とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part05

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匿名ユーザー

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「何しに来た、お前は……っ」
「当麻、俺はお前のこと。弟みたいに思ってるんだぜ。今でもな。そりゃ俺に初めて話しかけてくれたのはお前だしな」
「……後悔してる。今は」
「まぁ普通の精神ならそうだろうな。六年前の内乱を滅茶苦茶にしたのは俺とお前だしな」

上条は撃たれた場所を抑えながら、キッと垣根を睨みつける。

「まぁこんな昔話をしに来た訳じゃねぇ。なぁ当麻。俺の作る暗部組織『スクール』に入らないか?目的は
学園都市の転覆……そうだな。つまらねぇ格差社会体制の崩壊だ」
「……入る訳ねぇだろ!」
「だろうな、でもな。俺のほうが必要性の高い情報を持ってる。木原数多とかよりな」
「な、なんでそれを……」

垣根はニヤリと上条へ笑いかけた。
背筋が凍り、上条は全身の力が抜け椅子へ座り込んだ。

「木原数多はただ、上条当麻と手を結んだっていう事実が欲しかっただけだぜ。上の連中はお前の事はどうとも思っていないが学園都市のどこかに居ると言われてる
元学園都市統括理事長のアレイスター=クロウリーを警戒してる。
アイツはプランとやらを完成させたかったみたいだが、虚数学区の生成や幻想殺しをうまいポジションに置けなかった事もあり、今は訳わかんねぇ組織に乗っ取られてる。
お前は妹達(シスターズ)……クローンを助けたい。俺は学園都市体制の崩壊。俺はそれに協力してやる。その代わりにお前は俺の手下になってもらう。
何年我慢した。毎日、ペットの餌みたいな量のご飯を食べて、キノコが生える家へ住んで。それも学園都市が作った『ディストピア』のせいだろ?お前は一番の犠牲者だ。
なぁ、俺と組まないか?上条当麻」
「……分かった。でもクローン達を助けるのは手伝ってもらう」

ディストピア。ユートピアとは相対的な意味合いを持ち、管理社会体制の事だ。
上条の『大罪人』システムはディストピアであり、風紀委員などの警備組織が無いのもそのせいだ。
万引きなどしない。詐欺などしない。暴行などしない。何故なら『罪人』になるからだ。
誰も『罪人』には成りたくない。だから警備組織は存在しない。そして上条は学園都市でも3人しかいない『大罪人』。
彼らに『犯罪を行うなどの概念がない』。
これは完成された管理社会。平凡で能力開発を行い、犯罪者などいない。そんな理想郷(ユートピア)に偽装した幻想郷(ディストピア)だ。
しかし、上条は今の学園都市の制度を変えたいとか、差別に苦しむ人々を開放したいなんて高尚な事は考えていない。
ただ、無力に処分されていく『人間』を助けたいだけだ。人形じゃない、人間だ。女の子だ。
そのために上条はスクールに入った訳じゃない。そんな意志は垣根にも伝わった。
垣根は微笑みながら上条に一枚のメモを渡して、待合室から消える。

「次の人どうぞー」
「あ、はい」

診察室で待っていたの蛙顔のおじいさんだ。一応、冥土帰し(ヘブンキャンセラー)と呼ばれていて、医療界でも有名な医者らしいが。
上条は包帯で止血をしていて、冥土帰しは少し驚いた様な表情を作った。

「血は止まってるね?今から、縫うから三○七号室へ来なさい」
「縫うんですか……」
「何当たり前の事を言っているんだい?君、そのまま放置してると化膿したりして右腕を切り落とさないといけなくなるんだけど。それに
顔も青いし、血もかなり失われてるだろう?輸血もしないとね」
「わかりました……」



第四話 『暗部組織の暗躍と意外な人物達との戦争』


「何してんのアンタ」
「……すみませんでした」
「銃弾で肩を撃ちぬかれるって、何しでかしたの?ったく……まぁ良いわ」
「御坂……?」

御坂はハァ、と溜息をつくと椅子へ座った。

「白井と佐天さんはどこにいった?」
「……出かけてるわ。確か買い出しって言ってた」
「そうか」
「ああ、そう。1つだけ言いたい事があるの。くれぐれも、気をつけてね」
「?」

上条はハテナマークを浮かべたまま、自室に戻っていく。
次の日、御坂美琴は上条の部屋へ突入した。

「おっはよー!」
「うわわっ!?」

上条はその大きな声に驚き、目を覚ました。彼の枕元にある時計の針は八時をさしていて、大遅刻だった。
まだ休日だからよかったものの、4時半に起きなければならないはずが、3時間半後の8時に起きてしまうのだから。

「すまねぇ……」
「いいわよ、それより。アンタに手伝って貰いたい事があるんだけど」
「なんだ?」
「買い物に付き合いなさい。生活用品諸々をね」

上条はボサボサの髪の毛をクシャっと押さえつけて、いいよ、と返事した。
ていうか、撃たれた次の日に「買い物に付き合え」とは少し無理強いるなぁと上条は皮肉というか露骨な嫌味を心のなかで呟く。
しかし思う。撃たれたというのに、余りにもサバサバしてない?と。
上条は御坂美琴が笑顔で部屋から出て行ったのを確認して、寝衣を脱ぐ。
これは買い物という名のデートだ。上条はそんな心意気で望むらしく、いつも犬のように扱われているような気がする上条としてはまずは人間として意識してもらいたいという
気持ちが強かった。数少ない衣服からオシャレなものを選んで着ていく。

「こんなモンか」

上条は着替え終わり、服装をもう一度鏡で確認し直す。
トントン、と軽い足取りで降りていく階段。上条は御坂へ「行くぞ!」と言った。
携帯電話で誰とメールをしていたらしく、「送信完了っと」と小さく呟くと玄関前まで歩く。
上条はその御坂の匂いがとても甘い匂いだと気づいて、少し顔を赤くした。
常盤台中学校は制服着用がルールとしてあり、私服は見たことが無かった。
まだ日が頭上にあって、蝉の鳴き声が更に暑く感じさせる。昨晩に降った雨は既に乾き、湿気と気温の高さが注意された。
7月2日、もうすぐ真夏に突入する様な時期だ。ここに来てから二週間足らずが過ぎようとしていた。
御坂は「あっつー」と愚痴をこぼす。上条もまた、右手で雲ひとつ無い空から降ってくる光を遮っていた。

「早く行きましょ、暑いわ」
「そうだな……」
「第一の目的地はセブンスミスト。靴下買いに行って……」
「そうか、早く行こうぜ。暑すぎる……」
「そうね……」

御坂は特に気にした様子は無かったが、上条は始終御坂の私服をチラ見しては悶えていた。
可愛い、というか似合い過ぎてるらしく悶えている。その様子を見て御坂が「何してんの」と尋ねる。

「い、いやっなんでもない!」
「そう?体調悪い?」


セブンスミストでは涼みに来ている人も少なくなく、中にあるカフェは人で埋め尽くされていた。
御坂は贔屓している量販店に向かい、靴下と数足買ってベンチに腰を下ろした。

「次、どこ行くんだ?」
「隣の学区にあるアクセサリー店。今から行ったら夕方くらいになるかも」
「そうか、それなら言ってしまおうぜ」
「分かった、ちょっとジュース買ってくるからアンタはここにいなさい!」

御坂はブランド物の高級財布を持って近くの自動販売機に向かっていく。
それから数分した頃、上条の手にはきなこ練乳とゴーヤプリンのゲテモノジュースが握られていた。
彼女の手にはみりんコーラが握られていて、苦虫でも噛み潰したような表情を浮かべて「失敗ね……」と呟いた。
きなこ練乳のプルタブを開けて、一気に流しこむ。悪くない、きなこの甘さと練乳がうまくマッチしていた。
しかし手元にあるゴーヤプリンはどう考えても地雷だが。御坂は上条の手からきなこ練乳を奪い取ると一気に流しこんだ。

「お、おい!?」
「アンタがボサっとしてるから悪いのよ」

少ししか残っていないきなこ練乳を飲むか、飲まないか葛藤する上条。
これに口をつけたら間接キスじゃないか?と思い飲むか飲むまいかそう考えているのだ。
まぁ何の躊躇いもなく飲んだ御坂には異性の対象としては見られていないのだな、とがっかりする。

(なんだ、コレ。俺ショック受けてる?)

ハンッ、と鼻でその感情を笑い飛ばす。
そんな訳がない。上条は熟考に末にきなこ練乳の残りを飲み、カンのゴミ箱に入れた。


「さて、そろそろ行きますか」
「だな」

環境保安上安全科学総合施設郡。別称、第九学区。
ストレージロードという街にある学園都市の環境や天気などを研究する分野が集まった施設群。
その研究中に生まれた鉄鉱石の貴重な部分のみを摘出し、組み合わせた魔法のキーホルダーを探しているらしく、一般販売はされていないらしい。
そこまで行くには電車かモノレールしかなく、二人はモノレールで施設群まで向かった。
しかしお目当てのキーホルダーは無く、実は三日前にとある客が見つけて買っていったらしく完全に無駄骨だった。

「……おっ?御坂このペンダント可愛くない?」
「……可愛いわね、買おうかな?」
「御坂、俺が買ってやるよ。ま、まぁ?なんだかんだ世話なってるしこんな時じゃないと恩返し出来ないだろ?ほら1500円。
買ってこいよ」
「いいの?」
「ああ、俺ちょっとトイレ行ってくるな」

上条は照れ隠しに店の外に出る。突然、バン!!という銃声がした。
暗い裏路地、日が暮れかけているということもあり殆どその状況を目指できなかった。
しかし、上条は持っていた買い物袋を地面に落とした。暗い裏路地に居た二人の影。
垣根に貰った護身用の拳銃を少女達へ向けた。

「な、なにしてんだ……それなんだ……おい、おいッそれはなんだって訊いてんだァぁぁああああ!!!!」



「なによ……ちょっとだけ格好良いとこみせてさ……」

顔を赤くして御坂は会計を済ませる。
初めて彼を格好良いと思った。袋に入ったペンダントを満足した表情で眺めていた。
バン!と外から銃声が聞こえる。御坂はしまった、と思いその音源を探して店を飛び出した。
計算外だった。考えてもいなかった。今日の反乱分子の処分はココだったじゃないか。

「しまった……」


                              *


「あなたは……」
「上条さんですのね?」
「白井、佐天さん!そこに居る男はなんだ……おい。死んでんじゃないのか?」
「まだ息はありますわね。もうじき死ぬとは思いますが」

白井黒子は鉄矢をクルクルと回す。佐天の手にはショットガンが持たれていて何をしたかなんて一目瞭然だった。
一つ言える事は垣根帝督や木原数多と同じ『場所』にいるということ。
学園都市の闇に居る少女たち。だかえあ最近、屋敷に居なかったのか。何をしていたんだ。そんな物はわかってる。人殺しだ。
手慣れた手つきでショットガンをリロードすると上条へ銃口を向けた。
怯むことなく上条も佐天に拳銃を向ける。

「チーフ、その拳銃どこで……」
「……なぁ御坂は関わってるのか」
「それは……」

そう言いかけた瞬間、拳銃は真っ二つに裂けた。砂鉄、電気を帯びて一層攻撃力を増した砂鉄だった。
一秒に数千回とチェーンソーの様に振動する砂鉄は拳銃を切り裂いて、上条の首元へ突きつけた。

「御坂……ァ!!!お前も……関わっていたのかよ……なぁ御坂あああああ!!!!」
「佐天さん、黒子。もうコイツはクビにする。だから……殺さないで」
「どういう事だよ!?なぁああ!!!」
「アンタは……見てはならない物を見た。せめてもの情け、もう。関わらない方がいい」

ゴッと骨が鈍い音をたてた。上条は力なくその場に倒れた。

「ごめんね……」
「お姉様。報告が、木原数多によると10000号から11000号までの処分は延期となり、開始日は未定ですの」
「……そう。良かった………さ、戻りましょ」

御坂はペンダントを握って、その場に上条を置いて出て行く。
せめてもの情け、それが『関わらせないこと』。それだけ御坂達は深い位置にいるのだと感じさせる。
しかし計算外といえば、既に上条は彼女達より深く、そして強い『スクール』に所属していることだ。
学園都市の数少ない『暗部』は動き出す。彼女達『プライム』は妹達の処分撤回の為。『スクール』は学園都市の崩壊。そして第四位の『アイテム』は何を目標とするのか。
プライムは四人だ。その残りの1人に、『アイテム』の目標の鍵があった。


「当麻、第三位にしてやられるとはなぁ。心理定規、適当な下部組織呼んで当麻をアジトまで運ぶぞ」
「はいはい、呼べってことよね?」










(上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある底辺と頂点の禁断恋愛

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