かきや
http://w.atwiki.jp/kakiya/
かきや
ja
2024-03-18T01:49:10+09:00
1710694150
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『寝取られて』第25話
https://w.atwiki.jp/kakiya/pages/68.html
<p>ながされて藍蘭島エロパロ</p>
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<p>寝取られて25話</p>
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あと一、二時間もすれば水平線の彼方へと沈んで消える夕陽で黄金色に染まった大海原は、遠目には穏やかそうに見えてその実絶えずうねる波間に光の綾となったサンロードが燦然と輝き、藍蘭島の手つかずの大自然と相まって急ぐ用事でも無ければ足を止め、心奪われる美しい時間にいつまでも浸らずにはいられない六曲一双の壮大な屏風絵のようであった。財貨や社会発展に代え難い風致な夕景を眺望できる西の海岸の高台。</p>
<p> だけれども、そんな光彩陸離に圧倒される間もなく、西の砂浜を見下ろすその集合場所へ到着したボクは、既に集まっていたすず達の姿をひと目見た途端、</p>
<p> </p>
<p> ブウーーーーーッッ!!</p>
<p> </p>
<p>と、鼻から盛大な血飛沫を噴き出しながら卒倒寸前にずっこけたのだった。</p>
<p>「な、な、な…………!」</p>
<p> 久しぶりに大量の鮮血を流す鼻を必死に抑えながら、すぐには言葉が出て来ない。</p>
<p>
去年も製作途中の祭り衣装を纏ったちかげさんの姿を見た時、その際どさに池田屋よろしく階段から滑り落ちてしまったものだが、だが──今回のデザインはあれにも増してさらに酷かった。</p>
<p>
増しているのは当然だ。なぜならば、袖を肩口まで捻(ねじ)って肩はおろか脇までも出している濃藍色の半被を白帯で結わえているのは、去年のあの試作品をベースにしたものだったからだ。上は白鉢巻、下は前垂れのない白褌に右近下駄。太ももまであったニーソックスはふくらはぎまで短くなって生足の露出範囲がもっと広がり、手甲と共に半被と同色に染められていて──覆われた箇所はそれだけだった</p>
<p>(※単行本第二十巻カラー扉絵の太鼓を叩くすず参照、但しあれより布面積が少ない)。</p>
<p> そう、それだけだったのだ!</p>
<p>
去年のちかげさんの試着でも一応は晒しを付けていたはずだが、今ここにいる女子たちの胸には何も巻かれていなかった。誰一人
2024-03-18T01:49:10+09:00
1710694150
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『寝取られて』第24話
https://w.atwiki.jp/kakiya/pages/67.html
<p>ながされて藍蘭島エロパロ</p>
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<p>寝取られて24話</p>
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一週間という短くも長く感じられた準備期間を経て、とうとう本番その日がやって来た。とは言え用意は前日までに全て済んでしまい、龍神祭も夜祭として夕刻から開かれるので、ドン、ドン、ドンドンという開催当日を報せる早朝の花火の音で目が覚めたものの、少なくともボクは起き抜けから落ち着かない気持ちは湧かず、一日の始まりは水汲み、掃除、洗濯……と、普段どおりのようであった。</p>
<p> 朝食も済み、さて日暮れまでどう時間を潰すそうかと終日快晴を思わせる青い海原を眺めながらお茶を啜ってくつろいでいると、</p>
<p>「行人ー」</p>
<p>と、台所で食器の洗い物をしているすずが背中を向けたまま話しかけてきた。</p>
<p>「なにー?」</p>
<p>「私、お祭りの着替えの集まりに呼ばれてるから、これが終わったら出かけるね」</p>
<p>「あ、そうなんだ……どこで?」</p>
<p>「えっとね……ちかげちゃん家だよ。衣装配るの面倒だからって、私たちの方から取りに行くことになったの」</p>
<p>
上体を捻ってこちらに横顔を向けたすずはそう言い、流し目でニコッと笑いかけてきた。最近、こんな何気ない仕草にドキッとしてしまい、ボクは目がやや泳ぎ気味になってしまう。すずの美少女ぶりに磨きが掛かっていると言うか、妙に色っぽいと言うか……それでなくとも彼女のスカートはちょっとかがめば下着が見えそうになるぐらい短いし、胸もボリュームが増しているような気がして……目線をどこに置いたらいいのか、この頃はとても迷ってしまうのだ。もっともそれはすずに限らず村の女の子たち全体に言えることで、思春期の女子は皆こうも眩しく見えてしまうのか、それともボクが意識過剰になっているのか──まず後者で間違いないと思うけれども。</p>
<p>「あはは、まあ確かに、一軒一軒配って回るより、皆んなを集めた方が効率がいいもんね……ってことは、祭り衣装は新調されるんだ?」</p>
<p>「毎年新しく仕立ててるんだよ、ちかげちゃん」</p>
<p>「さすがだな……じゃあ、ボクの分もあるのか
2024-02-04T15:23:47+09:00
1707027827
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『寝取られて』第23話
https://w.atwiki.jp/kakiya/pages/66.html
<p>ながされて藍蘭島エロパロSS</p>
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<p>『寝取られて』第23話</p>
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ポンポンと軽い音を立てながら底抜けに青い夏空に数発の花火が打ち上がり、ボクにとっては二度目となる海龍祭りの季節がやってきた。沈没したアイランド号から海へ投げ出された人々をこの島へ導き救ってくれた大ぬし様の御加護や暖かく受け入れてくれた先住の皆んなに感謝を捧げるのがこの祭りの主意という。だから村人達は開催間近を知らせる花火の音を聞くと普段の仕事の手を止め、ホストとして一週間の日にちをかけて様々な準備をし、島の方々からやって来る動物達を屋台や盆踊り、花火などで三日間もてなし、また御神体を神輿で担ぎ奉謝の練り歩きをするのだ。誰もが楽しみにしている年に一度の一大行事であった。</p>
<p>
去年初めて体験したボクは、想像以上の賑わいにびっくりしてしまったのをよく覚えている。この島にはこんなにも住民がいたのかと──まあ、村のボクら以外は全て動物だったけど……。祭りの間頻繁に出入りする彼らで広場や通りはごった返し、屋台の出し物も材料の補充が間に合わなくなりそうなほどで、喧騒は終わりの時間まで収まらなかった。今年も人口百人にも満たない村の祭事とは思えないぐらいの盛況が三日間続くことだろう。</p>
<p> だが、ボクは前回ほど楽しい気持ちにはなれなかった。</p>
<p> </p>
<p> 理由は簡単。</p>
<p> ぱん太郎がいるから。</p>
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<p> 嫌なことに、アイツの姿は祭りの本番前から見かけられた。自分はもう立派な村の一員でございとでも主張するかのように、準備段階から加わっていたのだ。</p>
<p>
その体格と馬鹿力を生かして大荷物を運んだり祭提灯など高い位置の飾り付けをするなど、いちおう仕事らしいことをしているようではあったが、頻繁にその手を止めて自分を取り囲む女の子たちと姦(かしま)しい笑い声を立てながらくっちゃべったり、ふざけたり、かと思えばいつの間にか一人あるいは何人かの女の子と共に行方を晦ま
2023-08-14T16:23:58+09:00
1691997838
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『寝取られて』第22話
https://w.atwiki.jp/kakiya/pages/65.html
<p>ながされて藍蘭島エロパロSS</p>
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<p>寝取られて22話</p>
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股間に生ぬるい心地好さを感じて意識が醒めたぱん太郎はパチッと瞼を見開いた。途端、視界全体に迫って飛び込んでくる低い天井──ではなく、天蓋の木目。薄暗くも暖かい。いつものベッドの中であった。</p>
<p>
頭が覚醒してゆくと同時に躰じゅうに力が充ち満ちて来る。今日も爽快で気分良い目覚めだ。“あの日”以来、どれだけ射精しようが活力がまったく衰えなくなったため腰を振り続ける事による肉体疲労しか感じなくなり、それも元々の体力自慢から何時間でも続けられる上に、こうして一眠りしただけで漲るような精気が蘇って来る。</p>
<p>
このベッドという寝具を使うようになってから女体への理解を加速度的に深めたぱん太郎だったが、洞穴で躰を丸めていた頃が嘘に思えるほどの極楽の寝心地を提供してくれるところも大いに気に入っていた。今では蒲団にくるまって安眠を貪る習慣がすっかり身に付いている。その寝床をもうひとつの部屋にするかのように薄布を垂らし囲っているものが天蓋であった。普通のベッドにはこんな御大層な装飾など付いていないらしく、このあたりからも村人達が自分を特別扱いしているのが感じ取れる。本物の王様にでもなったような気分であった。</p>
<p>
そんなことを考えている間にも陰部を弄くられている熱い感覚は続いている。フカフカの羊毛枕から頭を持ち上げると、同じく羊毛をたっぷり詰め込んでいるという掛け蒲団が不自然にこんもりと盛り上がっていた。そして、温かくヌルヌルとした空洞──そう、それはまさしく口の中だ──に亀頭が包まれたり、舌らしきもので鈴口をほじくられたり、根元を握られている手の感触、フウフウと強い鼻息が下腹に当たったり──総じて得も言われぬ刺激が下半身から絶え間なく登って来るのだ。脚の間に誰かが潜り込んでいるのは明らかであった。</p>
<p> ぱん太郎はニタリとした笑みを浮かべて眦を下げ、掛け布団をばっさりと払いのけた。</p>
<p>
予想通り彼の下半身に取り付いている少女
2023-04-07T05:11:02+09:00
1680811862
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『寝取られて』第21話
https://w.atwiki.jp/kakiya/pages/64.html
<p>ながされて藍蘭島エロパロSS</p>
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<p>『寝取られて』 第21話</p>
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ちかげさんが挙動不審と言ってもいい足取りでウロウロと道を外れては立ち止まり、しきりに黒く細長い薄板のようなものを顔の前にかざしているのを見かけたのは、麗(うら)らかな陽差しの昼日中、村を流れ抜ける川の沿道であった。その板は木製というにはあまりに無機質すぎていて、何より光沢があった。また外界から流れ着いた物かな、とボクは当たりを付けつながら近づき声をかけた。</p>
<p>「こんにちはちかげさん」</p>
<p>「あら……行人さんじゃないですか、ごきげんようですの。今日も見廻りですの?」</p>
<p>「ええ、まあ」</p>
<p>「さすがは精が出ますの」</p>
<p>
と、顔をほころばせたちかげさんに、なぜかボクはちょっと気圧されたような動揺を覚えた。近頃村の女の子たちからよく受ける印象である。彼女たちの笑顔が眩しいというか、物腰が堂々としてきたというか──大人らしくなった、とでも言えばいいんだろうか。ボクには何とも判断が難しく、はっきり断言できないけれども、ただ、どことなく……彼女たちを遠く感じてしまう寂寥のような、虚しさに似た感覚が会話中に胸をよぎることもある。</p>
<p>「代役とはいえ任された仕事ですからね。疎かには出来ませんよ」</p>
<p>「からあげ様はあまりこちらにお戻りになりませんの?」と、ちかげさんは小首を傾げた。「そんなに東の森で忙しくしてるんでしょうか」</p>
<p>
「自分がやってみて初めて分かったけど、この島の治安維持も案外楽じゃないですからね」と、ボクは軽い溜め息まじりに言った。「基本的には平和なんですが、その代わりに喧嘩やおかしな事件が日常茶飯事だし、それらの解決はけっこう骨が折れますよ。きっとからあげさんも東の森で苦労してるんじゃないかな」</p>
<p>「北や東の森は血気盛んな荒くれ者が多いですしねえ。ナルホドナルホド」</p>
<p>「ところで……さっきから気になってたんですが、それは一体……?」</p>
<p>と
2023-10-31T16:26:50+09:00
1698737210
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『寝取られて』第20話
https://w.atwiki.jp/kakiya/pages/63.html
<p>ながされて藍蘭島エロパロSS</p>
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<p>『寝取られて』 第20話</p>
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神社へ足を運ぶ度に白リボンの少女がまぐわいを盗み見ていたことは、ぱん太郎も端から気が付いていた。最後の生娘でなければ何の躊躇いもなく障子をぐわりと開けて淫逸な営みの中へ引きずり込んでいたかもしれない。また、覗くのを止めていれば、もっとあからさまな手──夜這いやまちに呼び出させるなど──に変えて、強引にも我が物にしようとしていたかもしれない。</p>
<p> だが──あやねは性の観察を一度たりとも欠かすことはなかった。</p>
<p>
普段は行人一途でこちらなどには興味ない態度を見せてはいても、他の娘たち同様、性行為が気になって仕方ないんだな──と、ぱん太郎はその心の内を看破してほくそ笑んだものだ。セックス中に見物人が湧くのは日常茶飯事なので、感づいていない風を装うのは慣れたものだった。いくらでも見学すればいいと、屋敷が竣工した後も幾度となく巫女一家の住まいへ出向いたのである。</p>
<p>
しんと静まり返った夜半、まちとちづるが悶え狂うまで責め抜いて白リボンの少女の私室へ尽きることのない嬌声を届けさせる。すると、ほどなくして室外に気配が現れる。本人は息を潜めているつもりだろうが、覗かせるためにわずかに開かれた障子の隙間から人影がちらちらと見えていた。</p>
<p>
時にぱん太郎が抱く巫女の数が三人に増えることもあった。まちの双子としか思えない容貌のやしろという白髪女。ぱん太郎には彼女を抱いた覚えはなかったが、やしろが初めて彼の前に姿を現した時、既にその瞳にはすまし顔では抑えきれぬ情慾の色彩が浮かんでおり、まちに似て表情が読み辛くともその眼差しを覗き込んだだけで我慢しきれずにやって来たのが彼にはすぐ解った。抱かれた時の心地が忘れられず、股が濡れるままにからだが疼くままにぱん太郎の元を訪れる女などもう数えきれないほど接して来ている。「ボクに抱かれたかったら、自分から脱ぐのん」と余裕ぶった口調で命じると、果たしてやしろはやや屈辱めいた
2023-02-18T09:22:40+09:00
1676679760
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『寝取られて』第19話
https://w.atwiki.jp/kakiya/pages/62.html
<p>ながされて藍蘭島エロパロSS</p>
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<p>『寝取られて』 第19話</p>
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極彩色の縞馬模様が宇宙の彼方まで耀(かがよ)うサイケデリックなトンネルを落ちたのか、吸い込まれたのか、爆ぜ散ったのか……一転して静と死を想起させる沈淪とした漆黒の虚空を浮遊しながらくぐり終えると、にわかに重力を感じ四肢があるのを思い出し、知覚が喚起され、自我が萌芽したようにぼんやりと色褪せた景色が顕(あらわ)れた。それでもまだ外界と接する感覚と時流がどこかで遮断されているような、まるで透明の繭か殻にでも包まれているかのような儚い幻視感。壊れたテレビが横倒しに打ち捨てられたような視界。朦朧とする意識の中、頭を真っ直ぐにしようと思って──躰が動かないことに気付いた。</p>
<p>
なんだろう。これは。まるで異次元にいるみたいだった。頭がひどくぼやけて思考が定まらない。そのくせ気分はそう悪くなく、陽気めいたおかしな浮揚感の中にいる。こんな体験は生まれて初めてだ──</p>
<p>
が、視えてきたものは嫌と言うほど既出の出し物であった。初めは生産機械か何かが繰り返し動作していると思った。その次にやっと、輪郭がネオンのようにチカチカと虹色に明滅するそれが人間の肉体だと判り、性の歓喜を隠そうともせずに夢中で交わっている男と女だというのが解り──</p>
<p> それでも誰だっけ、と認知能力がうまく働かないほどボクの脳は混濁していた。</p>
<p> 『いつもの二人』だと『認識』したのは、数瞬遅れてのことだ。</p>
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<p> ──すずとぱん太郎。</p>
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<p> 途端、それまである種の心地好さすら感じていたフワフワとした気分がハエのように地の底まで叩き落とされた。</p>
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現実では絶対有り得ない筈の組み合わせ。それも見せつけるようにこちらを向いての背面座位で、胡座をかくぱん太郎の膝上で蕩け顔のすずが積極的に腰を振っていた。</p>
2018-10-01T00:59:38+09:00
1538323178
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『寝取られて』 第18話
https://w.atwiki.jp/kakiya/pages/60.html
<p>ながされて藍蘭島エロパロSS</p>
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<p>『寝取られて』 第18話</p>
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コナラやミズナラ、アカマツ、カシなどの生活用木が生える雑木林をひとつふたつと過ぎていくうちに、地衣類や蔓蔦で覆われた古樹老岩がしばしば現れ、次第に周囲が原生的な風景になってゆく。南の縄張りに近い証拠だった。それでも西の内ならば踏み固められた野道がか細くとも伸びている。樹木もそれほど密集しているうちには入らず、太陽光がよく射し込むため下草の茂りが活発だったが、道筋がはっきりしているのでほぼトレッキングになる他の地域と比べれば遥かに歩き易かった。</p>
<p>
行人がこのところ気にしている事柄の一つに靴の状態があった。家出時のスニーカーを一年以上も毎日のように履き続けているが、近ごろは道なき道を歩く頻度が格段に増えたため、目に見えてくたびれてきている。手入れはこまめにしているものの、もし穴でも開いてしまったらどうしよう──と思案していた。</p>
<p>
洋靴が広まる以前の日本では草履が主に用いられていたようだが、藍蘭島では草履派と地下足袋派が半々ぐらいなのが面白い点であった。すずも地下足袋派である。最初は革靴だと思っていたが、動物の殺生がないこの島では肝心の獣皮を調達できないじゃないかと、今さら気付いたのは最近になってのことだ。布製の外履きなんて靴底は大丈夫なのかな、とも行人は思ったのだが、驚いたことに地下足袋の靴底にはゴムが使われていた。ゴムノキを栽培している場所があるそうだ。アイランド号に乗った留学生達の渡航先の一つであるイギリス(当時は大英帝国)では既にゴム産業があり、ゴムノキの種子も持ち帰り品の一つだった。手間は掛かるが精製もしているという。それがこの村の女性たちがパンティーを穿いている秘密でもあるわけだ。</p>
<p>
それならブラジャーも作ろうとすれば作れるのではないかと、行人はちかげの裁縫技術を思い起こしながら考えたことがある。鉄製の農具や庖丁、釘などがあるのだから、どこかで鉄鉱を採掘加工しているのは間違いないだろうし、工夫次第で針金を作ることも可能な
2023-04-24T14:41:37+09:00
1682314897
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『世界大会の陰で』
https://w.atwiki.jp/kakiya/pages/59.html
<p>ガンダムビルドファイターズエロパロ</p>
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<p>『世界大会の陰で』</p>
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<p>「それにしても今日はいつもよりだいぶ早く終わったな」</p>
<p>
会場のエントランスホールにある時計を見上げたレイジがそう言うと、セイ、チナ、ラル──残りの全員もその視線を追った。時計の短針は真上を差したばかりであった。</p>
<p>「まさか昼に終わってしまうとはワシも思わなかったよ」</p>
<p>「俺、試合の最中アクビしてたわ」</p>
<p>「玉を投げ入れてただけだったからね……」</p>
<p>
呆れたような顔のレイジに苦笑しながら合いの手を入れるセイ。この日も本戦前の前哨戦とも言うべき予選の第五ピリオドが行われたのだが、その競技内容はなんと玉入れだったのだ。</p>
<p>「でも運動会を見てるみたいで楽しかったよ」</p>
<p> チナが微笑みながらそう言うと、セイはトホホとため息をついた。</p>
<p>「見てる方は楽しかったかもしれないけど……個別にポイントを争ってるのに、まさかざっくり二手に分かれて紅白戦をやらされるなんて……」</p>
<p>
「まあしかし、どんなバトル方式が飛び出てくるかわからないのが予選ピリオドの面白さでもあり、怖さでもある」と、ラルがフォローするように言う。「戦争も二つの陣営に分かれて戦う場合が多い──敵と味方が明確でなければ何と戦っているのか分からなくなるからな。兵器としての設定があるガンプラとしては、集団を大まかに二つに割る競技を入れてくるのも理解できなくはない」</p>
<p>「なるほど……」</p>
<p>と感心したセイは、表情を引き締めた。</p>
<p>
「そっか……でも、改めて思いました。これまでもそうだったけど、予測できない変則的なバトルが次々と来る……。やっぱり世界大会は一筋縄じゃいかないって……」</p>
<p> セイの真摯な言葉にラルはうんうんと頷く。</p>
<p>
「初日のような勝ち抜き戦、その翌日のロワイヤルとまっとうなバトルが来るかと思えば、一昨日の野球一騎打ちや今日のような集団玉入れ……世界中から
2020-02-23T17:30:28+09:00
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『勇者で寝取られ』
https://w.atwiki.jp/kakiya/pages/58.html
<p>『勇者で寝取られ』</p>
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<p> 魔王が復活し、世界に破滅の危機が訪れた。</p>
<p> 預言者によれば、伝説の剣を引き抜いた者が勇者となって魔王を倒し世界を救うだろうとのことであった。</p>
<p> 伝説の剣が突き刺さった岩に連日人が押し寄せた。</p>
<p> そして、ついに引き抜いた者が現れた。</p>
<p> モンスター退治を生業としている孤児院出身の若い青年だった。</p>
<p> 彼は勇者としての力に目覚め、王様に魔王を倒すよう命じられると、仕事仲間である戦士と女僧侶と共に旅立っていった。</p>
<p> </p>
<p> 三人は同じ孤児院で育った。</p>
<p> 手の付けられない腕白坊主であった戦士が孤児院の子供達を引き連れ回して毎日遊んでいた。</p>
<p> 勇者と女僧侶もその中にいて、年も一緒なために三人は特に仲が良かった。</p>
<p> 成人近くなると、危険だが金になる魔物退治の仕事をしよう、と、戦士は勇者に持ちかけ、意気投合して握手を交わした。</p>
<p> そこに教会で修業した女僧侶も加わり、三人はパーティーを組んだのだった。</p>
<p> その頃になると、素直で明るく、また平民にしておくのは惜しいほど美しく成長した女僧侶に、男二人は仄かな恋心を抱いていた。</p>
<p> だが、お互い抜け駆けはまだ無しと勇者と戦士は約束を結んで、三人で日々の冒険を楽しんでいた。</p>
<p> </p>
<p> 彼らの存在を嗅ぎ付けた魔物どもを返り討ちにしていきながら旅は進んだ。</p>
<p> 途中、魔王の玉座に近づくには四天王が持つ宝玉が必要と知り、苦心して四天王を倒しながら宝玉を集めていった。</p>
<p>
魔王直属の四天王とその配下のモンスター達は手強く、三人は何度も危機に陥ったが、息のあったコンビネーションで乗り越えてゆき、一歩、また一歩と着実に魔王に近づいていった。</p>
<p> だが、ついには戦士が深い傷を負ってしまった。</p>
<p> 何とかモンスターのいない場所にある小屋まで逃げ込めたが、いつ死んでもおかしくない怪我の具合であった。</p>
<p>
女僧侶の懸命の治癒呪文で、辛くも戦士は一命を取り留めた。しかし、いつまた悪化するか予断
2020-02-23T17:30:16+09:00
1582446616