージェントの出現する扉から、四、五人の子供達が現れ、たちまち唯先輩を取り囲んだ。
子供達は、顔を見合わせてから呼吸を整える。
そして、一人の太った男の子が、ゆっくりと唯先輩を指さした。
「この姉ちゃん、妹に勉強教えてもらってるらしいぜ」
「本当ですか、バカですねー」
「バーロー。頭の良し悪しはこの際どうでもいいのぜ。見てみろ、あの胸を!」
「なっ」
「なんだってー!?」
「う、薄いですね!」
「俺の見立てによると、彼女のバストはななjy 「うわあああっ!!」 アンダーがろくjy 「ほわあああっ!!」 ってところか」
一番重要な部分を唯先輩の叫びによってかき消されてしまった。
さすがにアンダー六十前半ではないだろうから、トップが七十後半だとしてもAかB?
あ、でも見立てか。ていうかこの少年なんでそんなこと分かるんだよ。
いずれにしても私よりありますよね、きっと、多分。……絶対。畜生。
いや、でも私はまだ成長するし。背とかも伸びるし。
とりあえず、あの少年は後でとっ捕まえて話を聞くことにしよう。うん。それがいい。
259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:47:49.86 ID:WLo0G95R0
「幼児体型だッ!」
「幼児体型ッ!幼児体型ッ!」
憂「萌えッ!幼児体型萌えッ!幼児体型が世界を救うッ!」
「幼児体型ッ!!」
「幼児体型ッ!幼児体型ッ!」
憂「お姉ちゃんが世界を救うッ!幼児体型ッ、それは荒涼せし俗界に降り立つ鮮美透涼たるメシア!」
子供たちは囃し立て続ける。
なんかあからさまに知ってる子が一名混じっていたけど見なかったことにした。
唯「う、う……うわああああん!」
泣き叫びながら私の胸に飛び込んでくる唯先輩。
ああ、隣のマスに居て良かった。
それを見届けた子供達は、走りながら扉の向こうへと消えていった。
264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 13:50:42.71 ID:WLo0G95R0
梓「子供相手に泣かされないでくださいよ」
唯「だってえ……」
梓「いいじゃないですか、幼児体型だって。……じ、十分、かわいいんですから」
唯「……そっか、あずにゃんも幼児体型だもんね」
梓「そうそう、私も幼児た……なんだって?」
唯「痛い痛い痛い痛い、ごめんなさいごめんなさい」
頬っぺたぎゅーーってしてやった。
唯「うぇぇ、酷いよあずにゃん」
梓「余計な事を口走るのがいけないんですよ」
唯「ぶー、本当のことなのにひゃい、いひゃいいひゃい」
反対側もぎゅーーってしてやった。
266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:53:26.07 ID:WLo0G95R0
律「おい、お前らー」
梓「どうしたんですか?」
唯「ふぉうひふぁの、りっひゃん?」
律「いちゃいちゃするのは勝手なんだがー……」
律先輩はそう言って、やや前方にいるムギ先輩に視線を送る。
否定したくはないけれど、私の口は勝手に「してません」と反論を返していた。
律「ムギがそろそろやばそうだから続けていいか?」
パパウパウパウという効果音と共に両手を合わせて片膝をつき、
口は「あぁん」の発音で固まり、舐めるような視線を私と唯先輩に送り続けている。
私と目が合ったムギ先輩は、はっ、として首を左右に振り、
その後で、私に向けて口パクでメッセージを送ってきた。
267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 13:56:18.83 ID:WLo0G95R0
一語ずつ、解読する。
えーと……
「も」
「っ」
「と」
「や」
「れ」
……なるほど。
梓「律先輩、サイコロどうぞ」
紬「あぁん!梓ちゃん意外と加虐性欲者!」 フヒィーーン
梓「日本語で言わないでください」
性欲者言うな。
ちなみに英語だとサディズム。人を指す場合はサディスト。
……なんの話をしているんだ、私は。
268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 13:59:29.43 ID:WLo0G95R0
律「よし、梓にずいぶん差つけられちゃったから飛ばしていくぜ」
気合を入れて律先輩が投じたサイコロは『4』
『5』マス目ってことは……、ああ、腹筋か。
憂「一緒ですね、律さん」
律「ああ、足頼むよ。憂ちゃん」
憂「はーい」
律「なんていうかさー。このマス三人目だし、おいしくもないよなー」
今度はぼやきながらサイコロを投じる。
芸人かなんかですかあなたは。
出た目は『2』
律「十回か。ダメだな、やっぱり今日の私はついてないらしい」
憂「どうしてですか、『2』ならそんなに辛くないですよ?」
律「いやいや、面白さ的にだよ」
その髪型で言われても説得力に欠けるんですけど、とは言わなかった。
270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/22(火) 14:02:45.26 ID:WLo0G95R0
続いてサイコロを振るのはムギ先輩。
出た目は『6』
ムギ先輩の現在地は『3』だから、……む。私と同じマスか。
紬「いち」 パパウパウパウ
紬「にっ」 パパウパウパウ
紬「さん」 パパウパウパウ
紬「しっ」 パパウパウパウ
紬「ごー」 パパウパウパウ
紬「追いつきましたー♪」パパウパウパウ
唯「……」
唯先輩、もう完全に笑ってますよね?
梓「でもここ、豆腐ですよ」
紬「そうね、振れるのかしら……」パパウパウパウ
てっきり、全て把握しているものと思っていたけれど、
今回、ムギ先輩はパネルの命令には絡んでいないのだろうか。
271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/09/22(火) 14:06:43.49 ID:WLo0G95R0
紬「だって、分かっちゃったら私が楽しめないじゃない」パパウパウパウ
梓「ああ、なるほど……。ていうか、心読むのやめてもらえませんかね」
どこぞのスタンドですかよ。
紬「自覚がないのね。梓ちゃん、時折声に出してるわよ?」パパウパウパウ
梓「え。まじですか」
紬「ほら、ジェットコースターの時とか」
梓「ああ、声に出してましたね」
紬「『正解は、『9』マス目でしたー。 わーい』の件とか」
梓「……あー」
紬「『密・着・状・態!!』とか」
梓「声に出しちゃいけないとこばっかりじゃん!?」
がっくりと膝をつき意気消沈する私に、ムギ先輩は優しく囁いた。
紬「安心して、全部嘘よ♪」
梓「……なんだ、良かった。もう、脅かさないでくださいよ」
危うく騙される所だった。何か大切なことを忘れている気がしたが、問題ない。
私の名誉は守られたのだ。