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けろおん!」を以下のとおり復元します。
島の北部に位置するやや大きな学校。
そこの二階にある一つの部屋。
【2-B】の看板が掲げられているその教室に彼はいた。

小さな緑色の身体と腹部の大きな星が特徴の蛙。
もとい、宇宙からの侵略者。
ガマ星雲第58番惑星 宇宙侵攻軍特殊先行工作部隊隊長、ケロロ軍曹である。

彼はこの殺し合いに対して大きな憤りを感じていた。

そもそもケロロは何故自分がこんな目に合わなければならないのかもよく分からなかった。
いつものように日向家で毎日を過ごしていただけというのに。
目が覚めたらそこは見た事もない教室。
しかも目の前に自分に似た誰かが急に殺し合いをしろと言ってきた。
訳が分からないまま地球人二人の首輪が爆発し教室は血塗れ。
気が付いたらさっきとは違う教室の中にいる。
いつの間にか自分の隣りにあった緑色のディパックと共に。
最初は侵略活動が遅れていたからだとか、ガンプラにうつつを抜かしていたからだとかそんな事を考えたが、結局あの黒我輩(主催者)の策謀だという事で落ち着いた。

そのまま暫くぼーっとしていたケロロは急にはっとしたと思うとおもむろに自分の辺りを見回した。

他の参加者。
特に殺し合いに乗っている参加者には注意しなくてはならない。
そう本能で感じたからだろう。

ガンプラを作りかけのまま死ぬのはゴメンだし、殺しもしたくはない。
とにかく、自分が信頼できる者としかできるだけ接触しないようにしよう。
と、ケロロは心に決めた。

いつものように、コトナカレ主義で。
アウェイアンドアウェイ戦法で。
できるだけ誰とも会わずに。
もし参加者の誰かがいてもスルーしよう。

そう自分の思考を纏めると、ケロロは静かに行動を始めた。


☆ け ろ お ん ! ☆



「そんなぁ。 殺し合いなんてできないよ……」

桜が丘女子高校に通う普通の女子高生、
平沢唯は怯えていた。
いつもの学校の音楽室ではない冷たい床。
怖いほど静かな灰色の床に彼女はいた。

急に知らない所に連れてこられた挙句、殺し合いをしろと言われた。

「うぅ……怖いよ……なんで? なんで急に殺し合いなんて……」

唯は頭が混乱していた。
いつものように学校に行って部活動に勤しんでいたはずだったのに、気が付いたら廊下の隅。
多くの事を覚えるのが難しい唯が混乱するのは当然のことだったかもしれない。

「うう……誰か来てくれないかな……
会いたいよ……澪ちゃん……りっちゃん……ムギちゃん……あずにゃん……和ちゃん……さわちゃん……憂……」

小さな小さな声で大事な人達の名を呼ぶ唯。
しかしそこには誰もいなかった。
顧問の山中さわ子も、
幼馴染みの真鍋和も、
妹の平沢憂も、
この殺し合いの参加者ではない。
無論、このゲームに参加させられている軽音部の仲間、
秋山澪にも、
田井中律にも、
琴吹紬にも、
中野梓にも、
必ず会えるという保証はない。

一人でいる事の寂しさに、思わず唯は涙を流した。

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