潰瘍性大腸炎:UC(Ulcerative Colitis)
症状
炎症性腸疾患(IBD)の一つ。大腸の粘膜にびらん(粘膜表面が浅く欠損すること)や潰瘍(粘膜を越えて組織が深く欠損すること)が形成され、下痢、粘血便(血液や粘液、ウミなどが混じった便)、腹痛や発熱などの症状を呈する原因不明の大腸の炎症性疾患です。
原則的に直腸や大腸に連続して表れます。潰瘍性大腸炎は肛門に近い直腸から始まり、場合によって結腸に向かい炎症が広がっていきます。消化管の炎症がおさまると、炎症によって障害された組織の繊維が増殖して瘢痕と呼ばれる状態になりますが、これは治癒の結果で表れる状態です。瘢痕の状態は正常の組織よりも弾力性が乏しいため、瘢痕による収縮が強くなると消化管が硬く狭くなり、狭窄の状態になることがあります。
炎症範囲による分類は病変部が直腸だけの直腸炎型、直腸から下行結腸までの左側大腸炎型、大腸全域の全大腸炎型の3タイプあります。こららのタイプはずっと一定ではなく病気の症状によって悪化したり、治癒したりします。
また、潰瘍性大腸炎は症状が軽い緩解期(かんかいき)と症状が悪化する活動期(再燃期)をローテーションします。薬物治療を続ける限り、いかにこの緩解期を伸ばすかが治療の肝といえます。
特徴
日本国内に約7〜8万人(2000年現在)の登録患者がいます。潰瘍性大腸炎の発症する年齢は10〜80才と幅広いのですが、特に10〜30才にかけての患者数が多く、分布の割合は20代に一番大きなピークがきています。1975年に厚生省の特定疾患に指定されました。
治療
潰瘍性大腸炎では症状の段階によって治療方法が異なります。
薬物療法
- 段階1:5-アミノサリチル酸製剤(薬剤)
メサラジン(商品名:ペンタサ)
IBD(潰瘍性大腸炎、クローン病)の薬剤療法で炎症を抑制するために用いられる5-アミノサリチル酸を含む薬の一つで、元来使われていたサラゾスルファピリジンの副作用を解消するために開発された。
IBD(潰瘍性大腸炎、クローン病)の薬剤療法で炎症を抑制するために用いられる5-アミノサリチル酸を含む薬の一つで、元来使われていたサラゾスルファピリジンの副作用を解消するために開発された。
- 段階2:ステロイド(薬剤)
〈副腎皮質ステロイド剤〉
代表的な薬剤としてプレドニゾロン?(プレドニン?)があります。経口や直腸からあるいは経静脈的に投与されます。この薬剤は中等症から重症の患者さんに用いられ、強力に炎症を抑えますが、再燃を予防する効果は認められていません。
代表的な薬剤としてプレドニゾロン?(プレドニン?)があります。経口や直腸からあるいは経静脈的に投与されます。この薬剤は中等症から重症の患者さんに用いられ、強力に炎症を抑えますが、再燃を予防する効果は認められていません。
- 段階3:免疫抑制剤(薬剤)
これらの薬剤には、アザチオプリン?(イムラン?)や6-メルカプトプリン?(ロイケリン?)、最近ではシクロスポリン?(サンディミュン?)があります。基本的には、5-ASA製剤?や副腎皮質ステロイド?に無効か効果不十分な患者さんと副腎皮質ステロイド?が中止出来ない患者さん、いわゆる難治性潰瘍性大腸炎に使用されます。
透析治療
- 段階4:白血球除去療法?(透析)
薬物療法ではありませんが、血液中から異常に活性化した白血球を取り除く治療法で、LCAP?(白血球除去療法?:セルソーバ?)、GCAP?(顆粒球除去療法?:アダカラム?)があります。副腎皮質ステロイド剤?で効果が得られない重症や難治性患者さんの活動期?の治療に用いられます。
外科手術
- 段階5:外科的療法?(手術)
潰瘍性大腸炎の多くは薬物治療でコントロールできますが、下記のようなケースでは手術の対象となることがあります。
(1)大量出血がみられる場合
(2)中毒性巨大結腸症(大腸が腫れ上がり、毒素が全身に回ってしまう)
(3)穿孔(大腸が破れる)
(4)癌化またはその疑い
(5)内科的治療に反応しない重症例
(6)副作用のためステロイドなどの薬剤を使用できない場合
(2)中毒性巨大結腸症(大腸が腫れ上がり、毒素が全身に回ってしまう)
(3)穿孔(大腸が破れる)
(4)癌化またはその疑い
(5)内科的治療に反応しない重症例
(6)副作用のためステロイドなどの薬剤を使用できない場合
手術は大腸の全摘が基本となります。以前は人工肛門?を設置する手術が行われていましたが、現在では肛門を温存する手術が主流です。この手術は大腸を取り除いた後、小腸で便を貯める袋を作って肛門につなぐ方法です。
参考文献&URL:
「潰瘍性大腸炎、クローン病に克つ!」 著:高添正和(マキノ出版)
難病情報センター 特定疾患情報 「潰瘍性大腸炎」
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/009.htm
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/009.htm