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**趣都の誕生-萌える都市アキハバラ &amazon(434441232X ) -森川嘉一郎著 -\1,500 -幻冬舎 -2003.2 ***2003-02-28 これは秩序が具現化しうるという幻想が、日本では定着しなかった今までの都市論を抜け出したかの事例に見せかけ、結局ことの様相はまったくそれとはほど遠い局面を示しているという意味でショッキングなレポートである。 しかし全体的な真新しさは少なく、むしろここ数年の「広告・オタク・都市」あたりのキーワードから繋がる言説を、もう一度秋葉原という「キャンダラスな事件」になぞって地図を描いてくれたようなものだ。しかも単体の建築についてかえって思いは巡らされる。 ---- 建築を作る行為は、それが巻き込む関係性があまりにも複雑なために「社会性」という認識を背負う宿命を持っている。人命にかかわる安全性から、そのデザインが不快であるかという趣味趣向まで、提供すべきスキルを判断する視点も理工的なところから人文的なところまで無差別にわたる。時にはその両極面が紙の両面にように切り離せない性格をもっている場合も多い。 それゆえに、時に建築家がすべての事象を「ケンチクの問題」として語ろうとしてしまう「ジレンマ」を見かけるのだろう。彼らはすべてを背負ってみせようと振る舞い過ぎる。もちろんそんなスタイルを嫌い、作ることが「趣味であること」をおし進めているスタイルも共感を得ている。それ自身も「軽さ」という振る舞いかもしれないが。 やはり(この著作で言うところの渋谷的)上昇志向の施主は多いし、僕自身オタク的空間感覚を理解できないところで設計はしづらい。そこに秩序を持ち込むように訓練されて来た事に批判をもたないことは無かったにしても、そこが設計の始まりであることに未だ変わりは無いので。 果たしてオタクとして経済力を獲得した人は建築家に家をまかせるのだろうか。個人の空間を欲望するひとは多いと思うが、そこにはスタイリッシュという言葉が想像しやすい。このことは僕自身が、カフェブームしかりの建築が身にまとう姿へ無批判に入り込んでいるのかもしれないが。 やはりWEBと近いところがあって、建築もシステムをデザインすることが実際の表現に繋がっていくのだと思う。ただそれが理想論に近いところであるかのように見えてしまうほどに、乗り越えるものが大きい。 資本がイデオロギーに変わり街をつくる状況が、成熟化のたどる道であり、豊かさが生み出す倦怠が趣味という志向性を相対的に持ち上げるのかとも思う。みながオタクに負けているとすれば、その情熱にではないだろうか。渋谷を支えている上昇志向というものは、あくまで表層的なもの、競争志向のそれではなく、サラブレッド的なものだろう。それは生みだす側ではなく消費する側だ。生み出すときにはやはり、ある種の泥臭さのような競争志向があって、内面的な思考がある。「趣味の都市」とは個人として生産性を持っている人が秋葉原という場所のもつ文脈にのっかたのだろう。 では第2の秋葉原は今後出現してくるのだろうか。それは生産性を獲得する消費者層が次にどこから生まれてくるのだろうか、と置き換えられるのか。個人サイトの運営者はどうだろうか。表現したいという志向性はもっている。それが生産性に繋がるだろうか。フリーマーケットはどうだろう。定期的に行われる風景はすでに都市の一部分ともいえるのではないか。いずれにしろ一元的な価値観で結ばれるような強いネットワークがそこには必要ではないか。そう考えるとネットの生み出す思考はより雑多な様相をもっていくと思うので、都市風景をカタチづくるのとは別の方に向かうようにも思う。 IT化時代のなかで今後建築に何が出来るかを考えたいのと、秋葉原の場合果たしてそんなことが無意味になりつつあることを暗示しているのではないかという迷いもある。資本への戦略的姿勢自体、いま生まれつつある設計業界に、個別な趣味にまでミニマリスティックに表現していく付き合い方が見いだされるのだろうか。あるいはその二極化に可能性が残されているのだろうか。目下気になるのは今年から順次出来上がる巨大資本が作った新しい街の数々だ。東京への興味は尽きない。 2003.02.28k.m **コメントをぜひ ***他の方達の書評など。 -[[k.m]]>山形浩生さんの[[書評:http://book.asahi.com/review/index.html?info=d&no=3147]]SIZE(10){2003-03-22 (土) 00:16:16} ***71年生まれの3人 -[[jun]]>東さんの[[ページ:http://www.t3.rim.or.jp/~hazuma/prof/profile.html]]で、北田さんの本、森川さんの本にまとめて言及がありますね!お三方とも71年生まれということで、「3人が共有している感覚は」という記述もあります。SIZE(10){2003-03-19 (水) 20:58:54} -[[k.m]]>おお!それはチェックですね。SIZE(10){2003-03-20 (木) 02:02:34} --↑>きわめて世代的で地域的なものなのではないかという疑いである --この指摘は、僕も一応71年生まれなので考えさせられるというか、 -->仲間内だけの問題を普遍的だと思ってしまうものだ。 --という東氏の注意点に敏感になって、三方の言論をもう一度見比べたら楽しいのかと思いました。 --ところで -->1980年代の渋谷をいかに克服するか --という点はひとつ上の世代である、大塚英志氏の考察である程度提出されてもいて、面白いのはやはり80年代を持ち出して相対的に浮かび上がらせている「今の特異さ」の描かれ方、受け入れ方ではないでしょうか。[[k.m]] -[[k.m]]>わお!。森川嘉一郎さんから[[リンク:http://homepage1.nifty.com/straylight/main/personapolis.html]]はられました(恐縮)。SIZE(10){2003-03-25 (火) 12:30:06} -[[k.m]]>↑しかもコチラで色んな書評が見れ、それが興味深いサイトばかりだし。SIZE(10){2003-03-28 (金) 01:56:15} ***[[クロダ]]さんの書評から -[[クロダ]]>論じるほどのバックグラウンドはないんで、感想を書いてみました。SIZE(10){2003-04-06 (日) 21:44:15} -[[クロダ]]>あれ、書き込みうまくいかないや。[[こちら:http://www.review-japan.com/factory/p.html?AID=117&MODE=3&ID=21446&GENRE=]]ですSIZE(10){2003-04-06 (日) 21:45:03} --[[k.m]]>お知らせ有り難うございます。[[アメリカのオタクの一例 :http://www.anzwers.org/free/acparadise/grandis.htm]]というのが面白いですね。「自分が多数派でないことの屈託のなさ」が一方で、これらの街をつくっているのかとも思いますが、それが本来のマイノリティーとは明らかに違ったものでもあるのと、様々な少数派という括りは問題の本質的なものをさらに見えにくくしているのかとも思いますし・・。SIZE(10){2003-04-06 (日) 21:57:00} -[[jun]]><クロダさん ぼくの一番はじめのひっかかりも、幻冬舎から出ている、ということでした([[インサイター:http://home.att.ne.jp/delta/insighter/]] 3/23 での書評の書き出しも幻冬舎ネタですね) 。また、すごい狭い範囲でのデータですが、ぼく(79年生まれ)の中高時代の友人で、おたくっぽい人はみんなばりばりの理系でした(で、コンピュータ使いでもあった。インターネット以前の時代ですが、草の根ネットをやっている人も。余談ですが、そこではすでにファイルの共有もされていたらしい。もちろんP2Pではなく、パブリックディレクトリーにアップするようなかたちでだったと思いますが)。関西だったので、電気街と言えば、日本橋でした。 --[[jun]]> 部外者というものをつくりだす、街というのもおもしろいですね。渋谷で、疎外感を感じる人もいるでしょうが、あたそれとは別の種の。横浜で黄金町とかに紛れ込んじゃうと、まさに紛れ込んでしまう、という感じの、この街の法則が分からない、といような状態になり、いつのまにか足早になってしまいます。あそこの場合、いろんなアジアの外国人の方も多く、マイノリティーではあるかもしれませんが、趣味との関連はどうでしょう。お店の性質として、趣味的なところもあるのかもしれません。まあ、「趣都」にならうと、ではそのような街がどのように形成されたのか? ということを問わなければならないのでしょうが。SIZE(10){2003-04-07 (月) 10:20:14} -[[クロダ]]>junさん、ぼくが知ってるオタクは中森明夫が「おたく」と名付けた頃より少しあとぐらいの人たちだと思うんだけど(年齢は個々の人には隠すつもりないけど、ネットでは今のところディスクローズしてないんで失礼)、同人誌な人たちで文系が多かったと記憶してます。文系と理系の接点って絵をパソコンで描くって部分なんでしょうか。それはそれとして、横浜といえば寿町あたりも、別の意味で近寄りがたいですね。SIZE(10){2003-04-09 (水) 00:05:38} --[[k.m]]>どこまでがオタクか?ってのもありますが、「絵をパソコンで描くって」言う意味では、毎日絵(図面など)書いてます・笑。柳美理の「ゴールドラッシュ」や「私立探偵浜マイク」などでとっても気になっていつつ、未だに行ったことのない黄金町です。SIZE(10){2003-04-09 (水) 01:42:51} ---[[jun]]>黄金町って、そういうところで描かれてるのですね。ぼくは実際の体験でしかしりません。関内~伊勢佐木町~日ノ出町のあたりはかなりの数の古本屋さんがある [[●:http://homepage1.nifty.com/doradora/furuhon/kannaisy.html]] のですが、それらが分散してあるので歩き回ることになり、そうして黄金町に迷い込みました。そういえば、古本屋街というのは、どうできあがるのでしょうか。 -[[321]]>神保町の古書店街は、明治時代に東京外語大ができたのをきっかけにいろんな学校ができてきて、それにともなって発展していったらしい。最盛期には日本の古書の2/3が集まったそうな。SIZE(10){2003-04-09 (水) 02:56:23} ***話題の書籍なんですね。 -[[k.m]]>やはり学問の街と結びつきが大きいのですね。ところでこの本、すっかり話題ですね!。本屋でもよく積み上がっています。売れ行きよいのでは??。SIZE(10){2003-04-11 (金) 01:25:45} -[[k.m]]>[[クロダ]]さん、[[ちゃーりー]]さんの書評も[[リンク:http://homepage1.nifty.com/straylight/main/personapolis.html]]されましたね!。SIZE(10){2003-05-02 (金) 01:52:11} #comment ---- カテゴリー-[[社会]]、[[思想]]、[[建築]]、[[東京]]

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