「スペイン-ポルトガルを探る場所-映画編」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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#image(http://www.nta.co.jp/kaigai/spain/img/im001.jpg)
まだ行ったことのない国を旅行する際、いきなりガイドブックのたぐいを見てしまうと、細かく配置されたイメージの洪水へお腹いっぱいになってしまう。自分はむしろ活字から入ることで、記憶に残っているイメージを頼りに膨らませていくほうが自然なようだ。
映画はイメージの洪水にはならない。スペイン、ポルトガルには素晴らしい映画がたくさんある。けれどまとめて見るにはそれなりのテンションを必要とするものばかりだ。映画や文学はラテンアメリカのそれと切り離せないのも特徴だ。そこには両者の関係の複雑さが象徴されている。
もっとも、まず現地へ行き興味を持つことで、その後調べたりする。何度も気軽に行ける生活を手に入れていればそれでもよいのだけど・・。そんな貧乏根性を頼りに意識がそこへ向かっている内に手にした情報をメモして行く。
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「ヴァンダの部屋」にでてくるような、リズボンのスラム街。以前見た南米のスラムが舞台の「シティ・オブ・ゴッド」。前者の方が大きくて深刻だと言うのだから、想像を絶する。
グッゲンハイム美術館には建築の変換点が象徴されている。けれどここはスペイン北部バスク地方。バスクと言えばテロリズム。ピカソの「ゲルニカ」以上に、テロ組織・ETA(祖国と自由)の存在が気になる。2006年3月23日、無期限停戦を宣言、同24日発効のようだけど。
そんな暗い話題ばかりが目に付く。建築を飾る状況と政治・社会の明暗の差には、切り離せない関係がある。その事実に驚くばかりだ。2006-06-10/k.m
***スペインうたたね旅行
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-出版社:文芸春秋
-著者:中丸 明
とても軽い読み物で、出だしには良かった。けれど「闘牛は三幕一場からなる宗教劇」という解説は、他の本では得られないエピソードだった。サグラダ・ファミリアの経緯も面白い。大工ヨセフのような微妙な立ち位置から、あの壮大な建築が生まれてしまったのだから。
***スペイン5つの旅
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-出版社:文芸春秋
-著者:中丸 明
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「スペインうたたね旅行」と同じ中丸明の著作だが、よりガイドブックじみていて、かえってつまらなかった。けれど、こういったエピソードなんかが、生きたガイドなんだろうけど。
***スペイン巡礼史 「地の果ての聖地」を辿る
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-出版社:講談社現代新書
-著者:関 哲行
スペイン関連情報を求めていたら、この著作ではいきなり秩父霊場を回った作者の思い出からはいっていた。それがサンティアゴ巡礼へとつながり、スペイン巡礼史へと至る。あまりの路線変更に戸惑いながら、奥の深さへ恐れ入った。というか余り入り込めなかった。ただ、その後幾つか先を進むに至って、また興味がもてるようにもなってきた。
ところで、レコンキスタ(失地回復運動)のとき、スペイン側は「サンティアゴ(聖ヤコブ)!」と叫んで団結したようだ。けれどこれはキリスト教からみた回復であって、イスラムから見たら奪われたことになる。イスラム支配下のトレドでは、キリスト、ユダヤが共存して文化を成熟させた時代もあったようだ。
***ポルトガルを知るための50章
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-出版社: 明石書店
-著者:村上 義和
このシリーズは結構重宝していて、広く浅くしかも今の姿をうつしているという意味で実践的だ。レコンキスタからサラザール独裁体制、移民事情から教育問題、イスラムの影響などかなり広範囲にわたっている。特に興味深い章は、サウダーデの国というタイトルで、日本で言う無常感のような奥行きを感じた。
***白い街へ―リスボン、路の果てるところ
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-出版社: 彩流社
-著者:杉田 敦
この本に出合えたことは既に旅行の収穫かもしれない(まだ行ってないけれど)。ペソア、タブッキ、ヴェンダース、ベンヤミンなど数多くのアーティストを惹きつけ、クリエイティヴィティを刺激し続ける白い街、リスボン。そんな視点で語られたエッセイ。杉田敦さんはart&river bankという川沿いのこじんまりしたギャラリーを夫婦で企画されている。写真会議という興味深い企画もあって一度参加したいと思っている。
***スペインを知るための60章
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-野々山 真輝帆
ポルトガル版よりもはるかに政治話題が多いのは、スペインの特徴なのだろうか。独裁政権という同じような閉鎖性を経験した2国は、地味な近代化を遂げて、いま世界の多様化・自由化と共に揺れ動いている。そんな印象だ。ただこの本では国民党への希望的観測が多いが、既に2004年3月11日、マドリッドの列車爆破テロを契機として当時のアスナール政権に対する国民の不満が募り、国民党から社労党へと政権交代がなされているので、情報としては古くなっている。
***コメントをぜひ
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カテゴリー-[[社会]]、[[建築]]、[[映画]]、[[旅行]]
#image(http://www.nta.co.jp/kaigai/spain/img/im001.jpg)
まだ行ったことのない国を旅行する際、いきなりガイドブックのたぐいを見てしまうと、細かく配置されたイメージの洪水へお腹いっぱいになってしまう。自分はむしろ活字から入ることで、記憶に残っているイメージを頼りに膨らませていくほうが自然なようだ。
映画はイメージの洪水にはならない。スペイン、ポルトガルには素晴らしい映画がたくさんある。けれどまとめて見るにはそれなりのテンションを必要とするものばかりだ。映画や文学はラテンアメリカのそれと切り離せないのも特徴だ。そこには両者の関係の複雑さが象徴されている。
もっとも、まず現地へ行き興味を持つことで、その後調べたりする。何度も気軽に行ける生活を手に入れていればそれでもよいのだけど・・。そんな貧乏根性を頼りに意識がそこへ向かっている内に手にした情報をメモして行く。
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「ヴァンダの部屋」にでてくるような、リズボンのスラム街。以前見た南米のスラムが舞台の「シティ・オブ・ゴッド」。前者の方が大きくて深刻だと言うのだから、想像を絶する。
グッゲンハイム美術館には建築の変換点が象徴されている。けれどここはスペイン北部バスク地方。バスクと言えばテロリズム。ピカソの「ゲルニカ」以上に、テロ組織・ETA(祖国と自由)の存在が気になる。2006年3月23日、無期限停戦を宣言、同24日発効のようだけど。
そんな暗い話題ばかりが目に付く。建築を飾る状況と政治・社会の明暗の差には、切り離せない関係がある。その事実に驚くばかりだ。2006-06-10/k.m
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***バッド・エデュケーション
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-監督: ペドロ・アルモドバル
-出演者: ガエル・ガルシア・ベルナル フェレ・マルティネス
映画監督のエンリケがガリシアへ向かうシーン。美しい街並みを平坦に写す画面が印象的。自治州の主都は巡礼地として有名なサンティアゴ・デ・コンポステラ。
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***ヴァンダの部屋
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-監督: ペドロ・コスタ
-出演者: ヴァンダ・ドゥアルテ
ほとんど真っ暗な画面が続く。陰影は重くのしかかるようで息苦しさを感じた。終始ドラッグを吸い続けるヴァンダ。咳き込む姿は痛々しい。粗い画面へは、そんな深刻さとは別の次元で美しい光が差し込んでいる。色彩が人間味となって感じられる。
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***マタドール
-監督:ペドロ・アルモドバル
-出演:アントニオ・バンデラス, その他
人間だけが死への感覚、死への意識を持ち、それが聖なるものの感覚というすぐれて人間的な可能性への超出なのだという、「死とエロティシズム」の思想家の描いた小説世界のような映画。
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***神経衰弱ぎりぎりの女たち
-監督・脚本:ペドロ・アルモドヴァル
-出演:カルメン・マウラ/アントニオ・バンデラス/フリエタ・セラーノ
'''26年前、スペイン民主化と同時に映画を作り始めた当時作った映画は、スペイン以外の国ではできなかっただろう。・・・いつも自分が楽しみながら人を楽しませ、自分が感動しながら人を感動させるように努め、社会から孤立あるいは疎外された人物像を人間味あふれるよう豊かに描くことを心がけてきた'''(スペイン マドリッドにてインタビュー2006年5月18日)
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***家路
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-監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
-脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
-出演者:ミシェル・ピコリ 、カトリーヌ・ドヌーヴ 、ジョン・マルコビッチ
事件があって、回想シーンがあって、クライマックスがあって。そんな風にうまく場面をつないで行くばかりの映画ではなくって、時間の経過だけを執拗に追いかけるような、時間だけが止まらずに移っていくことを知らせるような、そんなことを感じさせる作品で、とても充実した気分を与えてくれた。
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***永遠の語らい
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-監督・脚本・台詞:マノエル・ド・オリヴェイラ
-出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジョン・マルコヴィッチ
現役最年長監督。出演者達は、それぞれポルトガル語、フランス語、ギリシャ語、イタリア語、英語にて会話している。そんな特徴とは裏腹に、映し出された画面のテンポ、美しさ、その流れに感動する。単調ですらあるそれらは、変化するのが移動する旅行者の視点だけで充分だと言っているようだ。
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***ベンゴ
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-出演: アントニオ・カナーレス, トマティート,
-ラ・パケーラ・デ・ヘレス, ベルナルド・パリージャ
-監督: トニー・ガトリフ
アンダルシアはかつてイスラム王朝の首都だったコルドバがある。ロマ(ジプシー)文化はスペインによってポピュラー化させられ、希釈したようだ。いまやフラメンコなくしては語られない国のイメージも移動民族を起源としている。
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