駒村圭吾『憲法訴訟の現代的転回 憲法的論証を求めて(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2013年9月)……法学セミナーにおける同名連載を書籍化。アメリカ流の違憲審査基準論にいかにドイツ流の三段階審査の利点を取り入れるかというスタンスで書かれている。司法試験受験生の「学んだものをどうやって答案にすればいいのか?」という問いに一つの回答を示したもの。自由権については判例を類型別にまとめており、三段階審査に則って判例が整理されている。自由権だけではなく平等権や生存権などの三段階審査が一般的には妥当しない人権についてもどのような審査が妥当するのかも提示してくれているので親切。ただし、香城理論の今後や石川健治の三段階審査の順序に対する問題提起への応答など、必ずしも受験対策とは関連しない分野についての言及もある点については注意が必要。全4部、全23講。A5判、442頁。
リチャード・H・ファロン・Jr著、平地秀哉、福嶋敏明、宮下紘、中川律訳『アメリカ憲法への招待-The Dynamic Constitution』三省堂(2010年8月)……本書はアメリカ憲法の入門書であるが、とくに第1部 合衆国が保障する個人の権利、はわが国の違憲審査基準論を理解する上で役に立つ。原著:"The Dynamic Constitution: An Introduction to American Constitutional Law and Practice"(本書は初版の邦訳。原著は現在第2版が出ている。) A5判、376頁。
新井誠・小谷順子・横大道聡編著『地域に学ぶ憲法演習(法セミ LAW ANGLE シリーズ)』日本評論社(2011年11月)……A5判、320頁。
美濃部達吉著、宮沢俊義補訂『新憲法逐条解説』日本評論社(1956年7月・増補版〔2018年5月・新装復刻版〕)……美濃部が日本国憲法が公布されてまもなく法律時報に連載した逐条解説を単行本にまとめて刊行したもの。「その趣旨とするところは綿密な学問上の研究を目的とするよりは、むしろ平易簡明に憲法各条の趣旨を解説しようとするにある」(序文より)。美濃部の死後、宮沢によって増補がなされたが、本文の内容に変更はなく(ただし、漢字及びかなは、すべて当用漢字及び新かなづかいに改められるとともに、一部の漢字がかな書きに改められている)、増補部分は、註として「*」で明示されている。「増補の目的は、もっぱら本書第一版公刊以後の法令の変遷との関連において本文の記述をup to dateなものにするにあるから、それらの註では、当然のことながら、増補者の個人的意見は、いっさい述べられていない」(増補版はしがきより)。増補にあたっては、佐藤功および芦部信喜が協力している。四六判、232頁。
初宿正典・大石眞・高井裕之・松井茂記・市川正人『憲法Cases and Materials 人権基礎編・人権展開編・憲法訴訟』有斐閣(2005年8月、2005年8月、2007年5月)……判例の解説、文献の引用が充実。ケースブックの中では一番わかりやすく、独習にも使用できる。全15・16・19章。B5変型判、454頁・532頁・594頁。
初宿正典・大石眞編『憲法Cases and Materials 人権』有斐閣(2013年5月・第2版)……上記ケースブックの改訂にあたり人権分野を1冊に収めたもの。全17章。B5変型判、724頁。
宍戸常寿『憲法 解釈論の応用と展開(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2014年7月・第2版)……法学セミナー連載の単行本化。一通り憲法の学習を終えた中級者を対象とした事例問題および論点解説集。学生の芦部説の劣化コピペ論証作業を批判し、最新の学説に基づく解説をする。しかし、三段階審査や高橋説等の予備知識がないと理解の難しい部分もあり、読書の実力によっては消化不良に陥る可能性がある。また、本書の記述を真に理解しようとすれば、参考文献にあたることも求められるだろう。公法系で上位を狙う人向け。A5判、384頁。