揺杏「……で、うちに来たと思ったら料理の練習に付き合え?」
誓子「だって、揺杏の方が私よりできるし」
揺杏「チカセンだってできないわけじゃないでしょーに」
誓子「とにかく、もう少しできてもいいかなって」
揺杏「んー……ま、いいけどさ」
揺杏(もしかして今日が自分の誕生日だって忘れてない?)
揺杏(……まあ、いいタイミングかもねー)
誓子「というわけで、よろしくお願いします」
揺杏「じゃあ、とりあえず最初の一歩から」
誓子「うんうん」
揺杏「買い物へゴー。材料ないし」
誓子「こんなにドッサリ買い込んだのはいいんだけど……」
揺杏「いっぱい作ったほうが練習になるっしょ」
誓子「なんで私の家に?」
揺杏「だってさ、チカセンちの方が広いでしょ」
誓子「それはそうだけど」
揺杏「さっ、早速始めよ始めよ」
揺杏「よし、出来上がり~!」
誓子「な、なんかすっごい大変だったんだけど……」
揺杏「そりゃこれだけ作ればね」
誓子「ローストビーフ、パスタにサラダにフライドチキンにフルーツ盛り合わせ……おまけにケーキまで」
揺杏「そろそろみんな来るんじゃない? 連絡しといたし」
誓子「みんな?」
爽「おまたー」
成香「わ、いい匂いがします」
由暉子「お邪魔します」
誓子「えっと、どうしたの急に」
揺杏「せっかくの誕生日だし、お祝いするしかないっしょ」
誓子「誕生日……もしかして私の?」
揺杏「もちろん」
誓子「じゃあ私、自分でパーティの料理用意してたってことじゃない」
揺杏「いやー、ちょうどいいかなーって思ってさ」
誓子「もう……」
成香「いまいち事情がわかりません。どういうことなんでしょうか?」
爽「チカが揺杏と料理の練習でもしてたんじゃないかな?」
由暉子「料理の練習ですか。誓子先輩は十分に上手いと思うんですけど」
爽「それはあれでしょ。食べさせたい相手がいるってことだ」
由暉子「……そういうことですか」
由暉子「揺杏先輩、今度私にも料理教えてもらってもいいですか?」
揺杏「いいよー」
誓子「……まあ、そうなるよね」
爽「それより早く食べよう。お腹空いたー」
成香「爽さん、そんな慌てなくても……」グゥ
爽「んー? 今の音はなんだろうねー」
成香「あうぅ……」カァァ
揺杏「二人とも、火花散らしてないで食べようぜ」
誓子「そうね、お父さんたちももうすぐ帰ってくるだろうし」
由暉子「お料理、運びます」
誓子(でも、料理ではユキには負けられないかな)
誓子(まったく……男の子なのに料理上手ってどういうことよ)
誓子(いつかまいったって言わせてやるんだから)
最終更新:2016年10月28日 02:09