49 :名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 21:07:44 ID:lh6PzRGo 絶 奈:「おひさしぶり、紅くん」 真九郎:「星噛絶奈……。なんの用だ?」 絶 奈:「そう身構えないでよ。今日は戦り合うつもりはないから。 クリスマスの時のお詫びに、プレゼントを持って来たの」 真九郎:「いらないから、さっさと帰ってくれ」 絶 奈:「ふふふ。コレを見ても同じことが言えるかしら? ジャジャーン!」 真九郎:「自分で効果音出してるし……。なんだ、コレ? バイブ?」 絶 奈:「そんな陳腐なモノと一緒にしないでほしいわね。 レは悪宇商会が自信をもっておすすめする夏の新作! 星噛家が総力をあげてつくりあげた究極にして至高の男根! 星噛製閨戦壱式百八号、名付けて『無敵砲台』!」 真九郎:「悪宇商会も星噛家もなにやってんだーー!?」 絶 奈:「コレさえあれば、夜の揉め事は万事解決! 包茎早漏短小とは永遠におさらば! 外見だけじゃなく、持続力だってモンスター級の超優れモノよ! 感想は?」 真九郎:「…………すごく、大きいです」 絶 奈:「気にいってくれたようでなによりだわ。 それじゃあ早速、君の股間の貧相なものと交換しちゃいましょう」 真九郎:「え、ちょっと? どこを握って……、なっ? ぎゃぁぁぁあああッツツツ!!??」 絶 奈:「そうそう。言い忘れたけど、『無敵砲台』は強力過ぎて、並の女のアソコには 入れられないのよ。受け入れられるとしたら、それは『孤人要塞』たる私だけ。 もう君は私から離れられない――って、気絶してるじゃない。だらしないわね。 ……ま、いいか。起きた時には、新しい世界が君を待っているわよ、紅真九郎くん」 54 :49:2009/05/30(土) 01:49:23 ID:7keyS6MB 天国であり、地獄であった。 それが星噛絶奈との睦み合いを終えた紅真九郎の正直な感想だった。 二人で繰り広げた物理的かつ性的な応酬については、殆ど記憶していない。 気がつけば、豪奢な寝台に仰向けに転がり天井を見上げていた。かたわらには一糸まとわぬ絶奈の姿が。 むせかえるほどに濃厚な性臭と、全身に広がる粘っこい倦怠感。 真九郎は理解した。自分が新しい世界へと足を踏み入れてしまったことを。 はたして、これは哀しむべきことなのだろうか。それとも、喜ぶべきことなのだろうか。 少年の思考は自問の迷宮を彷徨う。 不意に、絶奈が真九郎の胸板についと指を滑らせた。 酒を飲んだわけでもないのに、彼女の頬は朱に染まっている。先程までの情交の残り火だ。 鉄板をも貫く凶器と同義の指先が、文字を書くように、または蜘蛛が這うように動く。 「本当に素敵だったわ、紅くん。ね、もう一回シよ?」 「……勘弁してくれ」 普段の絶奈からは想像できない、とろけるような甘い声音。だが、真九郎はにべもなく断った。 「ええー? 私はまだ満足してないわよ。あと一回だけでいいからがんばってよ。 ほら、口ではそういっても股間の大砲はビッキビキじゃない」 「……無理なものは無理だ。いくらモノが勃っても、体力がもう限界なんだよ」 喉奥から搾り出された拒絶は、もはや哀願に近かった。 星噛製の男性器の威力は確かに凄まじい。コレで貫かれれば、貞淑な修道女さえも淫奔な娼婦に変えてしまうだろう。 しかし、それだけのモノを使いこなすには、真九郎の経験値があまりにも不足しているのだ。 崩月で鍛えた体は決して脆弱ではない。それでも、根こそぎの体力気力を持っていかれた。 たとえるなら、原付の免許をとったばかりの人間が、いきなりF1マシンを操縦させられたようなものだ。 「ふ~ん。そうなの」 興醒めだといわんばかりの絶奈の口ぶりだが、今の真九郎にそれを気にかける余裕はない。 「……とにかく、今は休ませてくれよ」 もそもそと穴兎のように布団にもぐりこむ真九郎。今日は色々なことがありすぎた。心身ともに休息を欲している。 だが、「はい、そうですか」とそれを認める星噛絶奈ではない。 「こうなったらあとはもう、逆レイプしかないわね」 「なんでそうなる!?」 真九郎が抵抗する暇もあればこそ。 がばっと一息に毛布を剥いだ絶奈は、次の瞬間には真九郎の上に馬乗りになっていた。 「私は和姦のほうが好きなんだけど、こっちのほうが君の好みだっていうんなら、お応えするのもやぶさかではないわ」 「そんなわけないだろ、バカ野郎!」 なけなしの体力を振り絞った真九郎の抵抗をものともせず、絶奈は易々と少年の四肢を布団に縫い留めた。 もはや真九郎に為す術はない。ただ蹂躙される時を待つだけの哀れな犠牲獣。 絶奈は怯える真九郎に猫科の肉食獣のような笑みを浴びせると、ゆっくり自分の腰を移動させた。 散々に男の精を貪った後でありながら、彼女の性器はいささかの形崩れも見せていない。 割り開かれた陰唇が、真九郎の逸物を咥え込まんと厳かに花開く。 淫靡に蠢く肉襞が、すっかり観念して大人しくなった真九郎のモノの先端に触れた刹那、 「真九郎さん、無事ですかッ!?」 非自然的な轟音と共に寝室の扉が爆砕され、立ち上る粉塵の中から一人の女が姿を現した。 55 :49:2009/05/30(土) 01:50:09 ID:7keyS6MB 「なッ!? 核爆発にも耐える超合金製の扉が」 「ひょっとして……」 「崩月夕乃、推して参りました!」 黒曜石よりも黒く輝く長い髪。服の上からでもはっきりとわかるたわわに実った乳房。 他の追随を許さない圧倒的なまでに美しい白皙の顔貌。双眸に宿す紅蓮の業火。 間違いなく、裏十三家が一、崩月家の現当主崩月法泉の孫娘、崩月夕乃その人であった。 「夕乃さん!」 これで助かると喜色満面に姉弟子の名を叫ぶ真九郎。応えてにっこりと微笑む夕乃。ただし、目は笑っていなかった。 真九郎の頬がわずかに引き攣った。 「いろいろと聞きたいことも言いたいこともありますが、とりあえず後回しにしてあげます。 今はそこの淫売さんから真九郎さんを取り戻すことが最優先です」 敢然と夕乃は絶奈と相対する。流麗な立ち姿には、なんの気負いも不安も感じ取れない。 対する、絶奈の表情は険しい。 ここは悪宇商会のセーフハウスの一つ。登記簿に載らず、警察も手が出せない闇の聖域。 それがこうも早く発見された上、突破されてしまったとあっては、最高顧問として腹立たしいことこの上なかった。 見れば、粉塵の向こうでは警護の任に当てていた黒服の男たちが、ダース単位で地に伏し呻いている。 男たちは皆、有能な戦闘屋だった。裏十三家の人間が相手でなければという但し書きはつくが。 もっとも、絶奈にとって彼らはいくらでも替えのきく駒。信頼を置くに値しない。 彼女が真に信頼し、自分の寝室を預けていたのは同じく裏十三家の―― 「切彦はどうしたのかしら? あとで紅くんを貸してあげるって条件で見張りにつかせていたはずだけど」 「切彦? なんです、それ? 美味しいんですか? ――ああ。そういえば、途中で刃物を振り回す狂犬と逢ったので、ちょっと躾てあげましたっけ」 しれっと言い放つ夕乃。ますます顔をしかめる絶奈。 「さて、星噛さん。うちの真九郎さんを返してもらいましょうか」 もちろん、そのあとは全殺しです。そういって、夕乃は悠然とした足取りで寝台へと歩を進めた。 絶奈は忌々しそうに舌打ちをする。 崩月の戦鬼。比類なき暴力の具現。その猛威はキリングフロアで身をもって味わった。 生まれついての戦鬼ではない真九郎でさえ、あそこまで絶奈を追い込んだのだ。 ならば、純血の戦鬼たる崩月夕乃の戦闘力はどれほどのものか。 状況を打破すべく思索をめぐらせていた絶奈は、ややあってなにかを思いついたようににやりと笑った。 「無駄よ、崩月の」 夕乃の足が止まった。
下から選んでください: