personal note内検索 / 「どん底」で検索した結果

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  • どん底
    どん底 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 原作:マクシム・ゴーリキー 上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ マクシム・ゴーリキーの原作をアマゾンで購入しつつ結局読めないままこの日を向えてしまった。正直、ケラリーノ・サンドロヴィッチ がなぜこんなに人気を呼んでいるのか、こんなに大きな企画を成し遂げてしまうのか分からなかったけれど、今日の舞台をみて納得。素晴らしい。 何度も鳥肌の立つ場面があって、映画の構成とも似ていて、大きな空間をもつ舞台のダイナミズムを充分に発揮していた。小劇場での面白さに比べて芸能人の出ているものはどこか軽視していたけれど、お金払う価値のアルものを実感した。 数ページ読んだ限りでセリーヌ『夜の果ての旅』なんかを思いだす貧民窟...
  • なしくずしの死
    ...聞こえてくる。貧困のどん底が人間というものを一括りに出来ないほど大きな差異で引き離している「さま」があふれていた。 たとえば「怒り」一つとっても、程度の大きさでは語れない。憎悪という感情自体が想像を超えて主人公の生活には染みついており、日常の、なんの取り留めのないレベルから気が狂う寸前までの大きな振幅に対して常に付きまとい、運動の絶え間ない連鎖から精神・体力をも消耗させ、心のバランスというより、脳に直結した激流信号のようだ。 フェルディナンの長い長い旅は、彼の両親そして叔父、小路を取り巻く大勢の住民達と共に語られ、写し取られ、どん底の貧困と共に、笑ってしまうしかないような、はちゃめちゃで、切なくって、傲慢で、残酷で、まったく先のことなど考えていなくって。 生き延びることは確かに大変そうで、いったい生きるというレベルは一様ではないなどと、当たり前のような事を痛切...
  • どんてん生活
    どんてん生活 [監][脚][編][出]山下敦弘  [脚][編]向井康介  [音]赤犬  [出]山本浩司  宇田鉄平  康季丹  前田博通  今枝真紀  柴田剛  神田新  加茂浩志  [制作データ] 1999スローラーナー [上映時間] 90分 山下敦弘監督の作品をまさかDVDで見られるとは思わなかった。「リアリズムの宿」公開の影響だろうか。ともかくTUTAYAの新作コーナーにこの「どんてん生活」を見てちょっと感激した。なにをそんなに惹きつけられるのだろうか。自分でもよく分からないまま興味だけは尽きず、見逃していた映画にまたあえた満足感で見るのだった。 特にどうと言うわけでもない。あっさりしたものだ。けれど「カウリスマキ風」と語られるらしいが、そんな趣はある。アメリカン・ニューシネマの雰囲気もある。...
  • MovableType開発者に聞くを読む
    **「小さい会社こそ、大きなことができる」 CNET Japanの参照記事 MovableType開発者に聞くを読む Movable Typeと言うシステムがある。コチラに書き込み頂く方も、最近活用されている。このシステムを使わずして、あれこれ考える暇があったら「とにかく使え」といわれそうですが、実際に使う前に、そもそも今のネット状況がこれほどにBlogで賑わっているという認識もなかったし、はたして今後ネットはどうなっていくのだろうと、漠然とした覚書をノートしておく必要がある(何のために?)と思った。 個人サイトの役割はきっとこの「覚書」なんだろうと思う。こうしてテキストを書き、ハードディスクに保存する感覚で「Movable Type」は更新できるらしい。いまなら僕はこれをいったんハードディスクに落として、HTML化させて、レンタルサーバ...
  • 殯の森
    殯の森 監督・脚本: 河瀬直美 撮影: 中野英世 音楽: 茂野雅道 監督・脚本: 河瀬直美 撮影: 中野英世 音楽: 茂野雅道 グループホームで隠し録音された会話のように、ドキュメントタッチでつながるカットがこの映画の特徴で、老人たちがもうじき迎えるであろう死について何かを乗り越えようとしている姿が印象深かった。 互いに家族を亡くしている認知症の老人と女性介護士の触れ合いというテーマだけれど、ある意味でとてもエロティックな、というか濃厚な関係を描いている。 後半延々と続く森を彷徨うシーンでは、ついに夜を越してしまう。何がそうさせるのかと思うほど、女性介護士は老人に執着し、終わりの無いという意味で個室以上に密室感のある森の中。どんどんと濃度の増す空気が、見ていて息苦しいほど。 空を仰ぐシーンで終わってしまうラスト。開放された気...
  • クルーグマン教授の経済入門
    クルーグマン教授の経済入門 日経ビジネス人文庫 ポール クルーグマン (著) Paul Krugman (原著) 山形浩生(翻訳) 905円 読み始めは山形さんの口語訳が妙にくだけていて、そこにばかり気が行ってしまった。けれど思えばどんな本も入り込めるまでは時間がかかる。だいたい僕の場合50〜100項あたりでやっと入れる。だから短編の場合、訳分からない内に終わってしまうものもある。むしろ長編のほうが、読むのはシンドイけれど入り込んだ実感は持ちやすい。 で、結局この本になにが書かれていたのかといえば、あまりに多すぎて読んだそばからどんどん忘れてしまい今は漠然としている。アメリカの医療についてとか、ほとんど知らなかったので興味深かった。日本でも年金や医療保険について問題になっているが、経済大国アメリカで...
  • ハプニング
    ハプニング 監・製・脚:M・ナイト・シャマラン  出:マーク・ウォールバーグ、ズーイー・デシャネル 、 ジョン・レグイザモ、スペンサー・ブレスリン、ベティ・バックリー  M・ナイト・シャマランの作品だという認識で、ただじゃすまないという期待感があって、ある意味でそれは裏切られるのだけれど、ほとんど状況説明がないまま冒頭から異変がはりまり、90分という時間を突っ走る映画としては、やはりスゴ味がある。 説明のなさは、かえって見ている側を混乱へと引き込む力を際立たせていた。多発的・静寂的に用意された死の場面は、主要人物という投影軸を失うギリギリの演出だと思う。実際に、主人公という重みのある設定はほとんどなく、感情移入した先からどんどん死んでしまう。 スティーヴン・スピルバーグの『宇宙戦争』も、背景がほとんど描かれないまま殺戮シーンが続いたけれど、主人公の...
  • 快適生活研究
    快適生活研究 著者:金井美恵子 出版社:朝日新聞社 サイズ : 四六判 / 475p これは連作短編と書かれていたけれど、自分にはもっと重いというか中篇くらいには感じられた。なにしろ句読点が少なくって一文が長いので息つくところがなく、入れ子状にどんどん話がふくらんでいくのでキリが悪い。 一方、辛辣さはとても歯切れが良いもんだから読めば読むほど引き込まれる口調というか文体で、こんな風に毒ついてくれるのってナンシー関とか斉藤美奈子とか上野千鶴子で、みんなユーモアに満ちている作家ばかりだよなって。 連作だけど登場人物が微妙に絡んでいて、例えば前に登場したAさんがここでも出てきて、けれどAさんと分かる前に長い長い前フリがあって、そういえばこれAさんぽいなと思って、ページをめくりAさんの描写された場所を探すのだけど、一文が長...
  • テクノ・ランドスケープ
    テクノ・ランドスケープ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (01.jpg) 参加作家 フローリアン・クラール 飯田啓子 伊藤高志,稲垣貴士,KOSUGI+ANDO,吉岡洋 逢坂卓郎 ニコライ・レッケ 佐藤時啓 曽根裕 豊崎洋二 吉田重信 世界の新たなテクスチャーへ向けて 2001年6月22日(金)〜 7月29日(日)ICC ギャラリーA, B, ラウンジ BEACON 2001:伊藤高志,稲垣貴士,KOSUGI+ANDO,吉岡洋 ICCのサイトより さとメディアという言葉に対する印象など、どんどんと変わっていく時代の中で。そのあたりには全く疎いのですが、その世界を扱っているICCは結構...
  • パラノイドパーク
    パラノイドパーク 監督:ガス・ヴァン・サント 出演:ゲイブ・ネヴィンス、ダン・リウ ジェイク・ミラー、 テイラー・マムセン、ローレン・マッキニー、スコット・グリーン パラノイドパークとは違法につくられたスケードボーダー達の公園で、ほとんどの床が滑るために作られた曲面を持っていて、そこを流れる姿がスローで写され、常に画面を見切ってしまうその動きは断片でしかないのだけれど、繰り返し違う人が列をなして滑っているせいで断片はループとなり、一続きの像として感じられる。 主人公は中性的な容姿で、異性に対してよりもスケードボーダー達の動きへ惹かれている。その視線を通して画面から感じられるのは、ループとなって切れ目ない動きへ中毒的に縛り付けられるような誘惑、ボーダー達へ没入していく彼の感覚だ。 流動性の高い現代社会において他者との関係を築く機会はどんどん減少し、「見...
  • アモーレスペロス
    アモーレスペロス 監督・製作:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 出演:エミリオ・エチェバリア/ガエル・ガルシア・ベルナル/ゴヤ・トレド/アルバロ・ゲレロ 脚本:ギジェルモ・アリアガ・ホルダン 音楽:グスターボ・サンタオラヤ 3つの話が巧みに交錯し循環していた。マケドニアとロンドンを移動しながら3つの物語が連続した「ビフォア・ザ・レイン」を思い出した。あの映画も素晴らしい!。 メキシコシティーの映像にはなぜか哀愁が満ちていた。音楽と映像との絶妙な融合といい、テンポといい、これがデビュー作だなんて、なんともすごい監督だと思った。 めぐっていく話はどれも切ない。そして人間の野蛮さ残酷さ、どん欲なまでの生きる力とが合わさった、壮大な映画だった。壮大というのは「長い」ということでもある。物語のボ...
  • 「JAM:東京─ロンドン」展
    「JAM:東京─ロンドン」展 期間:2002.2.8[金]─ 5.6[月・祝] 開館時間:12 00 ─ 20 00(金・土は21 00まで、最終入場は閉館30分前まで) 休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、2月10日[日](全館休館日) 入場料:一般\1000(\800)、大学・高校生 \800(\600)、中学・小学生\600(\500) 主催:(財)[[東京オペラシティ文化財団/バービカン・アートギャラリー/ブリティッシュ・カウンシル 協賛:日本生命/NTT都市開発/第一生命協力:キヤノン株式会社 思ったよりも盛りだくさんで、2,3時間いたのではないか。既に映画を1本見てきたので、かなり衰弱してしまうくらい体力をつかう展示会だった。それほどに肉体表現の多い展示ばかりで、時代はどんどんこの分裂した身体の表現...
  • カルメン・ミランダ・バナナが商売
    カルメン・ミランダ・バナナが商売 「ドキュメンタリードリームショー2010」 世界の音楽に心湧く、からの1作品 戦時中、虚実・幻想のラテンアメリカをショービズで描くハリウッド。そのただ中で象徴的存在としてエンターテイメントの場へ立つ。やがて不幸な結婚で精神的に苦しみ・・。カトリックで祖国愛の強い伝説的歌手、カルメン・ミランダの生涯。 山形に限らずドキュメンタリー映画祭は一度も行ったことがなくって、このユーロスペース企画も過去上映の抜粋で、夜9時の会には15人くらいしか居なくって単なるレイトショーだった。 まったく調べなくって単に行ける時間がこの映画だったのだが、「バナナが商売」って!。「カルメン」はまだラテン音楽思わせ期待もてそうな感じだったがバナナを頭にのせてイケイケな感じで歌う姿には驚きで!。 1930年代だからボサノヴァ誕生以前...
  • 4ヶ月、3週と2日
    4ヶ月、3週と2日 監督:クリスチャン・ムンギウ 出演:アナマリア・マリンカ、ローラ・ヴァシリウ、ヴラド・イヴァノフ 冒頭、ある狭い部屋に2人の女性はいて、落ち着きがなく神経質的な言動は何か予定の行動が先へ進んでいかないもどかしさとして伝わってくる。一人はしきりと館内を歩きまわり、それが寮の内部だと分かるが飾り気のない暗い廊下は刑務所のようでもある。しかし部屋の中では女性たちが元気よく何かを売買していて、歩き回る女性はケントが欲しいようだけど、その銘柄は寮内で販売している同じ学生とおぼしき部屋にはなく、やがてホテルにいた闇商売人から手に入れる。 女性は自分の代理人がホテルを予約していたとフロントに伝えるが部屋は取られていなく、その一向に前向きでない対応に辟易しながら別のホテルを当たりなんとか確保することが出来た。予定の金額をオーバーしたことをもう一人の女性になじ...
  • 欲望
    欲望 1967年度作品 112分 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ 出演:バネッサ・レッドグレーブ なぜタイトルが「欲望」なのかよく分からない。BLOW-UPという原題は「写真の引き伸ばし」を意味するようだ。これだとすごく当たり前な気もする。とにかく独特なテンポと話の進み具合は興味深い。ロンドンのあの煉瓦づくしな風景は、目にいたいほどのコントラストでとらえられ、黄昏にただよう人気のない風景が多く、冒頭とラストに出てくる不可解なパントマイム集団によって、寂しさはますばかりだった。 欲望という言葉は主人公である写真家の「どん欲さ」に表れていて、その好奇心が物語の中心にある事件に巻き込まれる原因となる。ただその事件というのも、どこまでが現実だったのか、あるいはただの幻想なのかと思わせる不思議な結末へと導かれる。描かれた60年代のファッションは今見ると最前線の様にも写り、...
  • まぼろし
    まぼろし 監督・脚本:フランソワ・オゾン 共同脚本:エマニュエル・バーンハイム/マリナ・ドゥ・ヴァン/マルシア・ロマーノ 出演:シャーロット・ランプリング/ブリュノ・クレメール/ジャック・ノロ 2001年/フランス/95分/原題:Sous le sable 配給:ユーロスペース 死とは、その不在を受け入れることなのかもしれない。しかしこの映画では、まずその不在があって、後に死の知らせがくる。ながい不在だけの期間が、死を受け入れることを拒む妻をつくっていた。まぼろしという幻影を見続けながら、妻は夫の不在をやり過ごしていた。やがて訪れるだろう死をまちながら。 ここであらためて死とな何なのかと問われているような気がした。不在は既に始まっていて、死はそれを永遠のものとして告知されたに過ぎない。戻ってくるかの希望を断...
  • 俘虜記
    「なぜ自分は米兵を殺さなかったか」 大岡昇平 新潮文庫 629円 思えば「戦争小説」というものをほとんど読んだことはなかった。それは余り興味がなかったのと同時に、戦争という極限状態に参加し、その最前線で描かれるドラマへ、なにも共感を得られないだろうと諦めに近い感情をもってしまうからだった。空襲が背景にあった小説は幾つか読んだし、爆撃に打ちのめされて行き、街にうごめく人間の退廃的な姿への描写へは、深く心を奪われて来た。俘虜記がどうやら「いちれん」の戦争小説とは違うらしい、と言う読書人ならみんな知っているような批評を目にして、読んでみることにした。 冒頭の「捉まるまで」を読み、その余りにも緻密で分析的な文体へ、まったく新鮮な感覚を覚えた(どうやらこれも発売当時からの評判らしいが)。今までに読んだ小説とは明らかに違った文体で、どちらかと...
  • ブロンド少女は過激に美しく
    ブロンド少女は過激に美しく 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 原作:エサ・デ・ケイロス『ブロンド少女の異様さ』 出演:リカルド・トレパ、カタリナ・ヴァレンシュタイン ポルトガル・フランス・スペイン映画 64分 なんでしょう、この見終わって心がざわざわする感じ、映画館を出て、空調で冷えたからだへなまぬるい風が心地よく当たり、節電で暗いビルの谷間へスターバックスが見えて、誰かとこの映画について語り合いたいような人恋しい気分になりつつ。 1時間ちょっとの短い作品。冒頭の電車の中で切符を切るシーンでいきなり5分くらい?の長回し。見ているこちらがハラハラしちゃうような時間の使い方、100歳超えの監督にはコワイものありません的なオーラで。 リスボンから郊外へ向かう列車。男は隣席に座った見ず知らずの女性へ身の上話を始める。伯父の店の2階で働いていた男は、道を挟んだ...
  • 永遠のハバナ
    永遠のハバナ 監督: フェルナンド・ペレス  撮影監督: ラウル・ペレス・ウレタ  音楽: エデシオ・アレハンドロ,エルネスト・シスネロス  出演: フランシスキート,フランシスコ,ノルマ,ワルド,イヴァン,ラケル,エリベルト 製作国: キューバ、スペイン 公開劇場:渋谷ユーロスペース 公式サイト: http //www.action-inc.co.jp/suitehabana/index.html この映画は初め試練のように感じられた。なぜなら、ここまで何も起こらない映画に直面したのが初めてだったからではないだろうか。物語を練った映画は多いしそれがどんなに門きり型であろうと、日常の繰り返しに慣れ親しんだ身体へは安心感すら抱く記号となるのだ。(物語にとって)無意味なシーンでも、目で追う限り何かを繋ご...
  • 沖縄文化論
    沖縄文化論―忘れられた日本 岡本太郎著 毎回、旅行前に読みあさる関連本の中で、1冊くらいは目的を忘れるくらい本自体が素晴らしいものがあるのだけれど、きっと今回はコレだと思う。 返還前の沖縄へ行った岡本太郎。造り手の語る明快な文体と美意識に根ざした辛らつな見識は、読んでいてとても清々しくそれ自体が優れた文学のようだった。 書かれた時代や視点が違っても、何だか共通な部分が結構ある。だんだん沖縄がどんなものか見えてきたような・・。それは沖縄が「どのように見られてきたか」が、見えてきたのだろうけど。 2008-06-20/k.m
  • M-I-2
    M I-2 監督:ジョン・ウー 製作:トム・クルーズ 主演:トム・クルーズヴィング・レイムスアンソニー・ホプキンス 7月8日より日本劇場ほか全国東宝洋画系 カテゴリー-映画 関連リンク #related k.m見てきました!ミッション:インポッシブル2。 先々行オールナイトです。開演30分前の新宿スカラ座は、階段3まわり半の行列でしたが、収容力のある映画館なので、余裕で座れました。 ヨーロッパ映画へは、歴史的に培われたヒューマニズムを期待し、日本映画では、文脈不在の表徴体を期待しているとすれば、アメリカ・ハリウッド映画へは、徹底したエンターテイメント性を期待します。中途半端なヒューマンや、ドラマは期待しません。そんな訳で今回が、マトリックス以来のハリウッド映画でした。 ...
  • クロエ
    クロエ 2001日本/サンセントシネマワークス 監督・脚本:利重剛 製作:塩原徹/長瀬文男/仙頭武則/松下晴彦 脚本:萩生田宏治 撮影:篠田昇 音楽:今野登茂子 出演:永瀬正敏/ともさかりえ/塚本晋也/松田美由紀/鈴木卓爾/福崎和広/西島秀俊 シアターイメージフォーラムへ来たのは初めて。高崎さんの設計した建築は、思ったほどこじんまりして、彼の作品であるのかも疑わしい。やはり都心の過密した与条件の中で個性を出すには、現代建築に許されたボキャブラリーはもはや狭いものなのかと思った。 小説「うたかたの日々」を利重監督は現代日本の架空都市に舞台を移して表現した。冒頭に「この映画は原作の忠実な再現ではない」といった「うたい」があったが、むしろ意匠を変え、舞台を変えたこの作品には、充分に...
  • 桂子ですけど
    桂子ですけど 製作:園子温 監督:園子温 助監督:吉田國文 小坂井徹 脚本:園子温 撮影:ウォン・オン・リン 美術:園子温 西川裕 鈴木桂子 整音:鈴木大介 照明:長島徳秋 編集:園子温 吉田俊次 出演:鈴木桂子 内田栄一 自殺サークルを見て園子温監督が気になったので、先日出たばかりのレンタル「新作」で借りる。ミニマリズムと評されたこの作品は、確かにストイックなほどそぎ落とされた演出で、絵画的なショットが繰り返されている。原色の鮮やかな構成と、文字だけが挿入される、ゴダールの雰囲気も感じさせる。 真っ赤に染められた和室。そして畳の縁、建具枠のみが黒く塗られている。桂子という女の子の赤い口紅と長い黒髪が部屋と同じ配色なのは、人物ですら画面構成の中へ、ベースとして馴染ませるねらいなのだろうか。家具が全て黄色く塗られているのと対照的だ。 「時間」に対する執着的なま...
  • ニシノユキヒコの恋と冒険
    はたしてこれはモテル男の物語なのか 川上弘美 1,400円 新潮社 はたしてこれはモテル男の物語なのか。主人公ニシノユキヒコはモテル男だ。けれど主人公が彼なのかという疑問と同じようなレベルで、モテル男の話というよりは、「女性達はどんな風に男に恋をしているのか」というお話のようにも感じた。そして女性にとって恋愛とは、その様に相手を愛するという気持ちと同じくらい、いやそれ以上に「相手を愛する自分を見つめる」ということに対してとても自覚的なのではないか。 まずニシノユキヒコ本人は語らない。彼を形作るのは全て関わった女性達の語りのみ。だから呼び方も様々だ。それぞれのエピソードを通じて見えてくるのは、ニシノユキヒコが恋愛について模索し、世界の中で自分の居場所を見つけようとあがいているモテル男の真摯な姿だ。けれどそればかりではない。むしろ彼を...
  • 小説の誕生
    小説の誕生 保坂 和志著 出版 : 新潮社 サイズ : 四六判 / 475p 先日偶然に遭遇できた出版記念の青山ブックセンター・トーク。その時の保坂和志・新作をようやく読んだ。『カンバセイションピース』あたりから、彼の著作はどんどん厚くなって、今回も500ページに近い。ソフトカバーなのでかろうじて通勤時に読めたけど(実際、体裁については著者も気にして作ったようだ)、内容もかなりズッシリとしていた。 引用が多く、半分以上を占めていたように思う。知らない作家ばかりだった。程度の差はあるけど、個人的に小説は入り込めるまでに100ページくらいを要するので、断片の引用には(10ページ分ほどあったりして断片を超えているが)とても入りづらかった。 引用を中心に話を進めるというのは、批評、研究などの論文みたいだけれど、そんな印象で...
  • エロ事師たち
    一番スゴイのがスブやんの死にざま 新潮文庫 野坂昭如著 \438 これが70年代の「ベストセラー作家」だったというのをインターネットで調べて驚く(ちなみにこちらもカッコイイ!)。まったく痛々しいほどの描写が続き戸惑うかと思えば、何時しか「ぐいぐい」と引き込まれていた。もともとこのような過激な文学に「憧れと興味」は持っていたつもりだったが、これほど「衝撃」的な作家だとは思っても見なかった。かといって暗く重い雰囲気はなくって、むしろポップで「突き抜けた」面白さだ。中原昌也はセリーヌなのかと思ったら、むしろこちらの影響のほうが大きいのだろうか。とにかく考えられる卑劣、苛烈、妖艶、猥雑このうえない、いやとても考えの及ばない所にまで話しは進む。 「エロ事師」というまず聞き慣れない名前。ようするに「あらゆる享楽の手管を提供する」不法なエロ商売...
  • 霧の中の風景
    霧の中の風景 1988年 ギリシャ 監督:テオ・アンゲロプロス 早稲田松竹、金曜日の最終会。これから飲みに行く時間へ映画、まぁそれもいいか。結構混んでいて場所がら学生も多い。子供が主役の映画で思い出すのは「大人は判ってくれない」とか、「動くな、死ね、甦れ!」、「自由はパラダイス」など、、、。 まずこの映画では省略的な描写がおおい。通常ならば充分に描いてくる部分も、説明しないままどんどん進む。例えば冒頭、主人公たちの母親は子供たちの寝室を覗きに来る足音だけだ。もっと手前、電車へ乗れなくて佇むシーンも、なんの説明もない。弟が迷い込んだパン屋のくだりで、結局報酬を得るまでの省略。そして際立っていたのは、姉がトラックの運転手へ荷台に連れ込まれた後のシーン。 これはロベール・ブレッソンの映画でもよく使われていて、見る側の想像を掻き立てる絶妙なバランスのカット割だと...
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  • 花とアリス
    花とアリス 監督: 岩井俊二 出演:鈴木杏 、蒼井優 、郭智博 、相田翔子 、阿部寛 ショートフィルムとしてウェブで配信されていた作品の劇場公開版という性格か、サザエさんみたいに断片的なつながりがあって面白いしそれが監督のウリか。 岩井作品は「リリィ・シュシュのすべて」でひとつの極限に達したと思ったけれどあの映画を好きか嫌いか、興味あるかないかで、結構分かれるものがあって、それはなにか僕らが抱えるものをシンクロさせていると思わせたかどうかということだったような。 かつて助監督をしていた行定監督がどんなに大きな仕事をしても、こんな映画は撮れないと思う。あるいはめざすところが違うのだろうけど、どちらと言えば「春の雪」よりは面白かったと思う。2006-02-26/k.m コメントをぜひ ...
  • 音楽
    『音楽』 まだあまり三島由紀夫を読んでいないのだけど、著者の作品へは「耽美的」なイメージがある。そして僕のそんなイメージを押し進めるのに、この小説はとても機能を果たした。 三島由紀夫 新潮文庫 400円 まず主人公である精神分析医・汐見にかかった患者・麗子の病症を、「音楽」と言う一つの象徴に見立てて巡ったドラマであること。その設定はまさに先日観た映画「青い夢の女」そのもので、安楽椅子にくつろいで自らの性癖歴を語る美女、というものが映像の再現のように目に浮かぶようだった。あの映画では「精神分析医とは滑稽な存在だな」という感想が大きく、コミカルさばかりが目立っていたが。 精神分析ものは基本的に好きだ。それは三島の小説の中で出てくる分析という行為が、とても誠実に学術的でありながら、多くの分析書が難解な症例を通じて語るしぐ...
  • リアルな恐怖
    リアルな恐怖 1999年7の月、ノストラダムスの予言は、当たりませんでした。集団自殺、カルト宗教によるテロなど、天変地異よりもなによりも現代においてリアルな恐怖は、人間の精神ではないだろうか。 世界中あふれる民族争い。ユーゴやアフリカでの殺し合いをみると、冷戦後の原理主義的横暴は、人類の本質的野蛮性が、露呈してきているのではないかとも思える。 それにしても、民族争い、宗教争いは後を絶たないです。 国連の介入も順番待ちの感じです。 けれど、どうも国連、アメリカ的モラルは、マイノリティを守ることを正義とし、政治的に絶対正しい道として、突っ走り過ぎている様に思える。原理主義にしても、そんなアメリカ的発想にたいして抵抗しているのではないか。デリケートな問題も、正義感を理由に、ないがしろな扱いをされがちでは。 どんなにグローバル化が進もうと、多様化、複雑化は守...
  • 告白
    告白 湊 かなえ (著) 連作短編で視点の変わる1人称バトン構成はよく見かけるけれど、告白というタイトルのように、ある事件の関係者がそれぞれの立場で特定の相手に向ける語りかけとして使われていて、とてもはまっている。 この構成だと一つのエピソードに対して、同時に複数の人間が関わった場合に起こる認識の違いが明確に表現できる。結果的に事件を詳細に浮かび上がらせる。少年犯罪という、それ自体に世代間の断絶がたくさん含まれているテーマも際立っている。 各者のモノローグはまったく噛合っていない部分が多く、人的リスクの多くはこういった思い込みによるものだと言われているようだ。意識の差は、そのまま社会問題につながる大きさには感じられない稚拙なものばかりなのに、結果として見えてくる姿はワイドショーを賑わす事件だ。 ミステリーとして読むよりも文学的に感じられるのは、...
  • ケンチクスタディー-03
    ケンチクスタディー-03 関係性のデザイン 我々建築を計画する人間は、「モノ」や「コト」の「関係のデザイン」を常に思考して行きます。 AとBをおさめるCという箱を考えるのではなく、より良いAとBの関係、距離感などを考え、お互いの「あり方」をデザインします。 トイレと手洗い器の関係から、部屋とバルコニーの関係。 住戸と廊下の関係から、敷地と道路との関係。 歩道と、街並みの関係から、自然と都市の関係。 スケールの大小にはあまりとらわれません。 常に行き来して考えていきます。 思考の方法にはこだわります。 けれどアタマだけではどうにもならなく、カラダを使って思考することを大事にします。 スケッチは手が導くと思うほど、アタマの中とは違った動きをします。現場で走って考えたりもします。 「関係のデザイン」にはコミュニ...
  • 偶然の祝福
    偶然の祝福 角川文庫 小川洋子 定価 500円 朝一番で寄るところがあったが、時間的に余裕が出来たのでカフェでこの本を読んでいた。通勤途中に寄り、テイクアウトしていく客ばかりだった。この時間に落ち着いて本を読める満足と、時間を気にする気持ちとが混ざり合っていた。 一日のスタートへ心を落ち着けるべくこの小説には独特のリズム感があった。主人公の遭遇するさまざまな偶然はどれも静かに訪れ、その後精神的な支えとなったりする。しかし偶然をつかむ姿勢にはどこか強かさを感じた。 それは不幸を抱える主人公が、そのような現実を了解しつつ生きていることに現れている。どんな境遇に置かれていても、日々の小さな出来事から生まれてくる積み重ねを執拗に書き留めていく姿勢は、小説という形式を利用した生きる知恵の実践ではないか。入れ子になった構成だ。 語りようはとても繊細で、少しの激しさ...
  • ボディ・レンタル
    ボディ・レンタル 佐藤亜有子 どことなく悲しみに包まれていて、それでいて恐ろしいほど誠実に生きようとしている様な印象を主人公に抱いた。 ただその表現には、俗悪的な様相をまとわりつけて、あたかもどっぷりと底まで漬かってみせているかの様でもあった。繊細なフィルターを何枚も重ねながら語っている。そんな息苦しささえ感じてしまう。レンタルという言葉のもつ軽い響き以上に、身体と精神を軽やかに引き剥がそうとしているのか。それは言葉のもつ巧みさ故に表現可能で、身体の不自由さとは無縁のものではないだろうか。 僕らは結局この身体から離れられない。精神がどれほど自由であろうと、またそうであるからこそ、いっそうこの身体のどうにもならない存在感は増すのだ。どこまでも逃避していく精神の渇きへ、その身体を釣り合わせようなんてできっこない。けれど、只慎ましやかに...
  • 中国を知る
    中国を知る ビジネスのための新しい常識 日経文庫 遊川 和郎 (著) 今年は北京オリンピックで、注目を浴びている中国。先日の餃子問題でも食の安全が問われている。そんな国について興味は尽きないけれど、ビジネスとして関わっているわけでもないのでまとまった情報に触れたい。そんな動機で幾つか手に入れた本の一つ。 共産党体制における資本主義経済。そんな矛盾を感じる国家戦略の実態を知りたい。前段は改革開放政策など経済の話からはじまって、そのあたりに詳しく触れている。後半は著者自身の経験から比較文化論が展開されていて興味深い。 それにしても、毎日これだけ新聞を賑わしている国はないのでは。日本人にとって、気になってしょうがない存在なのだろう。果たしてマスクをしたアスリート達をTVで見ることになるのだろうか。二酸化炭素の排出量で世界第2位の国だが、一人当たりに換算すると世...
  • ヨーロッパの不思議な町
    ヨーロッパの不思議な町 ヨーロッパの不思議な町 巌谷國士 シュルレアリスム研究家のヨーロッパ紀行エッセイ。東欧から南欧、北欧、イギリスなど、その遍歴は幅広い。 僕はシュルレアリスムにはまったく無縁なのだが、「不思議な町」というタイトルが妙に興味をひいた。 旅行をして、初めて訪れる町に「不思議」を感じることはある。それが著者の言う「不思議」とは別の次元であるのかは別としても。旅行の前に情報を集めて、あらゆるシュミレーションをしてみたところで、行ってみたときの驚きは別の所にある。それを「不思議」な感覚と言ってしまえば、そうなのかも知れないが、著者の感じる「不思議」は、そのヨーロッパへの膨大な知識によって「不思議」である感覚を楽しみ、また語りへと還元していく味わいがある。 予めその町の歴史的背景を知っているのと、そうでな...
  • ロードムービー
    ロードムービーが好き imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 ロードムービーについて 人間は大地の上をひたすら車で走っていて、荒野の中へ小さくある賑わいが街で、何かへ動かされるままに失踪したり再開したり、そしてぶつかり合ったりするのがまた人間なんだと感じさせる映画。 人生を旅にたとえるとか移動の中へ心の葛藤を見るとかの「抽象さ」ではなくって、動くもの、あるいは「動かなさ」の視覚的な確認であり、フレームへ納まったままの姿を受け入れる行為なんだと感じさせる映画。 ストーリーとか物語などの前に、全体として心を動かされる映画。映画を見続けられることが一番うれしいとか、見続けていないと映画は楽しめないと感じさせる映画。実際こんな映画ほど疲労感は大きく、しばらく離れたくなる気も...
  • 現代アート入門の入門
    現代アート入門の入門 山口裕美 (著) 光文社新書 ¥750 インテリアに関心があって、部屋をセンス良くまとめたいという人は多いと思う。関連雑誌の多さからもうかがえる。通信販売から無印良品、そして大塚家具から目黒通りまで。どんどんセンスアップされ、ライフスタイルも変わっていく。 アートはどうか。インテリアの仕上げとして現代アート作品を考えている人も多い。印象派の人気が根強い日本だが、雑誌の提案する工業製品で囲われたシンプルなインテリアには合いにくい。やはり現代アートではないか。そこで雑誌はアートのある部屋を提案するが、ウォーホールなどの型にはまったものばかり。日本にもアーティストはたくさんいる。 この著作はそんな状況の中で日本のアーティストを紹介し、アートのある生活を伝道すべく書かれている。村上隆や宮島達男、川俣正や森村泰昌程度にしか現代アート状況を知らず、...
  • パーフェクト・サークル
    パーフェクト・サークル 監督・脚本:アデミル・ケノヴィッチ 出演:ムスタファ・ナダレヴィッチ/アルメディン・レレタ/アルミル・ポドゴリッツア 1997年/ボスニア・・フランス合作/ボスニア語/カラー108分 戦時下のサラエボ。 国外へと避難して行く家族と離れ、一人残る詩人の父。 そこえ家族を失った二人の子供が紛れ込む。 最初は迷惑がっていたが、次第に失った家族の様に2人への愛情がわいてゆく。 戦火に残り、生きることの意味を求めてゆく詩人だが、戦争はすべてを奪って行く。 やがてすべてが無意味であることへ毒されて行き、自殺の衝動が、頭から離れなくなる。 死へ、逃げ込んで行く思いを救ったのは、2人の子供を無事安全な、伯母のいるドイツへと送ることだった。 友人の力を借り、敵の最前線を抜けて、2人を安全なルートへ連れていくべ...
  • ポーラX
    ポーラX 監督:レオス・カラックス 出演:ギョーム・ドパルデュー/カテリーナ・ゴルベワ/カトリーヌ・ドヌーヴ 脚本:ハーマン・メルヴィル/レオス・カラックス/ジャン=ポル・ファルゴー/ロ ーラン・セドフスキー 1999年/フランス・ドイツ・スイス・日本/2時間14分 カラックスの新作。 ピエール・ヴァロンブルーズというノルマンディの城館にすむ御曹司が主役。 ストーリーは先日観た、ルイマルの恋人たちとも、どことなくかさなる。ブルジョアの苦悩。 アラジンという名前で書いた小説の大ヒット。婚約者リュシーと愛し合う日々。すべてが順調のピエール。だが夢の中へ出てくる、長い黒髪の女が忘れられない。ある日その女が彼の前に現れ、私はあなたの姉だと告白する。本当かどうかもわからないその言葉を信じたピエールは全てを捨て、彼女と生きる決心をする...
  • 静かなヴェロニカの誘惑
    静かなヴェロニカの誘惑 愛の完成・静かなヴェロニカの誘惑 (岩波文庫) ムージル/作 古井由吉/訳 その一文一文へ惹かれ、そして言葉が流れるように運ぶため、読むリズムが出来てしまうのだけど、気がつくと1ページも自覚的に読めていないことになっている。つまり数行読んでいるともう何が何だか分からなくなってしまうのだ。 こんなに美しい文章なのに(それだけはしっかりと感じる)、何でだろうと悔しくなる。それでもと、再び読み進んでいくうち確実に気持ちは遠くへ行ってしまう。 視野が・・息で満たされる、空気が・・体臭を帯びはじめた、想像が・・・冷たくつかんだ、思いは・・ぬかるむ地面に落ちたように、その声が・・どんな音をたてるのか、独特なふうに心を苦しめる魅惑、どこまでも埒を知らぬ頭脳の快楽だった・・。 こんなふうに主語が入れ替わり立ち代るので、追いかけようと...
  • 世界金融危機
    世界金融危機 岩波ブックレット NO. 740 金子 勝、アンドリュー・デウィット (著) 例えば1か月ほど前から、時間が3年に引き伸ばされた関東大震災が起きてしまったと報道されたら。本来数分間で崩壊する建物や道路などが、目の前で3年間かけてじわじわと崩れていく。そこだけがスローモーションのように。既にはじまってしまった世界金融危機を、そんなふうに想像してみた。 結局どんなにリスクの多い環境にいようとも、日常の中で四六時中それを意識し続けることは出来ない。これは本能の防御によるものだと思う。住宅バブルが崩壊し、ドルが急落し、物価が高騰しても、公的資金の注入ですぐに楽観視する。そんなことで治まらないことは分かっていても。 この著作は10月に出たので、すでにリーマン・ブラザーズ経営破綻以降の世界を見ていない。けれど著者により何年も前から用意されていた文脈...
  • 演劇入門
    演劇入門 講談社現代新書 平田オリザ 1998.10 \660 劇作家が自らの演劇理論を優しく解説 演劇についての経験も知識もほとんどなく、ただ漠然と映画を見て感じる「演じること」について興味を持っている程度で、平田 オリザがどんな劇団でどんな演出を手がけているのかも知らなかった。ただそれでもこの著作は僕にとって、とても楽しめた。より一般的で普遍的な立場からそれらを語ろうという著者の試みが、幅広い視野を与え、「新書」の位置づけとしても十分な読み応えがある、まとまりを持っているからだろう。 ここで扱われている「リアル」や「コンテクスト」自体が、日頃から興味をそそるテーマであり、時代性という流れにも十分に当てはまる考察である。人と人とが向き合い、その関係性から自らの混沌たる内面を引き出す。こ...
  • 未見坂
    未見坂 堀江敏幸/著 近頃は結婚を決める男女が増えてきたといい、住まい選びでは家族とのつながりを重視され、震災後の僕らは明らかに不安を抱えて生きている。 リスク低減で安全に対する合理的判断を行ってきた欧米社会と違って、顔の見える相手への信頼によって促される安心を買ってきた日本人へは、どんなに客観的なデータを積み重ねても納得できない領域が存在する。 震災のリスクから完全に逃げる場所などない日本において、これからの住まいへ求めるものは、一生の買い物という目的意識ではなく、家族との「つながり」を生み続ける手段としてのそれではないか。 近日行うプレゼンのために考えていたテーマ。建築の設計はデザインを思考する態度とは必ずしも一致しない言葉を選ぶ作業もある。カタチは自己との対話の中で生まれるけれど、概念や言葉は他者との対話へ開かれているから。 ...
  • 僕と未来とブエノスアイレス
    僕と未来とブエノスアイレス 監督:ダニエル・ブルマン 出演:ダニエル・エンドレール、アドリアーナ・アイゼンベルグ 2003年/アルゼンチン、フランス、イタリア、スペイン合作映画 移民の国アルゼンチン。日系人は2万人くらいいるようだ。首都ブエノスアイレスは、1914年で中心部の60%以上が外国人で占められたほどとか。南米のパリってのもよく聞く。いつか行ってみたい。そんな街が舞台。けれどこの映画ではヌーベルバーグのパリように、かなり断片的な映像でしか街は捉えられていなかった。 ガレリアという小さな商店街で繰り広げられる群像劇。ハンディカメラの手ぶれがとても気になる映像だけど、だんだん慣れる。ポール・ハギスの『クラッシュ』が多民族アメリカ社会の殺伐とした冷戦を描くヒステリー映画だったのに対して、こちらはとてもアットホームだ。 様々なエスニシティ間を素朴な付き合いが...
  • 共同幻想論
    共同幻想論 著者:吉本隆明 改訂新版 角川文庫 カテゴリー-思想 日本における「共同体認識」が、西欧の「社会」とは異なる理由は多々あるだろう。 そもそもの共同体にたいする認識の起源に生じているものであろうことは、この著作を目にする前から、現代的な問題を通してでも、なにかしら見えてくる差異から感じられることだ。 いまだに日本において、「共同の禁制でむすばれた共同体の外の土地や異族は、なにかわからない未知の恐怖がつきまとう異空間であった。」という言及が、遠い昔の話に聞こえなくもないのではないか。共同体を「世の中」や「世間」などへ、置き換えてみてもいいのだろう。 共同体、国家を「理性」あるいは「言語」ととらえる西洋と、それを「共同幻想」ととらえる日本。 つねに幻想的、表層的なものでしかないと、誰しも思っているものは「社会」ではなく、ま...
  • ロンドン・パリ旅行記/2000年1月30日-ロンドン→パリ移動日
    2000年1月30日-ロンドン→パリ移動日 今日は移動日、そしてそれはロンドンで最後の目玉である、ウォータールー国際駅の見学でもある。空港に匹敵する程の規模を持ちながら、都心に位置する駅。ヨーロッパ随一の利用客をカバーする、ヴィクトリア時代の旧駅への増築であるこの建物。見所はまさに、ダイナミックな新旧の接点ではないだろうか。ユーロスター改札口に面したその空間は、保存すべき偉大な建築と、それに負けないアイデンティティを持って、過去から現代へと繋ぐ空間のコラボレーションを見るかのようで、とても感動的だった。 すばらしいガラスの上屋を持つ旧駅。雑誌でみた上空からのウォータールー国際駅は、その旧駅に追いやられているかのような、狭い敷地に見えた。しかし、アーチ状でながく敷地なりにうねったガラス屋根は、昨夜バスから見た夜景の迫力と共に今だに頭へ鮮明に残っている。30メートル以上...
  • バトル・ロワイアル
    バトル・ロワイアル 監督:深作欣ニ 原作:高見広春 製作:「バトル・ロワイアル」制作委員会 出演:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、安藤政信、ビートたけし ほか 新世紀のはじめ、アジアにあるひとつの大国が壊れた。不登校児童・生徒数 80万人、校内暴力による教職員の殉教1200件。自信を失った大人たちは子供を恐れ、やがて、ひとつの法案が国会で可決された。新世紀教育改革法(通称  BR法)施行。とかいった出だし。 TUTAYAで借りました。 なんだろう。残虐な映画は嫌いじゃない。どちらかと言えば好きな方だ。 けれどスプラッターが好きなのではない。緊張感にはまるのだ。 人間が追いつめられ、後戻り出来ない状態になる。その時映画の持つ空間へ惹かれる。 でもこの映画には緊張感をあまり感じなかった。いきなり殺してしま...
  • スクール・オブ・ロック
    スクール・オブ・ロック 監督:リチャード・リンクレイター 製作:スティーヴ・ニコライデス/スコット・アヴァーサノ 製作:スコット・ルーディン 出演:ジャック・ブラック/ジョーン・キューザック/サラ・シルヴァーマン/ジョーイ・ゲイドス・ジュニア/ケヴィン・クラーク/ロバート・ツァイ 2003米/UIP SPA!の映画評で中原昌也がいつになく自虐ネタも入れずに褒めちぎっていた作品だったので、ずっと気になっていた。なんとか新宿武蔵野館にて見ることが出来た。予想以上に素晴らしい作品だった。はじめから終わりまで笑いっぱなしで、最後には泣けてしまう。まさにこれぞエンターテイメントだ。素晴らしい。 リチャード・リンクレイターの作品はまだ3つしか見ていないがどれも面白かった。その緻密な演出力は初のメジャー作品においても確実...
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