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黒木玄さんの論考へのコメント集 - (2014/02/08 (土) 08:58:49) の編集履歴(バックアップ)


◆Q29. くろきさんは数学が専門なのにややこしい数学の話をまったくせずに、

この議論に参加しています。それは意識してのものですか。

もしも少し難しいことを述べても構わないと言われたら、どのようなことを説明したいですか?


◇A29. はい、意識して難しい数学の話をしないように注意しています。

そもそもこの議論の本質は難しい数学の話とは無関係です。

少し難しいことを述べても構わないなら、以下のようなことを説明したかったです。

 

(1) おはじきから連続量まで

 

まず、おはじきを長方形型に並べて掛け算を理解すれば掛け算の可換性(交換法則)

は明らかになります。なぜならば長方形型に並べたおはじきの個数はどの方向から

見ても同じであることは明らかだからです。たとえば

 

●●●●

●●●● ←●はおはじき

●●●●

 

のおはじきの個数は3×4=4×3です。これは易しい話。

 

このような理解の仕方は、おはじきを正方形型のタイルに置き換えれば

容易に小数もしくは分数の掛け算に一般化されます。 たとえば

 

■■■■

■■■■ ←正方形型のタイルをすきまなく並べた図のつもり

■■■■

 

のように正方形型のタイルが並んでいるとしましょう。

 

このとき正方形型のタイルの一辺の長さが 1 であるならば、

上のように並べたタイルの面積の総和はおはじきの場合と同様に 

3×4 = 4×3 になります。これも易しい話。

 

タイルの一辺の長さを1ではなく、1/nとみなせば面積は分数の掛け算になります。

上の図では (3/n)×(4/n) = (4/n)×(3/n) が面積になる。

この掛け算は分母が同じ分数どうしの掛け算になっていますが、

約分を利用すれば違う分母を持つ分数の掛け算も考えることができます。

たとえば上の図で n=6 とすれば 3/6=1/2 と 4/6=2/3 の掛け算

(1/2)×(2/3)=(2/3)×(1/2) が出て来ます。

 

小数を扱いたければタイルの一辺の長さを 0.1 や 0.01 などにします。

たとえば正方形型タイルを243×167に並べて、タイルの一辺の長さを0.01と

みなせば 2.43×1.67 について考えていることになります。

 

このようなアイデアに基づけば、おはじきを長方形型に並べた場合と同じ考え方で

分数や小数の掛け算およびその可換性も理解することができます。

 

それでは実数(連続量)の掛け算およびのその可換性はどのように理解できるのか?

(ここからが本当に難しい話になります。)

 

実数は分数(有理数)もしくは有限小数でいくらでも近似できる数のことです。

たとえば円周率にいくらでも近い小数を 3, 3.1, 3.14, 3.141, 3.1415, ...

と作ることができます。 (円周率の分数による近似には連分数を使うと良い。

面白い話なので興味のある人は Google などで検索してみて下さい。)

 

実数の掛け算は次のように定義されます。

まず、二つの実数 a と b のそれぞれに対して、それらを幾らでも近似する分数

もしくは有限小数の列 a_1, a_2, ... と b_1, b_2, ... を取ります。

(ここで a_1 は a の右下に小さく 1 という添え字を書くことを意味しています。)

そして分数もしくは有限小数の掛け算によって得られる

a_1×b_1, a_2×b_2, ... という数列で幾らでも近似される数(実数になる)

を a×b と定義します。

 

分数と有限小数の掛け算の可換性は上のタイルによる説明

(もしくはおはじきによる説明!)によって明らかでしょう。

よって分数もしくは有限小数の掛け算について a_n×b_n = b_n×a_n が成立して

います。このことから実数の掛け算の可換性 a×b = b×a が導かれます。

 

直観的には「分数の分母をどんどん大きくして行けば実数が得られる」

「有限小数の小数点以下の部分の長さをどんどん長くして行けば実数が得られる」

と考えて、その考え方で実数の掛け算も導入されると考えて構いません。

そして、分数の分母をどんなに大きくしても分数どうしの掛け算は可換であり、

有限小数の小数点以下の長さをどんなに長くしても有限小数どうしの掛け算は

可換であることから、実数の掛け算も当然可換であるということになるのです。

 

「いくらでも近似できる」のような難しい考え方をすでにマスターしている人は

実数(連続量)の掛け算の可換性が実はおはじきを長方形型に並べる直観的に

非常にわかりやすい話から出て来ることをすぐに理解できるはずです。

 

つまり、おはじきを長方形型に並べる話は実数の掛け算の可換性をも導くのです!

 

以上はそのまま算数教育に使える話だとは言っていないことに注意して下さい。

意識して少しだけ難しい話をしてみました。

 

しかし、算数教育の専門家には、おはじきを長方形型に並べるのと同じ考え方で

分数や有限小数の掛け算も理解でき、したがって実数(連続量)の掛け算にも繋げる

ことができるという話を当然の教養として知っておいて欲しいと思います。

 

こういう話がどこまで面白いかはわかりませんが、

せっかくなので説明してみました。

もしかして易し過ぎる話でしたか?

 

(2) 足し算と掛け算の公理的な特徴付け方

 

せっかくなのでもうひとつ。

 

3×5 を 3+3+3+3+3 と定めるというような方法で掛け算を定義せずに、

以下で説明するように別の方法でも 3×5 が何であるかを確定させることもできます。

 

まず、3×5について子どもに教える立場の人であれば算数で習う足し算や掛け算

がその導入の仕方によらずに以下の性質を持っていることを知っていると思います。

 

(1) (a+b)+c = a+(b+c)

(2) (a×b)×c = a×(b×c)

(3) a×(b+c) = a×b + a×c,  (a+b)×c = a×c + b×c

(4) a×1 = a,  1×a = a

 

結合法則(1),(2)のおかげで3つ以上の数の足し算や掛け算を括弧を略して、

a+b+c、a×b×c と書いても問題が無くなります。

それらを (a+b)+c、(a×b)×c で計算しても、a+(b+c)、

a×(b×c) で計算しても結果は同じになります。

特に 1+1+1+1+1 のような式を書いても良いということになります。

 

1+1+…+1 と表わされる数の足し算の可換性(交換法則)は結合法則(1)から導かれます。

たとえば 3 = 1+1+1、5 = 1+1+1+1+1 について

 

3 + 5 = (1+1+1)+(1+1+1+1+1) = (1+1+1+1+1)+(1+1+1) = 5 + 3.

 

二番目の等号で結合法則を複数回用いています。

 

分配法則(3)は足し算と掛け算の関係を記述しているだけではなく、

実は1の性質(4)と合わせると 1+1+…+1 と表わされる数の掛け算が何であるか

を確定させてしまいます。

 

たとえば、

 

3×5 = 3×(1+1+1+1+1)

     = 3×1+3×1+3×1+3×1+3×1    ((3)左)

     = 3+3+3+3+3                   ((4)左)

     = 1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1.

 

同様に(3)左と(4)左を使って

 

5×3 = 5+5+5

 

となることと(3)右と(4)右を使って

 

3×5 = (1+1+1)×5

     = 1×5+1×5+1×5                ((3)右)

     = 5+5+5                         ((4)右)

 

となることから可換性 5×3 = 3×5 も導かれます。

 

要するに算数で習う 1,2,3,4,... の足し算と掛け算はそれぞれの結合法則(2)

および分配法則(3)と1の性質(4)で自然に唯一通りに確定してしまうわけです。

(実際には結合法則(2)もいらない。自然数の積は(3)、(4)だけで一意に確定する。)

足し算と掛け算に関するたった4つの法則を知っておけば十分です。

(実際には可換性 (5) a×b = b×a も覚えておいた方が良いでしょう。)

 

このような話は数学をちょっと勉強した人であれば誰でも知っていることです。

「3×5 は3つのモノを含む集まりが5つあることだ」のようなことを言わなくても

掛け算を特徴付けることができ、可換性も容易に証明されます。

上の計算では 3×5 は自然な計算で 3+3+3+3+3 にもなるし、5+5+5 にもなります。

3×5 を理解するための出発点でどちらか片方を選ぶ必要はないのです。


★(↑)ココが大嘘。騙されてはいけない!

「上の計算では 3×5 は自然な計算で 3+3+3+3+3 にもなるし、5+5+5 にもなります。」(*)

をみちびきだすのに(4)を使っている。(4)は「当たり前のこと」と認めている。

これでは話にならない。

また、数学や算数では(数学から話を広げて自然科学とするとよりいっそう)

こんな「計算上の」公理的な扱いをせずに

 3×5=3+3+3+3+3

と考えるほうが自然な考え方。それを(*)とわざわざ「自然な計算」と言ってごまかしている。

計算としては「自然」(数学の方言)であるが、考え方としては

それ自体「数学として不自然」ではなくても

「3×5=3+3+3+3+3と考えるほうが(ずっと)自然」である。

見方によるというならば「少なくとも同程度に自然」である。

というワケで黒木のこの説明は

「3×5=3+3+3+3+3と自然に考えた場合、5×3=5+5+5となる」

と考える事が「非論理的」(であるワケないが)あるいは「不自然」であるとする根拠たりえない。


こういうふうに別の切り口を示しただけでゴマカシておいて

★(↓)この後はカッコヨサゲなはなしをサラっと持ち出してカッコウをつけて、

上でナンの根拠も示していないことをゴマカシているだけ。

本筋のはなしにはナンの関係も無い。


 

(元記事の引用続き)もちろん、数学的にウルトラ厳密に考えたい場合にはさらに細かいことを

色々言わなければいけないかもしれません(特に存在証明)。

ここではそういう厳密な議論は省略します。

 

最後に念のために強調しておきますが、

上のような足し算と掛け算の理解の仕方はいち解釈に過ぎません。

他にも色々な考え方をできます。

 

「3×5 は3つのモノを含む集まりが5つあることだ」のような発想に凝り固まって

しまった人は奇妙奇天烈な掛け算の解釈を見付けることで色々遊んでみると

良いかもしれません。

 

ちなみに最近の数学の話 (F_1 = F_un = 一元体がらみの話) ではじめから掛け算は

あるが、足し算はない世界にどのように足し算を導入するかのような話が出て来ます。

つまりその話では掛け算を使った足し算の解釈が登場することになります。

足し算が先にあって掛け算はその後に導入されるというのも単なる思い込みに

過ぎないのです。とにかく色々頭を柔らかくしないとダメです。

(実はそれは結構大変なこと! 常日頃からの努力が必要!)

 

この手の知識が直接教育の現場で役に立つことはないかもしれませんが、

個人的な希望としては大事な教養のひとつだとみなしてもらいたいです。

大人なら誰でも知っているような算数レベルの足し算・掛け算であっても

現代数学の最先端の立場から様々な考え方がされているという事実は

結構面白いのではないでしょうか。

 

補足:掛け算から足し算を作る話に興味のある人は次の論文の2.1節を見て下さい。

http://arxiv.org/abs/0911.3537

日本語でのわかり易い解説をブログに書いて下さっている方もいます。

http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama/20100629/1277774676

http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama/20100630/1277865895

http://d.hatena.ne.jp/m-hiyama/20100702/1278044435

(引用終わり)

 

 

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