三年、夏、クレプスキュール――if

「重ね重ね、ごめんなさい」ペッコリン

京太郎「別に着替えはあるからいいですけどね……」

「な、なにかお詫び!」ガタッ

京太郎「ストップ、お気持ちだけでいいです」

「しゃ、シャワーとか」

京太郎「……はい?」

「その、汚しちゃったから」


京太郎(……なにこれ、誘われてんの、俺?)

京太郎(てか、それはTシャツに袖を通す前に言って欲しかった……)


京太郎「一応聞きますけど、女性が男性を部屋に招き入れてシャワーを勧めるってことの意味、わかってますよね?」

「意味?」キョトン

京太郎「マジか、まずそこからか……あのですね?」



京太郎「ってわけで、色々まずいと思うんですよ」

「……」ボー

京太郎「聞いてます?」

「……」ボー

京太郎「もしもーし」

「……」フラッ

京太郎「っと、そんな積極的な……」


「……体、熱い」トロン


京太郎「えっと、さっき言った通り、ちょっとまずいんじゃないかと……」

「理沙」

京太郎「はい?」

理沙「理沙って呼んで」グイッ

京太郎「ちょっ――」

理沙「ん――」


理沙(しちゃった、ファーストキス……)

京太郎(酒臭っ! でも、柔らかくて……)ギュッ


理沙「――っ」ビクンッ

京太郎「正直もう無理です。我慢できません」

理沙「うん」


理沙「来て……?」



理沙「……ん、もう朝……」フワァ


京太郎「――zzz」


理沙「○△□×っ!?」


理沙(え、この人だれ!? なんで裸!?)

理沙(昨日お店を出た後から記憶が曖昧だけど……まさかまさか!) バッ


理沙「ベッドに赤いシミ……」

理沙「私、しちゃった……?」カァァ


京太郎「ふわぁ……あれ、起きてたんですか」

理沙「ふ、ふつつかものですが!」

京太郎「……えっと、とりあえずシャワー浴びません?」



――シャー


理沙「……」ドキドキ

京太郎「……一緒に入る必要はないんじゃあ」

理沙「じ、時間短縮!」プンスコ!

京太郎「それはそうかもしれないですけど……」


京太郎(こんな狭いとこでお互い裸とか……)

京太郎(もしかして、また誘われてるのか?)

京太郎(なら――)モミモミ


理沙「んっ……」ピクン

京太郎「……」サワサワ

理沙「ま、またする?」

京太郎「この状況で我慢できるほど、俺は人間ができてません」ギュッ

理沙「ご、強引っ」

京太郎「でも、期待してたでしょ」

理沙「ち、ちが――んんっ」ビビクン!

京太郎「抵抗してもいいですけど、多分止まれません」

理沙「け、けだものぉ」



理沙「……」フラフラ

健夜「理沙ちゃん、フラフラしてるけどなにかあったの?」

はやり「寝不足はダメだよー? お肌の大敵なんだからっ」

健夜「でも血色はいいような……」

理沙「お……」

はやり「お? 尻尾?」


理沙「男は、けだもの……」


健夜「……」

はやり「……」

理沙「ダメって言ってるのに何度も……」ポッ


健夜「理沙ちゃん?」ガシッ

はやり「ちょっとその話詳しく……!」ガシッ



京太郎「連絡先も交換してないけど……このままってのはやっぱりまずいよな」

京太郎「またあとでホテル、行ってみようかな」

京太郎「ん、メールか」ピロリン


『小鍛冶さん』

『はやりん』


京太郎「……ものすごく嫌な予感がする」




つづ……かない
最終更新:2015年12月27日 04:29