ながされて藍蘭島エロパロSS

 

『寝取られて』 第16話

 

 

 

 

 

 

 

  1

 

 

 姉のいない食卓が済むとあやねは風呂竈に薪をくべ、いつもより長めにのびのびと浸かってからもんじろうと入れ替わった。彼が大きくなった現在は浴室が手狭であるため、しかたなく一人で入れるようにしている。

「ふう、いいお湯だったわ」

 彼女の家の風呂は長州なので一度沸かせば冷めにくいが、それでも姉がいない分熱い湯を貰えるのは有り難かった。

「誰かさんがいないと静かで心休まるし、一概に悪いとは言えないわね♪」

 しかも今日の食後の片付けは母のちづるの番なので、この後の時間──と言ってももう寝るのを残すのみであったが──は自由であった。

「そうだ、いつもより念入りに髪を梳かそうっと。そんで明日、おめかしして行人様に会いに行けば──」

 

 『行人様、どお?』

  眩しいぐらいに光り輝くあやねの黒髪がふわっと流れ落ちると、

 『素敵だよ、あやね。その髪……君の顔も……いや、何もかもが素敵だ……』

 と、(実物とはかなりかけ離れた美形で高身長の)行人がじっとあやねを情熱的に見つめる。

 『い……行人様…………♥』

 

 ──などと、バラ色の妄想が頭の中のお花畑に広がる。

「ぐふふ…………行人様ぁ~♥ ………………はっ」

 静かな片廊下の真ん中で身をくねらせていたあやねは我に返った。

 暮色の空遠くに蕭索(しょうさく)たる烏の鳴き声が聞こえる。

 上機嫌で鼻唄を口ずさみながら自室に戻ると、行燈を灯してもんじろうを待たずに蒲団を敷き終え、下ろした髪をゆっくり梳かそうと鏡台の前に鳶座りした。

 そして、鏡台の抽斗(ひきだし)にしまわれている唐櫛を取り出そうと腕を伸ばしたところで、はたとその動きが止まった。

 櫛の隣に置かれた麻布の包み。

「…………」

 その中身に想像がめぐると、途端にあやねの両頬が赤くなった。

 脳裏に蘇る先日の光景──

 忍び一家とぱん太郎の爛れた性の宴をこっそり覗いているところをみことに発見され、バラさない代償にその場でからだを弄られるのを許してしまい、彼女の手管で得も言われぬ心地にされてしまった──。

(みことったら…………!)

 あの時の記憶を思い出したせいであやねの頬はさらに秋が深まるがごとく染まり上がる。肌に直接触れられ愛撫されるとおかしな昂ぶりを抑えられず、気持ちも変になってしまったのだが、こうして後から振り返ってみれば、そのことに猛烈な羞恥を覚えるのだ。

 その際に使われた怪しげな道具がこの包みの中身であった。みことの手から離れて逃げるように帰った後、懐に入っていたのに気付いた時はもう家の中であった。以来一週間ほど経っていたが、この奇態な代物を突き返そうにもみことに出会えず、致し方なくこうしてまだ持っているのだ。

 だけれど──

(皆んなあんな心地を……いえ、多分あれ以上に……感じてるってわけ……?)

 だからこそ誰しもがぱん太郎とからだを重ね、我を忘れたように乱れ悶える──そうやって女らしくなって──

 抽斗の中であやねの指が滑り、櫛ではなく包みが取り出された。

 そっと麻布を開くと、下品なほどにツヤツヤと光る薄桃色の細長い卵が棒の切れ端と紐で繋がっている珍妙な物品が姿を現した。みことはこれを“ローター”と呼んでいた。

「ろうたあ……ねえ…………」

 握る部分である平たい棒の上部に花のような円板状の小さいつまみが付いていて、それを回すとカチッと鳴り、

 

 ヴヴヴ……

 

と、あやねの掌の上で卵が微音を立てながら細かく震動し始めた。こうしてつまみを回していくと動きが変化したり震動が強まったりする仕組みになっていて、あやねからすると妖かしの力が籠められているようにしか見えないつくづくケッタイな代物である。

(行人様にとっては見慣れた物なのかしら……?)

 つまみを最大にするとびっくりするほどの勢いで震え、音もかなり五月蝿かった。壁を隔てた母の部屋にまでこんな音が響いてはまずいとあやねは慌ててすぐ止めたが、本土には摩訶不思議な道具がある──と、まるで生き物のように勝手に動く様を半ば呆れ気味に思い返した。そんな頭の隅にちらつくのはみことの言葉であった。

 

『経験ある女になってこっちから優しく手ほどきすれば、案外簡単に落ちるんちゃう?』

 

 姉の言葉がそれに続く。

 

『だから女を磨け、ってことなのよ』

 

 行人が意識してしまうような大人びた女になるためには、ああいった行為──男女の行いもわきまえる必要があるというのならば、自分にはそれが──

「……ない……わね…………」

 強がりはひとまず置いておいて素直に己を省みてみると、そう考えざるをえなかった。人並み以上の器量を持っている自負はある。だが、皆がぱん太郎とやっているようなコトを自分もやれるかと言えば──

(悔しいけど──)

と、一瞬気弱な表情になって俯いたあやねだったが、

(──で、でも……もし、行人様とああいったことができたら──行人様の腕の中に抱かれたなら──)

 その空想はたちまちのうちに少女の心をときめかせ、心臓をドキンドキンと高鳴らせた。高揚は瞬く間に全身へと広がり、鏡に写る顔が再び朱に染まる。

 熱に浮かされたように、ほぅ……と、ひとつゆるい息をつくと、あやねはキョロキョロと室内を見回した──人影があるはずもない。もんじろうはまだ入浴中だし、母も自室だろう。

 少女は崩していた両脚をもう少しだけ開くと、隙間ができた浴衣の裾の中へ──太ももの谷間へと怖ず怖ずと空いてる方の手を潜らせた。

 湯上り直後もあってか、下着越しに感じる淡い茂みに囲まれたソコはやけに熱く感じられた。

「んっ…………」

 みことに触られた時の気分──あの奇妙な感覚がからだの内奥に湧く。そして、外から指でなぞり上げただけで四肢に走る軽い痺れに、

「んんっ…………!」

と、あやねは再び小さな吐息を漏らした。

(洗ったり拭ったりする時は何も感じないのに……)

 ぱん太郎の屋敷から逃げ帰ってまずしたことは、ねとついた下着を急いで洗うことだった。みことの指がやけに滑らかに動いていたのは感じていたが、それはアソコから滲み出した体液のせいだったのだ。その粘液が今、また微かに滲み出て来ている気がする。

 あやねは首を真横に巡らせ、障子の向こう側を気にした。廊下に気配はない。カラスの行水という言葉があるが──もんじろうは烏ではないが──綺麗好きの巫女一家に感化されたのか、長風呂で丹念に躰を洗う。出てくるのは当分先だろう。

(…………少し……だけ………………)

 そう決めるとパンティーを膝まで脱ぎ、おそるおそるローターを股の間へと近付けていく。

 こみ上げてくる羞恥心が耳朶を熱くさせ、ローターを持つ手が震えたが、あやねは行人の姿を思い描きながら、一番弱い振動にした卵の先をちょこんと割れ目に当てた。

「あっ…………!」

 たちまち微細な振動がアソコに広がり、あやねはわずかに腰を引きつらせて声を上げたが、すぐに気を落ち着かせて行為を続けた。

 ヴヴヴ──と聞こえるか聞こえないかの音を立てながら、抓まれる指に従って筋目のような秘裂を上に下にと移動するローター。

「あ…………あ…………」

 なんとも言えない、これまで未知だった感覚──全神経がソコに集中する。くすぐったく、たまに抑えがたい情動がこみ上げてきて思わずローターを離してしまうが、しだいに両脚が開けていく。こわごわと動かしながらも、あやねはローターを使うのに夢中になり始める──

 

 ヴヴヴヴ……

 

「あ…………ん…………や…………」

 長い間は辛抱しきれないので、何度も離しては気を静め、再びくっつけるのを繰り返す。

 だがそれも慣れてくるに従って押し当てている時間が長くなり、その甘い刺激に頭がぼうっとなってくる。

 

 ヴヴヴヴ……

 

「ん…………あ…………あ…………ン…………」

 湿り気を含んだような吐息。

 先日知ったばかりの感覚だった。切なくなる気分に反してからだは火照ってゆく。股の間が熱く疼き、下半身が痺れ、力が抜ける──。

「行人様…………」

 ドキドキと心臓が高鳴るままにあやねは愛しい男子を思い浮かべながらローターを滑らせ続ける。いつのまにか脚ははしたなく扇と広がり、帯から下がはだけていた。

 

 ヴヴヴヴ……

 

「ん……ん……あっ……ぁん…………♥」

 

 きもち──いい──

 

 ──偽らざる感情であった。

 今までこんな行為をしたことは一度もない。自分で自分を慰めようなどとは思いも至らなかった。

 だけれどあんなものを見せられては──と、ぱん太郎と女たちの営みを思い出してしまう。ぱん太郎の逞しい肉棒を突き入れられて絶え間なく嬌声を上げる姉たちの姿──。

 これまで経験したことのないおかしな感覚に陥っていくのが怖いという気持ちは心のどこかにあった。が、同時に好奇心や欲求もあった。それに、

(これで女らしくなって……行人様の気が引けるなら……)

という理由が、あやねの手を止めることを阻んでいた。

 

 …………いや、本当にそれだけだったのか…………?

 

 そうしてしばらく秘裂の表面をなぞっていたあやねだったが、しだいに物足りなさを感じるようになってきた。みことは中まで入れてきたものだ。それを思い出し、多少不安を抱きながらも陰裂を指で押し拡げる。中がぬるぬるしてきていることは少し前から気付いていた。

 綺麗なピンク色の肉唇の中へと震えるローターの先端を差し込む。

 その途端、

「ひぅ……!」

 粘膜に直接振動を覚えたあやねの腰が弾かれるように跳ねた。からだにブルッと震えが走った後、全身がカッと熱くなる。慌ててローターを取り出した。

(…………)

 脱力したように緩んだ表情の中には、期待と悦び──が、混じっていたかもしれない。

 初めて自分で──自分の意志でその部分に異物を入れた──。

 感触は悪いものではなかった……。抜いてしまったのはむしろ振動が生み出す快感に我慢できなかったからだ。

(こ、こんなに気持ち好かったっけ…………?)

 ローターは膣の入り口にも届いていなかったが、少女の脳裏には反射的にぱん太郎のあの極太竿で貫かれる女たちの嬌態が浮かび上がっていた。

(男の人のモノって……こんな……風に…………)

 その時不安や恐怖より好奇心が勝ったのは、あやねの持ち前の性格やローターの小ささの他にも、ぱん太郎たちの心底気持ち好さそうな様子があったからなのは間違いない。その浅ましさに呆れ果てたとはいえ、彼女の目に映っていたのはまぎれもなく愛し合う男女の姿であった。──性慾という淫らな形だが。

 あやねの手が網膜に焼き付いたぱん太郎の腰の動きを自然と参考にしてしまう──普段の彼女であればすぐに察して拒絶反応を起こしただろうが、生まれて初めての自涜にすっかり気を取られていた少女は、気付くことなくぱん太郎の抽送ペースでゆっくりとローターを動かし始めてしまっていた。

 

 ヌチュ、ヌチュ……

 

 振動する卵の半分がすんなりと割れ目の中に沈んでは現れるを繰り返す。

「あ……あ……!」

 痛みなどない。振動が生み出す心地好さしか感じられない。そうとわかると異物を挿入する怖れも薄らぎ、あやねの手つきは段々と大胆さを帯びて肉の合わせ貝のより奥にローターを挿し込んでゆき、とうとう先端が膣口を突き擦するようになった。まだ小指も通らないほど狭く固いその門扉は軽い力で多少押し当てるだけでは到底びくともしない。その部分で止まる感触はあやねも分かっていた。しかしこんなに小さくて丸い物であれば無茶をしなければ傷つくことはないと安心感を持ち、これまでとやや違う刺激にさらにおかしな感覚を覚えていくのみであった。

 

 ヌチュ、ヌチュ、クチュ、クチュ……

 

(あ……あ……あぁ……い、行人様ぁ……♥)

 潤いが増していく一方の秘裂に気付くと、(感じてるんだ私……こんなコトして感じてる……やだ、お姉ぇ様やお母様みたいに……あぁ…………!)と、あやねの胸の鼓動がさらに高まり、あたかも微弱な振動がそこまで届いたかのように奇妙な感覚が頭いっぱいに広がって痺れ、少女の理性は蝋燭が燃えるようにじりじりと溶け落ちてゆく。

 そして──ローターを動かす手つきがさらに熱を帯びてゆく──

 

 ヌチュ、ヌチュ、クチュ、クチュ……

 

 正面に映る自分の顔が別人のように変わり始め、声が漏れ続けているのにもまるで気付かないあやね。

 それほどの気持ち好さだった──だが、あやねは行人の姿を頭に描きながら快楽に浸っているつもりでも、ローターの出し入れは未だ意識しないままぱん太郎のピストン運動を模倣していた。

 さらに言ってしまえば……行人があやねの上に覆い被さって優しく腰を振っている妄想の元絵は、これまで盗み見てきたぱん太郎と女たちの性交に他ならない。初めて自慰をする処女の想像とは思えないほどの具体性があったり、抽送が主体なのもそのせいであった。

 つまりそれは──

 

 ヌチュ、ヌチュ、クチュ、クチュ……

 

「あん……あん……あん……♥」

 期待以上の快美感にとうとう堪え切れず、背後の蒲団へと寝転ぶあやね。最初に抱いていた羞恥心はどこへやら、帯が緩み浴衣の裾がめくれるのも構わずにさらに股を広げ、下腹部や内股を撫で回しながらローターを前後に動かし続ける。

 その突き入れに合わせて引き攣るように浮き上がる腰。

 半ば自然な躰の反応であったが、記憶の中にあるぱん太郎に突かれている女たちの動きを見習っているのも確かだった。

 ここまで来るともう、男根と見做したローター──あやねの想像の中では猛々しく逞しい威容を誇るそれは、明らかに行人のモノではなく──まごうことなきぱん太郎の傑物であった。

 ちなみに……こうして脳裏に鮮明に描けるほどぱん太郎の股間に生えるものを覚え込んでいるあやねであったが、意中の少年のそれはまだ見たことがない。いつだか温泉かどこかで行人の全裸を見る機会があったが、その時は下半身に注意を払っていなかったので記憶は曖昧だ。当然、彼が性行為をしているところなど論外である。

 

 ──要するに、あやねを抱いているのは……そう。
 

 

 ぱん太郎であった。


 

 忌み嫌っているはずの男に組み敷かれ、あの逞しい肉棒で女にされている夢想にあやねは浸っていたのだ。

 

 生まれて初めての自慰。想像上とはいえ……その初体験の相手が恋しい想い人──ではなく、恋い慕う男性(ひと)がいる少女たちを次々篭絡し、孕ませ、ことごとく己の女(モノ)にしてきた男が務める。

 自信と経験に満ちた腰の使い方は、まぎれもなくぱん太郎のそれであった。

 違う見方をすれば、行人はここでもまた、自分を想ってくれているいじらしい少女を──それも彼が此の地に流れ着いて以来、島娘たちの中でも特に一二を争うほど親密になった美しい少女を。まだぱん太郎の慾望の手に穢されず、清いからだを守り抜いてきた最後の乙女を──。彼にとってもはや唯一無二とも言える生娘を──そんな存在であるあやねですら。

 行人はそんな貴重な少女の慰みの相手役ですらぱん太郎に横取りされたのだ。

 

 股を開いたあやねにいきり立った肉棒を突き立てるぱん太郎。

 ぱん太郎の孕まし棒に貫かれて女の快楽を憶えるあやね──

 

 性具が生み出す気持ち好さに支配されながら耽り入る淫靡な妄想であっても、純情な娘の精一杯の願望であったが──そんな淡い想いの皮の下で、あやねは欲情に衝き動かされるままにぱん太郎に犯されながら、アソコを熱く火照らせていたのだ。それが実態だった。

 

 ヌチュ、ヌチュ、クチュ、ヌチュ……

 

 そこまで考え至らずとも、(何なのこれ──)と、あやねは頭の片隅で驚きを持ち、自衛本能の一部としての警戒心は湧いていた。だが甘美な感覚を一旦許してしまうと、痺れるような淫惑があっという間にからだの隅々まで行き渡り、そんな疑心は霧散してしまうのだ。この島の娘たち誰しもが持つ──いや持たざると言うべきか、根本的な部分まで根ざした性への免疫の無さであった。

 

 ヌチュ、ヌチュ、ヌチュ、クチュ……

 

「あぁ……あぁ……あぁん…………♥」
 行人を想っていても、無意識下ではぱん太郎に犯されて悦んでいるあやね。

 秘腔から溢れる淫液はもう指までぬるぬるにしていた。割れ目からこぼれ出した蜜汁が会陰を伝って後ろの穴まで濡らす。

 初めてなのにこんな……と、あやねの全身が幾度も切なく震えるが、止めるという選択肢は遥か彼方に遠ざかっていた。もっと味わいたい──初めての怖さもある反面、それよりももっと続けたいという慾求が頭の中を強く占め、つまみをいじって振動を一段階上げさえしてしまう。ヴーンという音がしっかりと耳まで届くほど高まったローターによってさらなる心地好さがあやねを襲い、クチュクチュと水っぽい音をさせながら盛んな抜き差しが繰り返される。

「あぁ、あぁ、ああ……ぁぁ……♥!」

 あやねの自慰はいよいよ、まだ性行為を知らないうぶな娘の可愛らしい行為とはかけ離れた濃密さを醸し出してきた。実際の子作りセックスをひな型とした生々しさのある擬似性交。

 

 ヌチュ、ヌチュッ、ヌチュ、クチュッ

 

 抓む部分を十分に残した浅い抽送で未だ膣口を通過していなかったが、厚い肉唇の中でローターの振動は心奪われる悦惑を絶え間なく少女に与え、あやねはうっとりと瞼を閉じ、蒲団の上でからだをくねらせ、上擦ったため息を何度も吐く。

 

 そうして──ぱん太郎の逞しい男根に責められてゆく──

 

 淫具に合わせてわずかに振られる腰。切なさはどんどん増してゆき、あやねはさらに感じる箇所──陰核にも直接ローターを当てるようになる。

(ああっ、ああっ……! ここも……イイわ…………♥)

 下腹部をブルブル震わせ、目をとろんとさせながらそんなことを考える。天井の模様など意識に入って来ない。アソコの疼きがズクズクと強まり、髪の毛の先までおかしな気分に浸(ひた)ってしまうようであった。行人の姿を脳裏に思い描きながら──その実、ローターはぱん太郎の挿入タイミングであやねの秘裂に出入りする。のしかかる少年──の姿をまとった巨体の男──。

 そして──それはついにやってきた。

(あぁ、くる…………!)

 からだの奥底からこみあげ頭の中を網取るように広がってゆく得体の知れない灼熱の情動。みことに弄られた時も最後に感じた──

「やだ、やだ……いや……なに……あ、あ、あっ……あぁ……!」

 

 ヌチュ、ヌチュ、ヌチュ、ヌチュッ

 

 嫌だと言いながらも嫌悪感はない。手も止まらない。ここまで来るともう本能が勝手に躰を突き動かしていた。拡げた両脚を突っ張らせ、ヌチュヌチュと湿った音を立てながら初めてとは思えないほどリズミカルにローターを抜き差しする──ぱん太郎の腰振りのテンポなのだから小気味よくて当然とも言えた。ローターはぱん太郎の孕まし棒と化していよいよ膣口の中へ半分入り、次は処女膜に届くかという勢いになっていた。

 

 ヌチュ、ヌチュ、ヌチュ、ヌチュッ、ヌチュッ、ヌチュッ、ヌチュッ

 

「ンッ……やぁっ……ゥンッ……アッ……ンアァ……♥!」

 急速に白く霞みがかってゆく脳内で本能が流す記憶の映像。それは行人──ではなく、ぱん太郎の肉棒挿入──射精に向かうラストスパートであった。

 それを想像したあやねの胎奥が一気に熱くなり、疼きをおぼえるアソコがキュッと締まる。肉貝に挟み込まれたローターの振動をこれまで以上に感じてしまう。

 だがさすがにそこで気付いてしまった。

(あっ……だめっ……! あんな奴のこと……考えながらぁ……!)

 ──数瞬遅かった。その時にはもう、絶頂への疾走は坂道を駆け登り始めていた。

 

「ッア────!! ンアァ…………♥!!」

 

 がに股のようになって腰を浮かせ、ローターを深く差し込んだままビクビクと震えるあやねのからだ。 

 肉体の歓喜の瞬間。

 少女の本能は理性による抑制の鎖から外れ、刹那の寸秒だけ再び解き放たれた。

 

「────ッッ♥♥!!!!」

 

 人格の必死の命令を無視して陶然と脳内を彩ったのは、あやねの体内で鉄砲水のように精を放つ大男の姿。ぱん太郎と下半身を一つに繋げ合いながら子種を送り込まれている自分自身の姿──。

 

「あ………………ぁ………………あぁ………………♥」

 

 直前にはっきりと意識してぱん太郎の肉根を重ね合わせてしまったローターは、振動したまま、処女膜を突き破らんばかりに膣口の中へまるまる呑み込まれてしまっていた。

 ビクビクと腰を引き攣らせながら、経験したこともないほどの鮮やかな薔薇色に染まったアクメの波──。

 あやねは忌わしく思っているはずの男から望んでいないはずの種付けを受ける想像をしながら、至幸の快美を迎えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   2

 

 

 

 

 

 

 子作りしてみるかい、と誘い掛けられて胸中に浮かんできたのは、安堵感と対抗心であった。もう残りわずかな未経験者の中に自分が含まれているという事実。でも私だって歴とした女、それもそんじょそこらのなんか及びもつかないほど佳い女よ。子供の一人や二人ぐらい、作ろうと思えばわけないんだから!

 「怖いのかい」。そんなはずないじゃない、ときつく言い返すと、アイツは太い腕を回して私を抱き寄せた。思わず躰が固くなり逃れたいという衝動が起こったが、怯えていると悟られるのも癪だったので必死で震えを我慢した。なんでこんな男に触られて皆んな嬉しがるのか皆目わからない。だけど想像と違って力まかせの乱暴な抱擁ではなく、大きく包み込まれるように長い腕と広い手のひらでゆったりとからだを撫で回される心地は……話に聞いた通り悪くはなかった。

(こんな感じ……なんだ…………)

 気が緩んだのかも知れない。私は不安から来る震えが抑えきれなくなったが、「ダイジョブのん、ボクに任せて……」と、アイツは優しく労るように抱き締め、そのまま私はベッドに押し倒された。「あっ──」。巨体の威圧感も怖い原因の一つだったが、愛撫の仕方があまりにも優しげなため、途中から可笑しみが湧いてきた。だが胸や股なども丹念に弄られ始め、そのうち舌まで出て来てからだ中くまなく愛撫されていると、いつしか私は声を上げ始めてしまっていた。

 どうしよう、これ、確かに気持ちいい…………。

 声を出さずにはいられなかったのだ。アイツはとうとう私の下着を剥ぎ取ってアソコにまで指や舌を入れてきて、それがまたやけに感じてしまい、自然に声が出続けてしまう。いやだ、これ、気が変になりそう。気付くと恐怖心の震えは止まっていて、その代わりにアソコがビショビショになっていた。やだ、やだ、こんな。これが。これ。おかしくなる。

 「そろそろ入れるよ」。あっ、くる……。アイツの股間から傲然とそびえる切り立った岩柱。逞しく反り返った大肉棒。だめ、そんなの絶対入らない。絶対痛い、からだが裂けちゃう。私のアソコが壊れちゃうわ! それだけはだめよ、赤ちゃんができちゃうし……! 私が欲しいのは行人様のなの。行人様じゃないとイヤ! 「これで大人になれるよ。それに慣れればとっても気持ち好くなるのん」。姉たちの惚けた姿が脳裏に浮かぶ。彼女たちが全身で物語るセックスの快美感。村のためとか言いながら、結局は快楽に負けただけじゃない。

 ──でも……そんなに好いものなの…………?

 「大人の女になりたくないの?」。なりたい……私だって年取ってもずっと独り身なんてイヤよ……けど、私は行人様、行人様がいいの。行人様と添い遂げたいの!

 

「あやね……」

 

 嗚呼、行人様! 私は雀躍して行人様に抱きついた。貴方を待ってたの、行人様、私を貴方の女にして。存分に愛してくださいませ――

「わかった、いくよ……」

 そう頷くと行人様は私を抱き締め、中に入ってきた。

「ああ……っ!」

 至福の瞬間──! 無上の幸せがからだの隅々までいっぱいに広がってゆく。行人様が動くとこれがまた気持ち好くて、アソコから全身に漣(さざなみ)のように心地良い快感が広がってゆく。私の中に行人様が入っているのが感じる。母たちのような声が漏れてしまう。でもいい、いいの、これよ、これならいいの――

 行人様は私を優しく慈しんでくれて、私で気持ち好くなってくれて、私も一緒に気持ち好くなって、そして最後に達すると溢れるほどの愛の証を注いでくれた。私は歓喜と共に、二人の愛が形を結ぶよう強く願いながら精一杯それを受け止めた。

 終わった後もまだ繋がったまま行人様と交わす口づけ。何度も何度も。しあわせ……上と下を同時に塞がれて、苦しいけど幸せだった。行人様にいっぱい愛されてる……私の全てを認められているようで嬉しかった。

「もっとあやねが欲しいんだ……」

 そう言ってまた動き始める行人様。今度は後ろから。ふたたび私を愛してくれる。求めてくれる。ああ、いいわ、来て、何度でも……。 

 愛されて、求められて、私も愛して、求めて。

 好きな殿方とひとつになって──。

 これ……これなのよ!

 行人様はどこまでも私を求める。私をいっぱい気持ち好くしてくれて、もう声を抑えることなんて出来なかった。どんどんはしたない女になる。行人様の言うままに股を開いて迎え入れてしまう。そして行人様は私の奥の奥まで……ああ! そんなに乱暴にしないで……! 嗚呼……けれど止められない。気持ち好すぎる。これが殿方との交わり。この上ない幸福……!

「気持ち好いのん?」

「ええ――え?」

 思わず目を見開く。

 

 アイツだった。

 私にのしかかっているのはアイツだった!

 

 アイツが私の中に入っている。あんなに太くでっかいので私のアソコをメリメリと押し拡げ、滅茶苦茶に突き回してくる。

「いやあっ、やだ、あっ、あっ、あぁッ……!」

「だいじょぶだいじょぶ、痛くないどころか気持ち好いでしょ♪」

 信じられないことにアイツの言う通りで、途方もなく大きな丸太ん棒で奥まで突かれているのに、まったく痛みを感じなかった。むしろ痺れるほど気持ち好い……! アイツの大きな躰。厚い胸板。そして逞しい腕で力強く抱きしめられながら極太の肉棒で奥まで侵入されると、全身から力が抜け落ちてしまうほどの心地になってしまう。

「あぁだめ、だめ、いや、いや、いやあぁ……!」

 こんなの、こんなの違う……!

「イクト君だと思った? 彼が愛してくれるはずないじゃん。まだまだお子様な彼が女を悦ばせられるわけないの。大人の女になんかしてくれないよ。好意を寄せる価値もない。彼はあやねちゃんを幸せにする勇気も甲斐性も、いや、そもそもその意志すら無いんだから」

 アイツはそう言いながら何度も何度も私の中を往来する。赤ちゃんが作られる場所まで侵入して来る。だめ、あのこってりとした白い汁を出されちゃう。アイツの子供の種。やだ、こんなやつの赤ちゃんなんて、やめて、行人様が消えちゃう……!

 でも。

(ああ、やだ……!)

 アイツの言葉を忘れられなかった。行人様が愛してくれるはずがない。悦ばせてくれるわけがない。大人の女にしてくれない──。

 そしてまるで言うことを聞かない自分のからだ。行人様じゃない男に奥深くまで侵入(はい)られて、行人様のじゃない子種を注がれようとしているというのに、私はアイツの好き放題にされながら喘ぎまくるのを止められなかった。嫌なはずなのにからだの火照りが収まらなかった。

(私……私……どうしちゃったの……!?)

 下半身に感じる熱くて固い感触と激しい律動に支配され、アイツのなすがままにされるのを甘んじて受け止めてしまう私。自分でも驚くほど甘ったるい声が漏れてしまう。わかってるのに理性が保てない。からだが従ってしまう。どうして……!? いやあ……!

「大丈夫、おかしくないよ。というかこれが当たり前。子供を産めるカラダになった女の子がせっくすするのは当たり前なんだから。皆んなやってるコト。やらなきゃいけないコト。ヘタレのイクト君には無理だけど、このボクならあやねちゃんにその当たり前のコトを経験させてあげられるのん。それもとっても気持ち好くね♪ 待望の赤ちゃんも授けてあげられる。あやねちゃんも子供を産めば一人前の大人の女として後ろめたさもなくなるよ」

 アイツはゆっくりと、しかし下半身を密着させて奥まで出入りを繰り返しながら、私を悶えさせて甘言を囁く。

「ボクにしか出来ないのん。イクト君はこんなコト出来ない……経験もない。やる度胸もない。それどころか女の子と付き合う勇気すらない……。不甲斐ない男のん。何年経とうがキミは恋人にすらなれない。村に必要なのは子作りなのに……こんなに気持ち好いコトなのに……キミにも子供が出来ないと肩身が狭くなるのに……全然期待に応えてくれないダメダメ男……」

(それ……は…………)

 頭の中に染み込んで来るアイツの言葉を打ち払えなかった。私が本気を出して迫ればいつか絶対に落とせる──そんな強気の考えの下で、心の奥底では──確かにそんな不安が常にちらついていた。ちっとも私になびいてくれない。振り向いてくれない。徒労。失望。行き遅れ。ひとりまたひとりと一人前の女として、母親として、周りが順調に人生を成長させてゆく中、私は独り寂しく取り残される──。

「ボクならあやねちゃんを助けてあげられるよ……」

 アイツの動きがさらに穏やかになった。愛おしむような優しさすら感じてしまう腰の動き。だけど刺激が少なくなったというのにむしろ気持ち好さは増大し、アソコの熱さが一段と昂ぶってしまった。

(なに……あ……あ……やだ……これぇ…………♥!)

 緩やかでもしっかりと私を求める動き。男の人に愛されているという充実感が湧き、私の心は千々に乱れた。

 アイツがじっと私を直視している。「可愛いよ、あやねちゃん。綺麗だ……」やだ、そんな、行人様みたいなこと言わないで……! まんじゅうみたいな緊張感の抜けた顔つきで、他の女にも言ってるはずのキザな台詞。なのに……真剣な眼差しに吸い込まれてドキドキしてしまう。アソコがさらにキュンと疼いてますます気持ち好くなってしまう。

 逆らえなかった。おかしくなるほど気持ち好くされすぎて躰に力が入らないせいだ。私はアイツに支配されたように抱かれ、アイツの女になってしまったかのようなはしたない声を上げ続けた。お母様のように。お姉ぇ様のように。アイツの人形になってひょいひょいと体位を変えられながら好き放題にされる。いや違う。アイツは女の躰のどこをどう触れば気持ち好くなるか知り尽くしている。どんな体位にされても長くて大きい肉棒が私の奥まで求めてくる。気持ち好い箇所を擦る。アイツの手慣れた動き。焦りのない物腰。常にこちらを観察している。大人なのね。だから人形のように扱われてしまうんだ。そしてそれに身を委ねてしまい、与えられる快楽に浸ってしまう私……!

 今まで経験したことのないほどの昂奮。終わりの見えない快感。これがせっくす……男と女の交わり……! 時に激しく、時に優しく、アイツは私を求め、貪り、休ませてくれない。疲れ知らずに求め続け、私の奥の奥まで入ってきて、私もその心地に呑み込まれていってしまう。いつまでも、どこまでも……!

 そうやって数えきれないほど逝かされているうちに、私はあっと気付いた。

 行人様としたかったこと、されたかったことをアイツとしていることに。

(やだぁ……だめぇ……!)

 完全にアイツの女になってる。恋人みたいになっちゃってる。アイツがどんどん私の中で広がっていく。私を満たしてしまう。それがまた心地好くて、からだが熱くて溶けちゃいそう。何度でもイッちゃう。すごい、これがいいって思っちゃう。ああ、だめ、こんな、気持ち好い、いや、いや……!

「そろそろ出すよ」

 出すって、ああ、そんな、だめ、あんなの、だめよ。あんなにたくさん出されたら絶対にデキちゃう。だめ、お願い、出さないで。私は、私は──助けて行人様、行人様ぁ!

「これであやねちゃんも皆んなとまた一緒になれるね」

 それはそうだけど!

 早さを増すアイツの動き。

 “射精”が来る──!

 全身の力が抜けてしまったのか、躰を引くことができなかった。このままじゃ子種を出されちゃう。私はアイツに種付けられて、アイツの子供を産んじゃう。

「それのなにがだめなの? 気持ち好い子作り最高じゃん。それともあやねちゃんだけ男なし、子なし、将来なしのままでいる? 頑固なイクト君はいつまでもキミを拒み続けるだろうに」

 

 でも、でも、でも。私、私はまだ──!

 

「もう悩まなくて済むよう、決めさせてあげるのん。ボクは彼みたいに優柔不断な男じゃないからね」

 アイツはそう言ってぐっと腰を進め、「のおっ」と叫んで躰を強ばらせた。

 アソコに感じる熱い飛沫。これ、これが、あッ、だめッ、こんなの、こんなのって、だめ、そんな、いや、いや、

 

 

「いやあああッッ!!!!」

 

 

 掛け布団を蹴り飛ばし、あやねは猛然と飛び起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────朝の自室──────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  3

 

 

 

 

 隣で寝ていた紋次郎が目を覚まし、びっくりした様子であやねを見上げた。

 静かな室内。巨体の男の姿など見当たらない。穏やかな陽光が差し込む障子戸。

(────ゆ────め…………?)

 と、その障子がすらっと開いた。

「どうしたのあやね。すっごい奇声」

 ふたつ指に挟んだ呪符をヒラヒラさせながら入ってきたのはまちであった。既にその相好は崩れていたが、片足踏み入れた途端に完全に破顔した。「──ぷっ。ぷぷ。なにそれ。朝っぱらから体術の練習?」

「へ?」

 自分自身を見下ろしたあやねは、帯が解けかかって寝衣が脱げ落ちる寸前まで乱れながらへっぴり腰で尻相撲でも決めているような、実に間抜けな姿勢でいることに気付いた。

「なっ!?──な、な、なな何でもないわ」慌ててシャンと立って裾や襟を直しながら取り繕う。「ちょっと……あ、悪夢にうなされただけ」

「へえ~悪夢? どんな?」

 面白がるように目を細めニヤつく姉に、あやねはうっと顔をしかめた。説明なんてできる代物ではない。

「べ、別に話すほどじゃないわ」そう言いながら誤魔化すように紋次郎の蒲団畳みに参加した。「それよりもお姉ぇ様いつ戻ったの? 泊まりじゃなかったの?」

「ええ、さっき帰って来たとこ」

 まちはほう、とため息をつくと、途端にその瞳が官能的に潤んで焦点を喪い、己が躰を掻き抱く。

「ぱん太郎様ったら、私が着くなり直ぐべっどに誘って……たっぷり時間かけていっぱいご褒美くれるもんだから、真っ先に音を上げちゃったわ……♥」

「ご褒美って……はいはい、良うござんしたね…………」

「私もこのところ色々と忙しかったから疲れも溜まってたのかしらねえ」

「いや、いつ仕事したよアンタ」

「失礼ね、これでも貴女の知らない所でかなり頑張ってるのよ……色々とね♥」口元を袖で隠し忍び笑うまち。「──ともかく目が覚めたらもう朝で、ぱん太郎様もぐっすりだったから、起こすのも悪いし帰って来たの。ああもう、なんであやねも来ないのかしら」

「行くわけないでしょっ!」

「殿方って、いえ、ぱん太郎様って……ホント素敵よ♥ どんな女でも極楽浄土へ案内してくれるんだから。まさしく女泣かせね。昨日も同じこと言ったかもだけど……村の女全員まとめて面倒みてくれるのはあの人しかいないと思うわ」

「だから……私はイヤだって……!!」

 姉の言葉から即座に連想してしまった記憶──みことの愛撫、ローターの快美感、そして先ほどの淫夢──を数瞬思い浮かべた後、火を吹くように赤くなった首から上をあやねはブンブンと強く振った。

(考えてみれば最後は全部アイツじゃない……アイツのことを見たり考えたりしながら……私は……!)

「あらあ~? やけに強く否定するわねえ。一体どんな夢を見たのかしら? 夢には無意識の願望が顕われるって言うわよねえ。ウフフ……」

「もっ、もうっ! いい加減邪魔だから出てって!」

 とうとう癇癪を起こしたあやねは姉の背をぐいぐいと押し、部屋から追い出してしまった。

 障子をピシャリと閉めると、大きな溜め息をつく。

(はぁ、もう……気持ちを切り替えないと──)

 早く朝食の仕度を始めよう、そう考えながら、一旦は直した寝衣の帯を解き落とす。紋次郎はというと、巫女姉妹が言い合ってる間にさっさと先に部屋を抜け出てしまっていた。

 半裸になったあやねが新しい下着に変えるべく箪笥の前で今穿いているのをずり下げた時、その違和感に気付いた。

 股部が離れた際のやけにぬめっとした感触──。

(──ッ!?)

 ぎょっとして下を覗き込むと、白い布地の“その部分”が、一目で分かるほどに変色していた。ネットリとした糸まで引いて。

「~~~~~!?」

 言葉にならない声。その粘液が何であるのかぐらいもうとっくに理解している。カーッと耳まで赤くなったあやねはキョロキョロと室内を見回し、無人であることに心の底から安堵した。気を取り直して素早く下着を脱ぎ、その部分が隠れるよう内側に折り畳んで箪笥の奥に隠す。

「嫌だわ……後でしっかり洗わなくちゃ……!」

 代わりに取り出した手巾で股間をよく拭(ぬぐ)ってから真新しい下着を穿き、人の気配が無いかと再度首を左右に振って確認する。誰もいない。

「──はあ…………」

と、あやねは暗澹とした溜め息をついた。次いでムラムラとやり場のない怒りがこみ上げる。眉を吊り上げて手巾を握り潰しながら歯噛みし、

「どれもこれも……ぜーんぶ! アイツのせいよっ!」

と、悔しそうにがなった。まったくなんて夢を見るんだろう。寝る前にしたって……あんなヤツに、だ、だ、抱かれる妄想をしながら……!

 恥ずかしさのあまり顔が熟した林檎のようになりながらも、あやねは自分自身にも腹が立って仕方なかった。気付いたのがまさしく絶頂に駆け登る瞬間だったので止めようにも止められなかったのだ。というか気付いてしまったからアイツの姿になってしまったのかもしれない。せっかく行人様を想像しながらしてたのに……!

(い、いつ誰が……あんなヤツと……こ、子作りしたいなんて思ったのよ! 私は行人様一筋なのに。あんな……ヤツと…………!)

 考えてみればあの姉たちが悪いのだ、と、障子をチラッと盗み見たが、人影は映っていない。とっくにどこかへ行ったようだ。

「……家には私もいるのに、そんなのお構いなしに騒々しくするから、こっちまで調子を狂わされるのよ…………」

「何が狂うって?」

「ぎゃあっ!?」

 あやねはいきなり横からニュッと生えたまちのニヤけ顔に飛び上がって悲鳴を上げた。

「な、ななんなのよ一体! いつの間にまた入り込んだの!? ま、まさか──」

「まさか、なあに?」

 首までのぼせたように色が変わりあたふたと焦りまくる半裸の妹を生暖かい目で眺める赤袴の巫女。

「い、いえ、何でもないわ……それより何よ! まだ何か用でもあるの!?」

 バレている雰囲気を感じないでもなかったが、膨らみのゆるやかな胸の前で腕を組み、あやねは強がった声で問い質した。ただ落ち着かなさだけは抑えられず妙にモジモジとしてしまう。

「ええ、ひとつ言い忘れたことがあってね」

「なによ」

「行人様の今日の予定よ」

「え!?」

 途端にあやねの荒い鼻息が収まった。

「ほら、行人様は最近、西のぬし様の代役で見廻りしてるじゃない。どこに行くか判ってれば捜しやすいでしょ?」

「そ、そりゃまあ、そうだけど……」

「今日は南の方を廻るんですって。行人様はその辺キッチリしてるから、ちゃんと予定を組んで仕事してるみたい。それさえ判れば対応しやすいわよね」

「でもどうして急に……? ……まさか、また何か企んでんじゃないでしょうね」

と、あやねは悪戯好きの姉に疑念の眼差しを向けた。悪ふざけの対象に最も選ばれやすいのは他でもない、妹である自分なのだ。

「いやあね、心外だわ。不憫な妹を想って少し情報を与えただけじゃない」

 あやねはさらにじいっと姉の瞳を覗き込んだが、微笑みの下にある心算を喝破するのは難しかった。ぱん太郎と付き合い始めてからというものの、まちの内面は確実に変化していて表情も読み解きにくくなってきている。ただそれは印象であってどこがどう変わったと具体的に指摘することは難しいのだが……。それでも昔と明らかに違うことは確かだった。大人びたというか余裕が出てきたというか──男を知ると女は変わるというのはこういう事なのかしら、という思いをあやねは漠然と抱いている。

 もしかしたら本当に助け舟を出してくれているつもりなのかもしれない。優越感から来る憐憫の情かも知れないところが素直に喜べないが。

「不憫って部分が引っ掛かるけど……まあ、今回は有り難く頂戴しておくわ」

「行人様にあたっくしに行くの?」

「勿論よ。でなきゃ教わった意味がないじゃない。それに言われなくても元々そのつもりだったしね。今日こそは私の魅力にメロメロになって貰うわよ!」箪笥から一張羅の洋服を引っ張り出しながらケッタイな笑い声を上げるあやね。「そしてあわよくば婚前交渉……二度あることは三度ある……三度目の正直……ウケケケケ!」

 都合の良い妄想に浮かれながら意気揚々とめかしこむ妹を尻目に廊下へそっと出たまちは、

「……ちゃんすは与えたわよ。こっから先はあなたが選び取る道だから……頑張りなさいな、あやね」

 そう言い残し、頬笑みと共に今度こそ妹の部屋から立ち去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

   4

 

 

 

 

 

 明るく気立てがよくどんな仕事も卒なくこなし、笑顔を絶やさず皆に好かれる人気者のすずは、そればかりでなく羨むほどの美貌と可愛らしさが高い水準で共存している目鼻立ちと飛び抜けたスタイルを誇り、同世代の娘たちの自信を少なからず奪うほどの存在であった。村一番の器量よしであるのはまず間違いない。

 恋愛感情からも性的欲求からも最も縁遠かった抜群の美少女──この娘までもがぱん太郎にからだを許して春に目覚め、すっかり関係が定着し、少女と共に暮らしている少年の目を盗んで子作りに励んでいるのは、早い時期から村の間に知れ渡っていたことだった。だが、村人たちの思いやりや行人には教えるなという言い付けなどあって、少女の同居人の耳には届かないようになっていた。言い付けを触れたのは無論ぱん太郎である。島に身寄りのない行人が孤独を感じないように、というのが上辺の理由であった。純朴な村娘たちを中心にそれが信じられ、ぱん太郎様は優しい気配りができる方だべ──そういう噂が立った。

 しかし真実を言えば、すずをたっぷりと可愛がった後、愛を交わした証で満たされた子袋を抱えさせて行人の元に帰すのが楽しくて仕方なかったからである。二人の関係を断ち切ってしまってはそんな趣向に興じられなくなってしまう。

 反面、ぱん太郎には自分の腕の中で気持ち好さそうに喘ぎ、いくらでも種付け射精を受け止めるすずの姿を行人に見せつけたいという願望もあった。これほど極上の娘を奪われた上に合意の子作りをしている事実を知って浮かべる表情は如何ばかりだろうか。中出しされている感触だけでうっとりとした快感を覚えるまでになった姿を目撃する態度はどれ程であろうか──。

 その悪戯を思いついたのは、梅梅を抱いていた日のことであった。その日は彼女がパン太郎を独占できる日であったが、前夜から激しく求め合っていたためとうとう昼前に梅梅が意識をなくしてしまい、仲働きと梅梅の子供の世話に来ていたすずが代役としてベッドに引っ張り込まれた。もう一人の仲働きは、「今日は遠慮するわ」と、少々心残りそうな顔で辞退したのだ。すずとパン太郎の重なったからだは日が暮れるまで離れることなく、すずと同居している少年が目撃すれば蒼ざめるどころではないほどの乱れぶりで淫猥な言葉が交され、熱烈かつ濃厚な種付けが繰り返された。

 いつものように行人に見せつけたいと思いながらぱん太郎は心ゆくまで青リボンの少女を蕩かし、もはや特に意識しなくとも自然に動きを合わせながら共に絶頂に達し、その胎奥に己が存在を放ちまくった。すずからも何度求めただろうか。

 愛された証が溢れないようキュッと膣口を締め、潤った表情と腰つきで帰宅する少女の背中を見送ってからもう一人の仲働きが用意した夕餉を済ませると、ぱん太郎は急に眠気が襲ってきてその日は早めに床入りした。

 夢の中でも大勢の女をはべらせ、小者姿の行人を仕えさせて酒池肉林の宴を開いていると、女中をしていた赤袴の少女──まちが誘惑してきたので、上機嫌で寝床に連れ込んだ。命令されて寝台の横に控えた行人は悔しそうな羨ましそうな表情で二人の熱い睦み事を眺める。まちの反応はやけに真に迫った生々しさがあり、ぱん太郎は変な感覚を覚えながらも、(まあいいのん)と、それ以上は気にせず、まちを犯す様子を淫液の飛沫がかかる距離で行人に見せつけながら存分に楽しんだ。事を終えるとまちはフラフラになりながらも満足げに姿を消した。そうして目醒めてみると、まるで本当に交わっていたかのように汗だくで上気した当人が真横に寄り添っていたのだ。

 もしかして寝惚けながらやったのかと思って問い質してみれば、夢に干渉できる術法を発見したので、食事に一服盛って試しがてらぱん太郎の夢の世界に入り込んだのだとまちは言う。ぱん太郎はこの童顔巫女が術使いであることを思い出すとともにピンときて、「それじゃあ思い通りの夢を見させることはできるのん?」と尋ねると、「術の使いようにもよると思うけど、自分の記憶を他人の夢に投影するのがあるわ」というのが回答だった。

 行人が淫夢を見始めたのはそれからほどなくしてからである。

 ぱん太郎の命令に従えばご褒美の時間が与えられるので、まちは嬉々として働いた。

 間違いなくとびきりいやらしい情景を見せているとの巫女の言と、ひと月ほどして外出した時に見かけた行人がどことなく虚ろで覇気を感じられなかったのを総合すると効果が出ているとぱん太郎は判じたが、この実験の事を知らせていないすずにそれとなく行人の様子を訊ねると、

「え……? 特に変わりないけど……?」

とのことであった。好きな女の前では見栄を張っているんだろうと推測したが、他人の手に委ねている上に夢の中の出来事なので、いまひとつ手応えが掴めないのが唯一の欠点だろうか。

 最初にまちが行った夢に入る術が彼女以外でも可能なようなので、すずを連れて直接乗り込むことも考えたが、その場合夢の世界の主導権は見ている本人が握るため思い通りには事を運べないらしく、しかたなく諦めた。

 ともあれ、すずとの情交さえも行人に見せつけることが出来るようになったのは破格の展開であった。とやかく言ってもやはり夢であるのが何よりの好都合だ。

 清らかであることを信じている少女が夢の中とはいえ別の男と筆舌に尽くし難い行為に耽っているのを、少年はその眼(まなこ)に映す。自分の夢なのに自分とではない。慕っている少女が彼が敵視し、忌み嫌っている男と交わっている。少年がこの世で一番許せない男と肌を合わせ、少女はめくるめく快楽を与えられて善がり、二人は恋人同士のように繋がっているのだ……!

 大切に想っている少女と憎い男の濃密なセックス。離れることのない下半身。彼女の中で何度も何度も男が果て、その胎内に大量の精液がぶちまけられる。それを許している少女の態度がまた堪らない。全身を震わせながら恍惚とした表情で男の逞しい射精を感じている。味わっている。快楽を追い求めるだけでなく、子作りを目的としたセックス。嫌悪も後ろめたさもなく、胎内で出されているのを感じながら、美しい少女は少年ではない男の子種を腰を逃がすことなく受け止める。

 行人にとってはそれが非現実であることが救いで、だから夢から醒めても何も言わず、すずの前ではいつもと変わりない態度を取れているのだろう。

(だけど残念、ばっちり正夢のんっ♪)

 行人が見ている夢の内容を考えると、ぱん太郎は有頂天の愉悦が収まらなかった。三人の相関図を頭に描くたびにニンマリと邪な笑みが浮かんでしまう。

(すずちゃんはもう立派なボクの愛人。すずちゃんのオマンコはボクの子種貯蔵庫。おめでたの“順番待ち”に堂々加わってるのん。いつもボクの精液を満杯にして家に送り返してるのに気付いてないのかな? のふふふふ……しかもすずちゃんはそれを嫌がらなくなってんだからね。キミが知らない所でどんどんボクにハマっていってるのん)

 しかし今さら気付いたとしても関係修復はもう不可能だろう。させる気もない。そのためにもぱん太郎という存在が一生忘れられなくなるほどの“濃密な経験”を与えているのだ。

(キミが大切にしてるあの子はボクとせっくすしてて、ボクに女の悦びを教え込まれてる。清楚なコだったのに、もうエロエロ大好きっ娘になる将来しか考えられないぐらい開発が進んでる。もうエロ娘になった片鱗が出て来てるしね。ぜーんぶ夢の通り、いやそれ以上のん。

 例えば、ボクの精液を垂らさないようオマンコを締めながら、すずちゃんはキミに接してるんだからね。一日空けずに抱いた時はオマンコの中がまだグチャグチャだし、数日経ってても奥に残ってたり♥ まあボクのデカマラで穴を拡げちゃったから、どうしても多少は溢れちゃうみたいだけど。

 ボクと一緒にセーキョーイクの勉強したから、すずちゃんももうとっくに妊娠の仕組みはわかってる。中で出されることがどんな事なのかわかってる。その上でボクに中出しをおねだりするんだから♥ 中出しされて気持ち好くイッちゃうんだから。せっくすした後でもオマンコの中に残るボクの精液は温かくて気持ち好いんだってさ。家に帰ってキミの前にいてもその温かさや重みを感じ続けてて、ふとした拍子にボクの事を思い出してアソコが濡れて来ちゃうって。ボクとのせっくすの余韻が何日も続くからだよ。キミと一緒にいてもボクのチンポの気持ち好さを思い出したり、中に残る精液でいつボクの子を孕んでもおかしくない状態なのを自覚したりして、ぽーっとしちゃうんだって。要するにすずちゃんの心に同居してるのはもうキミじゃない、ボクなの♪

 キミといる時もすずちゃんはボクのことを考えながら、ボクとセックスした余韻を感じながら、子宮の中でもすずちゃんとボクの分身が愛し合ってる……なんて最高の状況のん♥ えーと排卵? ってのは月に一度らしいけど、もしキミの傍にいる時に受精が起こったりしたら、もう……最高の最高だね。……のの、すずちゃんもいつボクの子を孕むか楽しみで仕方ないのん♥)

 村に舞い戻ったその日からすずへの種付けは始まったから、月日としてはもう四ヶ月を過ぎているだろうか。抱いた回数はもはや数え切れない──が、妊娠の兆しはまだ来ていない。

 やりすぎもかえって妊娠しずらいという説もあるらしいが、カラダの抱き心地もアソコの具合も反応も男への尽くし方も、すずは何もかもが佳すぎてついつい日を置かず求めてしまうのだ。しかし梅梅との逢瀬が始まった一年ほど前、当時は彼女しか相手がいなかったため、連日同じかそれ以上に抱いたものだ。それでも梅梅は孕み、無事に元気な赤ん坊を産んだ。子宝は天の授かり物と言うし、すずの他にも身篭っていない女は何人もいる。今のところ寝た女は余すところなく全員孕ませているぱん太郎の自信に揺るぎはなかった。

 すずも絶対に孕ませる。他の娘たちもその母親たちも一人残らず孕ましてやる。その慾望は一寸たりとも衰えたことはない。そしてそれはもう──絵空事ではないところまで来ているのだ。

(イクト君にはエロい夢だけ与えておけばいいのん。……あー、ひょっとしたらそれでシコッてる可能性もある?)

 それはあながち見当違いではないように思えた。やりたい盛りの若いオスはとにかく性欲の抑制が難しい。何とかして解消しないと日常も落ち着いて過ごせないものだ。ぱん太郎も初めて発情期を迎えた時はただただメスを捜し求めた。それが本能であるし自然なこと──今のぱん太郎が言えた義理ではないが。

(お年頃の童貞だしねえ。夢であっても他人とであっても、好きな娘がとびきりいやらしくせっくすしてるの見ておっ勃たない方がおかしいの。ボクなら我慢できないね、躰が勝手に反応しちゃうのん。いいのんいいのん、存分にセンズリこくといいの。ボクにハメられて悶えてるすずちゃんをおかずにしてさ♥)

 そういえば自慰などまだ出会いのなかった若い時分にしか経験がない、とぱん太郎は昔を懐かしく振り返った。だが、石を投げれば女に当たるこんな環境にいて自分で処理するなど馬鹿馬鹿しい限りである、こんなに佳い女ばかりの桃園で。

 盛りの女たちは母も娘もスタイルや肉付きに恵まれた者が多く、肌のはりつやも誰もが見事なもので実に抱き甲斐がある。体形が崩れている女は皆無で、母親連も出産経験があるとは思えないほどの腰のくびれようだ。皺や贅肉を見つけることの方が難しい。ぽっちゃり型や男のような大柄の体つきもいるが、愛嬌があって愛くるしいし、巨躯のぱん太郎にとってはむしろ抱きやすく重宝していた。女の平均値が高いのは、遺伝が優れているのもあるだろうが、日々よく働きよく休みよく食べよく寝る、そんな極めて健康的な生活を送っている証拠だろう。また、大ヌシの霊力に包まれたこの島で生まれ育ったお陰もあるかもしれない。

 何はともあれ、すべての女をぱん太郎が取り上げてしまえば、自然(じねん)、行人は自ら慰めるしか方法はなくなる。この狭い村の中、ぱん太郎に開発されていやらしいメスの匂いを振りまくようになった女たちに囲まれながら、頑なな性格のために手を出せずに悶々とした日々を送るのは、さぞや生ける地獄になるだろう──そんな状況に追い込んでみたいものであった。

 ただ行人はこんな女人の里で年単位を過ごしながらも誰にも手を付けなかった堅物である(そこがぱん太郎の付け入る隙でもあったのだが)。好きな娘ではかえって昂奮しない類なのかも知れない。そういう純情な男もいる。だがそれもやはりすずに対する気持ちの表れとなるので、どちらにしても既にすずと懇ろな関係になっているぱん太郎にとっては格好の肴になるだけであった。行人が想っている娘を存分に犯して快楽に善がり狂わせ、種付けを繰り返すのは最高の気分だ。

 兎に角も、現実と乖離した夢の世界で現実そのものを見せることが出来るというのは素晴らしいの一言だ。どんなに姿をさらけ出そうが決定的な証拠にならず、堂々とすずと絡んでいる所を見せつけられる。今やぱん太郎の巨根を苦もなく受け入れ、濃厚なセックスにすっかり夢中になったすずの美しくも淫らで浅ましい痴態。行人が気にしてやまないこの美しい少女と心ゆくまで愛し合い、最期は深々と突き挿しながら種付けている場面をいやというほど見せつけられる。

 ぱん太郎はそうして、すずとの情交を深めていった。

 

 

 自分を愛する男の熱情がさらに増したことに敏感に気付くと、少女の反応もより昂ぶりを見せた。好循環とはこのことか。すずと交わるたびに彼女との絆が強まっていく気がして、心も、躰も、そして運命さえも行人から奪い取っていく充足感があった。

 いや、すずだけではない。

 まちも、ちかげも、梅梅も、ゆきのも、りんも、しのぶも、みちるも。

 行人と特に親しい九人のうちの八人。村の娘衆の中でもぱん太郎が殊更狙っていた、行人と太い縁(えにし)がある粒揃いの美少女たち。

 自覚のあるなしに関わらず各人に育まれてきた行人との想いの絆をバリバリと引き剥がし、妙齢の少女たちを肉慾の膠(にかわ)で我が躰(たい)に癒着させていく過程と感覚は甘美としか言いようがなかった。

 この少女たちがぱん太郎と関係したのを知っても、少年は依然傍観するだけであった。彼女たちに歩み寄りさえしなかった。まるで自分には関わりのない冷たい無機物のようにそっぽを向いていたのである。その間にぱん太郎は遠慮なくぐんぐん行動し、一人また一人と逞しい腕に抱きすくめて搦め捕り、たっぷりと時間をかけてそのからだに快楽を教え込み、すず達を肉悦の熱い坩堝に熔かし込んでいった。男に免疫がない処女には劇的すぎる情欲の炎。あれよあれよという間に取り込まれていく彼女らに、行人の救いの手は────ついぞ差し伸べられることはなかった。

 八人はぱん太郎の腕(かいな)に抱かれたまま、からだがとろけ、こころがとろけ、怯えや迷いのあった顔は解放されて性の陶酔の表情を浮かべながら、とうとうぱん太郎と一つの運命に癒合していく。

 一個の男体に八つの女体が繋がったおぞましくも淫靡な肉塑像。梅梅は肩まで呑み込まれ、一番症状の軽いゆきのでさえ腰まで沈下していた。すずは──臍から下はもう同化していて、なおも目に見える早さでずぶずぶ、ずぶずぶとぱん太郎の躰に溶け込み、しっかりと抱(いだ)かれながら境い目が無くなっていく真っ最中であった。

 ぱん太郎から絶えず送り込まれる歓喜の極まりとも言うべき濃密な精髄に娘たちは悦び打ち震え、己の形(なり)を顧みることなく、凄艶にくねり踊る。性愛の女神のような光に潤む、感性が塗り替えられた少女たちの瞳。永劫の情動に焦がされる思念。ぱん太郎の腕が順繰りに八人の下腹部に沈むと、番を迎えた少女から理性が消し飛んだ歓呼を上げて身悶える。喜悦の精髄を送り込む猛々しい肉管で最奥まで支配された生殖器を直接揉みしだかれたのだ。それはさながら男根をしごく行為にも似ていた。悪魔の手業で与えられる尋常ではない刺激。想像を絶する愉楽。この世のものとは思えないほどの肉の疼き。背徳と退廃の音色がひいひいと八つ重なる。淫らな雌に精肉された八つの女体が織りなす色魔の嬌態、全員の自我は敵いようもなく快楽に囚われ、からだがバラバラになりそうなほどの法悦の境地に至る。まさしく其処が女たる少女たちの弱点、肉慾をおぼえた後宮の中枢であった。注ぎ込まれた嬉髄が彼女たちの胎(はら)で次から次へと契約の実証を果たし、果たしては消える。だが何人かの中ではひときわ大きく燃え上がったかと思うと、消えずに淡くも確かな熾火が宿った──。

(うにゃ、ああ、ひぐぅ、ひぃん……♥ 行人、行人ぉ、ごめんなさい、でも、でも、行人もいけないんだよぉ……私のこと、ぜんぜん構ってくれないんだからあ……♥ 行人がこんなコトしてくれれば、私、私ぃ……♥!)

 青リボンの少女の生殖器は誰よりも丹念に揉みしごかれ、内部でひときわ躍動する肉管が脳内を狂わす信号を矢継ぎ早に流し込む。子宮は男の精髄で隅々まで満たされ、何度も熾火が生まれては根付こうとする。胎(はら)の奥に溜まる熱い快美はもはや自分では抑制できず、固い意志を形成することなど叶わずに男に身を委ねてしまう。

 少年が指一本触れて来ようとしないことは、少女自身が最もよくわかっている。だからこそこうなっているのだ。

 すずの胎内に遠慮なく流し込まれる精髄の中に心温まる関係を築いてきた少年のものはわずかばかりもない。つい数ヶ月前まで何の関係もなかった男──そんな男の存在ですずの生殖の中核は満たされ、明滅が繰り返される。新しく点されるたびにそれは強さを増していく。全身が砕けそうなほどの快楽の波に呑み干され抗う気力はとっくに潰えていた。男に屈して征服されるのが痺れるほど心地好い。孕んで産めと言うのなら、それに隷(したが)う他もう考えられなかった。すずは自分が変わってしまったのを感じている。そこからさらに変貌させられる。後戻りできないほどの自分に変わってしまう予感。

 しかし男から与えられる支配と快楽はその恐怖心すら打ち消していた。

 行人は気付かない。気付こうともしない。

 それなら何もかもこの人に身を委ねれば良い────。このことは内緒にして行人の世話を続けていいって言ってくれてるし────。

 そう思うとからだも気持ちも軽くなる。至福の心地だけを感じていられる。

 もう……離れられない。

 

 でも、これでいいよね────。

 

 さらに癒合が進んでゆくのに気付かないすずだったが、尽きせぬ情慾に眩む眼に遠く人影があるのには気付いた。

(あれは………………)

 徐々に距離が縮まって大きくなるその背中を、すずはいやというほどよく見知っていた。白リボンで髪をツインテールにまとめた青袴の少女。まだ清らかなからだを保ってる数少ない乙女のひとり。

(だめぇ…………あやね………………!)

 すずは声を出そうとしたが、男から一段と随喜を送り込まれてぐにぐにと生殖器官をしごかれると、途端に無上の悦感で脳神経の末端まで痺れてしまい、あっという間に言葉も思考も駆逐された。
(だめぇ……♥)

 男からからだを引き剥がせない。いつまでも繋がっていたい──本心からそう思ってしまう。この熱くて逞しい肉と、メチャクチャになるほどの気持好さを送ってくれる男と……。

 青袴の少女を心配そうに見つめた瞳にだらしない淫らさが宿り、新たな嬉悦の涙が溢れる。尖るほど勃っていた乳首がさらに固く膨らみ、全身が性感帯になったように敏感になる。「にゃあぁ……ああぁ……♥♥!!」

「すずちゃん、あのコもボクたちの仲間に入れてあげよう。この輪の中に。あのコも気持ち好くしてあげよう。全員でボクの赤ちゃん産もうよ。友達を独りぼっちにするのは可哀想……だよね?」

 感じやすくなった肌をさわさわと優しく撫でられ、それだけで何度も軽くイッてしまう。

「ふぁ……ふぁい………………♥」

 逆らえない中で、それもいいかな──と、少女は思ってしまった。だって独りぼっちは寂しい……皆んな一緒なら────。

 

 そうして、行人と最も心を通わせていた青リボンの少女でさえ性交漬けの肉棒奴隷に堕とした男の長い腕が、白リボンの少女のすぐ後ろまで迫っていった────

 

 

 

第17話に続く)

 

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最終更新:2018年10月01日 00:32