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◆DppZDahiPc氏 - (2008/03/19 (水) 23:26:33) のソース

<p>43 名前:in to dream1/6 ◆DppZDahiPc [sage] 投稿日:2006/06/28(水) 23:35:14
ID:OeAJ8u45<br />
 利き手を骨折した。<br />
 理由は簡単明確。<br />
 車に轢かれそうにな少女を助けるため、車の前へ飛び出し。なんとか、少女は<br />
手首を捻挫したが、他には怪我もなく。少女はもとより、その両親、轢きかけた<br />
運転手からも感謝された。<br />
 その時は怪我したものの、人から感謝され、謝礼金までもらい。随分良い気に<br />
なっていた。少女の代わりに跳ねられてよかった、とすら考えていた。<br />
 たまには良いこともするもんだ、とも。</p>
<p>――しかし、一つ、重大な問題があった。</p>
<p> 利き手が使えない。<br />
 それはつまり様々な不便が強いられるのだが、その中でもオナニーできない事<br />
が一番辛い。<br />
 禁オナニーが始まってから約一週間――既に限界近い。<br />
 三日前より夢精が続き。ちょっとしたことで勃起する。<br />
 左手で抜こうとしたが上手くいかず、我慢汁がダラダラ流れて畳を汚すだけ。<br />
一週間前まで毎日していた反動か、女の味を知らない俺の息子は、オナニーしろ<br />
と分かりやすく俺に訴えかけてきている。<br />
 それを聞いてやりたいのも山々で、今にも爆発しそうな股間の健康面を考えて<br />
やるなら。<br />
「よし、ソープへ行こう」<br />
 ジャケットを羽織って、財布を掴み――絶望した。<br />
 溜まってた家賃光熱費払って、財布の中身は飛んでいっていたことを思いだし。<br />
俺は絶望した。<br />
 金が無いわけではない、ただ、使えば。あっさり餓死している未来の俺が見え<br />
る。<br />
「ハハ……ハハハ」脚が崩れ、その場にしゃがみこむ。<br />
 股間がきゅんきゅんと疼いていた。<br />
 そんな時だ、ヤツが現れたのは。<br />
 ドンドンドンッ、ドンッ。<br />
「――おわぁっ!?」<br />
 今時珍しい木製の扉が、破壊されそうなほど荒々しく叩かれ、<br />
「ちわー、宅配でーす」暢気な声が怒鳴ってきた。<br />
 チャイムあるんだから鳴らせよとは思いながら、立ち上がり、開けてやると。<br />
そこには街を歩けば一人は居そうな、Tシャツジーンズ姿の女が立っていた。―<br />
―高校生くらいだろうか? それにしては顔つきは幼い。<br />
 不思議と既視感を覚える顔だった。<br />
 まあそんなことは良いとして、「宅配って?」聞くと。<br />
 ヤツは躊躇いもなく<br />
「あたし」<br />
 なんて言ったので。俺は軽やかに笑い。<br />
「間に合ってます」<br />
 迷い無く扉を閉めた――閉めようとしたが、扉と枠の隙間に足を差し込みやが<br />
った。チッ、場慣れしてる。<br />
「ちょ、ヒドくない? こんな仕打ちないって、ちょ、ちょお」</p>
<p><br />
44 名前:in to dream2/6 ◆DppZDahiPc [sage] 投稿日:2006/06/28(水) 23:36:36
ID:OeAJ8u45<br />
 ただでさえ、こっちは利き手を使えないというのに。女と思いたくないほどの<br />
力で、開けようとする。<br />
「悪いけどデリヘルは頼んでない」<br />
「ハァ? あたしが商売女に見えるっての?」<br />
 俺は躊躇いなくうなづいた。<br />
「多分、住所間違ったんだろ。な?」<br />
 手の平に汗が滲んできた。<br />
「間違いじゃないって、あたしは――」<br />
「なら、なんなんだよ。宗教勧誘なら余所へ行け」<br />
「――禁断少女」先ほどとは打って変わった、妙に落ち着いた声でヤツは言った。<br />
「禁断症状?」俺はああと納得し、「悪いがクスリなんざ、俺はやってない。金<br />
ないんでね」<br />
 その時、フッと扉の向こうから力が消え「あわわ」俺は勢いそのまま、扉の外<br />
へと投げ出された。<br />
 そこには誰も立っていなかった。<br />
「なんだよ」<br />
 あの女は去ったらしい。<br />
 憤慨するように舌打ちすると、部屋の中へ戻り鍵を閉めた。<br />
「ったく、なんなんだよ」<br />
「まったくね」<br />
「ああ、ホントホント……で、どこから入った」<br />
 ヤツはそこにいるのが当然のように、ウチの数少ない高級品であるテレビの上<br />
に腰掛け、ハーゲンダッツを食べながら。馬鹿にするように笑った。<br />
「じゃあ、自己紹介からするね」駄目だヒトの話聴いてねぇ「あたしは禁断少女」<br />
「……そうか」俺は頷き、ツカツカと近寄る。<br />
「そう。八百万の神ってヤツよ。平伏なさい、この粗チン」<br />
「ああ」女の手からハーゲンダッツとスプーンを奪うと、うず高く積まれた雑誌<br />
類の上に置き。<br />
「まあ神っていうより、守護霊みたいなもんだけど。同じ名前でも、様々、多様<br />
な姿を持ち。一つとして同じ性格のない。キミだけの禁断少女、それがあたし」<br />
「なるほど、ちょっといいか」<br />
「んー? なになに――キャッ」<br />
 俺は頭のオカシイ女を抱えあげると、「お姫様だっこだぁ」と喜ぶ女を、部屋<br />
の外へ放り出し、再び鍵を閉め、チェーンをかける。<br />
「よし」<br />
 これでもう入ってこれないと安心して、振り返ると――居た。<br />
「どこから……というより、どうやって入った」<br />
 俺の疑問にも、頭のオカシイ女は電波な答えを突きつけてきた。<br />
「キミの心から」――意味分からん。<br />
「で、話の続きだけどね。あたしたち禁断少女の役目は一つ」女は形の良い小鼻<br />
をぷくっと膨らませ。「キミを堕とすこと」<br />
「…………」どうやればコイツを追い払えるんだろう?<br />
「あっ、わからないって顔してるねぇっ」</p>
<p>45 名前:in to dream3/6 ◆DppZDahiPc [sage] 投稿日:2006/06/28(水) 23:37:59
ID:OeAJ8u45<br />
 ああ、わからないね。<br />
「でも安心して、チャチャッと済ませちゃうから」<br />
 説明になっていないのは気のせいでないだろう。<br />
 だが、一つわかった。<br />
「つまり、その、なんだ。なにかしたら、帰るんだな?」<br />
「イエッス!」<br />
「で、なにしたら帰ってくれるんだよ。俺が手伝わなきゃいけないことか?」<br />
 女は首を振り、「ベッドに座って」と指示してきた。どうやら傍観していてい<br />
いらしい。<br />
 何が始まるのかと考えながら、ベッドに腰掛けると。<br />
 直後。<br />
「んっ……む……」<br />
 口が塞がれていた。<br />
 眼から部屋の風景が一切消え、女のこざっぱりとした顔しか見えなかった。<br />
 唇を割り、熱い物が押し入ってくる。舌に舌が絡み、複雑なダンスを踊る。舌<br />
を伝ってヤツの涎が流れ込んできて、俺の涎と解け合っていく。<br />
 わずか十秒に満たない間のキスで俺の身体は火照り、ヤツは唇を離した。<br />
 俺はなにか言おうとして――なにも言えなかった。<br />
 それをみてかヤツは笑う、この状況を心から楽しんでいるように。<br />
「お前、なんなんだよ」絞り出した声、口端から涎がだらしなくこぼれた。女は<br />
それを舌ですくいあげ、細い喉で嚥下し。<br />
「禁断少女」いった<br />
「キミの欲望を解き放つ存在」ニヤリと猛禽類を思わせる笑みを浮かべ、女――<br />
禁断少女は膝を付き、いつの間にズボンを降ろしていたのか。露出した俺の陰茎<br />
にキスをした。<br />
「キスしただけでこんなにしちゃって、フフッ、中学生じゃあるまいし」<br />
 笑うその声は、まるで獲物をみつけた肉食獣のようですらある。<br />
 逃げるため後ずさりしようとしたが、女は先んじて肉棒を細い手で掴んだ。ど<br />
くんどくんっと肉棒が脈動した。<br />
 次に女が何をするのか、分かった。<br />
「あーん」<br />
 かぷっ、と女は俺の肉棒を口に含んだ。亀頭が女の上顎に触れて、びくんっと<br />
反応し。ざらついた表面の舌の上でみじろぎ、背中を泡立たせる。<br />
「……くっ」<br />
 女の目が笑っている。まるで、「もう出るの?」とでも言いたげに。ゆっくり<br />
と頭を動かし始めた。<br />
 技巧も糞もない、そんなもの必要ないと分かっているかのように。薄いが弾力<br />
のある唇で、熱い舌で、口全体で奉仕してくる。<br />
 突然始まった行為――そして、始まりと同じく唐突に止まった。<br />
 口からこぼれる涎を舌先で拭いながら「……ねぇ」と女は話しかけてきた。柳<br />
眉をハの字に曲げ、目を半眼にして。「ちゃんとお風呂はいってる?」</p>
<p>46 名前:in to dream4/6 ◆DppZDahiPc [sage] 投稿日:2006/06/28(水) 23:39:13
ID:OeAJ8u45<br />
「はいれるように見えるか?」湿布と包帯とでグルグルに巻かれた右腕を示す。<br />
「そりゃそうか」女は納得したのかしていないのか、唇を尖らせ。「うーん」と<br />
唸りはじめた。<br />
「……なんだよ」<br />
「いや、ね。あのさ。煮沸消毒していい? この汚いの」<br />
「あ?」なにいいやがるこの女。「頼んでもないのに、オマエからしゃぶってき<br />
た癖に」<br />
「だってこんなに臭いとは思わなかったんだもん」<br />
「…………喧嘩売ってるってことでいいな?」<br />
「ハァ? なにそれ、イミわかんない」いいながらも女は手でピストン運動を続<br />
け、俺の陰茎が萎えないようにしている。<br />
 ぐるぐると部屋中を見渡して「あ、そうだ」と置かれっぱなしのハーゲンダッ<br />
ツのカップを手に取った。既に中はドロドロになっている、白色の元アイス。<br />
 それを<br />
「これで少しは臭い消えるかな」<br />
 陰茎へと垂らしはじめた。<br />
「――っ!?」<br />
 小さなカップから落ちる糸のような細い線が、充血した陰茎の先端に触れから<br />
みついて、じっとりと肉棒の上を流れていく。<br />
 熱をもったペニスを冷ますような溶けたアイスの冷たさが、背筋を震わせる。<br />
「な、なにする」<br />
「味付けよ、味付け」<br />
 言うと、女は舌先を突き出し、流れるアイスを舐め始めた。<br />
 こぼさないように舌が純白のラインをなぞりながらも、肉棒にバニラがなじむ<br />
ように擦りつけ。かと思えば、あむっと白液まみれの肉棒を弾力のある唇で挟み、<br />
ちゅるちゅると吸い裏筋を登っていく。濃厚なバニラを堪能する。<br />
 楽しいのかなんだか知らないが、時折「ふふ」と笑い。相好は、おそらく年上<br />
の俺からみても蠱惑的に感じる笑みを、亀頭へ向けている。<br />
 アイスで冷やされた肉棒を、熱い愛撫によってぬるぬると暖めていく。顎、頬<br />
にまでも白液を飛び散らしながらの口淫。小さそうに見える口にすっぽり肉棒を<br />
丸飲み、ずりゅりゅりゅぅと意地汚い音をたててバニラをすすり。口唇で揉むよ<br />
うに亀頭に残るバニラを舐めとり、ごくんっと嚥下する。<br />
 ぺろっと唇に残った濃厚なバニラを舐めとり、小悪魔的微笑を見せ、<br />
「このアイス、ちょっとしょっぱいね」<br />
 俺は顎に垂れるアイスを一滴指先で拭ってやると、その指先をくわえ。<br />
「ああ、……そうだな」つぶやいた。<br />
 欲望が訴えかけてくるような味だった。<br />
 女――禁断少女は男の下心を煽る微笑を浮かべている。俺の陰茎に触れたまま。<br />
「ね、しよっか?」</p>
<p>47 名前:in to dream5/5 ◆DppZDahiPc [sage] 投稿日:2006/06/28(水) 23:42:16
ID:OeAJ8u45<br />
 なにを、とは禁断少女は言わなかった。<br />
 なにを、とは俺は訊かなかった<br />
 俺は、ただ――</p>
<p>ピンポ――ンッ。</p>
<p> 先ほど存在を無視されたチャイムが、存在を強調するように鳴り。俺たちは同<br />
時に玄関をみて、俺は無視することにした、どうせ勧誘の類だろ。今はそんなことより。<br />
「出たら」<br />
「……え? いや」<br />
 禁断少女は掠れた笑みを見せた、そんな表情をする理由が俺には分からなかっ<br />
た。<br />
「……いいから、ほらっ」<br />
 手を引っ張られ立たされて、禁断少女が俺のパンツとズボンを上げ、もう一度<br />
掠れた笑みを見せて。「またね」生地越しに俺の陰部へキスすると。<br />
 俺の背中を玄関へと押した。<br />
 おそらく禁断少女がやったのだろう、いつのまにか鍵の開けられていた、今更<br />
こんなことでは驚かないが――しかし。<br />
 背中を押された勢いそのまま、俺は玄関から飛び出した。そこには、一人少女<br />
が立っていた。<br />
 バニラ色した半袖のワンピースを着た少女が、立っていた。その手には俺でも<br />
知ってる生チョコで有名な洋菓子店のロゴが入った紙袋。<br />
「……君は」<br />
「あの、私。その、助けてもらったお礼がしたくて。えと、だから、その……」<br />
 不思議と既視感を――ああそうだ、助けた女の子。<br />
「うン?」<br />
 違う、いや、違わないけど。――けど、でもどこかで……<br />
 俺がいくら待っても、二の句は来ず。どうしたのだろう? と少女の顔を覗く<br />
と。少女の視線が一点へと集中していた、俺の股間へと。<br />
「え、えぇと」まさかこの子も……なわけはなく、少女の身体が俺の声に反応し<br />
びくりとする。<br />
 湯沸かし機のごとく一気に顔を真っ赤にすると、少女は言った。<br />
「あの、それ」<br />
「あ、ああ、これ? これは、アイスこぼしちゃって」<br />
「そうなんですか」<br />
 少女はなにごとか思案し、躊躇いがちにいった。その瞳は雨に濡れた太陽のよ<br />
うに精一杯に輝いている。<br />
「洗わせてください」<br />
「……え?」<br />
「洗わせてください」そういって少女は頭を下げた、白いうなじは、まだ少女の<br />
ソレだった。「お願いします」<br />
 突然の事態に俺は困り。<br />
 困り果てて、俺の心から来たとか抜かしたあの――を振り返った。<br />
「……あれ」<br />
 そこには、誰もいない。<br />
 一人暮らしの部屋にはほかにだれもいなかった。<br />
 頬をぽりぽり掻きながら顔を戻すと、対の太陽がのぞき込んでいた。</p>
<p> その相好に、何故か既視感を覚えた。</p>
<p>fin</p>
<p>48 名前: ◆DppZDahiPc [sage] 投稿日:2006/06/28(水) 23:43:36 ID:OeAJ8u45<br />
言い訳。</p>
<p>勢いだけで書き上げた、だが私は謝らない。</p>