『冒険者で寝取られ』 後編1

 

 

 

 

 

 

 

   1

 

「──ン、……アッ……アッ……アッ……」

 

「ア……ア……ア……ア……ア……ア……」

 

 どこかで聞いたような、甘みを帯びた声。

 

 僕はうっすらと瞼を開けました。片方が開かない。後々それは血が乾いて固まっているのだと分かりました。

 

 暗く静かでした。いやなほどに静かでした。

 

 意識を喪っていたのだと気付き、そして──死んでないことにも気付きました。死にかけであることは変わりないですが。

 

 僕は石畳に頬をつけて寝転がっていました。

 

 ところどころで同じようにカンテラが転がり、一つ二つがまだ小さな灯火を揺らめかせている。

 

 その仄かな光に浮かび出されるように、何かがゆっくりと、通路のあちこちで、妖しくくねっている──蠢めいている──

 

 何だろうと思いましたが、同時に、なんて艶めかしいんだろう──と、その動きを眺めて、そう感じてしまいました。

 

 ですが、すぐにそれが、単色になった男と女が一つのように動いているものだと──僕のよく知っている女性達が、異形の半人どもと、なまなましくからだを重ねているものだと──数瞬遅れて、やっと認識できました……。

 

 

 

 ……ペティ達とオークどものセックスだったのです…………。

 

 

 

 彼女達はもう、押さえ付けられてなどいませんでした。抵抗らしい抵抗もせず、オークどもを受け入れていました。奴らが腰を進めるたびに、その刺激を感じている吐息を漏らし、体液まみれの太ももを痙攣させ、オークどもの責めに応じて声が跳ねたりすらしていたのです。

 

 ああ──ペティ達は、無情にも、これまでの女性達とまったく同じ運命に遭っていたのです…………

 

 冒険を共にしてきた仲間達が、一人残らず全ての物を剥ぎ取られ、蹴散らすことなど造作も無いはずの下級モンスターに囲まれ、そこだけは分不相応に猛々しいペニスに貫かれて、からだの奥の奥まで奴らに侵入され、モンスターの子種を注がれていたのです……。

 

 それは、豚の頭さえなければ、人間とまったく変わらぬ営みに映ったかもしれません。それぐらい、ペティ達はオークどものなすがままにされていました。

 

「気付いたのかクラスト……大丈夫か……」

 

 この世の空間とも思えぬ中で人間の声がして、首を少し曲げると、隣に流血している片腕を抑えたベンゼマがいました。

 

「飲め……」

 

 ベンゼマは僕の手の中に小さな薬瓶を握らせました。ペティがバックパックに管理していた中で一番高価な回復薬でした。冒険者御用達の店で貴重な霊薬として出されていたのを、ペティがいざという時のために奮発したのです。

 

「隙を見て取ったんだ……早く飲め……」

 

「すまない……」

 

 僕は腕の痛みを堪えてコルクを抜き、くっと一気に中の液体を飲み干しました。

 

 薬剤の刺激と治癒の魔法を帯びた薬の力が全身に染み渡るようでした。

 

 しかし全身の痛みは少し和らいだものの、それでもまだ立ち上がる気力さえ湧いてきませんでした。

 

「オークどもがどのぐらいいるか分かるか……多少どっかいっちまったが……総勢百匹はいる……」

 

 ペティ達が貫かれているのを周りで見ているオークどもの数は、確かに失神前より少ない気がしました。それでも信じられない数でした。オークがこれほどの集団で行動できる魔物だったなんて……。

 

「くっ……彼女達は……お前が気を喪ってる間に……全員に強姦(まわ)されたんだ……奴らはそれでも飽きたらず……もう何周もしている…………」

 

「そっ……んな………………」

 

 その結果がこの光景──衝撃的な話に耐えかねたのか、頭がクラクラとし、重い混濁が襲いかかってきました。抗い難い強烈な倦怠感。それとともに、再び意識が希薄になっていきました。

 

 今度こそ死への眠りだろうか──そう感じながらも、なんで僕だけこんな許しを得られるのか、と思いました。ペティ達にはある意味、死よりも酷い運命を与えているというのに。僕だけはこんな安らかな時を迎えられるなんて理不尽だ──オークどもよ、僕をもっと叩き潰してくれ──切り刻んでお前らの食料にでもしろ────

 

 こちらに向けて並べられた五人の脚が割り開かれ、拝んだこともない秘陰が競りにでも出されるような無造作さで露にされ、白濁で穢されまくったその部分が上下からサンドイッチになりました。そうして全員揃ってヴァギナとアヌスにペニスを交互に抜き差しされる光景が最後でした。顔は見えませんでしたが、奴らのペニスが出入りする度に悲鳴とも嬌声ともつかない腹から出る喘ぎ声、脚のひきつりと腰の動きが、彼女達がその同時責めを──苦しみも含めた意味で──感じまくっているのが分かりました。

 

 そして、オークの長いペニスが二穴ともに根元まで埋没し、奴らが気持ち好さそうに呻き鳴くよりも大きい、甘みさえ帯びた声が一斉に響き渡りました。五人全員の脚がビクビクとつったように指先まで張り詰めて宙を漕ぐのを見ながら、僕の視界は真っ黒になりました。最期にせめて、苦しむだけではない彼女達の姿を見られたことに、どこか安堵の念を覚えながら──。

 

 

 

 

 

 

   2

 

 

 次に目覚めた時、石壁、鉄格子、伏せっていた敷き藁──それだけの世界に僕はいました。

 

 死んでない──のか────

 

 素裸になった躰を動かすと、全身が苦痛を発したものの、その鮮度の高い感覚は、前より遙かにましに思えました。流血も止まっているようで、気怠さは拭えませんでしたが、いよいよやはり、死んでいないんだな──と、暗鬱に考えました。

 

 そこで気付きました。視界がやけに赤いと。一瞬、目に血が入っているのかと思ったのですが、それは檻の中に赤い光が差し込んでいるからでした。

 

 苦労して何とか立ち上がり、ふらつく脚で鉄格子に寄り掛かると、重い錠が掛けられた向こう側は、無数の縄や鎖が天井から垂れ下がった真四角に近い大部屋でした。中央に二、三人は横になれるほどの台があり、その真上には天井から棒が伸び、どういう原理かは知りませんが、先端に鈍い赤光を放つ球体がくっついていて、それが灯りとなっていたのです。

 

 おそらく光熱の魔力が籠められているのでしょう、熱も発しているようでした。見るからに冷たい石に囲まれたこの空間で全裸でいるのに、それほど肌寒さを感じませんでしたから。魔族が作ったダンジョンには、時々、盗掘者にとっては垂涎ものである驚くような魔法的技術が備わっています。

 

 目を下に戻すと、四方の壁には僕が閉じ込められた場所とまったく同じ造りをした小部屋が並んでいました。一面に独房は五つあるようでした。

 

 そして、僕の正面に五人が入っていたのです。ベンゼマだけは左手の一室、出入口通路の脇にいるようでした。オークどもの姿はありませんでした。

 

 僕達は全員の命に別状はないことをひとまず喜び合いましたが、誰の声にも力はなく、特に女性陣の虚脱状態は酷いものでした。低照度に目が慣れてくると、全員が下着ひとつ付けさせてもらっていないことも分かりました。

 

 ベンゼマの説明で、あの後ダンジョン深くにあるこの牢獄のようなフロアに連れられ、何時間か経っていることを知りました。

 

「俺の仲間もここに監禁されていた。ちょうど俺がいる独房の裏が見張りどもの詰め所だ。鍵もそこにあるが、かなりの数の声が壁の向こうから聞こえる……」

 

「ベンゼマ……」と、悲しみを帯びた声を出したのはペティでした。彼女は僕の真向かいにいました。「あなた、オークはニ、三十匹って言ったわよね……それどころの数じゃないじゃない…………」

 

「……そ、それは……」

 

 返事に窮したベンゼマに、アラサが畳み掛けました。

 

「しかも、その数で一斉に襲いかかってくるとは……まるで軍隊のようだ。我々を罠にかけ、隘路(あいろ)を選び、下手に武器を持たず、明らかな目的の元に……くっ……」悔しそうに歯噛みするアラサ。「オーク程度の魔物がここまで賢く統率された話など聞いたことがない……」

 

「い、いや……俺もここまでとは……知らなかったんだ……単独で潜入したからな……」

 

 しんと静まり、ベンゼマに対する不信が漂いそうな空気に、

 

「そうじゃない」

 

と、僕は声を絞り出しました。

 

「元はと言えば、僕が悪いんだ。リーダーの僕が一番注意しなければならなかったんだ。もっと考えを巡らすべきだった。今までと違う様子に、もっと早く対応を考えるべきだったんだ。なのにそれを怠って、ただ漠然と奥に進むだけだった…………呆れるほどどうかしてた…………ごめん、皆んな…………」

 

 その時、ガコンという音がベンゼマのいる方からして、オークどもがぞろぞろと室内に入ってきました。

 

 奴らを見たペティ達は恐怖にひきつり、檻の奥に逃げましたが、オークどもはどの個室にも充満するほど入り込み、その肉の壁の中から皆んなの悲鳴や哀切な声が聞こえてきました。

 

「やめろ……やめろお…………!」

 

 僕の声など無力でした。一匹たりとて振り返りもしませんでした。

 

 そのうち五人とも顔も股間も夥しい白濁にまみれた姿で外に引っ張り出され、それだけでも痛ましいのに、手足を鎖に掛けられてうつ伏せや仰向けで吊るされたのです。大きく開脚した姿勢で。そうしてさらにオークどもの陵辱が降り懸かったのです。

 

 ジャラジャラと鎖を鳴らしながら、オークどもの腰の高さに浮いた彼女達は、前から後ろから、時にはアヌスを犯され、次々と口内に、腸内に、そして胎内に、おぞましい体液を注ぎ込まれました。注がれ過ぎて彼女達の股の間から粘ついた落水がボタボタと生まれるほどに。

 

「やめてくれ………………こんな………………!」

 

 それ以上立っていることができず、僕は鉄格子を掴みながら崩れ落ちました。

 

 赤い照明と大小のうめき声も相まって、これはもう現実の光景とは思えませんでした。

 

 陵辱の嵐に見舞われて抵抗らしい抵抗を失ったペティ達は順次鎖から降ろされ、床に、台にと寝かされ、あるいは抱えられ、再び思い思いの体位で犯され出しました。彼女達の喘ぎ声と豚声が室内に満ち、あの時見たような艶めかしい踊りが始まったのです。

 

「やめてくれ…………」

 

 その時、入り口付近が騒がしくなりました。

 

 

 

 

 

 

   3

 

 

 十匹ほど新たに引き連れながら、偉そうに胸を張ったモヒカン髪のオークが入ってきました。こいつはその特徴的な髪型の他にも服を着ているところが他のオークとは違っていました。とは言ってもベストのような上着一枚だけですが。下半身は他と同じく汚らしい物をさらけ出し、しかしそのペニスはどのオークよりも大きく、黒々としていて、下級の魔物のくせにやけに威張りくさったようなものがありました。

 

 そいつは部屋の様子を眺めると、僕のところまで来て、

 

「オキタカ」

 

と、僕らの言葉を喋って見下ろしました。

 

 その時、こいつがオークの親玉か、と、直観しました。

 

「オス オマエラ ダケカ」

 

 ベストを着たモヒカンオークはそう言って僕と向こうのベンゼマを交互に見つめ、

 

「メス コンナニ ツレテクルトハ アリガタイ! シカモ ミナ ワカイメス バカリ!」

 

 そう言うと、「ブッヒッヒッヒッ!」と、下卑た笑いを上げました。

 

「オレハ げすとん オレガ りーだー」

 

 ゲストンと名乗ったモヒカンオークは、

 

「オレ アタマイイ オレ トクベツ オマエラ オレノ ワナニ ハマッタ!」

 

と、自慢気に喋り、あざ笑うようにまたブヒブヒと鳴きました。

 

 こいつがあの罠を用意し、これだけの数のオークを統率している──どう見ても頭の悪い喋り方ですが、そう考えるとよほど優れた個体なのかと思いました。

 

「ドッチガ りーだーダ?」と、僕とベンゼマを順に指差します。「ソレトモ メスガ りーだーノ ナサケナイ オスカ?」

 

 僕が睨み上げると、

 

「オマエカ」

 

と、顔を近付けて格子越しにジロジロと睨み返しました。鼻の曲がりそうな匂いの息と体臭が吹きかかり、顔をしかめずにはいられませんでした。

 

「バカナ りーだーメ! オレノ ホウガ カシコイ! オレタチ おーくヲ バカニ スルカラダ!」

 

 言い返すことなど出来ませんでした。ダンジョンに入る前、ベンゼマが女性達に注意を呼び掛けましたが、本当に必要なのは僕だったのです。僕がリーダーとしてもっと用心していれば、警戒していれば、注意深くあれば……こんな事になるのを防げていたかもしれない──それが悔しく、涙がこぼれました。

 

 ペティ達が覚悟している? 彼女達の運命を決める最終決定は僕が下したのです。勘はいつものとおり? ペティとベンゼマのことなど気にしてオークを侮ったままの僕が馬鹿だったのです。

 

 うなだれた僕を見て、ゲストンは満足したように胸を反らせました。そして僕から離れ、乱交現場の隙間を縫うように、その様子を視察するように室内を巡り始めました。そして、レスティアのところまで来ると、「えるふカ オイ ドケ」と、彼女を犯していたオークを両手で突き転ばしました。

 

「オレノぺにすハ ヒトアジ チガウゾ。トクベツコイ ざーめん タップリ コブクロニ ノマセテヤル!」

 

 それまでのより一回り以上大きな黒い肉怒張がドロドロになったレスティアのヴァギナに突き立てられ、「アアアッ♥」と、彼女のからだがわななきます。

 

 そうしてゲストンが激しく腰を振り始めると、レスティアはたまらない風に白い喉を晒しました。心地好さを感じているとはとても思えませんでしたが、今までより大きく、深いところまで達する刺激が強いのか、その突き入れに声とからだを震わせ、息が荒くなっていきました。

 

「キドッタ えるふノ メスメ。オクマデ グチャグチャ ジャネーカ」

 

と、ゲストンは豚頭をこちらに向け、ブヒッブヒッブヒッと笑い声を立てました。

 

「ソラ ミセテヤル オカサレマクッテ コナレテルゼ」

 

 抵抗しないレスティアの双臀を抱えて立ち上がり、背面で繋がったまま、ゲストンは僕の眼前まで来ました。レスティアはもうまともな受け答えもできない状態で、自分を貫く新しいオークの胸に背を預けてしまっていました。

 

「オラ、オラ、オラ!」

 

「あっ、あっ、あっ……♥」

 

 神秘の種族であるエルフがオークに尻肉を掴まれながら目いっぱい開脚した姿は、この上ないほど低劣で扇情的でした。ゲストンが腰を振るたびにレスティアの乳房がぶるぶると上下に揺れ、奴の黒々とした太いペニスが白濁の粘液にまみれながら彼女の陰裂に出入りします。奴の性器は陰嚢の皮襞一つに至るまで真っ黒で、本当に他のオークとは違う禍々しさに満ちていました。

 

「レスティア……くう……!」

 

 それを見ていたベンゼマが悔しそうに歯を食いしばり、目を瞑って俯きます。

 

「見……ない……で…………」

 

 それがやっとのように、レスティアはかすれた声で言いました。美しい顔も髪も口の中もオークの穢らしい体液にまみれ、今にも気を喪いそうな表情でした。

 

「イーヤ タップリ ミロ! ウツクシイ えるふニ オレタチ おーくノ ざーめんガ ソソガレル トコロヲナ!」

 

 そう言ってゲストンはさらに盛んにグラインドし、レスティアを責め立てました。

 

「あっ、あっ、あっ、あっ、あぁあぁ……ッ♥!」

 

 脱力でゲストンの侵入をすっかり許し、ベンゼマを上回る剛物が彼女の奥の奥まで達していました。ただでさえ魅惑的なレスティアのからだが、顔が、逞しいペニスに擦られて生じる淫感に痺れ、下半身の行為を受け止めていってしまいます。女、いえ、生物として致し方ないからだの反応が、本能が、生理的な昂奮を高めていってしまうのです。

 

「イクゾ! コブクロニ ヒッカケテヤル!」

 

 プギイィィと叫んだオークの頭目が、ぐっと腰を突き出して踏ん張りました。

 

「イヤッ──アアアァァァ………………♥!!」

 

 ゲストンのペニスを根元まで突き入れられたレスティアが、悲しげに声を上げ、アッ、アッ、と、からだを痺れさせます。

 

「ウアッ……アッ……アァ…………♥!! 熱いぃ…………♥♥!!」

 

 突き上げられながら、ドロドロとザーメンが垂れ落ちてくる結合部の下、真っ黒な陰嚢に僕の目は縛られました。まるで独自の生物のようにグニグニと動いていたのです──普通でもよく見ると動いている陰嚢ですが、それとは比べものにならないほどだったんです。

 

 その射精を受けるレスティアの表情は、虚ろながらも頬にはっきりと朱が差し、赤い舌が覗き、ベンゼマの時のように夢を見ているようでした。正直、気持ち好さを感じてしまっているのではないか──と、思わずにはいられませんでした。

 

「ブヒッ、ブヒッ、ブヒッ。ノミコンデイルゾ。オレノざーめんヲ オマエノコブクロガ オイシソウニ ノミコンデイルゾ」

 

「あ──あぁ……んん……♥! い……いやぁ……ウソォ……違う…………!」

 

「ジャアコノ メスアナノ シマリハナンダ? オレノぺにすヲ ギュウギュウ シボリヤガッテ。キモチヨクッテ タップリ デチマウジャネエカ」

 

「ち……違……ァァ……! イヤァ……ハァァ……ンン……♥!! み、見ないでえぇ……ベンゼマ…………クラストォ…………ウゥゥ……♥!!」

 

 ゲストンの突き入れての放出に合わせるように、レスティアの腰が、ビクッ、ビクッ、と、弾みました。

 

 そして、イッたことを示すように、からだが弛緩した後、

 

「──ハァーッ、ハァー、ハァー………………♥」

 

と、緩んだ唇から涎を垂らしながら、乳房の大きな上下を繰り返したのです。

 

「ブヒヒヒヒ! ナカマノ オスノマエデ メスヲ オカスノハ コレダカラ ヤメラレネエ! ブヒヒヒヒヒ!」

 

 レスティアは再び他のオークどもに饗(きょう)され、入れ替わりにアラサが連れて来られました。

 

「アラサ…………!!」

 

「あぁ……クラスト……すまぬ……うあぁ……!」

 

 一言交わす間もあらばこそ、僕の頭上の鉄格子を掴んだアラサの後ろからゲストンが彼女を貫き、「あっくうぅ……♥!」と、彼女はビクビクからだを震わせました。

 

 アラサだけは何度陵辱されても気丈に堪えているように見えましたが、間近では下半身もガクガクと大きく震え、今にも崩折れそうなのが分かりました。

 

「オオォ ヨクシマル……! イイアナダ!」

 

「うくうぅっ……! お──おおきいぃ……ッ!」

 

 苦しみと快感、その両方に堪えるように眉間にしわを寄せようとしますが、奴が往復するたびに目論見は脆く崩れ、

 

「くっ、うっ、うっ、あっ……ああっ……くっ……くうぅ……あぁ……♥」

 

と、真っ赤な顔に緩みが広がり、女の表情が出てきます。

 

 もっと筋肉質だと思っていたアラサのからだは、想像よりもずっとむっちりとしていて、胸も腰もふっくらと丸く、女性らしい曲線を描いていました。重量感のある乳房が僕の眼前で垂れ、たぷたぷと揺れていました。

 

「なっ……情けない……いぅぅッ♥ ──す、姿を……見せて……しまって……んっ、うぅん♥!」

 

 何とかそう言うと、アラサは微笑みを浮かべましたが、それはすぐにゲストンの抽送の刺激に掻き消され、元の女の表情に戻ってしまいます。

 

「うあっ……あああっ……♥!」

 

「アラサ………………!」

 

 僕は何も言えませんでした。痴呆のように口を開けているだけです。

 

「オークごときに……ふっ……ふっ…………不覚…………!」

 

 引き締まった大人のからだと豊満な果実が激しく揺れます。全身を濡らすオークの体液とアラサの汗が飛び散って僕にも掛かりました。

 

 ゲストンの動きが変わり、双つの乳房の突起をコリコリ抓みながら奥を擦るように深く挿入されると、アラサはビクンとしなり、恍惚の色が射しました。

 

「ぅおっ……あおおっ……おっ……♥!」

 

「ンン? イマ シマッタナ? チチ イジラレナガラ オクガ ヨワイノカ」

 

「おお……だっ、だめ……だめぇ……おおォン……ッ♥!」

 

 片手では掴みきれないほどの乳房を両方とも揉みしだかれながら、二人の下半身が密着し、蛇のようにうねうねと下から上に動き出すと、アラサの反応や喘ぎ声の質も明らかに変わりました。

 

「はおっ……おお……♥! おぅ、おぅ、おうぅ…………♥!!」

 

「ココガヨワイノカ グッグッグッ サキッポデ タップリ コスッテヤル」

 

 まるでスクワットでアラサのからだを押し上げるような動き。

 

「オ、オ、オオォ……♥ オークのチンポなんかにぃぃ……♥!」

 

「イカサレルンダヨ!」

 

「オウゥゥンン────♥♥!!!!」

 

 指先で乳首を擦られながら十数回目かのスクワットの時、アラサのからだがビクビク、ビクビク、と全身がわななき、そこで突き上げも止まりました。

 

「オウオウ……! ハデニ イッテ オク フクラマシヤガッテ……!」

 

 ゲストンはそう言うと忙しなく何度か突き、ブヒィと鳴いて、奴もまた射精の震えに腰を満たしました。この時もまた、奴の陰嚢は尋常ならざる活動をしていました。

 

「オオオォォ……スイトラレルゼ……!」

 

「フゥ……ウゥ……ウゥゥン…………♥♥!!!!」

 

 アラサからは完全に気丈さが消えました。蕩けた女の顔で絶頂の喘ぎに四肢を痙攣させ、奥深く達したゲストンの放精するペニスを感じまくってしまっていました。

 

 彼女のこのような姿も、屈服するところも、何もかもが見たこともない僕は、全身に広がる絶望感、罪悪感、疲労感──様々な負の感情の圧迫もあって、ただただ驚き、その様子を見上げているしかありませんでした。

 

 立て続けに射精しても満足そうな深い息をつき、胴震いしただけで、ゲストンはアラサを後ろに放り投げました。四つん這いになって口とヴァギナを同時に犯されているレスティアの隣にアラサが倒れると、すぐ何匹ものオークが寄ってきてレスティアと同じ目に遭わせ始めました。

 

「ブフゥーッ ノッテキタゼ」

 

と、オークのリーダーは残りの三人を眺め、

 

「オイ ゼンブ コッチダ」

 

 そう言って、ペティ、チェニー、アスリナンを僕の檻の前でまんぐり返しにし、二匹追加して三人同時に犯し始めたのです。奴らはこちらに尻を向けて挿入するという体位でした。ペティは真ん中でゲストンに貫かれました。

 

「「「ンアアアッ」」」

 

 両ひざ下が床につくほど柔らかく曲がった三人の細いからだに、ヌルリとオークのペニスがやすやすと入ってしまい、ブチュブチュと抜き差しするたびに溢れ出て来る白濁が辺りに撒き散らされました。その焦点の合わない目は、僕と合っても生気が戻ることはなく、三人は舌を出しながら喘ぎまくりました。

 

「ペティ……! アスリナン……! チェニー……! やめろぉ…………!」

 

 今さら何を言っても遅い。それでも僕は言わずにはいられませんでした。

 

 ですが、オークどもは僕のそういう反応を愉しんでいるのです。そのためにわざわざ生かしているのですから。

 

「ミロ スッカリ オトナシクナリヤガッテ」

 

 突き下ろすようにしてペティの胎内を掻き回しながら、ゲストンは肩越しにこちらを振り向いて、

 

「コノメスドモモ モウ オレタチノ ぺにすノ トリコダ」

 

と言い、ブヒブヒィと高笑いました。

 

 百匹ものオークに恥辱の嵐を受け、大人しくならない女性がいましょうか。濃い疲労と摩耗にくたびれきっている少女達でしたが、ペティの苦痛の色は他の二人、いえ、誰よりも比較的薄く、ゲストンの巨根に貫かれていても、正直、その顔には──快楽の気配が浮かんでいる──とさえ思ってしまいましたが、無論、錯覚だろうと考えましたので、

 

「違う……! や……めろ…………ペティ…………!」

 

 僕が鉄格子から腕を伸ばすと、周囲で眺めていたオークどもが嘲笑うように一斉に鳴き始めました。それを黙らせる力などありませんでした。

 

 何もすることができず、僕は涙を流しながらペティを見つめ返すしかありませんでした。

 

「クラ…………ストォ…………♥」

 

「ペティィ…………!」

 

「ンン~? コノメス オマエノ カ? グッグッグッ ザンネン ダッタナ コノメス オレノぺにす ウマソウニ クワエテルゾ」

 

 そう言ったゲストンが深いところを突き回すように腰を動かすと、

 

「ハッ、ハヒィッ……♥ ヒィン……♥ や……やだ……アッ……アッ……♥ みっ……見ないでぇ……クラストォ……♥」

 

と、抗い難い快感に囚われたような声を出し、ペティは両手の甲で顔を隠しました。

 

「ニクガウスイ オモッタガ トロトロ イイニクツボ ジャネエカ! スイツイテ キヤガルゼ」

 

 ゲストンは僕とベンゼマを見て相好を崩すと、首を戻して盛んに腰を振り立て始めました。

 

「アッ、アヒッ、アッ、アヒィッ、アヒィィッ……♥!」

 

 オークのペニスを烈しく出し入れされているというのに、ペティの声音からは、感じていると分かる響きがはっきりと聞き取れました。

 

「いっ……いひぃっ、いやぁっ……♥ な、なにこれぇ……ううっ、うあっ、ああぁ……ッ♥! あひっ、ち、違うの……クラスト、違うぅ……の、おぉ……おぉおぉぉ……♥!」

 

「チガワネエ オレノぺにす コウブツ キットナル! オマエラガ カトウ アザケル オレタチノ トリコ ナル!」

 

 そう言うとゲストンは腰を加速させ、「ブゴオオォ!」と野太く叫びながら、ペティの中に深々と楔を打ち込むように密着しました。黒い陰嚢が激しくうねり、奴の子種がペティの胎奥に放たれるのが分かりました。左右のオークもそれに続き、三人の少女はビクビクとからだを震わせて、喉の奥から絶望に沈んだ嘆息を漏らし続けました。

 

 

 

 

 

 

   4

 

 

 ダンジョン奥深くにある牢獄で、こうしてペティ達はオークどもに犯され続け、僕とベンゼマはそれを見せられるために生かされるという狂った日々が始まったのです。

 

 男は奴らの餌になるとばかり思っていたので、こんな理由で生かし続けるとはと呆れもしましたが、実際に体験すると殺されるより遙かに残酷で苦痛に満ちた仕打ちでした。奴らの胃に収まった方がマシだと何度も思いました。ですから、奴らに殺せ、いっそひと思いに殺してくれと頼んだのですが、奴らはただ嘲笑うだけで取り合いもしませんでした。

 

 死ぬ機会を逃した僕は、さりとて自害する勇気も湧かず、情けなくもただのうのうと彼女達がオークどもに支配されるのを眺めるだけだったのです。

 

 奴らはいつも必ず大部屋を埋め尽くさんというほどの数で来ました。そして毎日毎日、ペティ達は精魂尽き果てボロボロになるまで何時間も相手をさせられました。

 

 戦闘はからきしなくせに、こと性交となるとまるで様子が違ってくるのがオークだと、この時痛感させられました。呆れるほど性欲が強いんです。下半身だけは人間の男の倍以上精強でしょうか。

 

 そしてそれが百匹ですから、これはもうおぞましいほどの色欲の饗宴でした。肉と汁にまみれた狂宴。ペティ達にしてみればたまったものではありません。一度に来る数はその半分ぐらいでしたが、アヌスまで存分に使われて、髪の毛からつま先までザーメンがこびりつかなかった箇所は無くなるほど、彼女達は夥しい数の豚人間どもの滾りまくった慾望の捌け口となったのです。

 

 オークなどに抱かれるのを嫌がり、僕やベンゼマに見られながら犯されるのを嫌がったペティ達でしたが、拒めば拒むほど奴らは調子に乗って、彼女達をあられもない姿勢にして僕とベンゼマに見せつけるような位置で陵辱し、また、涙が涸れるまで代わる代わる中出し種付けを繰り返しました。

 

 例えば、立ちバックで鉄格子に乳房を押し付けられながら、後ろのオークが何度も入れ替わって犯しまくられました。ペティ達は泣き叫んで助けを求めましたが、僕は格子の隙間から腕を伸ばして止めさせようとしても、逆に突き飛ばされて尻餅をつく有様でした。そうしてるうちに二度も三度も膣奥射精を受けたペティ達の様子が変わっていって、明らかに僕から意識が離れ、ひっしと鉄格子を握りしめながら目を瞑ってオークの突き入れを感じるようになり、ダメ、ダメと言いながらもその顔は淫感を帯び、奴らのピストンに合わせて息が騰がり、そしてついには射精の瞬間、恍惚すら宿った表情でからだをわななかせ、泣き腫らしながらも、その体奥の迸りを感じてしまっていました。

 

 例えば、どこからか持ってきた長い棒に皆んなの脚を大股開きにして括り付け、両手も縄で縛って床に寝っ転がすと、まるで性玩具で処理するようにただひたすら彼女達のヴァギナだけを使用したり。ろくに躰を動かせないペティ達の上をオークどもが次々と通り過ぎ、ニ十匹も迎えると息も絶え絶えになり、四十匹目の射精を受け終える頃には紅潮しきった顔は涙や涎でぐちゃぐちゃ、軽く突かれるだけでからだをビクン、ビクンと強く弾ませていました。

 

 生殖は我々生者に与えられた生来の仕事であり、快感が付与されているのは円滑に営めるような神の計らいだと思いますが、男などは己が手で擦っただけでも快美を覚え精髄を吐き出してしまい、この機能は上手く出来てるなと感心します。そこまで浅ましくなくとも、やり方が間違ってなければ女でもやはり感じてしまうものなのです。そこを奴らは悪用したのです。

 

 オークどもはただ己の性欲を消化するだけではなく、半ば強制的にペティ達にも気持ち好さを味わわせ、あたかも彼女達自身がオークなどとの生殖を欲しているように見せかけ、男の仲間である僕達により恥辱を与えて愉しんでいたのです。

 

 何日かすると、彼女達は根気が尽きたように、最初からまったく抗わなくなりました。それまでは途中までせめてもの虚勢を張っていたのが、牢から出されると大人しく股を開くようになったのです。そうするのが一番楽で早く終わるようになると考えたのでしょう。以来、オークどもの方でもあまり粗雑に扱わなくなり、少なくとも彼女達が殴られたり蹴られたりといったことが絶えたのにはホッとしました。

 

 ですが、それによって彼らの交わりが合意めいたものに映り始めたのも確かです。ペティ達がオークどもと息を合わせるようにからだを動かす光景になっていったというか……彼女達にはそうすることしかできなかったというのは重々承知しています。でも、彼女達が奴らにされるがままに素直にからだを開き、汚いペニスを文句も言わずにしゃぶり、あちこちを弄られ、アヌスを使われるのも健気に我慢し、そして……力が抜けた分、それでなくとも精力漲る奴らの抽送をより感じるようになってしまい、苦しみとは違う声を上げた末に、胎奥に濃厚なザーメンを注がれ、生理的とはいえ頬を染め緩める様を見るのは、精神的に辛苦多い拷問でした。

 

 特にゲストンとの絡みが酷かった。やはりあいつは一段上の存在らしく、セックスに関してオークが並の男より精強とすれば、ゲストンは並のオークより性豪だったんです。

 

 来ない日もありましたが、奴は一日に一度は姿を現し、文字通り黒光りする巨(おお)きなペニスで五人全員満遍なく堪能していきました。奴に抱かれている時は皆んなの声が違い、抑えきれず甲高くなることも多かった。それは彼女達自身も戸惑う現象のようで、ペティ達はゲストンに抱かれるのを嫌がりましたが、当然拒めるわけもなく、奴の抱き方が粘質的なこともあって、最後には自分から腰を動かし、蕩けた顔で奴の種付けを受け止めていました。

 

 僕の目の前でたっぷりと時間をかけてあの巨根でヴァギナを掻き回され、大きな嬌声を上げて乱れ、生み出されてしまう快感に、奴の胴を締め付けるほどに脚を絡ませ、それがまるで奴のペニスとザーメンを逃すまいとしているかのようで、そういう時の彼女達の表情といったら……ペティですら……そうして奴と熱く交わってしまった後、悶え尽くしたように放心するのです。

 

 ペティ達の目は日を経るにつれ生気と正気を失っていきました。陵辱が積み重なる度に意思が薄まっていく表情で、オークどもに犯されるれるままに心の伴わない喘ぎ声を上げていました。思い思いの体位にされ、オークどもに下半身を擦り付けられ、あるいは突かれて、その末に奴らの体液を膣内に放たれても、もう劇しい拒絶反応は上がりませんでした。彼女達の股間もからだも顔も、等しく夥しい白濁液で穢れ、チェニーやアスリナンでさえスムーズにペニスを出し入れされていたのです。

 

 彼女達のからだからは完全に抵抗がなくなり、されるがままに反応を返し、それがかえって彼女たちがこの行為を認めたようにも見え、淫靡さを帯びていました。無論、受け入れているわけではなく、あまりの目に遭っているショックのせいでしょうが……。彼女達とは対照的にオークどもは盛りっぱなしで、昂奮衰えぬ鼻息をつきながら彼女達を貪っていました。

 

 オークどもは本当にやりたい放題でした。

 

 もう立ってもいられないようなペティ達をお尻を突き出させた姿勢で壁に並べ、下から支えるように腰を密着しながら、その深い挿入のままヴァギナの奥を掻き回し、彼女達の最深部でドクドクと放ったり。

 

 あるいは四つん這いで床に横一列にして、お尻をバシン、バシンと平手打ち、この時ばかりはペティ達は叩かれる痛みに泣き叫び、その様子をオークに愉しまれながら犯されたり。

 

 対面座位で円陣に手を繋ぎ、顔をつき合わせながら揃って奥を突かれて膣内射精され、全員が種付けられて悶える表情を見せ合ったり。

 

 全員で三穴責めの洗礼を受けたり。

 

 口淫奉仕させられたり、オークとのディープキスをさせられたり、赤く腫れ上がるほど乳房を弄ばれたり、騎乗位で腰を振らされて射精時には根元まで突き刺され、放ち終えるまでじっとしていなければならなかったり。二人一組になってどちらも後ろから挿入されながら女同士でペッティングしたり。ヴァギナではなく、アヌスばかりをほじくられたり。

 

 この異常な空間で、五人ともアヌスにすら奴らのペニスを迎え入れられるように開発されてゆきました。苦しそうでしたが、排泄のための穴に奴らのペニスを突き立てられても、一種快楽に似た表情を浮かべるまでになり、オークのペニスがヌルヌルとそこへ出入りしていました。そして、アヌスの中にも容赦なく奴らの体液を注ぎ込まれ、ヴァギナを掻き回されるのとは違う声を上げながら、全身を痙攣させていました。

 

「やめてくれ…………」

 

 何度そう言ったか忘れたぐらい僕は繰り返しましたが、誰も聞いてはいません。手を伸ばそうとしても力が入らず腕が上がりません。

 

 オークどもにはもう、最初に襲ってきた時のような荒々しい勢いはありませんでした。ペティ達にペニスを埋(うず)めてピストン運動する動作も余裕たっぷりで、彼女達の表情も苦痛に歪むというより、むしろ、奴らの往来を感じてしまっているような声を出していました。オークどものペニスが抜き差しされる度に、結合部からは粘っこい白濁液がブチュブチュと押し出されるように溢れていました。

 

 しかし最後は容赦なく腰を振り立て、長いペニスをみっちりと埋(うず)め、何回分も──いえ、何十回分も溜まっているだろう彼女達の胎奥に、また新たなオークのザーメンを性懲りもなく注入するのです。そのたびに、ペティも、レスティアも、アラサも、チェニーも、アスリナンも。「いやあぁ……」と、か細い声を漏らし、すすり泣きました。ですがそれも時が経つにつれ少なくなっていきました。

 

 

 ……このようにして、ペティ達とオークどもの肉の交わりは日課となり、この世界唯一の行事となり、彼女達がオルガスムスを覚えている反応をすることも珍しくなくなってきた頃、彼女達の胎(はら)が目立つようになりました。

 

 

 

 

 

 

   5

 

 

 その事実を知った時、全員が驚愕しました。

 

 知ってますか? オークの子種で妊娠すると、一月で胎(はら)が膨れ、残り一月でもう出産を迎えるんです。人間の血が混じっているとは思えない周期です。奴らが増殖する理由がよく分かりました。魔物は魔物だったのです。

 

 また、人間だと妊娠中に性交すると流産の恐れがありますが、オークの場合その危険が少ないらしく、奴らはペティ達が妊婦になっても、まるでお構いなしに犯し続けました。

 

 オークなどにその身を穢し尽くされた上に、奴らの生命を宿してしまったペティ達は、もうすっかり様子が変わってしまいました。突然笑い出したり泣き出したり、檻の隅で放心したようにブツブツ独り言を呟き続けたり、僕やベンゼマに恨みつらみをぶつけたり……。

 

 「あなた達はただそこで見ているだけでいいご身分ね」とか、「私達の苦しみなんてまったくわからないでしょう」とか、憎しみすら籠めて侮蔑されました。時には半狂乱になって喚き散らすように。ですが、僕は甘んじてそれを受けました。まったくその通りだったからです。それに、せめて彼女達の鬱憤を晴らす対象になれればとも思ったからです。むしろそれぐらいしかできない自分が本当に情けなかった。まあ、その一方で、彼女達とオークどものセックスがいよいよ和姦めいてきたことに対するわだかまりはありましたが……。そんなことを言ったら彼女達を余計に傷付けるだけだと思い、黙っていました。

 

 陽の光など射さぬ場所で時の流れも見当がつかなくなっていましたが、おそらく奴らは眠っているのだろう静かな時間、そういったやり取りなどをしていました。

 

 (食事と排泄はどうしたのかと聞くと、それぞれ朝晩二回あったと少年は答えた。大部屋隅の独房が用便場所になっていて、ほとんど掃除されず鼻が曲がるような臭気が立ち篭めていたという。食事は残飯同然だったがちゃんと出たらしい。もっともどちらが朝で晩かは定かではなかったが、という苦笑の注釈付きで)

 

 その時間だけが僕達も休める時となりましたが、言葉を交わすことは日に日に少なくなっていきました。オークどもが立ち去った後のペティ達は失神するように──実際に意識をなくしてしまうことも多々あり──寝入ってしまいましたし、救われる光明など一切見えぬ中、抜け出す算段もなく、誰もが途方に暮れてしまったからです。それでも最初の一週間ぐらいは励まし合ったりしていたものですが……。

 

 脱出の望みはまったくありませんでした。錠前は固く、鉄格子もしっかりとしていました。いくら腕に覚えがあったとしても、指だけで鍵を破ることなど不可能です。かといって即席の道具も作れる環境ではありませんでした。

 

 残るは外部からの救いの手ですが、これには僅かな期待がありました。オーク退治は冒険者協会を通じての仕事ですから、僕達の音沙汰が途絶えれば何らかの動きはしてくれるだろうし、それ以前に何日も帰還しなければ冒険者協会に連絡するよう村長に言い置いてありましたから。

 

 ですが、いつの間にかオークどもはあの村を襲撃していたのです。村人は一人残らず殺され、僕達が助けた女性達は回収され、村娘なども囚えられて、隣にもう一つあった同じ造りの監獄に入れられて同じ目に遭っていたそうです。重厚な石壁に阻まれてそんな物音など僕達の耳には届かず、また自分達の運命で手一杯でしたので、誰も気付きもしませんでした。

 

 もともと人がまばらな地方なので、こんな僻地で凶事が起こっても、それを報せる者が誰一人としていなければ、それが知れ渡って原因が突き止められるまでにはかなりの時間がかかるでしょう。実際その通りでしたし。

 

 結果として、僕達が請け負った仕事の追跡調査が始まったのはそれから四ヶ月後でした。その前から僕達が音信不通になっていることや、仕事を依頼してきた村からの連絡もないことは分かっていたのですが、協会も暇ではないので、オーク退治などという軽い仕事の件は後回しにされたのです。

 

 村を訪れた調査人が惨劇の跡地となり果てた様相に驚き、魔物の襲撃に遭ったらしいという近隣の噂を聞き取って、僕達より腕の立つパーティーに依頼してダンジョンを発見、その最奥にある牢獄めいたフロアに踏み入った時には、さらに二ヶ月が過ぎていて、そこはもぬけの殻となっていました。オーク一匹たりともいなかったのです。

 

(ではどこへ消えたのか、と訊ねると、その前にもう少し話さなければならないことがある、時間を巻き戻させて下さい、と、少年は言った)

 

 救われる希望がまだあると言っても、僕達が過酷な環境に置かれていることに変わりはありません。繰り返される恥辱の日々の前には、いつか助かる、という言葉も虚しさを強めるだけでした。口では助けを求め、助かりたいと願っても、いつ来るかも分からない救出を信じ、その希望に取りすがり続けるには、彼女達にとってそこはあまりにも抑圧された地獄でした。

 

 こんな狂った閉塞に陥るともう、人は精神がおかしくなってしまうのですね。ペティ達が先ほど言ったような状態になったのは無理からぬことだと思います。醜悪な豚人間を産み増やすことを課せられ、終わることのない性交漬けの毎日。娼婦より陰惨な待遇。日に日に大きくなっていくお腹を見ながら、その運命から逃れられないと知った彼女達の心は、もう、壊れる寸前だった。

 

 ペティ達は少しでも楽になりたいがために、オークどもに媚びを売り始めました。奴らの支配に身を委ねてしまったのです。オークなど軽々と撃退していた誇らしい冒険者の姿はどこにもなく、それこそ娼婦のように積極的に奴らと交わり、大きなお腹を揺らしながら自ら腰を振りました。もう妊娠しているからというのもあるのか、流産してもいいということなのか、いくら中出しされてもまったく嫌がらないどころか、はっきりと喜色を浮かべる始末で、そうやってオークのペニスを悦んで咥え込み、乱れ、快感に声を出すのを我慢しなくなりました。

 

 僕の檻の前で行われる恒例のショーも、彼女達の演技に磨きがかかりました。何もできない哀れな僕を蔑んだ目で見下ろしながら逞しいオークのペニスを迎え、奴らにたっぷりと可愛がられたのです。お腹と同じく一回りも二回りも膨らんだ乳房を揉まれると甘い母乳が噴き出し、僕の所まで飛び散りました。突き出された何本ものペニスを両手にも握って夢中で奉仕し、その全身に白濁を浴びせかけられては恍惚に染まり、それでもなおオークに求められれば、「仕方ないわね……」と、艶笑しながら隷(したが)い、押し倒されて嬉悦の声を上げる──何十匹ものオークに抱かれて何度も何度も絶頂に追い立てられ、胎児にザーメンをひっかけられ、正体をなくしたようなよがり声を上げる──

 

 母乳を滴らせながら、注がれまくって裂け目の形が分からなくなるほどこんもりとザーメンを溢れさせた秘唇を、発情鎮まらないペティが指で開いて見せつけ、

 

「なにおっ勃ててんのよクラスト……あなたもしたいの? やめてよ、そんな役立たずそうなひょろひょろ棒。そんな短小じゃ全然気持ち好くなれないわ……。いつも寝静まった時こっそりやってるようにしなさいよ。今度は私達が見ててあげるから」

 

と、狂気すら感じる顔で言い放った時には、僕の心にも暗く澱んだ絶望が染み渡りました。ですが僕は言われた通りに、彼女の前でマスターベーションをしました。ペティ達は嘲り笑い、オークどもも指を差して哄笑しました。

 

 こうしてペティ達が変貌してきたのを察したゲストンは、次の手を打ってきました。男を女性にあてがう時間を作ったのです。

 

「ニンゲンノ オスト ヤラセテヤルヨ」

 

 そう言って牢から出したのは、僕ではなく、ベンゼマでした。

 

 

 

(つづく?)

 

 

 

 

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最終更新:2020年02月23日 17:23