「ア、アンタの!
上条当麻のことが好きです!」
14歳のある日、今思い出しても恥ずかしくなるような告白をして、私と上条当麻は付き合うことになった。
それから11年後…
私は御坂美琴じゃなく、上条美琴になっていた。
これは。
私の。
永遠に忘れられない。
ちょっぴり悲しかった物語。
私の名前は上条美琴。
住んでる場所は、学園都市第十三学区のとあるアパート。
家族は私と夫の上条当麻。
そして。
私の可愛くて大事な愛娘の上条麻琴。
今年5歳になった麻琴は、来年からこの学区にある小学校に通う。
麻琴は、とにかく可愛くて癒される。いつも統括理事会の仕事で少し帰りが遅い当麻の代わりに、私は麻琴を可愛いがっている。
とにかく、外出する時も麻琴を連れ出し、知り合いに出会ったら、麻琴の自慢をする。
我ながらなんと親馬鹿なことか。
だが麻琴の方も、私の愛情に応えてくれる。
私にだけは物凄く懐くのだ。
そして、懐かれた私はまた麻琴を可愛がって…の繰り返しである。
もう麻琴は私を構築する大きな柱となっているのだ。
ある土曜日のことだった。
土曜日の休日、私が麻琴と遊んでいた時、ふと当麻が言った。
「美琴はいつも麻琴と一緒にいるんだな。」
「当たり前よ。
なんたって私のこの世で一番大切な存在だからね。」
「ふーん…」
「? 何よ、アンタ。
麻琴と遊びたいんだったら後にしなさいよ。
順番制よ、順番制。
今は私が遊ぶ番だからね。」
「いや…そんなことよりさーーー」
「…は?」
私は、今のコイツのセリフにカチンと来た。
「アンタ、『そんなこと』ってなに? 自分の子供の事を『そんなこと』って呼ぶとか、親の自覚あんの?」
「え?いやーーー」
「私さ、前からアンタに言おうと思ってたんだけどさ、アンタさ、麻琴に対して全然愛情注いで無くない?」
「………それは………」
「全く、自分が親だってこと、ちゃんと理解しなさいよ。
もう子供じゃないのよ?」
そんなやりとりの後、私はコイツに言ったことを少し後悔した。
麻琴が絡んだ為か、かなり我を忘れてしまった。
そんな喧嘩をしたせいで、その日は全く会話しないどころか、気まずさのせいで夜は麻琴と一緒にアイツとは別の部屋で寝た。
唯一の救いが、麻琴が私達の喧嘩に、余りショックを受けていないようだったことだ。
私は寝る少し前、アイツに少し罪悪感を覚え、ゴメン、と呟きながら寝た。
だが、次の日、私はそんな罪悪感を吹き飛ばす光景を見た。