- 会社法(平成17年7月26日法律第86号) 最終改正:平成28年6月3日法律第62号 ※最終改正までの未施行法令あり。
- 会社法施行規則(平成18年2月7日法務省令第12号) 最終改正:平成28年1月8日法務省令第1号
- 会社計算規則(平成18年2月7日法務省令第13号) 最終改正:平成28年1月8日法務省令第1号
- 社債、株式等の振替に関する法律(平成13年6月27日法律第75号) 最終改正:平成26年6月27日法律第91号
平成21(2009)年 株券電子化(1月)、会社計算規則大幅改正(3月)
平成26(2014)年 会社法改正(6月・法90)→平成26年改正に対応している本に☆印を付けた。
【基本書】
〔メジャー〕
- 伊藤靖史・大杉謙一・田中亘・松井秀征『会社法(LEGAL QUEST)』有斐閣(2015年3月・第3版)……リーガルクエストシリーズの中でも人気のあるもののひとつ。東大・京大出身の若手有力学者らによる「教科書」。ケースメソッドを会社法の基本書として初めて本格的に導入した本である。伝統的な論点に対する解説が薄い代わりに、先端的な論点を解説するコラムが充実している。記述が平易で分かりやすいことはもちろん、(江頭説以外の)学説を批判し、判例の立場に立つことが多い上、記述は上場会社に偏っている。議決権行使書面の書式まで載せていて、司法試験向きの教科書である。引用判例には、百選や商法判例集の番号も掲載していて、相互にリンクしている。判例の引用が大ざっぱであるとか、著者達の個性が強く出ているため初学者向きではないとの意見もあるが、法と経済学やファイナンス理論の知見などを駆使した発展的な知識も得ることができる好著である。ただし、見せ金や利益供与といった司法試験及び予備試験における重要論点がコラムに投げられていることもあるので、注意を要する。さらに、やや説明が足りない点もあり、それについては、下記の『事例で考える会社法』を参照するとよい。A5判、534頁。
- 神田秀樹『会社法(法律学講座双書)』弘文堂(☆2016年3月・第18版)……実務家必携の1冊。改訂が頻繁になされている。教科書に指定する学部及びローが多く、初学者も安易に手を出しがちであるが、次のような両極の評価が存在している。すなわち、(1)薄すぎて初学者にはとっつきにくく、推奨できない(=中上級者向け)という評価と、(2)大枠を押さえることに適しており、初学者にも幅広く推奨できるという評価とである(前者の評価をするものとして、法セ07択一解説[上柳]参照)。一例を挙げると、定款の絶対的記載事項のひとつに発行可能株式総数があることの根拠として、本書は、単に(37)という条文番号を記載するのみである。もっとも、新株発行の節まで読み進めると、授権株式制度として発行可能株式総数の説明がなされている。本書の記述の大部分は条文と結論のみで構成されていることもあり、予備試験の択一式試験のカバー率は高い。それに対して、いわゆる論点に関する記述は、薄い。また、脚注を多用していて、そこにはしばしば高度なことがさらりと書かれているため、それらを丁寧に読み進めていこうとすると、本の薄さの割に時間がかかる。また、脚注の中で判例の結論を紹介しつつ、本文ではそれと反対の結論をとることもあり、本書は決して判例・通説をコンパクトにまとめることを意図した本ではない。A5判、440頁。(第18版については評価待ち。)
- 江頭憲治郎『株式会社法』有斐閣(2015年5月・第6版)……実務家向きに書かれた本であり、学界においても、現時点における最高の体系書という評価が確立している。もっとも、想定読者層が実務家であることから、大学やロースクールのカリキュラムや司法試験の出題範囲とは大きなズレがある。具体的には、会社法だけでなく実務で扱われる会社法周辺分野・会計制度・税制・外国法制の記述も含まれている一方で、実務での利用が少ない持分会社や会社法総則に関する記述がない(なお、著者によると、今後持分会社の実務での利用が増えた場合には書名を変更して会社法全体をカバーする可能性もあるとのことである)。したがって、受験生が本書を使う場合には、他の標準的な基本書と併用して専ら辞書や参考書として活用し、不要な部分は読み飛ばすことが必要であろう。また、本書を使いこなすためには、関連分野の予備知識が必要であるし、結論を端的に指摘するのみにとどまる部分もあるので、それなりの実力が求められる。そうはいっても、株式会社に関するほぼ全ての論点を網羅し、制度趣旨から分かりやすく書かれている本書は、初学者にとっても、参考書ないし辞書として有用である。本文の記述は簡潔である一方で、詳細な注に重要なことが書かれていることが多い点も、特徴的である。もっとも、学習が進めば、簡潔なように見える本文の記述にも深い意味が込められているということが分かってくるであろう。会社法に精通した者であれば、本文だけを追うことが、択一式試験の勉強にもなるであろう。難点は、索引のキーワードが限られていることであり、目次からたどれる用語はあえて索引に載せていない点が挙げられる。A5判、1048頁。
〔その他〕
- ☆田中亘『会社法』東京大学出版会(2016年9月)……東大教授による会社法の体系書。ケースやコラムを多用している。特にコラムは、数・内容ともに充実しており、最新の実務に関する発展的内容を含む。もちろん、発展的内容のコラムには★印が付されているので初学者のみならず研究者・実務家にも読み応えがある。特徴は、諸制度や手続の内容説明がとりわけ丁寧である点、目新しい記述がみられる点(たとえば、取締役の義務の基本的内容として、株主利益最大化の原則に加えて、株主の共同の利益を図る義務を項目として明記する点、買収・結合・再編(Merger, Acquisition and Restructuring)という章立て、等)、会社法制に関係のある社会科学(主として経済学)の諸概念についても説明を加えている点、株式会社の計算において、複式簿記の基本的なルールにつき解説をしている点などが挙げられる。百選、商法判例集の判例番号、引用文献リスト、法令索引が付されており至便。A5判、782頁。
- ☆髙橋美加・笠原武朗・久保大作・久保田安彦『会社法』弘文堂(2016年3月)……打倒リークエを目指して書かれた若手研究者による共著。基本的に判例通説で書かれており、独自説や少数説はほとんどない。引用判例には、百選や商法判例集の番号も掲載されており、条文索引もあるので検索しやすい。論点が太字のゴシック体で書かれている。記述は平易でわかりやすいが、ときにくどい印象も。苦手とする受験生も多い組織再編は絵でも説明されておりわかりやすい。誤植が散見されるのが難点か。A5判、592頁。
- 前田庸『会社法入門』有斐閣(2009年12月・第12版[改訂予定あり])……著者は2013年に逝去。制度趣旨から会社法理論を懇切丁寧に解説しているベーシックな基本書。脚注に頼らずにありとあらゆる規定の趣旨を丹念に述べていった結果、横書き800頁超という驚異的な厚さを達成した。徹底したクロスリファレンスと、ほどよく咀嚼された分かりやすい説明に定評がある。多くの論点で伝統的通説を採用しているため安定感はあるが、最新の重要論点への踏み込みは浅く、判例の引用も類書に比べてかなり少ない。脚注がなく、改行もそこそこに、同じサイズの文字で細かな条文までびっしりと説明するため、「入門」と銘打たれてはいるが、初学者には重要なところとそうでないところとの区別がつきにくく、その厚さもあってそもそも通読することすら難しい。もっとも、いったんそれに慣れてしまうと、分かりやすさゆえに逆に離れられなくなる。細かい要件も網羅しているため(例・360条3項「回復することができない損害」の意義)、参考書として江頭と併用するのもよい。六法を片手に、地道に条文を引きながら読み進めていけばとても理解が進む。A5判、852頁。
- 大隅健一郎・今井宏・小林量『新会社法概説』有斐閣(2010年3月・第2版)……大隅(元最高裁判事)は1998年他界。今回の改訂は主に小林によるものと思われる。会社法施行後の研究の蓄積を踏まえた内容で、とても新しい。章立ては多少独特だが、解釈論ではおおむね「現在の」多数説を採用している。本文の記述は簡潔ながら要領よくまとめられているが、それゆえ初学者には余り向かないかもしれない。他方で、注釈ではしばしば江頭もカバーしていないような最新の重要論点に深く踏み込んでいる。そこでは最新の文献もきちんと引用されており、発展的学習へのつながりも良い。新司法試験の問題意識にも丁寧に応えている。横書き600頁ほどだが、この詳細な注釈によって本書はかなり重厚な体系書に仕上がっている。なお、執筆陣が京大系であるためか、『会社法事例演習教材』とかなり相性がいい。計算規則の改正に従い素早く改訂されたところを見ると、今後は京大系のテキストの代表格となっていくと思われる。A5判、630頁。
- 龍田節『会社法大要』有斐閣(2007年5月)……著者は今では現役を退いた感が否めないが、学士院会員であり、江頭以前の第一人者である。新法対応に伴い書名変更。高度な内容でかつ分かり易い。「なじみ型」「ミニ取締役会」などユニークな表現多し。文章は接続詞が少なく単文をポツポツつなげるスタイルで弥永の対極にある。「…黄金株と呼ばれることもあるが、おこがましい名称であり、ウイルス株とでも呼ぶのがふさわしい。」などの皮肉な記述が散見され読み飽きない。改訂が待たれる(絶版になったとの情報もある)。A5判、564頁。
- 成和明哲法律事務所編『実務 会社法講義』民事法研究会(2011年3月・第3版)……隠れた名著。図や表が豊富。弁護士が書いた本であるが、基本書としての評価も高い。A5判、608頁。
- 高橋英治『会社法概説』中央経済社(2015年12月・第3版)……枝葉の議論は思い切って簡略化し、重要事項に焦点をあてて解説している。その分情報量も少ないが、司法試験での商法の短答式がなくなり、論文のみになることから、本書を読み込むことで、その存在価値も上がるのではないかとも思われる。なお、事例問題の解き方の解説が載っているが、ナンバリングの打ち方等、受験界の「お約束ごと」からは少し疑問点もある。A5判、360頁。(第3版については評価待ち。)
- 宮島司『新会社法エッセンス』弘文堂(2015年8月・第4版補正版)……体系書と比べて独自の見解がそれほど強くない。第4版(2014年9月、A5判、520頁)で2014年改正にいち早く対応。第4版補正版は、平成26年の会社法改正後に制定された会社法施行規則・会社計算規則等を織り込み、重要な判例も追加し、全体をブラッシュアップ。A5判、520頁。
- 近藤光男『最新株式会社法』中央経済社(2015年7月・第8版)……厚さ標準的。知識整理通読用。有力説で解釈立体化。第7版(2014年7月、A5判、560頁)において平成26年会社法改正に対応。第8版は、最新法令・判決をフォローして改訂。制定以降の最大の会社法改正に対応して平成27年5月1日施行された会社法施行規則の整備までを所収。A5判、568頁。
- 近藤光男・柴田和史・野田博『ポイントレクチャー会社法』有斐閣(2015年4月・第2版)……共同執筆による会社法の講義用テキスト。初学者を主たる対象としている。解説が平易であるだけでなく、レイアウトにも工夫が見られ、項目立てがすっきりしていて、余白も大きくとられている。また、予備校本のように、何が論点であるかが視覚的にもはっきりと分かるため、読みやすい。叙述のスタイルは、標準的であり、『リーガルクエスト会社法』とは違ってケースを用いてはいない。執筆陣の個性は消されており、時々新しい問題意識を交えつつ、江頭や前田を頻繁に引用しながら、現在の判例及び通説を解説していく。要するに、教科書に徹している。便宜上、全体を28+2のUnitに分けられている。内容は、大規模公開会社を前提とするものがメインであるが、第2版では、非公開会社及び持分会社に関する論述にレイアウト上の区別を付けたため、会社法の概説書に求められる程度の網羅性はある。ロースクール未修クラスや学部の会社法の講義のお供に適している。択一の肢のほとんどをカバーしており、事業譲渡に関する記述が欠けている点を除けば、直前期に通読するのにも使える。A5判、534頁。
- 柴田和史『会社法詳解』商事法務(2015年5月・第2版)……「神田は薄すぎる、かといって、他の教科書は厚すぎる」という受験生および学生にお薦め。『リーガルクエスト会社法』との違いは、(1)単一著者による「体系書」であること、(2)設例やコラムの類がないシンプルな作りの2点にある。フォントが大きいので1頁あたりの文字数は少なく、速く読める。A5判、544頁。
- 木俣由美『VIRTUAL会社法』悠々社(☆2016年4月・第4版)……著者は、日本笑い学会理事も務める。本書ではゲームソフト開発・製造・販売を営む「ランダム社」を舞台に、アフロヘアの社長アフロ、その仲間のセイコ、ハヤオはじめ多くのキャラクターが登場する。とはいっても内容は本格的であり、著者のイラストによる図が多く、また条文が注に引用されている等、非常に親切につくられている。なお、登場する企業やキャラクターは実在の企業やどのようなアニメキャラクターとも一切関係がないという断りがされている。入門書と基本書の中間に位置する書。第4版は、平成26年の一部改正に基づく全面改訂版。親切をモットーとする主要条文付。A5判、368頁。(第4版については評価待ち。)
- 北村雅史・柴田和史・山田純子『現代会社法入門』有斐閣(2015年4月・第4版)……基本的には初学者向けであるが、司法試験であれば、これ一冊で必要十分。著者は3人とも司法試験委員を経験しており、その記述には安心感がある。A5判、420頁。
- 石山卓磨『現代会社法講義』成文堂(☆2016年5月・第3版)……会社法に対応してアップデート。論点網羅。標準的な体系で会社法制度の変遷・概要を淡々と説明している。文章は非常に読みやすく、判例も丁寧に紹介しており、全体的に無難なつくりとなっている。残念ながらライブ本のようには面白くない。中立的な本のため、入門書としても使える。A5判、648頁。(第3版については評価待ち。)
- 関俊彦『会社法概論』商事法務(2009年12月・全訂第2版)……著者は鈴木竹雄門下。全体として自説の主張が強い。少数説を採用したり、結論自体は通説と同じでも理由づけがそれと異なっていたりするところがちらほら見られるが、文章自体は読みやすく、神田以上江頭未満の標準的な厚さなので、とっつきやすい。章立てなどを見ると学習者に対する配慮もうかがえる(会社の設立を後回しにして株式から解説する、など。)。たまに意味の分からない日本語があるが、全体として“読ませる文章”となっており、横書きで500頁あるが、余白も多く、比較的学習の進んだ者であれば一回しするのにそれほど時間がかからないだろう。冒頭の会社法総論ともいうべき記述が充実しているところに著者の個性がみられる。良書だが判例索引がないのが玉に瑕。A5判、540頁。
- 田邊光政『会社法要説』税務経理協会(2006年4月・新版)……注のない流れるような文章。簡潔な記載、脇道に逸れない。横書き。A5判、440頁。『会社法読本』中央経済社(2008年6月)……誤植がやや多いとの声がある。A5判、456頁。
- 加美和照『会社法』勁草書房(2011年9月・新訂第10版)……判例・学説を網羅。会社法改正の歴史を丁寧に踏まえた記述が特徴。一方最新の議論には余り配慮していない面もある(例・株主平等原則や買収防衛策についての記述)。昭和20年代からの改正を確認できる基本書はこれだけである。A5判、644頁。
- 青竹正一『新会社法』信山社(2015年4月・第4版)……判例紹介が充実している。自説の主張が強く自著を頻繁に引用している。その点に目をつぶれば、論点についての記述も比較的充実しており、内容も悪くない。しかし、第3版では値段が3000円近く上がり、学生があえて買うような本ではなくなった。第4版では、平成27年2月の会社法関係規則改正にまで対応。A5変型判、728頁。(第4版については評価待ち。)
- 森田章『上場会社法入門』有斐閣(2010年9月・第2版)……タイトルの通り、特に会社法では例外扱いになってしまう上場会社を踏まえた本。少数説が満載であるため、思ったほどは使えない。野心的な著作といえる。A5判、472頁。A5判、472頁。
- 大坪和敏監修『図解 会社法』大蔵財務協会(2015年7月・平成27年版)……B5判、452頁。
- ☆酒井太郎『会社法を学ぶ(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2016年3月)……法学教室の連載を単行本化したもの。単行本化にあたり、平成26年法改正に対応するなど大幅加筆。A5判、308頁。
【その他参考書】
- 西岡清一郎・大門匡編『リーガルプログレッシブ2・商事関係訴訟』青林書院(2013年2月・改訂版)……会社関係訴訟を類型別に解説。マニアックな訴訟類型は、省略している。下記『類型別会社訴訟』の簡略版。司法試験対策としても有用。A5判、420頁。
- 東京地方裁判所商事研究会編『類型別会社訴訟I・II』判例タイムズ社(2011年12月・第3版)……実務に極めて影響力が強い東京地裁商事部(民事8部)の見解がわかる実務化向けの本である。取締役の解任訴訟や新株発行差止め訴訟などにおける訴訟要件、必要な書証などが分かる。また、実務的に重要な論点についても、見解が示されている。訴状や仮処分命令申立書などの書式が付いている。第3版は、17章に「役員の地位を仮に定める仮処分」の項目を追加し、18章に「株券電子化に伴う会社訴訟における留意事項について」という項目を追加した。
- 東京地方裁判所商事研究会編『類型別会社非訟』判例タイムズ社(2009年7月)……取締役会の議事録閲覧請求や検査役選任請求などの非訟事件についての論点を整理。書式付。
- 浜田道代・岩原紳作編『会社法の争点(新・法律学の争点シリーズ 5)』有斐閣(2009年12月)……いわゆる争点シリーズ。基本的な論点を中心に解説している。議決権行使書面による議決権行使などの比較的新しい論点も取り上げられている。B5判、220頁。
- 江頭憲治郎・門口正人編集代表『会社法大系 第1巻~第4巻〔全4巻〕』青林書院(第1巻:2008年7月、第2巻:2008年6月、第3巻:2008年7月、第4巻:2008年6月)……会社法改正部分のみならず、旧未来的・今日的問題まで、会社法務・訴訟実務に係る問題を網羅的に取り上げた実務解説書。A5判、第1巻〔会社法制・会社概論・設立〕:496頁、第2巻〔株式・新株予約権・社債〕:508頁、第3巻〔機関・計算等〕:480頁、第4巻〔組織再編・会社訴訟・会社非訟・解散・清算〕:604頁。
- 中島茂『株主総会の進め方』(2009年1月・第2版),『取締役の法律知識』日本経済新聞出版社(2015年4月・第3版)……企業法務弁護士による会社法実務書。会社法において重要なウェイトを占める機関について概観するのに最適。新書判、240頁・256頁。
- 河本一郎ほか『日本の会社法』商事法務(2010年12月・新訂第10版)……元はオランダのエンサイクロペディアの原稿として書かれた。記述は平板かつ淡白で不親切な部分もあるが、論点は網羅的に取り上げられている。良書だが、初学者が入門書として読むべき本ではない。A5判、399頁。
- 滝川宜信『リーディング会社法』民事法研究会(2010年3月・第2版)……元デンソー法務部長による会社法テキスト。A5判、916頁。
- 長島・大野・常松法律事務所編『アドバンス新会社法』商事法務(2010年9月・第3版)……会社法施行直後に2版刊行、改正のあった点を重点的に解説していた。実務向けの本で、実務に重要かどうかで事項解説の濃淡も分かれる。A5判、883頁。
- 垣内正編、東京地方裁判所商事研究会著『会社訴訟の基礎(裁判実務シリーズ6)』商事法務(2013年5月)……会社関係訴訟を類型別に解説。『類型別会社訴訟』、『商事関係訴訟』の簡略版といった位置づけ。したがって、ロー生に向いていると思われる。A5判、248頁。
- 東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会/編『会社法の今日的課題と実務(弁護士専門研修講座)』ぎょうせい(2009年12月)……東弁弁護士研修センター運営委員会主催「弁護士専門研修講座」で開講された「会社法」講座をもとに解説を加え必要な資料を掲載。A5判、頁。
- 葉玉匡美・郡谷大輔編著『会社法マスター115講座』ロータス21(2010年5月・第4版)……会社法立案担当者による会社法を整理した本。表や図を用いた入門書であり、ビジュアル的に分かりやすく書かれている。A5判、316頁。
- 相澤哲編著『一問一答 新・会社法[改訂版]』商事法務(2009年9月)……会社法立案担当者による立案趣旨の回答集。Q&A形式で254問。最近改訂したが、立案担当者の見解を否定した2008年2月22日の最高裁判例に対応していないなどの改訂漏れも見られる(24頁)。A5判、329頁。
- 相澤哲・葉玉匡美・郡谷大輔編著『論点解説新・会社法―千問の道標』商事法務(2006年6月)……立案担当者による逐条的な会社法の辞書。立案担当者の見解を知るためには必須文献である。Q&A形式で1000問。A5判、789頁。なお、現在は絶版になっている。
- 宍戸善一監修、岩倉正和・佐藤丈文編著『会社法実務解説』有斐閣(2011年12月)……実務家が会社法実務について実際の書式例を挙げて解説した実務書。主たる読者対象は実務家であるが、基本書だけでは知ることができない会社法実務について詳しく解説されている。書式例が掲載されているので、具体的イメージを掴むことができる。本書を一回しすれば会社法の苦手意識は相当程度解消されるだろう。A5判、758頁。
- 吉田直『重要論点株式会社法』中央経済社(☆2016年6月)……法学部・法科大学院生を対象とした会社法のテキスト。設例や判例を豊富に盛り込み、理解のしやすさに配慮。A5判、344頁。(評価待ち)
- 中村直人・倉橋雄作『会社法の実務』商事法務(☆2016年6月)……2006年に刊行された『新会社法(第2版)』の改題・改訂版。平成26年会社法改正を受けて、改正事項を反映したほか、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードなどのソフトローによるルールについても適宜盛り込む。A5判、558頁。
〔平成26年改正解説書〕
- 坂本三郎編著『一問一答 平成26年改正会社法』商事法務(2015年8月・第2版)……立案担当者がまとめた改正会社法解説書。監査等委員会設置会社制度の新設、社外取締役および社外監査役の要件の厳格化などを内容とする「会社法の一部を改正する法律」が平成26年6月20日国会で可決・成立したことを受けて、立案担当者が、改正法の重要なポイントについてQ&A形式で解説したもの。文章がとても読みやすく、論理的である。第2版は、会社法の全体像を理解できるよう、2015年5月1日に施行された改正法務省令の内容を盛り込み、大幅に加筆・修正。A5判、454頁。
- 坂本三郎『別冊商事法務No.393 立案担当者による平成26年改正会社法の解説』商事法務(2015年3月)……立案担当者が解説した解説書。2014年8月から11月まで、旬刊商事法務で9回にわたって連載された「平成26年改正会社法の解説」を1冊にまとめて刊行されたもの。B5判、320頁。
- 坂本三郎・辰巳郁・渡辺邦広編著『別冊商事法務No.397 立案担当者による平成26年改正会社法関係法務省令の解説』商事法務(2015年7月)……立案担当者が解説した解説書。2015年6月1日から6回にわたって旬刊商事法務に連載された解説を1冊にまとめて刊行されたもの。B5判、112頁。
- 神田秀樹編『論点詳解 平成26年改正会社法』商事法務(2015年5月)……旬刊商事法務連載の単行本化。「研究者の視点から一歩踏み込んだ検討や問題提起がされている」(はしがき)点が本書の特徴。立案担当者解説本を読んだ後に読むべきオススメ本。A5判、260頁。
- 岩原紳作・神田秀樹・野村修也編『平成26年会社法改正 -- 会社実務における影響と判例の読み方(ジュリストブックス)』有斐閣(2015年5月)……ジュリスト2014年10月号特集「会社法の改正」に法務省による省令解説を加え、アップデート。2014年7月開催の有斐閣セミナーも併せて収録。A5判、232頁。
- 岡伸浩編『改正会社法・施行規則等の解説』中央経済社(2015年5月)……制定以来最大の改正となる平成26年改正会社法とそれに対応する会社法施行規則・会社計算規則・株式振替法の改正を解説。実務上の論点および経過措置を重点的に解説。A5判、304頁。
【入門書・概説書】
- 神田秀樹『会社法入門(岩波新書)』岩波書店(2015年7月・新版)……一般読者向けの入門書。新版は2014年改正、上場企業向け「コーポレートガバナンス・コード」策定など、最新の動向も反映。新書判、256頁。
- 近藤光男・志谷匡史・石田眞得・釜田 薫子『基礎から学べる会社法』弘文堂(2014年9月・第3版)……初学者を対象にした概説書である。現在の司法試験の会社法のレベルであれば、本書と判例百選と条文を読み込めば、対策として十分であろう。A5判、312頁。
- 近藤光男『会社法の仕組み(日経文庫)』日本経済新聞出版社(2014年7月・第2版)……実務上大半を占める取締役会設置会社をベースに会社法を解説。新書判、216頁。
- 柴田和史『ビジュアル 図でわかる会社法(日経文庫1929)』日本経済新聞出版社(2014年12月)……公開大会社を念頭に置いて、株式会社の仕組みや決まりごとに関する会社法の知識を解説する入門書。見開き2頁でひとつの項目を解説しており、合計90項目を扱っている。見開きの右頁は、当該項目に関する図表になっていて、まさにビジュアルに分かりやすい本である。会社法のほぼ全ての分野を網羅していることもあり、初学者が座右に置く本として最適。小B6判、200頁。
- 宍戸善一『ベーシック会社法入門(日経文庫)』日本経済新聞出版社(2015年3月・第7版)……新書判、240頁。
- 丸山秀平『やさしい会社法』法学書院(2015年2月・第13版)……第13版において平成26年改正会社法に対応し、「会社法施行規則」も踏まえた最新版。A5判、頁。
- 藤田勝利・北村雅史編 『プライマリー会社法』法律文化社(2015年4月・第4版)……A5判、354頁。
- 永井和之編著『よくわかる会社法(やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ )』ミネルヴァ書房(2015年5月・第3版)……B5判、248頁。
- 高橋英治編『入門会社法』中央経済社(2015年3月)……A5判、314頁。
- 中東正文・白井正和・北川徹・福島洋尚『会社法(有斐閣ストゥディア)』有斐閣(2015年4月)……A5判、266頁。
- 鳥山恭一・福原紀彦・甘利公人・山本爲三郎・布井千博『会社法』学陽書房(2015年4月・第2次改訂版)……5人の研究者が説く会社法の概説書。第2次改訂版において、平成26年の会社法改正と、諸法令の改正、最新判例などをフォロー。A5判、352頁。
- 柴田和史『類型別 中小企業のための会社法』三省堂(2015年5月・第2版)……株式会社の多くを占める非公開会社・中小規模型会社のための会社法の概説書。中小企業の類型別に、根拠条文を示し、必要事項に限定して簡潔に解説している。A5判、384頁。
- ☆大塚英明『会社法のみちしるべ』有斐閣(2016年3月)……四六判、242頁。
- ☆高橋英治編『設問でスタートする会社法』法律文化社(2016年4月)……設問を解きながら会社法の全体像を理解するという全く新しいタイプの教科書。学部期末試験で出される一行問題・事例式問題に始まり、ロースクールの入学試験問題に至るまで、問題の解き方を基礎から実践的に解説。A5判、256頁。
【コンメンタール】
- 江頭憲治郎ほか編『会社法コンメンタール(1)-(14),(16)-(18),(20),(21)』商事法務(2008年3月-)……実務必携の詳細な注釈書。全22巻(予定)。新会社法に対応した文献を中心に解説・解釈がなされており、特に(7)-(9)機関は学生にとっても有用である。なお、(1)巻のはしがきと附属の月報では会社法立案担当者に対するかなり強力な批判がされている。(21)罰則のうち、島田執筆の特別背任罪の解説は刑法の背任罪の解説としても秀逸。H26年改正は補巻にて対応予定。
- 酒巻俊雄・龍田節編『逐条解説会社法 第1巻-第5巻、第9巻』中央経済社(2008年6月-)……中規模コンメンタール。全10巻(予定)。会社法コンメンタールに比べて、執筆者の自説主張がやや強い。
- 江頭憲治郎ほか編『論点大系 会社法(1)-(6)、補巻』第一法規(2012年1月-2015年6月)……中規模コンメンタール。全6巻+補巻。わりと出版年月日も新しくそこそこ使えるが,司法試験レベルでここまで揃えるべきかは疑問がある。実際には上記の会社法コンメンタールが存在しない巻などを参照する程度になるだろう。なお、補巻(A5判、656頁)において平成26年改正会社法(平成27年5月1日施行)に対応。
- 奥島孝康・落合誠一・浜田道代編『新基本法コンメンタール 会社法(1)-(3)』日本評論社(☆2016年3月・第2版、2010年9月、2015年10月・第2版)……中規模コンメンタール。全3巻完結。サイズが大きめのために情報量はそれなりにあるが,文献の引用などは少なめ。学習用には有用であるが,条文について突っ込んだ検討をするには物足りない面がある。平成21年の関係規則改正に対応。第2版は、平成26年の会社法改正に対応して、全面改訂。B5判、640頁・580頁・664頁。
- 弥永真生『コンメンタール会社法施行規則・電子公告規則』商事法務(2015年12月・第2版)……会社法施行規則についての注釈書はかなり少ない。第2版において、2015年5月1日に施行された改正会社法施行規則および電子公告規則を盛り込んで、大幅改訂。A5判、1200頁。(第2版については評価待ち。)
- 弥永真生『コンメンタール会社計算規則・商法施行規則』商事法務(2009年9月・第2版)……平成21年4月に改正された会社計算規則の各条文に、実務上の問題も留意しながら理論的コメントを加えたコンメンタール。計算部門が何故か出題されない司法試験レベルではまず不要。A5判、837頁。
- ☆田中亘、秋坂朝則監修『会社法関係法務省令 逐条実務詳解(会社法施行規則、会社計算規則、電子公告規則)』清文社(2016年1月・改正会社法対応版)……会社法施行規則、会社計算規則、電子公告規則のコンメンタール。A5判、1129頁。
- 木俣由美『楽しく使う会社法』自由国民社(2014年1月・第2版補訂)……VIRTUAL会社法の著者による語呂合わせとイラストを取り入れた平易なコンメンタール。条文の内容解説に徹している。覚え方の具体例として、104条「いーわよ、株主、責任ないわよ」や、327条1項(取締役会設置を義務付けられている会社)「こうかい(公開)?感(監)じるかい(会)?いいんかい(委員会)?」など。A5判、480頁。
【判例集・ケースブック】
- 江頭憲治郎・岩原紳作・神作裕之・藤田友敬編『会社法判例百選』有斐閣(2011年9月・第2版)……会社法分野の最重要判例を厳選した判例教材のクラシック。26件の新たな判例が取り上げられ、また同じ判例についての解説も、会社法施行後5年間の展開をふまえてアップデートされた。合計103件を収載。B5判、216頁。
- 野田博『会社法判例インデックス』商事法務(2013年11月)……160件の会社法判例を収録。見開き2頁で判例のエッセンスを関係図とともにコンパクトに解説する,単一著者による判例集である。百選,重判,並びに各種基本書及びコンメンタール等の参照頁が明記されており,発展的学習への繋がりがよい。総じて学習者向けに特化した内容となっている。有斐閣の商法判例集の対抗馬。A5判、326頁。
- 倉澤康一郎・奥島孝康・森淳二朗編『判例講義会社法』悠々社(2007年4月、2013年3月・第2版)……判例収録数は百選よりも多い(150個)が解説は全体的に薄味。(第2版については評価待ち。)
- 岩倉正和・佐藤丈文編『企業法務判例ケーススタディ300 企業組織編』金融財政事情研究会(2007年12月)……企業法務に携わる弁護士の立場から会社法判例を解説。解説の内容は充実しており、判例を踏まえた実務上望ましい取り扱いを解説しているのが特徴。独占禁止法などの関連法分野にも触れている。この巻の判例収録数は100。
- 酒巻俊雄・尾崎安央編『会社法重要判例解説』成文堂(2008年9月・第3版補正版)……会社法の判例を見開き2頁で収めている。会社法の判例収録数は類書で最大だが、判旨・解説ともにやや舌足らず。2006年の第3版に増補しただけなので内容はやや古い。A5判、418頁。
- 酒巻俊雄・尾崎安央・川島いづみ・中村信男編『会社法重要判例』成文堂(2013年10月)……B5判、184頁。
- 鳥山恭一・高田晴仁編著『新・判例ハンドブック 会社法』日本評論社(2014年4月)……会社法の判例を四六判1頁でコンパクトに解説(事実・裁判所の見解・解説含む)。本書で判例を習得するというより、既存の判例知識の確認・まとめ用と割り切るべきだろう。最判H24.10.12民集66.10.3311まで199件収録。四六判、240頁。
- 丸山秀平ほか『ケースブック会社法』弘文堂(2015年2月・第5版)……スタンダードなケースブック。裁判例が長めに掲載されており、教科書では省略されている会社法の関連知識も書かれている。A5判、240頁。
【演習書】
- 黒沼悦郎編著、中東正文・福島洋尚・松井秀征・行澤一人著『Law Practice 商法』商事法務(2014年3月・第2版)……重要判例をベースにした基礎的な問題集。分かりやすく丁寧な解説が付せられていて取り組みやすい。A5判、364頁。
- 伊藤靖史・伊藤雄司・大杉謙一・齊藤真紀・田中亘・松井秀征『事例で考える会社法(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2015年12月・第2版)……「事例で学ぶ刑法」に続く、司法試験対策の長文事例問題集。司法試験対策の決定版。新進気鋭の若手学者6人による連載が単行本化されたもの。なお、書籍化にあたって収録順が変更されている。全24問。各設問の難易度は標準ないし高度で、ボリュームも司法試験本番のそれと比べてそん色ないため(その気になれば3時間でも4時間でもかけられる問題が並ぶ)、全問を解くにはかなり骨が折れるが、解説が丁寧なので何とかなる。但し、リークエ著者以外の二人の担当箇所(特に齊藤真紀担当箇所)はやや解説に疑問。全問解けば重要論点は漏れなく拾うことができ、最先端の議論も捕捉できる。著者が重なっていることもあってか、リークエ会社法との相性は極めて良く、リークエでは説明しきれなかった論点についても本書では丁寧な解説がなされている。A5判、538頁。なお、初版用に、平成26年改正に対応した追補あり→http://www.yuhikaku.co.jp/static_files/jireidekangaerukaisyahou-tsuiho.pdf
- 中村信男・受川環大著『ロースクール演習 会社法』法学書院(2015年6月・第4版) ……受験新報の誌上答練過去問から新司法試験向きの長文事例問題42問を選別したもの。雑誌掲載時の解説がアップデートされ、図や出題の意図、答案作成のポイントも加筆されている。百選掲載判例や近時の重要判例を元ネタにした問題が多い。答案はない。第4版において平成26年改正会社法に対応。A5判、415頁。(第4版については評価待ち。)
- 前田雅弘・北村雅史・洲崎博史『会社法事例演習教材』有斐閣(☆2016年2月・第3版)……京大教授陣による会社法演習書。解答・解説はサンプルを除いて存在しないが、同シリーズの民法と比べれば、基本的な設問、教科書的な内容が多く、そのような問題は引用文献を参照すれば難なく解ける。とはいえ、もちろん発展的内容も多い。新試対策として使える会社法の事例問題集が乏しい中、発売以来、ロースクールでは優秀層を中心に使用者を増やしていると思われるが、使用者の実力次第では自滅する危険性も有している。そもそも独習には向かないので、使用する際は“優秀者と”ゼミを組むべきであろう。なお、増刷の際に江頭2版の頁数に対応しているので刷数には注意すべきである。B5変型判、258頁。(第3版については評価待ち。)
- 葉玉匡美・会社法立案担当者の会『新・会社法100問』ダイヤモンド社(2006年11月・第2版)……会社法立案担当者による会社法演習書。立案担当者の一人説が当然のように書かれているため内容を鵜呑みには出来ないが、立案担当者の見解を知るのは本書一冊で十分という意味では良書である。改訂予定だったが再版された。A5判、656頁。
- 弥永真生『演習会社法』有斐閣(2010年12月・第2版)……法学教室連載の単行本化。新会社法にいち早く対応した学者系演習書だが、旧法との違いを論じるような過渡期的性質を持つ。A5判、202頁。(第2版については評価待ち。)
- 末永敏和『司法試験論文過去問LIVE解説講義本 末永敏和商法(新Professorシリーズ)』辰已法律研究所(2015年3月)……元旧司法試験考査委員。辰已での新司法試験過去問解説講義を書籍化した本。平成18年~平成26年の問題を収録して、検討しているが、他の科目のLIVE解説講義本と比較すると、内容が平板である。平成26年改正対応。
- 石山卓磨『事例演習 会社法』法学書院(2015年9月・第2版) ……A5判、頁。
- ☆小林量・北村雅史編著『事例研究 会社法』日本評論社(2016年4月) ……A5判、448頁。
- 奥島孝康・鳥山恭一編『演習ノート 会社法』法学書院(☆2016年6月・第7版) ……A5判、頁。
最終更新:2016年11月16日 18:08