注意事項:本枠は、あくまで主観をまとめた考察であり、普遍的な思考とは違っているかもしれない。君達は、これを信じてもいいし、信じなくてもいい。

概要:システムの前にミッションを作る際に何を考え、どうやって作るかをまとめる。
   本枠は、以下の指針に沿って考察するものとする。

    ○短時間でシナリオを作る仕組み
    ○最低限必要なシナリオの要素とは何かを示す。


  • まず最初に考えること
シナリオを作る際に考えるのは、まず、そのシナリオは何をするシナリオなのか、という事を考えること。

これは○○シナリオ。と一言にまとめられなければいけない。


別の言い方をすればウリは何なのかという事だ。
 例えば、○○に入るのは、"ボスとの緊迫とした戦闘をする"や"NPCとPCの会話をする"果てまた"特定のPCの見せ場を作る"なんてのもある。
 ぶっちゃけてしまえば、シナリオを作るものがウリだ!と思えるものであれば何でもいい。
 ただし、繰り返すようだが一言でまとめられていなければいけない。

 このウリは、シナリオを作るうえでの主軸となる要素であり、ここがぶれてはいけないのだ。なので、まずは、この主軸を書き出すことを考えよう。
 ただし、自分がまだ慣れてないと感じるならば、会話系や謎解き系は避けたほうがいい、これらのテーマの面白さはPCとMM双方の熟練度がある程度要求されるからだ。

  • 肉付けの仕方
 さて、主軸が決まったら実際にシナリオと言う肉付けを行うのだが、こちらも覚えることは少ない

最初に考えた主軸が一番輝くシナリオにすること

それ以外の要素は極力簡略化すること

ただし、縛りすぎないこと


以上だ。後の演出や表現は検索して他ゲームのシナリオを見たり、本を読んだり、他人のMMの結果でも見て真似ていくくらいの感覚でいい。
君が作る際に何を重視するのかを忘れないことが重要であり、その他を如何に分かりやすく簡略化できるかが肝である。
とはいえ、簡略化しすぎた結果、PC側が窮屈に感じては本末転倒だ。

時間は勿論大事だが、もっとも大切なことは皆が楽しめることである。


 なので、慣れの面もあるだろうが、PC側が独自の行動を提案してきても、理屈が通ってるなら積極的に採用していくべきだし、それに応じてシナリオを修正してもいい。
 大事なのは、ウリが一番輝くことであり、そこにいたるまでの道筋は盛り上がれば山を越えようが、瞬間移動しようが、あらかじめ決められた世界観の範囲なら、なんだっていいのだ。くらいの心構えでやってもらえると、面白くなると思う。


  • 簡略化とは
さて、簡略化とは言ったが実際何をしたらいいのか分からないという方も居ると思う
そこで、簡略化する場所とやり方についていくつか具体的な方策を示す。
ただし、これはあくまで手法の一つであり、必ずここで簡略化しなければいけないと思うものではない。何故なら、大事なのはシナリオのウリを輝かせることなのだから。
例
削るポイント:依頼を受けるシーン、及び依頼地への移動シーン
削り方:モノローグですます。必要なら情報収集のみ行う。
詳細:まず、最初に削りやすいのは、冒頭の部分だ、ぶっちゃけ依頼は受けなければ
シナリオが進まないし、そこに選択肢をはさまれても困るし、それほど事前調査が
必要の無いシナリオなら、色々PC側に勘繰られて根堀葉堀聞かれるのは時間の
ロスでもあり、慣れないMMには、想定外の質問にボロが出てしまうなどいい事
があまり無い。
よって、罠の解除や、依頼者との交渉でシナリオが変わるなんていうギミックを
主軸においてないなら、ばっさりとこのシーンは切ってしまったほうがいい。

例2
削るポイント:NPCとの会話シーン全般
削り方:時間、または回答数を限定した質疑応答形式で代用
詳細:さて、会話を主軸と置かないつくりを行うMM、
または早打ちやアドリブ経験が少ないMMはNPCとの会話は極力削ったほうがいい
理由は簡単で、PC分全員の意見や会話をMM1人で裁かなくてはいけないからだ。 
これに関しては、ある程度PC側で意見をまとめさせるステップを取らせる事を勧める。
具体的には、答える数や、答える時間を限定し、そこまでに必要だと感じる情報を
PC側で吟味してもらうようにすることだ。
例えば、面会時間が決まっている、出発時間が決まっているなど
適当にそれっぽい事をでっちあげてやればいい。
ウリのシーン以外での消耗はなるべく避けるべきであり、必要の無い情報で混乱
させるなんて芸当は慣れてからいくらでもやればいいのだから。

  • 探索について
さて、戦闘特化以外の大体シナリオには探索と言う項目がついてまわる。
遺跡を探索、街で情報収集など、その種類は多岐にわたる。
これに関しての扱いに困る人も多いと思うが、短時間で終わらせるという観点からまとめると

主軸と関係が無い探索はなるべくさせない。


これに尽きる。具体的にどう考えるかと言うと、
 ①ウリのシーンにPCが到達するまでに最低限必要な情報を考える。
 ②それらの取得方法を考える(町の人に聞く、遺跡で手がかりを見つけるなど)
 ③それ以外の場所で探索されたらきっぱり、ここには何もない!と言い切る。
 ④それでも寄り道をする方向に進む場合は、寄り道の通路や部屋はばっさり切る

 この他に、シナリオ中にPCがどう進んだらいいか迷う事があると思う。
 その際はNPCを使ったり、立て札などのギミックを使ったりして、MM側からPCに道筋のヒントを出してもいい。
 また必要な情報のある部屋にたどり着いたらMMとしては積極的に探査をしてもらいたいわけなので、適当に魔法の気配がするなどの理由をつけ、PC側に探査をさせるように仕向けてもいい。
 ただし、君がある程度MMとしてシナリオに慣れてきたら、PC達の行動にあわせいくつか複数のシナリオ展開を用意することを勧める。

TRPGはコンピューターゲームではない。人間同士がやるからこそ未知の展開が生まれるのだから


  • 戦闘と判定回数について
 探索以外で悩むのは、何回戦闘すればいいのか、何回判定すればいいのか、するとしたら、どんな場面で、どんな判定を、またはどんな敵を作ればいいのか。ということだろう。

 まず戦闘
 戦闘系ミッションの場合はクライマックス戦の1回は必須であるわけで。この1戦に関しては、PC側とギリギリの勝負を繰り広げる1点に絞ること
 やはり手っ取り早くピンチの中ギリギリで勝つというのは興奮するものである。
 逆を返せば、クライマックスの戦闘をどのような状態でPCに迎えさせたいか、
 というのが、それ以外の戦闘回数と、戦闘方針になる。
 例えば、ボスはそんなに強くないけど、PC側がボロボロで最後の力を振り絞ってみたいなギリギリ感なのか
 全力で戦わないと、もう無理かてねぇし!みたいなギリギリ感なのか
 果てまた、あらかじめNPCを助けておくことで、強大な敵が弱体化する。そこまで耐え切ることによるギリギリ感を狙うのか。

 どんなギリギリ感を用意するかは君次第だが、それが決まれば自ずと何回、どんな敵を置けばいいのかというのは分かるだろう。そこに至る前必要最低限と感じる回数、構成を作ればいいのだ。
 短時間シナリオを目指す場合は、うまく理由付けの無い戦闘は省くべきである。

 次に判定 
 判定とは、何なのかということを一度考えてみよう
 私は判定とは

成功するかどうか分からないことをさせる

 と考えている。つまり、判定という行為が、そのままシナリオの分岐に直結する。
 初心者のMMの場合、意図しない方向に流れるシナリオを適時修正するのは難しいと思う。
 かといって1本道でMMの予測どおりの運びしかならないシナリオでは、面白みが無いだろう。ということで、当然短時間ミッションの場合はなるべく削る方針だが、MM側からあらかじめ組み込む判定は
 成功失敗においてシナリオが大きく動かないところ
 ということになる
 例えば、君はビルの屋上で、飛び降りようとする人を説得出来たかどうか判定を振る。なんてのは成功の可否で大きくシナリオが変わる為勧められないが
 特に重要ではないが取ると便利なアイテムが入っている宝箱を開けるための判定ならば、大してどちらに転んでも支障は出ないだろう。

 しかし、あくまでこれは初心者があまり修正が難しくなるのを防ぐ為にそうすればいいと言ってるだけであり、慣れてきたら、敢えて大きくシナリオを動かす判定をさせてもいい。
 ただし、ダイスというのは一番の不確定要素の為、ぶっちゃけてしまうと100%納得して結果を受け入れるというのは難しい。出来れば行く末はPC達が自分で選び、その上で達成が難しいことなら、ダイスという運に任せるくらいの最終手段としてとっておくくらいの気持ちの方が楽しいと思う。

  • 実際の進行について
 さて、作り方はここで終わりだが、実際ミッションをやる際のいくつか心がけることを話そう。

 まず、ミッションをやるときに気をつけることは
 1:皆で楽しむこと
 2:ぐだってきたら積極的に手を差し伸べること
 3:時間を気にすること

 この3点だ。
 まず1、これは大前提だ、君は使命感でミッションをやるわけではない。
 楽しいと、やりたいと思ったからミッションをやりたいと思ったのだと私は思う。
 確かにMMは色々処理することも多く、大変だ。だが自分の作ったミッションでPCが一喜一憂する姿を見れたり、その上で面白かったと言ってもらえるのはMMだけが味わえる楽しさの特権だと思う。
 参加するPCもMMが動かなければ、シナリオが進まない以上積極的に協力してくれる。
 PCとMMは敵ではなく、楽しく遊ぶ為の仲間である。
 だから、困ったら遠慮なくPCに頼ればいい、聞けばいい。それは恥ではないし、それによって楽しめないなんて事は無い。

君はPCを楽しませる為にミッションをやるわけではない。君は皆で楽しむ為にMMという役割を選んだだけだ。

 だから、まず失敗があっても、うまく運ばなくても精一杯楽しんで欲しい。
 それだけが、出来れば後はおまけみたいなものなのだから。

 さて、その2だ
 往々にしてミッションをしていると、うまく手がかりが繋がらなかったりすることがある。相談して色々考えさせるのも楽しみの1つだが、ここはMM側からヒントを出してやった方がスムーズに展開する。
 ヒントの出し方は色々あるが、
NPCを適当にでっち上げてヒントを言わせる。
わざと、雑魚敵を襲い掛からせて、ヒントを吐かせる
あらかじめ、ここの場所に来ればヒントを言いますよ、と言っておく
etc
 などがある。まぁ上2つはいいとして、一番下ってどうなの?って思う人もいるかもしれない、だが、一応ヒントを出す出さないはPC側に委ねている為、アリだと私は考えている。
 上でも述べたが、謎解きはある程度熟達した面子が揃って初めて、真の面白さが生まれるものだと思っているので、よっぽど謎解きに拘りがある場合を除き、さっさとウリのシーンに言ってもらった方がMMPC双方面白いと考えるからだ。

 そして、その3
 やはり、一番難しいのは時間の調整だ。
 どんなにシナリオを短くなるようにつくろうとも、実際プレイするまでかかる時間は分からない。
 やはりMM側としては、クライマックスに時間をかけてもらいたいところだろう。

 なので、時間とPC側の反応を見ながら、上で述べたようにヒントを積極的に言うようにしたり、寄り道を排除したり、適時削っていくしかない。このときどういう基準で削るのか、ここまで読んでいる君なら分かるはずだ。
 合言葉は、このシナリオは何がウリなのか。だ


  • 最後に 
 よく、ここまで読んでくれた。まず、それに感謝を。

 さて、色々手法を話してきたが、繰り返すようだが、これは絶対の正解ではない。
 唯一私が言った中でこれは正解だと胸を張って言えるのは

皆で楽しむこと

 だけだ。
 確かに小手先のシナリオの作り方を知ってる知っていないで、つくりが変わったりはする。
 だが、面白さ、楽しさと言うものは、作りが優れているから、ということと必ずしも密接に関係しているとは思えない。
 言ってしまえば、好みの問題である。どれだけ素晴らしいシナリオを用意しようと、必ず盛り上がるなんて保証は無いし、逆もまた然りなのだ。

 だから、ここまで読んでくれた君にこの言葉を送ろう

MMが面白そうと感じたら、迷わず、まず飛び込め!失敗を恐れることは無い!


 面白さは理屈ではないのだ、考えれば考えるだけ、面白さというのは分からなくなる。ましては体験したことが無いことならなおさらだ。
 だから、私の理屈では上の通りだが、君が実際に体験して感じる事の100分の1程度のインパクトでしかないだろう。
 中に飛び込み、失敗や成功をしていくうちに、自然の君のシナリオ理論と言うものは勝手に構築されていく。後は間違っていると思ったら直せばいい。
 失敗したと思ったら次頑張ればいい。

『最大の栄誉は、一度も失敗しないことではなく、倒れるたびに起き上がることである』

                                    ゴールドスミス (イギリスの詩人)

以上で、ミッションを作るうえでの心構えと考え方の項を終わる。
君のミッションを楽しみに待つ。では、またどこかで
最終更新:2011年06月06日 14:15