とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part11

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御坂と御坂の周りの世界を守るこぼれ話 中編



ミ妹「はい、休憩終わりですよ、とミサカはパンパン手を叩きながらこの場は仕切らせていただきます」
打止「はー、ってミサカはミサカはちょっとしょんぼりして返事をしてみたり」
番外「でも、一〇〇三二号は上位個体を除けば妹達の中だと一番年長だし、こういう役割は似合うね」
一方「…………サラっと、俺に精神攻撃仕掛けるたア、さすがだな…………」
上条「ちょっと待った! 俺、まだ立てないんですけど!?」
ミ妹「…………だから、休憩を打ち切ったことに気付いてください、とミサカはジト目を向けます」
打止「ふふっ。今、お姉様が目を覚ましたらどうなるか見てみたいなー、
   ってミサカはミサカはまだ気絶したままのお姉様の顔を覗き込んでほくそ笑んでみる」
一方「言っとくが、それはずっと休憩が終わらない、ってのと同意語だ」
番外「だよねー、なんたって愛しのヒーローさんのキンタ○ク――――」
上条「いやいや! 膝枕って言おうぜ!? 曲がりなりにもお前も女の子なんだからさ!
   しかもお前と打ち止めが強引に進めたんじゃねえか!!」
番外「タマがねえ…!! チ」
上条「言わせねぇよ!? あと、思いっきりあるし!!」
ミ妹「下品な女だ……!、とミサカは番外個体に対してエリートな王子っぽく感想を述べます」
一方「テメェら打ち止めの前で下ネタとかすンじゃねェよ!!!」
美琴「ん……」
打止「あ、お姉様、目が覚めたみたい、ってミサカはミサカは頬杖ついて寝転がってお姉様と視線を合わせてみたり」
美琴「アレ……? 私、どうしたんだっけ……? 記憶が曖昧で…………」
ミ妹「大丈夫ですかお姉様、とミサカは素早くお姉さまに駆け寄り肩をお貸しして立ち上がらせます。
   おそらくお姉さまは何か恐ろしい目に合ったので、脳がその記憶が精神に支障を来たすと判断して封じ込めたのだと思います、
   とミサカはお姉さまを気遣います。人はとてつもなく怖いことがあると無意識にその記憶を封じ込める機能が脳に備わっています、
   とミサカは人体の神秘をお伝えします」
美琴「あ、そう言えば聞いたことあるわね……うん。ありがと……ん? 何か、後ろで盛大な物音がしたような、って、アンタ何やってんの? でんぐり返りを失敗したような格好して。首痛めるわよ」
上条「……………」
一方「なるほど。その手があったか」
番外(ちぇっ、一〇〇三二号って結構えげつない真似するんだ)
打止(ぶー。強制コードで一〇〇三二号の行動を止めておくんだった、ってミサカはミサカは心の中で頬を膨らませてみたり)
ミ妹「二人とも、何か言いました? とミサカは至極冷静で涼やかに問いかけます」
打止&番外
  「「!!!!!!?! な、何でもないよ何でも!?」ってミサカはミサカはぶんぶか首を横に振ってみたり!!」
一方「とりあえず、これで続きを始められそうだな」
美琴「ほら、アンタもいつまでもそんなところで愉快な格好してないでさっさと立ちなさいよ」
上条「……………まあいいけど……どうせ不幸な目に合うのはいつものことだし…………」



 白井黒子の乗る学バスは――――


一方「略して、『黒子のバス』…かァ……」
全員「「「「「………」」」」」
一方「………」
全員「「「「「……………」」」」」
一方「……ンだよ!! たまにゃァ俺がボケたっていいだろォが!!!」
上条「あ、いや…それは別にいいんだけどさ……」
美琴「始まって一発目のネタがダジャレかよって言うか……」
ミ妹「しかもいきなりアクセル全開だったもので、とミサカは引きながら答えます」
番外「急にキャラにない事すんなよハゲ」
一方「じゃァもォいいよ!!! もう二度とボケねェ!!! つかハゲてねェし!!!!!」
打止「ミ、ミサカはいいと思うの!ってミサカはミサカは精一杯ハゲましてみる!」


 彼女の名前は初春飾利。白井と同い年だが、低い背と丸っこい肩のラインのせいか年下にも見える。セーラーの夏服すら似合わない中学生というのもかなり珍しい気がする。黒の髪は短めで、薔薇やハイビスカスなど、花を模した飾りをたくさんつけていた。遠目に見ると派手な花瓶を頭に載っけているみたいだ。


美琴「え!? あの初春さんの頭飾りって単なる造花だったの!?」
上条「いや、ふつー造花だろ。つか、単なるって何だ?」
美琴「あーうん。佐天さんから聞いてたんだけど、初春さんの頭のやつって実は地球外からの侵略者だとかで、しかも、その花は周囲の人間にも次々寄生して仲間を増やしていくって都市伝説があったのよ」
一方「いや、マジで語られてもな。つーか、そんな眉つば信じるンじゃねェ」
ミ妹「そう言えば、お姉様。お姉様の髪留をいつからそれに変えました? とミサカは素朴な疑問を投げかけます」
美琴「ん? そう言えばいつからだったかな? 気付いたらいつの間にか付けてたというか」
上条「…………それ、花の形してるよな?」
打止「…………えっと、なんだか立ち入ってはいけないような気がしてきたんだけど……ってミサカはミサカはちょっと恐れ慄き始めてみたり」
美琴「え? でも私だけじゃないわよ。さっき、名前を出した佐天さんの髪飾りも花の形してるし」
上条「…………お前と佐天さんもこの子の友達だったよな?」
美琴「夏休み最後の日こぼれ話の時にそう言ったじゃない」
上条「…………」
一方「…………」
ミ妹「…………」
打止「…………」
番外「……わっ!!」
上条&一方&ミ妹&打止
  「「「「!!□☆#$%&!!¥?!!!!×@@@@!?!」」」」
番外「ギャーッハッハッハッハ☆ 第一位そのリアクション最高だよ!! 腹いてー!! ひーっひっひっひっひ!!」
一方「テ、テメエやけにおとなしいと思ったら……このクソ女……!」



「で、何の用ですの? 風紀委員なんて山ほどいるくせに、わざわざこのわたくしを呼ばねばならないとはどういう事ですの?」
「うーん。冷静に考えると絶対に白井さんでなければならないというほどではないような」
「……、わたくしがお姉様とお買い物をしていたのを知っていたくせに、そう思うのならもう少し違った態度を取ってよろしいんではないですの?」


打止「ばんざーいッ!! ってミサカはミサカは諸手を挙げて喜んでみる――
   って、いたたたたたたた、ってミサカは突然襲ってきたこめかみの痛みで眉間にしわを寄せてみたり!!」
ミ妹「何で両手を挙げて大感激なんですか? とミサカは無表情で最終信号のこめかみに両の拳を当ててぐりぐりします」
上条「なあ、御坂。何で打ち止めは万歳大喜びで御坂妹は涼やかに激怒してんだ?」
美琴「な、何で私に聞くのよ!?///」
上条「え? だって、一方通行はどことなく御坂妹をギスギスした瞳で睨んでこっちの声が耳に入らなさそうだし、番外個体からまともな答えを得られるとは思わんからだが」
番外「ひっどー。ヒーローさん。そんな言われた方したらミサカのガラスのハートが木っ端微塵なっちゃう」
美琴「防弾ガラスを木っ端微塵にしようとしたら相当な量の爆薬がいるわよ」
上条「悪かった。じゃあ番外個体でもいいや。打ち止めと御坂妹の今の感情の理由を教えてくれ」
美琴「な、何でその子に聞くのよ!?」
上条「え? だって、お前、教えてくれそうにないじゃん」
美琴「そ、それは……その……///」
番外「いや~~~単純に最終信号は誰かさんの、ある意味恋敵を遠ざけてくれたたことを喜んで、
   一〇〇三二号は恋敵の誰かさんをなんとか変態の魔手にかけたかっただけだからだよ」
美琴「ちょ、ちょっと!!?!///」
上条「?????????? さっぱり分からんのだが?」
番外「だったら聞くなよ、ってさすがのミサカもおねーたまに同情したくなっちゃった」


 彼女達は、共に同じ中学一年生だ。


上条「………」
美琴「どうしたの? 何か考え込んじゃって」
上条「…なぁ、前にここに来てくれた佐天って子も中一だよな?」
美琴「そうだけど…それが?」
上条「で、美琴とキラキラ娘も同じ中二、と」
美琴「……何が言いたい訳…?」
上条「いや…世の中、不公平だな~と思って……」
美琴「何と何を見比べて【そうぞうして】そう思ったこの野郎!!!」
打止「でも確かに不公平かも! ミサカは上位個体なのにミサカだけ体が小さいし!ってミサカはミサカは憤慨してみる!」
番外「でもミサカ達の世界って、妙に大人びた人多くない? 中学生、高校生で何でみんなあんなに落ち着いてんの? 普通もっと馬鹿みたいに騒いでるもんじゃないの?」
ミ妹「おそらく環境のせいではないでしょうか、とミサカは推測します。
   治安があまり良くはありませんので、のほほんと生きてはいられないのでしょう、とミサカは結論付けます」
上条「そりゃ暗部寄りの意見だろ? ウチのクラスの連中は割とのほほんと暮らしてるぞ」
番外「いやいや、中身だけの話じゃなくてさ、見た目が大人っぽいって言うか、ぶっちゃけ老けてる人多いっしょ」
美琴「言っちゃったよ! ついに老けてるとか言っちゃったよこの子!!!」
上条「老けてるって……まぁ確かに、14で2m超えの神父とか、18には見えない聖人さんとかいるけども……」
??「うるっせぇんだよ、ド素人が!!」
一方「逆のパターンもあるけどな。以前、不老長寿の生体サンプルに使われてる女を見た事あンぞ」
上条「そういや、ウチの担任の先生も見た目12~3歳くらいだな。やっぱ世の中不公平だな…(チラッ)」
美琴「だから!!! 何と何を比べとんじゃゴルァァァァァァ!!!!!」



「あれ? 白井さん、予知能力系にも目覚めたんですか?」


上条「まぁ実際は、一人の人間がいくつもの能力を使う事はできない訳だけど」
美琴「『基本的には』、ね」
ミ妹「悪魔の実を2つ以上食べたら体が爆散してしまうのと同じですね、とミサカは納得します」
一方「全然違ェよ」
上条「けど実際に、もう一つ能力が使えるとしたら何がいい?」
ミ妹「ミサカは肉体変化です。お姉様譲りの頼りない胸の装甲を強化し、
   普段鈍感なアンチクショウを振り向かせてみせます、とミサカはチラリと目線を送ります」
美琴「頼りなくて悪かったわねっ!!!」
上条「てか、普段鈍感なアンチクショウって誰でせう?」
ミ妹「……………」
打止「ミ、ミサカは一方通行の精神を操って色んな事をしてもらう、ってミサカはミサカは大胆告白してみる……///」
番外「おっ! いいね~。じゃあミサカもそれにする。もっとも、最終信号とは180度使い方が違うけど」
一方「ざけンなテメェら」
上条「御坂は?」
美琴「わ、私!? そうねぇ…正直私は精神操作系能力にあまりいい印象がないから、他の能力がいいわね」
打止「それにお姉様の気になるお相手は精神操作が効かないもんね、ってミサカはミサカはニヤニヤしてみたり!」
美琴「ちょっ!!?///」
上条「精神操作が効かない相手って誰でせう?」
美琴「……………」


「第二三学区……。航空・宇宙開発のために一学区分を飛行場と発射場――――」


番外「二三学区で思い出したんだけどさ、ミサカこの時はまだ生まれてなかったから詳しく知らないけど、
   エンデュミオンっていう宇宙エレベーターがあったんでしょ? ミサカも見たかったなー」
上条「あ、あー…うん……エンデュミオン、ね………」
美琴「確かにあったんだけど……う~ん…無かったとも言い切れないような…?」
番外「どういう意味?」
一方「D4Cってやつに近ェ。並行世界だが別世界の話なンだよ」
美琴「そうなのよ。ほら、私がフェブリとジャーニーと布束さんを助け出した世界もあれば、
   同じ日だったはずなのに私の体が学園都市の外に行ってた話もあるし」
番外「…………大人の事情って複雑だね」



『――――なんか寮監が抜き打ち部屋チェックする危険性が出てきたって後輩が言ってたから、できればアンタに私物隠しておいて欲しかったんだけど』
「??? お姉様、今学生寮にいらっしゃいませんの?」
『うん。まあそういう訳だから。他の子に頼んじゃうけどアンタの私物もまとめて片付けてもらっちゃってオッケーよね?』
「なっ、なん!? 何ですって……ッ!! おね、お姉様が、わたくし以外の子を、頼りにして……?
 お待ちくださいですのお姉様! 一刻も早く寮へ向かいますゆえいい子いい子ぎゅーってしてあげましょうねの権利はわたくしにお譲りくださいですわ!!」


上条「常盤台くらい厳格な学校の寮となると大変なんだな。
   俺の住んでる学生寮なんてほとんど外の世界のアパートと変わんねえから部屋チェックなんて存在しないぜ」
美琴「そこは羨ましいわ。ちょっとアンタは不快に思うかもしんないけど、
   ハイレベルな学校になればなるほど規律って学校内だけじゃなくて学校外でも求められちゃうのよね。
   ある意味、自由がないというか」
ミ妹「ミサカたちもある意味、自由がありませんよ。だって、そうそう外に出られませんし、
   とミサカはもっと外の世界を堪能したいと少し落ち込みます」
番外「何言ってんだか。校則とか規律なんて破るためにあるんだよ。良い子ちゃんぶって守ってるのが正しいとは限らないんだから」
一方「俺はお前が『正しいことをした』のを見たことがねェけどな」
打止「この変態さんに突っ込まなくていいの? ってミサカはミサカは何行か前のヒーローさんの言葉を真似してみたり」
番外「いや、それも前と同じ回答で今さらツッコミを入れる意味無いし。
   ところで、おねーたま。ある意味、この場合、この変態ツインテールですの子に片付け頼んだ方が良くない?」
美琴「何で?」
番外「日記とか詩集とか、もし何かの間違いで見られてしまったら、とか思うと。
   ですの子なら即抹消処分してくれても他の子が見るとまずいと思うけど?」
美琴「!!!!!!!!!!!!!!!?! な、ななん、なななな何でアンタが知ってんのよ!?///」
番外「…………マジなの? ミサカ超ビビった」
打止「そう言えば、よみかわも一方通行の部屋を一方通行が居ない時にチェックしてたような……、ってミサカはミサカは思い出してみたり」
一方「別に見られて困るようなものは何もねェぞ」
ミ妹「そのようですね。上位個体が見た映像をMNWでPVしてみましたが何も無かったようです、とミサカは報告します。
   ちなみに、入念にチェックしていたのはベッドの下のようなのですが何か意味があるのですか? 
   とミサカはかまととぶりつつ上条さんに問いかけます」
上条「言っておくが俺の部屋にも無いぞ、というものを探しているということだ。それ以上は聞くなよ?」
番外「ぶー。つまんないつまんないつまんないよー、第一位とヒーローさん」
美琴(ふー。打ち止めのおかげで話が逸れて助かったわ)
番外「せっかくおねーたまの日記や詩集の話を逸らしてまで聞いたのにー」
美琴「!!!?」



 そこにいるのは一人の少女
 白井よりもやや高い背。髪は頭の後ろで二つに束ねて――――


一方「結標の初登場シーンか」
美琴「ってそうだったわ! ずっと気になってて結局聞きそびれてたんだけど、アンタ結標とどんな関係な訳!? アンタがへべれけになってる時、この女も確か一緒にいたわよね!!」
番外「いやいやおねーたま。新約2巻【そんなさき】の事を今追求しても」
美琴「大事な事なの!!!」
上条「俺が救急車と警備員呼んだんだよ。多分この巻のラストで分かると思うけど、この人フェンスの上で気絶してたからさ。
   ……そういや結局の所、最終的に事件を解決したのって誰だったんだろ…?」
一方「………」
美琴「それだけ…?」
上条「そうだけど…何か怒っていらっしゃる…?」
美琴「おっ、怒ってなんかないわよっ!!!」
打止「そういえば、一方通行はどうして結標って人の名前を知ってるの?ってミサカはミサカは素朴な疑問を口に出してみる」
一方「……色々あンだよ」
ミ妹「もしかしてセロリの(小指を立てて)コレですか、とミサカは幼女以外にも興味を示す事に驚きを隠せません」
打止「ガガーン!! そそ、それってミサカ最大のライバルっ!!? ってミサカはミサカは大ショック!!!」
番外「ギャッハハハ☆!!! マジかよ第一位!! 何、もうこの女とはヤった訳!!?」
一方「テメェら好き勝手言ってんじゃねェ!!! ンな訳ねェだろォが!!! だいいち、コイツはショタコンだ!!! 同世代の男に興味ねェ奴なンだよ!!!」
番外「なるほど。類が友を呼んだのですね、とミサカは納得顔で頷きます」
打止「良かった、ってミサカはミサカは一安心」
番外「はぁ~~~ツマンネ……てっきり、第一位と上位個体の修羅場が見れると思ったのにー」
一方「…………」(プルプル怒りに身を震わせている)
上条「(な、なあ御坂、妹達って何であんなに一方通行に対して強気なんだ? 曲がりなりにも学園都市第一位だぞ)」
美琴「(そりゃ、一方通行が妹達にでっかい負い目があるからでしょ。でも大丈夫よ。あの子たちも『からかう』までしかしないから)」
ミ妹「むむ! どうしてお姉様と上条さんがそんなに顔を近づけているのですか!? とミサカは目ざとく見つけたので注意します!」
美琴「へっ! ち、違うわよ! 誤解しないで!! 単に内緒話してただけだから! ふ、深い意味なんてないから!!!///」
番外「というか、ホント、ヒーローさんを『意識していない』ときのおねーたまってヒーローさんに負けないくらい鈍感なのね」


「――――御坂美琴の奴、切羽詰っているとはいえ、――――まぁ、『実験阻止』にしても一人で片をつけた訳でもないし、――――」


上条(!!! 実験って…まさか『あの事』か? だとしたら………)
美琴「………」
一方「………」
ミ妹「………」
打止「………」
上条(うぅ…やっぱ気まずい空気に……このメンツでこの話はどう考えてもタブーだよな……)
番外「ねぇ、何でみんな黙っちゃってんの? 何々、ここはお葬式? ねぇねぇ誰か何か言ってよニヤニヤ」
上条(…一人だけ空気が読めない…って言うより、あえて空気を読まない人がいるけど……完全に分かってて言ってるな……)



(あー、桔梗の野郎め。また妙な問題を押し付けてきやがったじゃん)
 ――――黄泉川は一度だけ面談を許された際、女性研究者から、ある子供たちの面倒を見るようにとだけ頼まれた。
 預けられたのは特殊な能力者のコンビらしい。
 その子供たちの声が、ドアの向こう――――お風呂場の中から聞こえてくる。


一方「!!!!!!!!!?!」
美琴「あ、警備員の黄泉川さんじゃない」
上条「お前、黄泉川先生を知ってんの? 俺たちの学校の先生なんだけど」
美琴「そうなの? うん。夏にたくさんお世話になっちゃったからね。そっか。アンタの学校の先生なんだ」
上条「おっかないだろ?」
美琴「そんなこと無いわよ。とっても頼りになる人だし、すごく優しいし、私もこういう先生に習いたいな、って思うわ」
番外「だったら、習えばいいんじゃね? 今すぐは無理でも二年後なら可能性あるかもよ?」
美琴「どういうこと?」
番外「そっちのヒーローさんと同じ学校に通えば、って意味。黄泉川センセーの有難い授業とヒーローさんと一緒に登下校。文字通り一石二鳥じゃん☆」
美琴「んな!? な、何を言っとんのかねチミは!?!!」
ミ妹「おや、どこに行くのですか? とミサカはなんだか珍しく気配を断ってドアノブを握る一方通行の背中に問いかけます」
一方「ちょっとトイレ……にな……って、あン?」がちゃがちゃがちゃ
番外「あ、そのドアのカギ、さっき電子ロックにしたから、暗証キーを入力しないと開かないよ。
   ちなみに無理に破壊しようとすると迎撃システムが作動して大爆発するから下手に壊さないでね。ミサカたちも巻き込まれちゃうし」
一方「番外個体、貴様というやつはァァァァァアアアアアアアアアアアアア!!!」
打止「あ、続きが始まった、ってミサカはミサカはみんなに画面を見るよう促してみる」


「ばしゃーん、ってミサカはミサカはお風呂に飛び込んでみる! さらにばしゃばしゃばしゃって開放感のあまり、バタ足してみたり!!」
「つーかよォ……」


番外「おや、アニメ展開。ところで、この後、『愉快にケツ振りやがって、誘ってんのかァ?』って続けて言ったんだよね? 第一位」
一方「言ってねェ!! 絶対にこの場では言ってねェぞ!!」
番外「あれ? おっかしーなぁ。MNWに第一位のこのセリフが記録として残ってんだけど、
   この場以外だと使い道が無いはずなのにどこで使ったの? MWN内に映像が残って無いんだよね」
ミ妹(番外個体は実験のことは知っていて妹達の負の感情を抽出することはできても、作られたのが遅かった分、ミサカネットワークがあえて削除した実験の詳細な内容までは共有されていないのですね、とミサカは分析します)
美琴「いや、その前に突っ込みたいところがあるんだけど、アンタ、この子と一緒にお風呂に入ってんの?」
一方「こン時は仕方なくだ、仕方なく!! 黄泉川の野郎がガキは監督が居ねえと溺れて危ねェ、つって俺を無理矢理放り込んだだけだ!!」
上条「まあ、打ち止めくらいの歳ならまだ別にいいんじゃないか? 気にするほどでもないだろ」
美琴「でも、そこの白いのってロリコンでしょ? 危ないんじゃない?」
一方「おいオリジナル、そのガセネタの出所を教えろ。今すぐぶっ潰しに行ってやるから」
ミ妹「なるほど。合理的にこの場を逃げ出すのに最適の手段ですね、とミサカは一方通行の学園都市ナンバー1である頭の回転の早さに感心します」
一方「ぐ……」
美琴「と言ってもねー。教えてもいいけど、たぶん無駄よ。潰すなんて不可能だと思うけど」
上条「何で?」
美琴「だって、インターネットの掲示板で見つけた情報なのよ。
   何て言うか、それなりの状況証拠を揃えての考察だったし結構信憑性が高いかなって」
ミ妹「一部ではロリコン四天王の一角として有名な模様です、とミサカは補足します」
番外「ミサカもネットで見た事ある! 確か残りの三人は、幼女限定で保護教育免許状取得した豪傑と、
   『小学生は最高だぜ!』って名言を残した英雄と、『12歳以上は年増』って断言した勇者らしいね」
上条「すげぇラインナップだな……」
一方「……てことは何だ? その情報は世界中に拡散されちまってるってことか……?」
美琴「そうなるわね。だから言ったじゃない。潰すのは不可能だって」
一方「…………」(プルプル怒りに身を震わせている)



『――――シャンプーが目に入って涙ぐむ最強の能力者ってどうなの、ってミサカはミサカは呆れてみる』


ミ妹「どうなのですか、とミサカは涙ぐんだ最強の能力者を見ながら鼻で笑います」
番外「ぷぷぷっ! 今どんな気持ち? ねぇねぇ、今どんな気持ち?」
一方「くっそ…! だから嫌だったンだよ。この辺の事をやるのはよォ!」
打止「今度シャンプーハット買ってきてくれるようにヨミカワに頼んでみるね、ってミサカはミサカはあなたの為に提案してみる!」
一方「いらねェェェ!!! つーかこれ以上余計な事すンじゃねェよ!」
上条「いやでも、アレたまにやっちゃうよな」
一方「テメェも、フォローとかいらねェンだよ! 益々惨めになンだろォが!」
上条「いやいやそうじゃなくてさ、俺ってほら不幸体質だろ?
   詰め替え用のシャンプー入れてる時に、中身がビュ!って飛んできて実に直撃する事とかよくあるんだよ」
美琴「……それもう、シャンプーが目に入るとか、そういう次元の話じゃないでしょ」
一方「けど、オリジナルよォ、テメエは逆に三下のシャンプーでそうされたいンじゃね?」
美琴「は?」
一方「所謂、がンし――」
上条「言わせねーよ!! つか、テメエ、こぼれ話だとやけに下ネタに走りやがるな!?
   今、完全にヤケになってんだろ!?」
ミ妹「お姉様、一方通行は何を言おうとしたのですか? とミサカはちょっと真面目に問いかけます」
美琴「いや、私にも分かんないんだけど……」
番外「ミサカにも分かんないんだよね。これはマジで」
打止「学習装置に無かった知識ってことは布束さんが知らなかったってことなのかな? ってミサカはミサカは推理してみたり」
美琴「分かることと言えば、とりあえず碌でもないことってだけね」
上条&一方
  「「……………」」


「じゃ……ナニか? オマエは俺があの日に何を叫ンだか……」
「『確かに俺は一万人もの妹達をぶっ殺した。だからってな、残り一万人を見殺しにして良いはずがねェんだ。ああ綺麗事だってのは分かってる、今さらどの口が言うンだってのは自分でも分かってる! でも違うンだよ! たとえ俺達がどれほどのクズでも、どンな理由を並べても、それでこのガキが殺されても良い理由になンかならねェだろォよ!』……じーん、ってミサカはミサカは思い出し泣きしてみる」


一方「こ、殺す! このガキ、ぶっ殺す……ッ!!」
打止「きゃー! 怖いよー、ってミサカはミサカはヒーローさんの背中に隠れてみたり」
上条「おいおい?」
ミ妹「どうされましたお姉様? とミサカはなんだか立ち尽くしている感のあるお姉様に問いかけます」
美琴「……ん? あー、まあ、ね……ちょっと複雑って言うか……ごめん。少し一人にしてもらえるかな?」
ミ妹「分かりました、とミサカはお姉様の心情を酌んでそっと見守ることにします」
番外(んまあ、ミサカも第一位のこのセリフは知ってるけど、この言葉があったから、ロシアの時に『殺す』まではできなかったんだよね。
   憎い相手だったはずなのに憎み切れなかったっていうか。たぶん、おねーたまも同じ気分なんだろうな)


 右肩、左脇腹、右太股、右ふくらはぎ。
 数ヶ所に突き刺さる鋭利な金属は、衣服の布地を�筋んで、それを強引に傷口の中にねじ込んでいる。


美琴「黒子……」
打止「痛そうで見てられないよ!ってミサカはミサカは耐え切れずにギュッと目を瞑ってみたり!」
ミ妹「ですがミサカが見ている以上その映像はMNWを通じて上位個体の脳に直接伝わります、とミサカはガン見します」
打止「ぎゃああああ!!! ってミサカはミサカは!!!」
番外「面白そうな事考えるね。今度えげつないくらいのホラー映画とか観てあげよっか?」
打止「ぎゃああああ!!! ってミサカはミサカは!!!」
上条「……すげぇシリアスなシーンなんじゃないのか…? ここ……」
美琴「………黒子…」
一方「さっきとはニュアンスの違う『黒子』だったなァ」



(あの殿方は、いつの間にか寮から消えていて……ああ、そうですの。お姉様のベッドの下から、くまのぬいぐるみが引っ張り出されたままで、――――)


美琴「な、何度も確認するようだけど、ホ、ホントに変な物見てないわよねっ!!?///」
上条「見てないって。つーかそこまで言われると、何を隠してあったのか逆に知りたくなってくるんだけど」
美琴「おおお乙女の秘密を教えられる訳ないでしょっ!!!?///」
番外「って事は、『何か』を隠してた事自体は認める訳だ」
美琴「はうっ!!?///」
打止「ミサカも知りたい!ってミサカはミサカは興味津々!!」
美琴「ぁぅ…ぁぅ……///」
ミ妹「…この流れは非常にまずいです。またお姉様が周りの空気に流されて余計な事を言いそうになるかも知れません、
   とミサカはメガホンを用意して大声でホンジャカバンバンを言う準備をし―――」
上条「……いや、やっぱり無理に聞き出すのはやめとこうぜ。誰だって人に知られたくない事の一つや二つあるしな」
ミ妹「―――ようとしましたがミサカはそっとそのメガホンを床に置きます」


 白井は傷だらけの体を動かして衣服に手をかけた。サマーセーター、半袖のブラウス、スカートのホックを外して――――


ミ妹「野郎共ー! 目を瞑れー! とミサカは男性二人に指示します」
一方「見た所でどォとも思わねェけどな」
番外「さっすがロリコン四天王。見た目がロリ体型でも、中学生には興奮しないって訳だ」
一方「…テメエ、嵐の前の静けさ、って、言葉知ってっか……?」
美琴「アンタもほら!! 目ぇ瞑んなさいよ!!」
上条「瞑ってるよ」
打止「お姉様、そんなに心配ならお姉様の両手でその人の顔を覆ったら、ってミサカはミサカはいい事を思いついてみる」
美琴「あ、うん。それもそうね」
上条「…俺ってそんなに信用ないのでせうか…?」
番外「でもそれだけじゃ指の間から見ちゃうかも知れないから、おねーたま。ヒーローさんの頭に手を回してそのまま引き寄せて。
   そうすりゃおねーたまの体全体でガードできるよ」
美琴「あ、うん。それもそうね」
上条「…俺ってそんなに信用ないのでせうか…?」
美琴「……………」
上条「……………」
美琴「って、これ抱き合ってんじゃないのよおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!///」
上条「胸が!!! 御坂さんのお胸がわたくしの顔面に当たっているのですがああああぁぁぁぁぁ!!!?///」
ミ妹「な、ならばミサカは背後から抱きつきます、とミサカはお姉様に対抗心をメラメラと燃やします」
一方「……何やってンの?」


 白井黒子は、ほんのわずかに下着姿の自分の体を観察する。
 御坂美琴のは悪趣味と言われて(実はかなり深刻に)ヘコんでいる白井だが、――――


美琴「あ、意外と気にしてたんだ」
番外「そりゃ悪趣味の塊みたいなおねーたまに言われちゃあね」
美琴「わ、私のは悪趣味じゃないってばっ!!!」
ミ妹「ゲコ太柄のパンツを穿いているのに悪趣味じゃないと言い張るのですか、とミサカはそれはないわーと嘆息します」
美琴「えっ!!? な、何で知ってんの!!? 短パン穿いてんのに!!」
ミ妹「適当に言ったのにマジかよ、とミサカはガン引きします」
打止「いいないいな! ミサカもゲコ太のパンツ欲しい! ってミサカはミサカは羨ましがってみたり!」
上条「(……こういう話をしてる時って、男はどうリアクションすればいいんだ…?)」ヒソヒソ
一方「(ひたすら黙っとけ。そンでなるべく目立たず、ただただ空気と化しとけ)」ヒソヒソ



 子供っぽいデザインの下着は――――動くといちいち肌を擦って気が散るのだ。
 そんなものを選ぶぐらいならスカートの下に何も穿かない方がマシだとさえ思っている白井だが――――


美琴「そっ! そんなものって何よそんなものって!!!」
番外「えっ!? 『何も穿かない方が』って所よりそっちが先!?」
美琴「だって可愛いじゃない!!」
ミ妹「正直ミサカもゲコ太は嫌いではありません。嫌いではありませんがさすがにパンツはねーよ、とミサカは率直な意見を述べます」
美琴「何かアンタに言われたくない! 縞パンが好みってのは特殊な趣味の男に多いって聞いたことあるわよ!」
ミ妹「何ですと!? とミサカは驚愕の真実に度肝を抜かれます!」
打止「ミ、ミサカは両方とも、とってもいいと思うの! ってミサカはミサカは更に羨ましがってみる!」
上条「(……いつまで空気でいればいいんでせうかね…?)」ヒソヒソ
一方「(嵐が去るまでだ。下手に会話に入れば、確実に大怪我すンぞ)」ヒソヒソ


 この辺りは美琴とは合わない。ガッカリな白井黒子である。


美琴「絶対私のが普通だと思うけど……」
ミ妹「どっちもどっち。五十歩百歩。どんぐりの背比べ。目くそ鼻くそ、とミサカは結論づけます」
美琴「縞パンもね」
ミ妹「……」
美琴「……」
打止「ああ! なんだかとってもギスギスした雰囲気!? どうすればいいのかな? ってミサカはミサカは途方に暮れてみたり!」
上条「………」
一方「………」
番外「じゃあせっかくなんで男性側の意見も聞いとこうか。せっかくここに二人もいるんだから」
上条&一方
  「「最悪なタイミングで話振られたよ!!!」」


「なに、お風呂入ってんの? アンタ帰ってきたなら部屋の灯りぐらい――――」


美琴「この時はもう、黒子が何かを隠してるって分かっちゃってたのよね……」
打止「お姉様…ってミサカはミサカはしょんぼりするお姉様につられてミサカも元気がなくなってみる……」
上条「そっか………それで、俺たちはいつまで目隠ししてなきゃいけないんだ?」
美琴「まだよ」
ミ妹「彼女が着替え終わるまでお待ちください、とミサカは注意します」
番外「じゃあ代わりにおねーたまのどっきどき生着替えでも見せてあげたら?」
美琴「そんな事しても何の解決策にもなんないわよっ!!!///」
打止「あ、お姉様元気が出たみたい、ってミサカはミサカは意外と単純なお姉様にビックリしてみたり」


「お姉様はこれまでどちらに?」
「んー? 買いそびれたアクセサリーを集めにってトコかしら。――――」
 ――――
「雨、降らないと良いですわね。近頃は天気予報も当てになりませんから」
 ――――
「そうね心配してくれてありがとう。――――」


上条「何か…分かり合ってるって感じだな。お互い言葉は濁してるのに、さ」
美琴「そうね…なんだかんだであの子の事は大切なパートナーだと思ってるわ」
ミ妹「ではどうでしょう。このままお姉様は百合の花園に足を踏み入れるというのは、とミサカは提案します」
美琴「…何でそうなるのよ……」
ミ妹「そうすれば強力なライバルが一人減るからです、とミサカは正直に答えます」
美琴「ぶっ! ラ、ライバルって誰の事よ!!? てか、何のライバルだってのよ!!?///」
番外「まったまた~。分かってるくせに~」
打止「あの人の事だよね、ってミサカはミサカはニヤニヤしてみる!」
美琴「ちちち違っ!!!///」
一方「……この一連の流れを見て、三下はどォ思うよ」
美琴「ちょっ!!!?///」
上条「う~ん…言葉濁しまくってて、みんなが誰についての事を言ってんのかさっぱりだ」
一方「…だそォだ、オリジナル」
美琴「…ですよねー……」
番外「全然分かり合えてねーじゃん」


 血まみれのバスルームを磨いて――――


美琴「もう見てもいいわよ」
上条「やっとか……はぁ~、長かった」
美琴「…そんなに黒子の着替えが見たかった訳…?」
上条「いや、そういう訳じゃないけど……何かイラついていらっしゃいますかね…?」
一方「なーんか、これ、フラグのような気がするンだが」



 超電磁砲の異名は。その常識を軽々と打ち破る。


??「その常識は通用しねえ」
上条「? 何か聞こえたか?」
一方「気のせいだ気のせい。ただの幻聴だろォよ」
打止「ここからお姉様が大活躍するんだね、ってミサカはミサカはすっごく楽しみ!」
美琴「私は大した事してないわよ。この巻の主役は、あくまで黒子だし」
番外「謙遜すんなよおねーたま。この後そこのヒーローさんと組んず解れつ、夜の運動会で大活躍するんでしょ?」
美琴「ししししないわよそんな事!!!!!///」
ミ妹「ちょっと待ってください。ミサカもその運動会に参加させてもらいます、とミサカは挙手します」
打止「夜の運動会って何?ってミサカはミサカは首をかしげて聞いてみる」
一方「……墓場でやる運動会の事だ。妖怪の大覇星際みてェなもンだな」
打止「なるほどなるほど、ってミサカはミサカは納得納得」
上条「…話がどんどんずれてるな……」


「私はムカついてる。私は今、頭の血管がブチ切れそうなくらいムカついてるわ。ええ、『樹形図の設計者』の残骸を掘り起こそうとしたり、私欲のためにそれを強奪しようとする馬鹿が現れたり、やっとこさみんなで収めた『実験』を再び蒸し返そうとされたり、確かにそれはムカつく。この件に関わっている機関の中枢を情報戦でまとめてぶち壊したいぐらいには」


打止「な、何か初めてお姉様が怖かったり、ってミサカはミサカは震えながら一方通行の影に隠れてみる!」
一方「まァ、俺にはオリジナルの気持ちが分からンでもないがな……」
番外「……今回ばかりはミサカもおとなしくしてよう、ってマジで思っちゃった」
上条「こういう御坂を見るのは珍しいな。普段のお前の俺に対する『怒り』ってのとは、まったく違う『怒り』だろ、これ」
美琴「まあね。アンタに対して『怒る』のとは訳が違うから」
ミ妹(どう違うのですか? と聞ける雰囲気ではないですね、とミサカは心の内にこの気持ちを秘めます)


「私が一番ムカついているのは――――この件に私の後輩を巻き込んだ事。
 その馬鹿が医者にも行かずにテメエで下手な手当てをやった事、
 そこまでボロボロにされてまだ諦めがついてない事!
 あまつさえテメエの身を差し置いて! 私の心配するような台詞を吐きやがった事!!
 まったくあんな馬鹿な後輩を持った事に腹が立つわ!!」
「ああ私はムカついてるわよ私利私欲で! 完璧すぎて馬鹿馬鹿しい後輩と、
 それを傷つけやがった目の前のクズ女と、何よりこの最悪な状況を作り上げた自分自身に!!」
 まるで己の胸に刃を突き刺す用に、美琴は叫んだ。


美琴「あはははは。正直言って、アンタたちには見せたくない私ね。実験のときは一方通行に敵わないからって、コソコソ裏で止めようとしたり、結局は何にもできなくてアンタ(上条)に任せたり、一万人以上の妹達を見殺しにしたりしたってのに、相手が一方通行じゃない、ってだけでこんな強気になってんだから…………」
上条「いや、お前は間違っちゃいねえよ。実験のときもこの時も」
美琴「ふふ。ありがと。慰めでも嬉しいかな」
上条「馬鹿野郎。慰めなんかじゃねえ。本気で言ってるに決まってんだろ」
ミ妹(うぅ……お姉様と上条さんが何かとっても良い雰囲気になってるのに割り込めないなんて、とミサカは己の不甲斐なさに落胆します)


 ――――ある少女はベッドから起き上がった。


番外「いやー、なんとか喋れそうな展開に替わってくれたみたい。正直、息が詰まってたわ」
打止「ホントホント、ってミサカはミサカは同意してみたり」
一方(番外個体は、そのまま死ねば良かったのに)
ミ妹「何か不穏なことを考えませんでしたか? とミサカは一方通行の顔を覗き込みます」
一方「テメエは、いつのまに読心能力を身に付けやがったんだコラ」
美琴「重苦しい雰囲気にして何かゴメン」
上条「ま、いいじゃねえか。こっからは元通りだし」
番外「そうそう。で、ところでこのベッドから起き上がった少女って誰? 字面からじゃさっぱり分からんけど」
ミ妹「ああ、これはミサカですね、とミサカは報告します」
上条「ん? ベッド? どういうことだ?」



 御坂妹は寝巻に手をかける。
 ――――前を留めている紐を外すと、下着も何もない白い肌が露出される。御坂妹は、まるで恋人の前で着ていたバスローブを床へ落とすようにストンと――――


上条「ぶしゅっ!」(鼻血が噴霧した音)
ミ妹「どうされました上条さん? ミサカの麗しき肌に見とれたとでも、とミサカは少しニヤニヤしながら問いかけます」
美琴「アンタ(御坂妹)がそんなツッコミ入れる!? つか、これじゃ元のシーンの面影無いじゃない!?
   私と結標の戦闘シーンがほとんどカットされてる所為で完全に本来のストーリーからは逸脱してるわよ!?」
打止「本当はもっとシリアスなシーンで、さらに切羽詰まってるんだけどね、ってミサカはミサカは少し困った笑みを浮かべてみたり」
番外「で、第一位はやっぱり冷静に見てるね」
一方「そりゃあ、一応、俺もこの時、何が起こってたか知ってるからな。そこの三下みてェにゃ気分になれねェよ」
番外「はぁ~~~何その反応? もっと読者を楽しませなきゃいけないよ。ヒーローさんみたいに」
一方「いや、別にアイツは読者を楽しませようとしたリアクション取ったわけじゃなくて素だろ? あと、オマエは絶対に殺ス」
番外「でも一〇〇三二号のヌードってことは、おねーたまのヌードでもあるってわけなんだけど気付いてる? ヒーローさん」
上条「ぶしゅっ!!」(再度、鼻血が噴霧した音)
美琴「なな何考えてんのよアンタは!!/// こ、ここはそういうシーンじゃないって言ったじゃない!!///」


「とうまー 明日のおかずは何かな?」
「どうすっかなー 帰りにスーパー寄って何か特売品…」
「明後日は?」
「…ってお前な……ソレしかないのかよ!」


上条「これは…漫画版のシーンだな。本当にインデックス【アイツ】は、食い物の事しか頭にねーのかよ…」
美琴「いいわねー! 女の子と一緒にお食事ができてー!」
上条「一緒にって…そりゃ一緒に住んでるんだから、飯も一緒に食うだろ」
美琴「そういう意味じゃなくてさ……」
上条「?」
打止「もう! お姉様は、『私も一緒にお食事がしたい』って事が言いたいの!ってミサカはミサカは代弁してみたり!」
上条「えっ? そうなの?」
美琴「あっ…! い、いや…別にそういう訳じゃ……///」
上条「違うってさ」
打止「そんなあっさりと!? ってミサカはミサカはあなたの鈍感さに開いた口が塞がらないよ!」



(させない……!)
 御坂美琴は夜の街を駆けていた。
(あの実験だけは……)
 胸に去来するのは、かつて妹達を大虐殺した実験。一万人以上の妹達が人としての尊厳すら与えられず、ただただ殺されるためだけの実験。
(絶対に再開させるわけにはいかない!!)
 一人の少年によって止めることができたその実験を再開させてはならない。
 再開されれば、今度は妹達のみならず、その少年さえもまた巻き込んでしまう事になる。
 それだけは絶対に阻止する。
 御坂美琴は強く決意し、一人で走る。


上条「こっちはアニメ展開か。つーか、お前、また一人でやるつもりだったんかよ」
美琴「し、仕方ないじゃない! だって、私はこの当時だと、アンタの居住先も連絡先も知らないのよ! どうやって教えろってのよ!!」
上条「あ、そっか。この時はまだペア契約してなかったな」
一方「まァ、この時の俺には、もう実験に加担する気なンざ、まったく無かったわけだが」
打止「でもそうなると、もし残骸が組み直されて、樹形図の設計者が修復されてたら、スペアというか一方通行の代わりって誰になったんだろ?
   ってミサカはミサカは素朴な疑問を抱いてみたり」
一方「俺が選ばれたのは、あくまでも、通常カリキュラムで『レベル6』に到達できるって判断されたから、組まれた実験だったンで、『代わり』はいねェンじゃね?」
ミ妹「第二位の方は? とミサカは念のためお聞きします」
一方「垣根か。アイツもやりたがってはいたみてェだが、大前提が『通常カリキュラムで到達可能かどうか』なわけだから、
   それが無い以上、申請しても却下されてただろうぜ」
ミ妹「という事はもう、実験は再開されない、と見ていいわけですね? とミサカは希望に胸を膨らませます」
番外「ちなみに『第三位』のおねーたまは? 確か、おねーたまは大覇星祭のときに『レベル6』に近づいたって話があったし、
   『適性』はあるってことだよね?」
美琴「ま、まあねっ。つか、アレは思い出したくないの。ただ、仮にやれって言われてもやるわけないでしょ。要請が来ても却下よ却下。
   あと、仮に四位以下に可能性が出てきたとしても、フルボッコにして実験に加担させないように忠告しとくから」
一方「その点だけは激しく同意してやンぜ。むしろ、この点に限り協力も惜しまねェ」
上条「レベル5の辞書には『穏便』とか『話し合い』って単語は無いのか……?」
打止「てことは実験再開はまずあり得ない、ってことだね! ってミサカはミサカは万歳してみたり!!」
ミ妹「そのようですね、とミサカは心の底から安堵のため息をもらします」
上条「良かったな、お前ら」
番外「安心したところで、ちょっと気になったんだけど良いかな? おねーたま」
美琴「何?」
番外「サラッと流そうとしたみたいだけど、ヒーローさんが言った『ペア契約』って何かな? ミサカ、とっても興味あるんだけど」
美琴「そっちの『安心したところで』って意味か! 本当にアンタって奴はぁぁぁぁぁあああああああああああ!!///」
一方「フッフッフッフッフ……なァ、オリジナル。三次計画のコイツが二万体なら実験に加担したらどうだ? むしろ俺がしてェ」


「探したぞビリビリ」
「…探したって…」「なんで」「…なんであんたがまた……!」
「あー…細かい事情はまた後な」「場所の見当はついてるんだろ?」「行こう ビリビリ」


上条「ここも漫画の展開だな」
番外「へー、おねーたまとヒーローさん会えたんだ」
ミ妹「ミサカが彼に頼みましたから。『ミサカと、ミサカの妹達の命を助けてください』と、とミサカは説明します」
一方「…オリジナルよォ。三下と会っただけで顔が赤くなンのは、さすがにどォなンだァ?」
美琴「あ、あああ、赤くなってないわよ!!!///」
一方「なってンじゃねェかよ、よく見ろ。つーか今もだけどよォ」
美琴「ななななななってないってばっ!!!!!///」
上条「…御坂が赤くなるのは当然だろ?」
全員「「「「「!!!!!?」」」」」
上条「こん時御坂は、白井を探すためにあちこち走り回ってたんだ。だから息が上がって同時に顔も…ってみなさんどうしたのでせうか?
   みんなこっち見て変な顔してるけど、俺の顔に何かついているのでせうか?」



上条「うお!? まだ続くんかよ、このこぼれ話!?」
ミ妹「ネタが豊富ですからね、とミサカはしみじみ頷きます」
一方「つーかよォ、オリジナルと三下が絡んでるシーンがほとんどねェってのに、何でここまでネタが豊富なンだっつーの」
番外「ですの子ちゃんとミサカのおかげかな? いやん☆」
打止「それは否定できないかも、ってミサカはミサカは二人の存在感に度肝を抜かれてみたり」
美琴「打ち止め、それは存在感って言うんじゃなくて『濃い』っていうのよ」
ミ妹「おや?」
美琴「ん? どったの?」
ミ妹「メールのようです、とミサカは簡潔に報告します」
打止「あれ? ミサカにも来てる、ってミサカはミサカは一方通行に買ってもらった携帯を覗き込んでみる」
番外「? ミサカにも……って、あ。」
上条「どうした?」
ミ妹「いえ、思った以上に時間が経っていたようです、とミサカは驚きのあまり目を丸くします」
打止「えへへへ。一〇〇三二号とミサカはカエル顔のお医者さんトコで、
   今日はメンテナンスだったの、ってミサカはミサカは舌をてへっと出してみたり」
一方「オマエは?」
番外「あははははははは。『買い物まだ終わらないじゃん?』だって。ちっとも目が笑っていない笑顔の家主さんが浮かぶわ」
美琴「つまり、アンタたちは寄り道してましたってことね?」
ミ妹「平たく言うとそうなります、とミサカは開き直ります」
打止「本当はもっと早く終わるかと思ってたんだけど、想像以上に長くなっちゃった、ってミサカはミサカは苦笑を浮かべてみる」
番外「まあ、とは言え、催促があったからには、ミサカたちは一旦、退却するね☆ でも最初に言った通り、第一位は最後まで帰れないから」
一方「……人数的に少なくなるし、オリジナルと三下二人だけだと話は続く以前に進まなくなるだろうからな。
   ツッコミ役はいなきゃならンよな……」
美琴「ど、どういう意味よそれ!?」



 …… …… ……


上条「で、とりあえずあの三人は帰っていったわけだが」
美琴「なんか急に静かになったわね」
一方「そりゃ人数が半分になりゃ騒がしさも半分になンだろ」
美琴「んー確かにそうなんだけど、最近(超電磁目録後編以来)、このこぼれ話って、ずっと四人でやってたから何か感覚が違うというか」
上条「まあ、確かにそれは言えるわな。つっても、今さら、新しいゲストってのも――」
??「ハッ! ここはどこでございますか!? 確か小さなお姉様を見かけてから意識が飛んでしまったような……」
美琴「うお!? 居たの黒子!? ていうか、いつから!?」
上条「そういやすっかり忘れてた。白井が居たんだっけ」
白井「むっ! これは腐れ類人猿! って、お姉様! きぃぃぃぃぃぃいいいいい! わたくしに黙って逢引とは!!」
美琴「ば、ばか! 違うわよ!/// ちゃんとよく見なさい! アンタもこのスタジオに来たことあるでしょうが!!」
白井「あら? そう言えばここはこぼれ話スタジオですわね」
一方「てことは何だ? さっきのコイツは場所も確認せずに発情してたってことか?」
美琴「?????」
上条「お、そうだ。丁度いいじゃねえか。さっき、三人だとやり辛い風なことを言ってたから白井に混ざってもらえば」
白井「何の話ですの?」
上条「ほら、お前も何度か来たことあんだろ。原作思い出話を語るこぼれ話。
   これから原作8巻のこぼれ話の後編をやるんでお前もどうだ、ってこった」
白井「原作8巻? ああ、残骸事件のときの――――って、アレはわたくしが主人公だったお話ではありませんか!?
   しかも『後編』!? どうして、わたくしが呼ばれませんでしたの!?」
上条「だから、一番のクライマックスシーンにお前に居てほしいってことだよ」
美琴「そ、そうよ、そうなのよ! 前回の『前編』と今回の『中編』は確かにもう終わってるけど、
   一番盛り上がる『後編』に満を持して黒子に来てもらったんじゃない!!」
白井「? 何か腑に落ちないと言いますか、お姉様がわたくしに何か隠し事をしているような雰囲気を感じるのですが……」
美琴「そ、そう? 気の所為じゃないカナー」
一方「まァ、何でもいいが、とりあえず後編はこのメンバーってことなンだな?」
上条「そういうこった。んじゃ、また次回だな」
美琴(と言っても、ちょっとマズイ気もするし、一応、手を打っておいた方がいいのかな?)
白井「どうされましたお姉様?」
美琴「な、何でも無いわよ何でも! それより黒子。後編はアンタが主役なんだからちゃんとしてよね」
白井「もちろんですわお姉様! この不肖白井黒子!
   お姉様の唯一無二のパートーナとして、お姉様に恥をかかせませんよう、立派に主人公を務め上げてみせますの!!」
一方(なーンか、コイツ一人であの三人に匹敵するくらい騒がしくなりそうな気がするンだが……)









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