〔基本書・入門書〕
- 和田吉弘『基礎からわかる民事執行法・民事保全法』弘文堂(2010/04)……図表を駆使し、簡潔明瞭な文章で徹底的に分かりやすさを
追求した学生向け入門書の決定版。学習のはじめに間違いのない一冊である。その分中身は薄いが、学部やロースクールの定期試験なら本書を数回通読するだけ
でも乗り切れるだろう。
- 中野貞一郎『民事執行・保全入門』有斐閣(2010/04)……民事手続法の第一人者による入門書。好著『民事裁判入門』の姉妹版であり、同様の
コンセプトに立つ。適度にくだけた文章により分かりやすく解説する。和田・基礎よりも内容は充実しているが、標準的な概説書と比べるとやはり多少の物足り
なさもある。
- 中西正・中島弘雅・八田卓也『リーガルクエスト 民事執行法・民事保全法』有斐閣(2010/01)……スタンダードな民事執行法・民事保全法の
テキスト。記述に安定感はあるが、リーガルクエストシリーズらしく発展的な知識も随所にちりばめられている。民法・民事訴訟法の知識があるのは当然の前提
としているため初学者には向かない。和田・基礎や中野・入門などを経てから取り組むべき本である。
- 生熊長幸『わかりやすい民事執行法・民事保全法』成文堂(2006/10)……本文そのものは条文の引き写しに終始したいささか無味乾燥なものと
なっているが、理解を助ける図表や実際の書面のサンプル、読者の興味を惹くコラムなどが随所に散りばめられており、学生向けの教科書を強く意識した作りと
なっている。レジュメ調の構成はやや好みが分かれるところであろう。著者が専門とする担保物権とのつながりも強く意識されている。
- ☆上原敏夫他『民事執行・保全法』有斐閣アルマ(2011/03・第3版)……入門書と概説書を兼ねた一品。コラムも面白い。
- ☆福永有利『民事執行法・民事保全法』有斐閣(2011/03・第2版)……名著である山木戸克己『民事執行・保全法』(1999/05)の叙述
を利用しつつ(はしがきで明記されている)、現行法に即して書き下ろされた、民事執行法の大家の手による教科書。自説は抑え気味。文章は平明で、注も少な
く読みやすい。発展的な内容はコラムに回されている。一冊だけ読むならコレ。2版の改訂箇所は判例の追加、ゴシック体への変更などごくわずか。
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中野貞一郎編『民事執行・保全法概説』有斐閣双書(2006/06・第3版)……おそろしく豪華な執筆陣による概説書。平均年齢の高さもあってか文章は硬くて平板。図表の類も少なく、意外とボリュームもあるため、初学者が手を出すと失敗するタイプの本。
- 藤田広美『民事執行・保全』羽鳥書店(2010/4)……
〔体系書・実務書〕
- 中野貞一郎『民事執行法』青林書院(2010/10・増補新訂6版)……民事手続法の第一人者による決定版。まさに孤高の体系書。
- 瀬木比呂志『民事保全法』判例タイムズ社(2009/01・第3版)……民事保全の第一人者である現役裁判官による体系書。実務家必須。
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須藤典明・深見敏正・金子直史『リーガル・プログレッシブ・シリーズ1民事保全』青林書院(2008/07・改訂版)……東京地裁保全部経験裁判官が同部の運用を解説した著書。
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齊藤隆・飯塚宏編著『リーガル・プログレッシブ・シリーズ4民事執行』青林書院(2009/01)……東京地裁民事第21部(執行部)経験裁判官による民事執行の概説書。
〔注釈書〕
浦野雄幸編『基本法コンメンタール
民事執行法』日本評論社(2009/09・第6版)……実務必携の詳細な注釈書。平成20年改正まで対応。他に新しい注釈書がないためか、実務家向けの分厚い本になっている。学生は図書館で参照すれば十分である
最終更新:2013年02月24日 20:12