メタ思考の彼方に(後編)

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メタ思考の彼方に(後編) - (2008/04/27 (日) 23:21:21) の1つ前との変更点

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            ※     ※     ※ お笑いの世界では、広く知られた……しかし、決して広く語られることのない『事実』がある。   それは、いわゆる『ボケ』の方が『ツッコミ』よりも『頭が良い』、という逆説的真実。 一見すると、ピントのズレた発言を延々繰り返す『ボケ』担当の人間。 一見すると、切れ味鋭い指摘を素早く繰り出す『ツッコミ』担当の人間。 深く考えず第一印象だけで見れば…… 大抵、『ボケ』は馬鹿に見える。愚かに見える。間抜けに見える。 大抵、『ツッコミ』は賢く見える。鋭く見える。カッコよく見える。 だが……しかし、よく考えて欲しい。 芸人の芸は1回限りのものではない。それが職業である以上、何度も何度も演じねばならないものだ。 それでもツッコミは、一発「当てれ」ば同じパターンの繰り返しでいい。 同じパターンを何度繰り返しても、「その芸人の芸風」と認識して貰えれば許されてしまう。 しかしボケは毎回違うネタを用意し、違う内容でボケねばならないのだ。この差は大きい。 綺麗に『ボケ』と『ツッコミ』で役割分担していた人気絶頂のお笑いコンビが、 ソロ活動を始めた途端、『ツッコミ』役がいつの間にかTVから姿を消し、『ボケ』役だけが長く生き残る……。 こんな例は、芸能界には数え切れないほど存在している。 これは、ちゃんと根拠のあることなのだ。 そもそも――「天然ボケ」という単語が存在すること自体が、言外に1つの事実を指し示している。 すなわち、「それ以外」の『ボケ』キャラが「天然」ではないという事実。 『ボケ』役を演じながらも、真に頭がボケているわけではない。 何も知らないように見えて、実は常人より遥かに多くの物事を知っている。 何も考えてないように見えて、実は常人より遥かに多くの物事を考えている。 広く大きく俯瞰する視点を持たねば、適切に『ボケ』ることは出来ない。『笑い』を生み出すことは出来ない。 全てを見据え、計算し、読みきって……その上で、実際に芸を演じる時には完全に「忘れて」みせる。 何も知らない愚かな道化のように、振舞ってみせる。 『ボケ』というのは、頭の良さと演技力、その双方が高いレベルで要求される難しいポジションなのだ。 だから。   ボケは、賢いのだ。   ボケは、強いのだ。 それこそ――なまじ知恵をつけてしまったような者より、遥かにずっと。             ※     ※     ※ ミスターマダオは……そして、焦っていた。 (あれは……どういう意味だっ!?) 戦いの最中に考え事をするのがどれだけ愚かな行為かは、マダオだって良く分かっている。 それでも、戦闘開始前にコロンビーヌが嘯いたセリフが、脳裏にこびりついて離れない。 クロムウェル解放――ロリカードの小さな身体から放たれた黒犬が、小柄な少女人形に襲い掛かる。 圧倒的な戦力差。いくら『最古の4人』の一柱とはいえ、所詮はたかが自動人形。 にも拘らず……ミスターマダオは焦る。苛立つ。力と気持ちが空回りする。 そもそも、「この程度の相手に」クロムウェル解放という手段に「追い込まれている」ことが普通ではない。 (……『アナタたちが居るその位置は、既に『我々』が二千年前に通過した場所だもの』、だと――?!) 脳裏に何度も反響する、恐らくは漫画『グラップラー刃牙』の烈海王の有名セリフを元にした言葉。 おそらく『二千年』という数字に意味はない。ずっと昔に、という程度の意味だ。 だが、『アナタたち』とは――? 『その位置』とは――? 『我々』とは――? 悩むマダオの眼前で、黒犬獣が大きな牙を剥いてコロンビーヌを噛み千切ろうとして……弾き飛ばされる。 いつ行われたか察知することも出来ない、完璧な、殺意なきカウンター攻撃。 小さな人形の拳で、魔犬・バスカヴィルを吹き飛ばすという荒業。 漫画ロワの書き手であるミスターマダオには、その構えや動きに覚えがある。 まさか……いや、しかしなんでコロンビーヌが、そんな技を……!? 「北斗神拳が究極奥義、『無想転生』だと……っ!? 何故、貴様如きがっ!?」 「『今の』マダオちゃんには分からないと思うわん♪」 無こそは最強。無から転じて生を拾うことで、あらゆる攻撃を無効化し、逆に回避不能な攻撃を返す―― 北斗神拳究極奥義、『無想転生』。 対人戦闘において、漫画ロワ出典で繰り出しうる技の中でも最強クラスの奥義。 それをこうまで使いこなされてしまえば、いかに黒犬獣や使い魔をけしかけたところで……! 「『今の』マダオちゃんには『愛』がないわ。『悲しみ』もないわ。  でも、『今の』私にはそのどちらも良く分かるのよん♪」 「なっ……しかしっ、その『愛』も『悲しみ』も、所詮は『なりきり』の上のものだろうがッ!!」 究極奥義・『無想転生』を習得し使いこなすための前提。 それは、真の愛と悲しみを背負っていること。 マダオの視点からでは、コロンビーヌが鬼軍曹とどんな愛を育み、悲しみを感じたのかは分からない。 だから本来なら、否定も肯定も出来ない。 その技の性質と、「ロワ的な盛り上がり」を考え、「ロワ開始後に習得したのだろう」と推測するのが精々だ。 けれど――それは全て『偽り』だろう!?  書き手自身の『真の名前』も『真の過去』も『真の性格』も何もかも伏せられて、 代わりに、名前や代表作に由来するキャラの名前や性格や趣味嗜好を被せられて…… そんな状態で、何故そんな技が使える!? 『全てが嘘偽りだとしても、この気持ちだけは本物だ』……そんな奇麗事で誤魔化すつもりか!? マダオは動揺しながらも、パニッシャーを乱射する。 乱射するが……1発も、当たらない。全て虚しく空を切る。 コロンビーヌが、コロコロと笑う。 「そういうことを言っちゃうから、『今の』マダオちゃんは『つまらない』のよん。  『ついさっきまで』のマダオちゃんなら、別に邪魔しようとも思わなかったのに……♪」 「な……嘗めるなぁァァァァッ! 『外見』に沿わぬ『技』を持っているのは貴様だけではないッ!」 『つまらない』。その短い一言は、書き手にとって最大級の侮辱の言葉。 マダオは決して自分を最強だとは思っていない。最強を望んでもいない。 繋ぎメインで山場を他人に譲ることにも抵抗のない、そんな書き手だ。 だが、嘗められたくはない。嘗められることだけは許せない――! クロムウェルもパニッシャーも効果がないと見るや、彼女はそして、最後の切り札を切る。 「我がスタンド、『世界(ザ・ワールド)』ッ!」   ドンッ! 黄金に輝くスタンドの出現と共に、周囲の全ての動きが停止する。 ミスターマダオの能力、『世界(ザ・ワールド)』……本来は吸血鬼DIOの持つ能力。 時の止まった世界の中で動けるのは、マダオただ1人のみ。 時間が止まってしまえば、『無想転生』もクソもない。 与えられた猶予は制限もあって3秒、そしてマダオはコロンビーヌに突進する。 確実に、その無機物で作られた人形の身体を叩き壊してやる! 1秒――彼我の距離を詰めると共に、パニッシャーを鈍器として構え、高々と振り上げて。 2秒――ロリボディとはいえアーカード渾身の力を篭めて、コロンビーヌの脳天に、振り下ろし、 3秒、 ――しかし、この時間停止……便利なのはいいけれど、何故自分が使えるのか? ――漫画ロワの書き手は何人も何人も参加していたのに、何故、この『ミスターマダオ』だけが? ――今はそんなこと考えている場合じゃないとは思うが、気付いてしまった以上気になって仕方なく……!   そして、時は動き出す。 「――なッ!?」 「――北斗神拳奥義、『無想転生』――」 2秒ジャスト。予想よりも1秒早い、時止めの解除。 今まさにコロンビーヌの頭を打ち砕かんとしていたマダオは、空振りの手応えに自分の敗北を知って。 間一髪、究極奥義を発動させたコロンビーヌは、ロリカードの胸に拳を突き入れながら、再び囁いた。 アーカードを倒しうる唯一の場所、心臓のある左胸を貫きながら、残酷な一言を、笑いながら囁いた。 「もう一度言わせて貰うのよん……  『アナタたち(メタ視点考察キャラ)』の居る、『その位置(メタ視点)』は――  既に『我々(ボケ系ギャグキャラ)』が、二千年前に通過して、とっくに『通り過ぎちゃった』場所よ……! 」             ※     ※     ※ コロンビーヌは、このバトルロワイヤルが始まって以来、ずっと『ボケキャラ』を通してきた。 別に、計算してその位置を選んだわけではない。 別に、演技で己を偽っていたわけでもない。 コロンビーヌは、(書き手ロワ的な意味で)「生まれついての」完全なボケキャラだった。 彼女やギャグ将軍ほどのレベルになると……全てを俯瞰して「見えて」しまう。 全てを「見通して」、メタ視点で状況を把握して、「最も素晴らしいボケと立ち回り」を察知して…… そして、完全に「忘れて」しまう。 嘘や偽りではなく、本当に自ら一度は手にした「メタ視点」を放棄してしまう。 放棄してこそ――その行程を全て無意識で行ってこそ、良ボケキャラなのだ。 コロンビーヌは、真の愛を知っている。 コロンビーヌは、真の悲しみを知っている。 どちらも「なりきり」上の偽りのものではない。真の愛であり、真の悲しみだ。 「どうせなりきりでしかないから」、などと醒めた目線で突き放すのではなく……真に味わい尽くす。 その、真摯にこの世界に向き合う態度こそが、彼女の力の源泉。 ミスターマダオは、「ノルマ」を気にして戦う地球破壊爆弾を「つまらない」と断じた。 しかし、コロンビーヌからすれば、中途半端な「メタ視点」に「捕らわれてしまった」マダオこそ「つまらない」。 そんな、中途半端で「つまらない」相手に、せっかくの恋愛イベントを邪魔されるのは勿体無さ過ぎる――。 そう……中途半端。 ミスターマダオの敗因も、まさにそこにあった。 中途半端に抱いてしまった疑念。「なりきり」への疑い。 疑ってしまったからこそ……『世界(ザ・ワールド)』の効果も弱くなってしまった。 ただ、それだけのこと。 そもそも…… メタ視点に目覚めた者は、目覚めてない者より「偉い」のだろうか? メタ視点に目覚めた者は、目覚めなかった者より「賢い」のだろうか? ……否。そんなことはない。 むしろ、メタ思考がかえって枷となることもある。不幸を呼ぶこともある。 メタ思考に目もくれず駆け抜けた者は、だから逆に、このロワを楽しみきったとも言えるのだ。 メタな考察が流行しつつある中、それでもきっと、それはこのロワの本質ではない。 むしろ、メタ考察を得た「その向こう」に何を見、何を望むか。そして何を「見なかったこと」にして忘れるか。 おそらくは、それこそが大事になってくるわけで――! かくして、愛の天使の予言は現実のものとなり。 人外ロリ2人の死闘は、ここに決着した。             ※     ※     ※ 「全く……その程度じゃ『覚醒』と言うには弱すぎるのよん。  マダオちゃんが、『真に』心から怒ったり、愛したりしてたなら好きにさせてあげたのだけどねん。  地球破壊爆弾ちゃんも『黒猫』ちゃんも、既にその領域……メタ思考を超えた、『その先』にいるのよん♪  あなたももう少し、いろんな意味で『突き抜け』なさい――!」 コロンビーヌはそして、倒れて動かぬマダオをその場に残し、翼を広げる。 いい月だ。 愛を囁き育むにはこれ以上ないであろう月夜。 会場は広い。生き残った人々は多い。 まだまだお節介な介入を要する『愛』の火種はあちこちに残されている。 それらを守り助けることこそ、コロンビーヌの願い。 愛の天使は、そしてその場を飛び去って―― 【G-8/病院のそば(空中)/夜中】 【コロンビーヌ@漫画ロワ】 【状態】:疲労(中)、ダメージ(小) 【装備】:ゾナハ蟲@からくりサーカス 、携帯電話@現実、腕時計型麻酔銃(残弾1/1)@漫画ロワ 【道具】:支給品一式×2、ティーセット一式、麻酔銃の予備針×3 、変化の杖、キャンディー×2      焦ったドラえもん・うっかり侍・孤高の黒き書き手の服、対戦車地雷×7個、ポン太くんスーツ@スパロワ(大破)      【思考】基本:恋愛ばんざい  0:鬼軍曹を生涯愛し続ける  1:宿った命を大切にする  2:愛に介入しようとする邪魔者は倒す  3:そういえば、新生クライシス帝国のみんなはどうしているかしら?  ※容姿はコロンビーヌ(ロリ)@からくりサーカスです。  ※ギャグ将軍にシンパシーを感じています。  ※猫子頭の鬼軍曹と結婚しました  ※ロワ内の愛を感知できるようになりました。お邪魔虫もわかるようです  ※真の愛と哀しみを知り、北斗神拳奥義『無想転生』を習得しました。  ※この後、この場を立ち去ってどちらに向かうかは後続の書き手にお任せします。             ※     ※     ※ ……完敗だった。 大の字に倒れ、綺麗な月を見上げながら、マダオは思う。 あの瞬間……コロンビーヌは、マダオの心臓をそのまま突き破ることも出来たはずだった。 けれども、実際に突きを入れられたのはそのすぐ近く。 名前は知らないが……おそらくは、北斗神拳の秘孔の1つ。 吸血鬼の身体に秘孔など効くものか、とも思うのだが、しかしそこは「疑い」を持ってしまったマダオのこと。 実際にこうして、身体が痺れてしまって、全く動けない。 吸血鬼としての能力が、落ちてしまっているのだろう。『世界』のスタンド能力が不完全だったように。 「もう1人の自分」である転を喰らって、確かにパワーアップしたと感じた。 何人もの死体を喰らって、確かに情報は増えた。 メタ思考に到達して、確かにこのロワの真実の一端には触れた。 それらはきっと、全て真実だろう。マダオの持つ潜在力、潜在的な価値は、確実に上がっている。 けれど……まだ、これでは足りないのだ。 漫画ロワ最古参・『最古の四人』に並び立つには。 そして、もう1人のアーカード・地図氏に打ち勝つには。 むしろ今のマダオは自身の存在に疑いを持ち、自身の持てる能力を十全に発揮できない状況にある。 コロンビーヌは、「もっと突き抜けろ」と言った。 ならば、突き抜けてみせよう。 「メタ視点」の保持と「なりきり」の両立。そこに届くまで、突き抜けてみせよう。 コロンビーヌ(ボケ系ギャグキャラ)にも届いたのだ。自分(強対主催)が届かぬ道理がない。 ミスターマダオは、ここに誓う。 「もう少し待っていろ……真の愛も真の悲しみも、必ず見つけ出してみせる。  貴様らがいるというその領域に、辿り着いてみせるっ!」 それらを見つけだした時、きっとアーカードの身体は完全なものとなる。 きっと秘孔の効果も消え、また元通り動けるようになる。 彼女はそして、月を見上げて叫んだ。 「そして最後は……やっぱり熱血エンドだろッ!!」 それだけは――その目標だけは、やっぱり譲れない。 その想いこそが、きっと、『ミスターマダオ』という存在の――! 【G-8/病院のそば/夜中】 【ミスターマダオ@漫画ロワ】 【状態】:体力全快、強い決意、強い仲間意識 、首輪解除、秘孔を突かれて全身麻痺・大地に大の字 【装備】:パニッシャー@トライガン(機関銃:残り弾数80%、ロケットランチャー:残り5発)、運動服(ブルマ)、 【道具】:支給品一式、未定支給品×1(本人確認済み) 【思考】  基本:対主催!目指せ熱血脱出エンド!  0:突き抜けて「メタ視点」と「なりきり」の両立を図る。そして地図氏やコロンビーヌと並び立つ存在となる。  1:なんとか体調を取り戻し、復活して病院に戻る。  2:地図氏を力ずくでも説得して脱出エンドに協力させる(なりきりについて詳しいことを問いただす?)。  3:DIE/SOULやロリスキーを探して守る。  4:黒猫(666)は必ず殺す。  5:仲間をもっと集めて対主催。  ※容姿はアーカード(ロリ状態)@ヘルシングです  ※転と仮面ライダー書き手とウッカリデスを喰らって記憶を受け継ぎました。  ※自分が本物の書き手ではない可能性を疑っています。  ※転の血を吸ってパワーアップしました。新たな力が使えるかもしれません。  ※孔明と地図氏と感電氏が『危険な対主催』だということを知りました。  ※転の記憶を使って首輪解除ができるようになりました。  ※ライダー書き手の記憶で携帯電話のwikiの存在を知りました。その携帯をコロンビーヌが持っているのを目撃しました。  ※なりきりへの「疑い」から、持っている能力が完全に発揮できなくなりました。   ただし発想の転換を果たせば治るかもしれません。 【世界(スタンド)】  世界を使用でき、時止めも可能です(3秒まで?)。  制限は漫画ロワに準拠――『体力の消耗』『時止めの再使用には10秒必要』『スタンドは見れるし触れる』 |259:[[メタ思考の彼方に(前編)]]|投下順に読む|| |259:[[メタ思考の彼方に(前編)]]|時系列順に読む|| |259:[[メタ思考の彼方に(前編)]]|ミスターマダオ|| |259:[[メタ思考の彼方に(前編)]]|地球破壊爆弾No.V-7|| |259:[[メタ思考の彼方に(前編)]]|クールなロリスキー|| |259:[[メタ思考の彼方に(前編)]]|コロンビーヌ||

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